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  • ワイヤレス機能搭載!ベーシストにもオススメの究極のオールインワン・アンプ/エフェクト・プロセッサー!

ベーシストのためのLine 6 POD Go Wireless feat. やまもとひかる

Line 6 / POD Go Wireless

  • 制作:ベース・マガジン 取材・文:山本彦太郎 写真:星野俊 動画撮影・編集:熊谷和樹 録音:嵩井翔平

オールインワン・タイプのアンプ/エフェクト・プロセッサーにワイヤレス機能を搭載したLine 6 POD Go Wireless。この手の機材というと、どうしてもギタリスト向けと思ってしまいがちだが、実はベーシストにこそ注目して欲しい便利機能も多数搭載しており、さまざまなシチュエーションで大活躍するポテンシャルを秘めている。今回はLine 6 Helix Floorユーザーでもあり、ソロ・アーティストとして活動するほか、ももいろクローバーZやYOASOBIのベーシストとしても注目度が高まっているやまもとひかるに“ベーシスト目線”で試奏してもらった。

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Line 6 POD Go Wireless × やまもとひかる

Line 6 POD Go Wirelessの概要

Line 6 POD Go Wireless

 
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 今となってはプロ/アマ問わず当たり前のように使われているモデリング・アンプ/エフェクト。そのモデリング・シーンを切り拓いたのがLine 6から1998年に発表されたPODだ。2000年にはベース用に特化されたBASS PODも登場し、宅録やライヴの機材の在り方を大きく塗り替えてきた。そのPODシリーズに、2013年のPOD HD X以来の最新モデルとなるPOD Goが登場。よりリアルなサウンドとフレキシブルな操作性を追求してきたPODシリーズに、新たな価値観をもたらした注目のモデルだ。新たな価値観とはモデル名にある“Go”。約36cm×23cm、2.5kgという軽量コンパクトなデザインで、スタジオ練習やライヴなどに気軽に持ち込める可搬性を重視したモデルと言える。

 要のサウンドはHXシリーズから継承した86アンプ(ベース用は14)/41キャビネット(ベース用は7)/226エフェクトを内蔵(Ver 1.22時)しており、POD HD Xシリーズ以上のリアルさを体感することができる。そのうえで直感的な操作性を追求しているのも本機の特長だ。ひとつのプリセットには9個のアンプ/エフェクト・ブロック&センド/リターンが用意されており、内4ブロックに好きなエフェクトを割り当てることができる。実際に音を作っていくエディット画面では、画面上部に信号の流れが表示され、ブロックの選択や並べ替えはすぐ右の上側ボタンとノブで、画面下部にはモデル選択やパラメーターが表示され、画面右の下側ボタンとノブで操作。各パラメーターの調整は画面下の5つのノブが担当と、マルチ・プロセッサーに慣れていない人でもすぐに操作が覚えられるだろう。任意に使えるエフェクト・ブロックは4つだが、256個という豊富なプリセット数、同一プリセット内で音切れなしにパラメーター変更やエフェクトのオン/オフなどが行なえるスナップショット機能などにより多彩な音色を作り上げることが可能だ。

 また、好みのコンパクト・エフェクターを接続できるセンド/リターン端子、キャビネット・モデリングを通る前段で出力できるアンプ・アウトなど入出力も柔軟で、POD Goで作り上げた音をラインに送ったり、アンプやキャビネットの手前で分岐した音を中音用のアンプに送ったりすることも可能。ライヴではライン音を重視しつつアンプとのバランスを取った音作りが重視されるベーシストにとって、非常に実戦的なシステムと言えるだろう。またPOD Go WirelessにはG10TⅡトランスミッターが同梱されており本機だけで高音質なワイヤレス環境を整えることができる。シールドの煩わしさから解放された自由なパフォーマンスも手軽に行なえるわけだ。

POD Go Wirelessnのリアと付属のトランスミッターRelay G10TII

ファームウェアPOD Go 1.30公開

 POD Goシリーズのファームウェアがv1.30へアップデート。新機能として搭載された「ユーザー・モデル・デフォルト」やストンプ・スイッチのカスタマイズ、スナップショットの名称変更などより利便性が高まり、アンプ/エフェクト・モデルも多数追加されている。ファームウェアの詳細はこちらまで。(2021年10月6日追記)

やまもとひかる's Impression

クオリティの高いサウンドと簡易な操作性

 POD Goは、ひと言で言えば“サウンドのクオリティが高い”ですね。マルチ・エフェクターはほかにも使ったことがあるんですけど、歪みエフェクトだけはどうしてもデジタルっぽいかかり方がすると感じていて、マルチも使いつつ歪みだけはコンパクト・エフェクターを使っていたりもしました。それが、POD Goはデジタルっぽさを感じないですし、歪みエフェクトだけでもたくさんの種類があってベース本体と相性が良いものを選べたり、細かい調整も可能でコンパクト・エフェクターに近い音作りができます。それと、特にベースの場合はコンパクト・エフェクターを並べれば並べるほど音ヤセが気になって、“このエフェクトを薄くかけたらどうかな”と思いついても、いろいろな手間もかかるから考え直すこともあったんですけど、マルチ・プロセッサーなら音ヤセを気にせず気軽に試すことができるというのもメリットです。こういったマルチ・プロセッサーの操作はそもそも苦手な方なんですが、このPOD Goは感覚的に操作できましたね。ブロックを選択するツマミ、アンプやエフェクトのモデルを選ぶツマミ、アンプなどのパラメーターをいじるツマミなどがパッと見でわかりやすいですし、エフェクトの順番を入れ替えるのも簡単でした。しかもその入れ替え中も音が途切れないので順番を試すのも楽です。

手軽に使えるワイヤレス機能

 今回試奏したのはPOD Go Wirelessというモデルなんですけど、とにかくこのG10TⅡというトランスミッターが小さいんです。しかも、そのトランスミッターをベースのアウトプット・ジャックに挿すだけで本体とすぐにつながる。これが今回一番ビックリしたことですね。しかもヴォリュームのオフやPA側での操作なしに抜き差しができるので、ベースを持ち替える際にも事故が起きなくて安心です。それからワイヤレスの設定の中には“ケーブルトーン”という項目があって、そのままのワイヤレスのサウンド(Off)のほかに3m(10')や9m(30')のシールドを使ったときのような音質変化を選ぶことができます。実際私も、Offの状態で試奏してみたところ少しバキバキ感が強かったので、よりナチュラルに聴こえる3mに変更してみました。ワイヤレスでこういった音質調整ができるというのは驚きですね。

トランスミッターG10TIIをGUTAR INに接続すると、充電とチャンネルの自動設定が可能。また、出力端子は、バランスTRSケーブルでPAへの出力も可能なメイン・アウトと、キャビネット・シミュレーターの手前で出力する設定も可能なアンプ・アウトを装備

小型のトランスミッターG10TIIをベースに挿すだけで自動認識され演奏できるのが便利。また、G10TIIはジャックから抜くと自動でオフになるので、素早くベースの持ち替えをする際にも抜き差し時の事故が起きにくい

Cable Toneの機能を使用すると、シールド・ケーブル独特の高音域のロールオフを再現することができる

Cable Toneで選択できるのは、オフ、10フィート(3メートル)、30フィート(9メートル)の3種。写真では3mを選択

Cable Toneで9mを選択した画面。トータルEQのような感じで状況によって使い分けるのもいいだろう

可能性を広げる拡張性の高さ

 普段私が使っているHelix Floorと比較してとにかく小さくて軽いというのがPOD Goの第一印象でしたが、かといってアンプ・モデルやエフェクトが簡略化されているわけではなく、Helixと同等のクオリティのサウンドを楽しむことができます。そのうえワイヤレスも搭載していて一台何役なんだろう、と(笑)。センド/リターン端子で自分のお気に入りのコンパクト・エフェクターを組み込むこともできますし、リターン端子やアンプ・アウトを使って、アンプ&キャビネット・モデルを通った音はラインに、通っていない音はアンプにといったふうに信号を分けることもできます。普段はコンパクトをたくさん並べている人でも、手軽に持ち運べて使えるものとしても満足できると思いますし、逆にいろいろなエフェクトを試せるという点でビギナー・ベーシストにもオススメです。

デモ演奏で使用した音色について

  今回のデモ演奏の音作りは、やまもと好みのパキッとした音がする【G Cougar 800】というアンプ・モデルを使ったファクトリー・プリセットをエディットして行なわれた。その際、アクティヴ・ベースをメインに使っているためアンプの部分で歪まないように、[Drive]のパラメーターはかなり下げ目(2.0ほど)にしたそうだ。信号の流れは、【Volume Pedal】(ヴォリューム・ペダル)→★【LA Studio Comp】(コンプレッサー)→★【Simple Pitch】(オクターバー)→★【Autofilter】(オート・ワウ)→【G Cougar 800】(アンプ)→【4×10 Ampeg HLF】(キャビネット)→【Parametric】(EQ)で、★印がフリーのブロックにアサインしたエフェクトとなる。【Autofilter】はベース音をキープしたまま装飾的な効果を出すため[Mix]を37%程度に、[Interval]を-12にして1オクターヴ下が出る設定にした【Simple Pitch】は、音程感を失わないように[Mix]を30%にしている。

コンプレッサーはLA Studio Compをセレクト。PeakReduc:7.8、Gain:5.0、Type:Compress、Emphasis:0.9、MIX:100%、Level:0.0dB

Simple Pitchはオクターバーとして活用した。Interval:-12、Cents:0.00、Delay:0.0ms、Shift Level:10.0、Mix:30%、Level:0.0dB

Line 6 オリジナルのエンヴェロープ・フィルター、Autofilter。Mode:Low Pass、FilterGain:+18.0dB、Filter Q:5.9、Sens:4.5、Attack:20ms、Decay:350ms、Frequency:50Hz、FreqDepth、3.5kHz、Direction:Up、Mix:37%、Level:-1.0dB

アンプはギャリエン・クルーガー800RBをもとにしたG Cougar 800をセレクト。Drive:2.0、Bass:6.5、Low Mid:7.0、High Mid:7.2、Treble:8.6、Ch Vol:7.2、Master:9.0、Boost:5.0、Contour:Off

キャビネットは4x10 Ampeg HLFで、10インチ・スピーカーを4発搭載したAmpeg SVT 410HLFがもと。Mic:67 Cond、Distance:1.0"、Low Cut:Off、High Cut:Off、EarlyReflc:30%、Level:0.0dB

Preset EQはParametric。Low Freq:250Hz、Low Q:3.6、Low Gain:0.0dB、Mid Freq:355Hz、Mid Q:4.6、Mid Gain:+2.3dB、High Freq:3.5kHz、High Q:0.7、High Gain:+4.3dB、Low Cut:Off、High Cut:Off、Level:+2.6dB

やまもとひかるのオリジナル・プリセットをダウンロード!

 Line 6のウェブサイトには“CUSTOMTONE”というページがある。そこでは世界中のLine 6ユーザーが自身が作ったプリセットをシェアしており、それらを自由にダウンロードして使用することができる。やまもとひかるがデモ演奏で使用したオリジナル・プリセットもシェアされているので、ぜひ自身のPOD Goシリーズに取り入れほしい。

やまもとひかるが今回のデモ演奏で使用したプリセットはこちら

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製品情報

Line 6 / POD Go Wireless

価格:オープン

【スペック】
●アンプ・モデル:86 ●エフェクト・モデル:226 ●キャビネット・モデル:41 ●マイク・モデル:16(※v1.22時点) ●プリセット:256(2セットリストx32 バンクx4)●最⼤同時使⽤ブロック数:最大10(一部固定、 DSP使用量による)●シグナル・フロー:シリアル ●スナップショット:4(1プリセット毎)●インパルス・レスポンス(IRs):1024ポイントx128 ●グローバルEQ:3バンド・フルパラメトリック + ハイ/ロー・カット(可変)●メイン・ディスプレイ:4.3"/11cm カラー LCD ●フットスイッチ:ストンプ、プリセット、スナップショット、ルーパー ●フットスイッチ・モード:ストンプ、プリセット、スナップショット、ルーパー ●フットスイッチ・タイプ:ラッチング ●ルーパー・タイプ:6スイッチ、1スイッチ、シャッフリング ●ルーパー・メモリー(フル・スピード):40秒 モノ/20秒 ステレオ ●ルーパー・メモリー(1/2スピード):80秒 モノ/40秒 ステレオ ●1/4” インプット:Guitar、リターン(ステレオ)●1/4” アウトプット:メインL/R、Ampアウト、センド(ステレオ) ●エフェクト・ループ:1xセンド(モノ/ステレオ)、1xリターン(モノ/ステレオ) ●ヘッドホン:1/4" ステレオ ●MIDI:USB経由対応●オーディオ・インターフェース:4in, 4out リアンプ可 ●本体シャーシ:折り曲げスティール/ポリカーボネイト ●ペダル:アルミ合金 ●1/4" エクスプレッションペダル:EXP2(Footswitch 7/8と切り替え) ●エクスターナルアンプ・アウト:G10TII内蔵 ●Relayワイヤレス・レシーバー:内蔵(最大30m、見通し良好な場合)●外形寸法:88(H)×230(D)×359(W)mm●重量:2.5kg
【問い合わせ】
株式会社ヤマハミュージックジャパン Line 6インフォメーションセンター TEL:0570-062-808 http://www.line6.jp
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プロフィール

やまもとひかる
14歳でベースを始め、動画サイトへのベース演奏動画の投稿をきっかけに、高い演奏テクニックが国内外から注目を集める。2019年にはキタニタツヤが書き下ろした楽曲「DOGMA」にてベース &ヴォーカリストとしてソロ・デビューも果たす。2021年2月には自身が作詞作曲を手がけた2ndデジタル・シングル「NOISE」をリリースした。アーティスト活動の傍ら、YOASOBIを始めとするサポート・プレイヤーとしても活躍中。

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