Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
Universal Audio
ハイエンドな機材を数多く開発し、世界のレコーディング・スタジオで評価が高いユニバーサル・オーディオ。同ブランドから、ビンテージ銘機のサウンドモチーフを元に開発されたUAFXペダル・シリーズが登場した。この魅力的なエフェクター3機種を矢堀孝一に試してもらった。果たして、その実力とは?
Golden Reverberator は、良質なビンテージ・アメリカン・チューブ・アンプに搭載されていたスプリング・リバーブ、カリフォルニア州サウサリートにあるレコ—ディング・スタジオ“The Plant”で使われていた1950年代後半のドイツ製スタジオ・プレート・リヴァーブ、そして1970年代後半に登場したデジタル・スタジオ・リバーブを彷彿するリバーブ(計3種類)を切り替えて使えるペダルだ。
[Specifications]
●コントロール:タイプ・セレクト、ストア、A/B/C セレクト、ディケイ、ストア、プリディレイ、ミックス、ベース、トレブル、モッド(モジュレーション)●入出力端子:モノ・イン、ステレオ・イン、モノ・アウト、ステレオ・アウト、USB-C●電源:9V アダプター(400mA以上、別売り)●外形寸法:92(W)×14(D)×65(H)mm ●重量:567g ●価格:オープン・プライス(実勢価格=46,200円/税込)
演奏しているときに邪魔にならず、 気持ち良く弾かせてくれる
すごく完成度が高いというのが第一印象。例えば“SPRING 65”というタイプ1つを取っても、一般的なスプリング・リバーブの範疇を超えたアレンジができて面白いですね。“PLATE 140” はギターではすごく使いやすいし、“HALL 224” はロング・リバーブも素晴らしく、いろんな世界が広がる印象です。僕は普段リバーブをあまり使わないのですが、このペダルであれば積極的に使ってみたいと思わされましたね。演奏しているときに邪魔にならず、気持ち良く演奏させてくれます。そして音もクリアで滲まない。とてもタイトで位相も整っていますし、本当に使いやすいリバーブだと思います。
1970 年代のテープ・エコーの銘機をシミュレートし、テープの状態やワウ・フラッターまでも再現した“TAPE EP-III”、さらに1970 年代後半〜1980年代前半にヒットしたバケツリレー式のアナログ・ディレイを参考にした“ANALOG DMM”、そしてスタジオ・クオリティのハイファイなデジタル・ディレイ“PRECISION” という3タイプのディレイを使えるユニット。ファットで存在感のある音は、フレーズに物語を生み出してくれる。
[Specifications]
●コントロール:タイプ・セレクト、ストア、A/B/Cセレクト、ディケイ、フィードバック、ミックス、ディヴィジョン、カラー、モッド(モジュレーション)●入出力端子:モノ・イン、ステレオ・イン、モノ・アウト、ステレオ・アウト、USB-C●電源:9Vアダプター(400mA以上、別売り)●外形寸法:92(W)×14(D)×65(H)mm●重量:567g●価格:オープン・プライス(実勢価格=46,200円/税込)
どのタイプも音質が素晴らしく、 まさにエコー・ステーション
テープ・エコー、アナログ・ディレイ、デジタル・ディレイを切り替えて使えて、便利です。どのタイプも音質が素晴らしく、まさにエコー・ステーション。音が細部までクリアですし、例えば“TAPE EP-III” は残響音が滲んでいく感じまでリアルで驚きました。それから“MOD” のツマミもユニーク。“TAPE EP-III” で使えば、ワウ・フラッターみたいな効果が得られます。さらに“ANALOG DMM” にした際の効果もインパクトが強い。うねるような効果がギミックとしても面白いです。“PRECISION” は設定によりコーラス的な効果も得られますね。ライブで使ってみたいです。
バケツ・リレー式のコーラス/ビブラート、スタジオ・クオリティのフランジャー/ダブラー、1960 年代の良質なアメリカン・チューブ・アンプに搭載されていた真空管駆動のトレモロを1つに統合したエフェクターだ。中でもコーラス/ビブラートは、1976 年に発売された日本製の銘機をモデリングしている。それぞれのモジュレーションも効果的で、作り込むことでオリジナリティ溢れるサウンドをクリエイトできるだろう。
[Specifications]
●コントロール:タイプ・セレクト、ストア、A/B セレクト、スピード、デプス、ミックス、インテンシティ、シェイド、シェイプ、モッド(モジュレーション)●入出力端子:モノ・イン、ステレオ・イン、モノ・アウト、ステレオ・アウト、USB-C●電源:9Vアダプター(400mA以上、別売り)●外形寸法:92(W)×14(D)×65(H)mm●重量:567g●価格:オープン・プライス(実勢価格=46,200円/税込)
それぞれの音に一貫性が感じられる点も、好感が持てる
空間系やモジュレーション系は音が滲んだり、細くなることがありますが、それが一切ない。“CHORUS BRIGADE”、“FLANGER DBLP”、“TREM 65”と試しましたが、どれもクオリティが高い。それぞれの音に一貫性が感じられる点も好感が持てます。僕はコーラスにこだわりがありますが、このコーラスであれば、クリーンでも自然な太さが得られるのでソロを弾きたくなります。原音とのミックスもいい意味で分離され、最終的に統合されて太くなっているから、芯のあるサウンドになってくれる。フランジャーの中にはダブリングの効果があり、強いエフェクトが得られます。実戦で使ってみたいなって思いました。
今回、3機種を試させていただいて、どれも素晴らしかったのですが、特にリバーブに関しては、その魅力に目覚めてしまいました(笑)。今までは積極的にリバーブを使うことはなかったですが、このペダルにハマってしまいそうですね。
まずAstra Modulation Machineは、トレモロのタッチとアタックが独特で、いわゆるスロー・ギアのような効果が特に面白かったですね。演奏する際にはリア・ピックアップを用いましたが、それはビル・フリゼールのような音を狙っています。
それからStarlight Echo Stationに関しては、よく使われるようなセッティングにして演奏しましたが、モジュレーションを少し加え、ディレイ音にモジュレートがかかることで、余韻が広がるような音作りを試みました。これはモノラルでも充分に効果が得られ、とても快適でしたね。
Golden Reverberatorに関しては、リバーブを長めにセッティングし、多少モジュレーションを入れて広がりのある音色にしてみました。言ってみれば “今風のジャズ”というか、カート・ローゼンウィンケル以降のギタリストが好む音作りのイメージです。最近の若手ギタリストも、このリヴァーブには興味を持つと思いますね。
UAFXシリーズはすべてが高品位で、1台1台じっくり試してほしいエフェクターだと思いました。音質も素晴らしく、どういったセッティングにしてもギターとアンプの音をスポイルせず表現してくれる点も大きな魅力です。もちろんジャズ・ギタリストにも自信を持ってオススメしたいエフェクターですね。改めてペダル・エフェクターの進化を体感することができました。
本記事は、2021年11月17日(水)に発売されるリットーミュージック刊『Jazz Guitar Magazine Vol.7』にも掲載されています。表紙巻頭特集はジャズ・ギターに革命を起こした、カート・ローゼンウィンケル。彼のキャリアを振り返る最新インタビューも掲載します。また、ここでしか聴けない、高内春彦&小沼ようすけによる、スペシャル・ジャズ・ギター・デュオのライブ盤CDも付属! ぜひチェックしてみてください!
価格:オープン
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矢堀孝一
1965年1月19日生。'92年にジャズ・グループ 'FRAGILE' 結成。'96年1stアルバム「FRAGILE」をコンポジラsubconscious label よりリリース。2012年発売の「Unconscious behavior」まで、1枚のDVDを含む12枚のアルバムをリリース。ソロ活動として最新作「You were there」に至る5枚のソロ・アルバムを発表、Fazjaz.jpでの4枚のCDと1枚のDVD、TV-JAZZのプロデュース。サイドメンとして向谷実 'Charge and backs'、KIYO*SENでも活躍中。2015年、赤坂に「ジャズギターの聖地」を目指し Virtuoso AKASAKAを開店。クリエイティブな新しいコンテンツの発信、若手ジャズミュージシャンのサポートにも力を注いでいる。