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- 2024/11/16
アコースティックエンジニアリング
“自宅で思いきり音を出したい!”、“いつでも楽器を鳴らせる環境を手に入れたい!”……自分のスタジオを持ちたい願望は、楽器を演奏する人ならば誰もが思うこと。そんな“マイ・スタジオ”の夢を実現してくれるのが、プロ用のスタジオやライヴ・ハウスの防音/音響工事も行う、アコースティックエンジニアリングだ。ここでは同社が手がけた“ドラムが叩ける”プライベート・スタジオにフォーカス! 今回紹介するのは、神奈川県在住のTさんの自宅スタジオ。個人練習はもちろん、バンドでの演奏やレコーディング環境も整った快適かつ理想の空間に迫る。今回はTさんと施工を担当したアコースティックエンジニアリング(以下AE)の中島 元氏にも話を聞いた。
●まず、自宅スタジオを作るまではどのようにドラムを練習されていたのですか?
Tさん 近くのリハーサル・スタジオを当日予約の個人練習で使っていました。ほとんどのドラマーさんが痛感していることだと思いますが、やっぱり日によって取れる時間帯はまちまちですし、なかなか思うように練習できなくて。リハは自分のスネアやペダル、日によっては車を使って自分のセットを持ち込んだりしていました。
●スタジオを作ろうと思ったきっかけは?
Tさん もともと家を改装、もしくは違う土地に家を建てて住もうかみたいな話があって。そのときに私が両親に“自宅スタジオを作れたら……”と、ぼやいたんです。そうしたら意外にも話がとんとん拍子に進んで、(スタジオを)作ることが決まって。それで、8畳+8畳の和室をリフォームして前室つきのスタジオができたんです。
中島 最初は車庫の上にあるお庭に増築する形でスタジオを建てるお話だったのですが、スタジオと車庫の大きさの関係で構造上あまり良くないということ、増築に当たって確認申請などが必要ということ、リフォームという形の方がコスト的にもお安くできます、ということで8畳+8畳の和室の前室つきのスタジオを提案させていただきました。
●数あるメーカーから、AEさんを選んだ理由は?
Tさん 一番手応えがあったのメーカーがAEさんで。直接事務所に行って話を聞いたり、ドラム・マガジンでも読んでいましたし、webでAEさんのHPも拝見していましたし。
●8畳の前室というのは、最初は予定になかったそうですね。話し合いの中で出てきたのですか?
中島 まず、“スタジオに行き着くまでの前室をどうしましょうか”というのがありまして。“和室のまま残すのもちょっと……”というお話も出ましたし、“洋室にリフォームしましょう”ということになったんです。それで、その前室が“レコーディング時の編集スペースになるのでは”とお話が進んで。作業的にも、スタジオと前室のケーブルの配線や窓の設置などで、編集空間はできてしまいますし、大幅にコスト・アップするわけではないので、ご提案させていただきました。
Tさん もとは完全な和室で、建物の構造上影響のない梁を削ってクロスを張ったりして前室が出来上がって。結果的に押し入れだった部分を楽器の収納スペースとして設けることもできました。ソファも、もともとあったものを使っているんです。
●“防音”だけでなく、“建築”も併せてお願いできるのはAEさんの強みですね。
中島 そうですね。もとは建築の会社からスタートしていますので。リフォームで別の会社を立ててしまうとお客様も大変ですし、窓口を1つにするという意味でもやれて良かったと思います。
●スタジオの方は、天井が高いのが特徴的ですね。
中島 Tさんから“屋根に沿った感じで天井を高く取りたい”というリクエストをいただいて。ただ、Tさんのお宅は、スタジオに接する隣家が一段高い場所に建っているので、屋根からの音漏れも考えないといけないんです。難しいところもありましたが社内でも検討しまして、換気の消音のためにフラットなところもありますが、今の形にすることができました。すごくやりがいがありましたね。
Tさん 屋根なりの高い天井にしたいと思ったのは、やっぱり開放感ですね。スタジオ全体の容積も違ってきますから。かなり変わったと思います。
●スタジオは8月に完成されたそうですね。
Tさん 始めてスタジオで叩いた音の印象は、“響き過ぎず、デッド過ぎず”のリクエスト通りでした。
中島 Tさんは“ジャズ・ドラムを叩かれる”ということでしたので、デッド過ぎるのは良くないかなと思いまして。吸音は通常よりも少なめですね。
Tさん 街のスタジオはデッドなところが多かったり、(音が)鏡に反射してバランスが悪いなと思うことも多かったので。響きは満足しています。
●スタジオを使う時間帯はだいたいどのくらい?
Tさん まちまちですけど、遅いときは深夜2時くらいまで叩いていますね。バンドで入るときは、一番遅くて夜の11時過ぎくらいまで音を出しました。これからはレコーディングなどで一日中使うこともあるかと思います。そのために録音用のマイクを揃えていきたいですね。
●他の部屋に対する音漏れはいかがですか?
Tさん 生で演奏している場合はほとんどわからないみたいです。アンプを使用してバンドでやっていると“ずーん”と少し音が聴こえるくらいで。ドラムだけの練習はほぼわからないみたいですね。バス・ドラムだけ少し聴こえるようです。
●“スタジオの活用法”ということで今後、こんなふうに使いたいというビジョンはありますか?
Tさん ゆくゆくは音楽の仕事として……例えばレッスンをする場所などで使っていきたいですね。
※本記事はリズム&ドラム・マガジン2013年12月号の記事を転載したものです。
株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。
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