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- 2024/11/16
BOSS / MT-2
そのネーミング通りの激烈なハイゲインを生み出すディストーション・ペダルとして、1991年のリリース以来、多くのギタリストから熱い人気を集め続けるBOSS MT-2 Metal Zone。今回はその発売30周年を記念して、本モデルをこよなく愛する9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎と滝 善充によるスペシャル・トーク・セッション動画をお届けしよう。セッティングのポイントやMT-2ならではの魅力など、本モデルを弾き倒してきた2人ならではのコメントは必見!
1991年の発売以来、ヘヴィな歪みを求める世界中のギタリストから絶大な支持を誇ってきたMT-2。攻撃的なリフから分厚いバッキング、豊かなサステインによるスムースなリードまで、あらゆるハイゲイン・サウンドを創出する本モデルは、なんと累計100万台以上のセールスを記録している。
最大の特徴はアナログ回路設計によるデュアル・ステージ・ゲイン回路だ。直列に配置された2つのゲイン回路は過激なディストーションを作り出すとともに、初段の回路には7つのフィルターが組み込まれ、中域に個性を持ちながらもタイトで直進性の高いサウンドをアウトプットする。そして、鋭く利く3バンドEQによるサウンド・メイクの幅広さも重要なポイントだ。特にMIDDLEはセミ・パラメトリックとなっており、“MID FREQ”ツマミによって200Hzから5kHzまで広範囲の帯域をカバー。ギターの音色を特徴付ける中域を自在にコントロールすることができる。メタルを得意とするギタリストはもちろん、その他ジャンルのプレイヤーにおいても、ハイゲインを必要とする際には真っ先に試すべきペダルと言えるだろう。
2018年には本モデルの進化版と言えるMT-2WがWAZA CRAFTシリーズからリリースされており、2021年には30周年記念の限定モデルであるMT-2-3Aも登場。MT-2ファンはどちらも要チェックだ。
初期の音源には必ずどこかにMT-2の音が隠れてると思います。
──菅原卓郎
──まずMT-2との出会いを教えて下さい。
滝 9mmでは、バンドを結成した頃から中村(和彦/b)が使いたがっていて。だから最初から導入していたよね。
菅原 そうだったと思う。
滝 その頃は全員のボードにMT-2が入ってたよね(笑)。“3人で同時に踏もう”とか、遊んだりしていました。
──2人はどんなシーンで使っていましたか?
滝 インディーズ時代は爆音を出すところで使ってたんじゃないかな。
菅原 実際レコーディングでどのペダルを使ったのか曖昧なところもあるんですけど、『Gjallarhorn』(2005年)っていうインディーズの1stアルバムの頃は、俺はメインとしてDS-1を使っていたと思うんですよ。で、MT-2も持っていたから、轟音のパートを録る時はDS-1とつなぎ替えていたんじゃないかな。初期の音源には必ずどこかにMT-2の音が隠れてると思います。
滝 ライブでは確実に踏んでましたね。
菅原 RADWIMPSと対バンした時も使ってたと思う。
滝 ZeppでもMT-2を踏みましたからね(笑)。
──改めて、本日MT-2を弾いてみた感触はどうでした?
滝 昔は本当に爆音を出すために使っていたので、EQとかもほとんど全開だったんですけど、そうじゃないところに色んな音があったなと思いました。マジメに使えるようになりましたね。
菅原 改めて弾いてみると、すごくスッキリして使えるなと思いました。昔とは自分のギターの弾き方が全然違うからだと思います。昔はもっとモヤがかかった、“ゲインの壁”ってイメージだったんですけどね。
滝 “ボワー!”ってさせたくて踏んでたから、ローを上げてたんだろうね。
菅原 うん。でも滝が言っていたように、色んな音作りの可能性があったんだなと思いましたね。
滝 あと、MT-2をオンにしながらこうやって話しているのに、こんなにノイズがないんだなって。
菅原 ほんとだ、ないね。
滝 MT-2が主役の曲を作る、みたいなことをやっても面白いかなと思いましたね。
──2人のMT-2のセッティングのポイントを教えて下さい。
菅原 MT-2ってキャラクターが決まっているので、踏んだ瞬間に名前の通りの音が出てくれますよね。だから、そこから自分のほうに合わせて微調整していくって感じです。昔は“フルテンだぜ!”みたいな気持ちが勝っていたんですけど、“もっと追い込めるエフェクターだったんだな”という気が今はしています。
滝 どのツマミも真ん中から始めて、そこから少し勢いをつけようかなと思ってセッティングしています。LEVELは真ん中だと原音より少し小さいので上げていますね。これはコツなんですけど、二軸のツマミ(HIGHとLOW、およびMIDDLEとMID FREQ)は一緒に回すと音作りが楽です。答えが近くなる感じですかね。
一番わかりやすい存在で、一番メタル感を出してくれている存在。
──滝 善充
──MT-2の魅力とは?
滝 “MT-2はMT-2だな”っていう個性があるなと思います。聴いたらすぐにわかる音だよね。
菅原 壁のようなサウンドを出しているギタリストって、意外と何台かエフェクターを組み合わせて作っていたりするじゃないですか。けど、MT-2の“壁感”ってこれしかないと思います。
滝 レコーディングで2~3本のギターをダビングして壁を作ったりとか、よくやるじゃないですか。でも、ライブならMT-2だけで壁が作れる感じがする。
菅原 埋まるというか、まさに“ゾーン”なんだなって感じがしますね。良い名前を思い付いたなと。MT-2って、当初はヘヴィメタルのバンド・サウンドを自分でも体験したいっていうところから、それを再現するために作られたと思うんです。でも今弾いてみると、30年の間に色んな音楽も生まれたし、例えばソロの時だけ踏んだりするような使い方も面白いかなと思いますね。
滝 ノイズ・ミュージックの人も使っていたりするし、9mmもそういうマインドで使い始めたところもあるんですよね。
菅原 当時、“全員のメイン歪みがMT-2だったら面白いよね”って話をよくしてましたね。
滝 でもうまく音が作れなかったね、当時は。
菅原 今なら曲によっては極端な音で攻めることもできるかも。
──最後に、MT-2が30年間も愛されてきた理由は何だと思いますか?
菅原 みんな、これをオンにしたら“MT-2だ!”って納得できるからじゃないですかね。“これでMetal Zoneを名乗るなんて……”みたいな音だったら30年はもたないと思うんですよ。
滝 たしかに。世の中には“メタル〇〇”って名前のエフェクターが星の数ほどあっただろうに一番長生きなわけだから、一番わかりやすい存在で、一番メタル感を出してくれている存在なんでしょうね。
菅原と滝が動画内で使用しているシールドは、BOSSから発売されているBIC-Pシリーズ。高品位な素材を採用し、独自のバランスでチューニングを施した最高峰のケーブルだ。プラグがストレート-ストレートの3m(BIC-P10)と5.5m(BIC-P18)、そしてプラグがL型-ストレートの3m(BIC-P10A)と5.5m(BIC-P18A)をラインナップしている。
価格:オープン
価格:オープン
価格:オープン
菅原卓郎
すがわら・たくろう/1983年生まれ、山形県出身。9mm Parabellum Bulletのボーカル・ギターを担当。ほかにもキツネツキなどで精力的に活動中。最新作は配信限定リリースの『泡沫』。
滝 善充
たき・よしみつ/1983年生まれ、茨城県出身。9mm Parabellum Bulletではギター、コーラス、作曲を行なうかたわら、キツネツキではドラマーを担当。