AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
MCNALLY/MORRIS/OKITA/RYAN GERBER/TAYLOR
アコースティック・ギター・マガジンの看板企画ニューギア ・サウンドチェックが、動画で楽しめる“アコギ・ソムリエ有田純弘のニューギア ・チェック”として連載記事になりました。 2021年9月号 Vol.89から注目の5機種をお届け!
ベルファストとロンドンでギター作りを学んだアイルランド人ルシアーによるOM。通常よりもやや厚みのあるボディを持っている。アメリカンなテイストを持ちながら、アディロンダック・スプルースのトップに見事な杢の出たウォルナットのボディを組み合わせるなど、ユニークな要素も持ち合わせた高級モデルだ。
アイルランドらしさとアメリカン、
両方の要素がほど良くブレンドされている。
柔らかくオープンな音にはアイルランドらしさがあるけれど、迫力ある鳴り方やコシの強さはアメリカンという、両方の要素がほど良くブレンドされている感じです。強めに弾いた時の、良い意味でのノイズ成分も含めた音がタイトになり過ぎずにそのまま出るので、マイクで音を拾うライブでも安心してディグ・イン(弦を押し込むような弾き方)できると思います。生音もモニターしやすいし、オープン・チューニングにもうってつけです。
惜しくもコロナ禍で中止となったサウンドメッセin大阪2021にスペシャルモデルとして出展予定だった、ステージ用ギターのRシリーズをカスタマイズした1本。反射を抑えた艶消しのブラック塗装のギターは、演者を際立たせる効果を発揮しそうだ。ピックアップにL.R.バッグスのELEMENTを搭載した即戦力仕様。
ストロークでも単音でも
中域が力強くて、音圧が感じられます。
ストロークでも単音でも中域が力強くて、音圧が感じられます。パワフルなストロークでも音がつぶれませんね。ネックのグリップ感もしっかりしています。ブラック塗装はグロスだと指紋が目立ちますが、マットなら気を使わずにすみますね。ローズウッドの柔らかい感じと相まって、演奏のニュアンスを自分で把握しやすいのもマットの効果でしょう。ピックアップもバランスが良くて、いろんな状況に対応しやすい音質だと思います。
40年以上ものリペア経験とクラシック・ギター製作の経験を持つ沖田正和氏のドレッドノート。クラシックで一般的だがスティール弦では珍しい、スペイン式の一本棹構造を採用したのがユニークで、“100年は弾けるように”と、音と耐久性のバランスを取りながら、トップやボディの板厚もすごく厚くしているという。
低音の出方にスペイン工法の効果が
表われているのかも。音の解像度が高いですね。
楽器の振動が胸もとに響いてきますね。オーソドックスなドレッドノートだけれど音抜けがすごく良くて、低音もたっぷり鳴っているけれど音の分離が良いという、不思議な感じのギターです。低音の出方にスペイン工法の効果が顕著に表われているのかもしれません。音の解像度が高いですね。音量感はドレッドノートだけれど、扱いやすさや演奏性はオーディトリアムぐらいの感じというのが、この楽器の一番良いところだと思います。
オハイオ州に工房を構えるルシアーによる、ボディ幅15.5インチのモデル。トップ材はここ数年好んで使用しているというスイス・ムーン・スプルースで、ボディ材はオプションのココボロ。ウェッジ・ボディやラティス・ブレイシング、強度のある3枚張り合わせのサイドなど、伝統にとらわれないギター作りが特徴だ。
サステインが驚くほど豊かですね。
押弦するのに力がいらないので、弾きやすい。
サステインが驚くほど豊かですね。押弦するのに力がいらないので、弾きやすいです。サイズ感が独特で、ボディは抱えやすいけれど、鳴りにはOMとジャンボの美味しいとこ取りのような充実感があります。艶のある音も持ち味ですね。ナット幅は僕の好きな44.5mmで弦間ピッチは広めですが、指板のエッジに丸みがあって握りやすい。ゴージャスな音だけれども、弾く時に気構える必要のない、親しみやすいタッチのギターです。
新技術の開発に積極的なテイラーが、コロナ禍で経済的打撃を被むる現役ミュージシャンに向けた、より手頃な価格のモデル。ボディにマホガニーとサペリを使用しコストを抑えながら、スプルース・トップの楽器のようなキャラクターも持ち合わせているのが特徴だ。ピックアップは自然なサウンドのES2を搭載。
ただウッディなだけじゃなく、張りのある
倍音も立っている。ありそうでないトーンですね。
僕好みの、まとまりのあるサウンドですね。確かにオール・マホっぽいんですが、単音にはパリッとした心地良い、硬質な感じがあるんですよ。6本の弦の芯のある音が良いチームワークでコードを作っている感じ。ただウッディなだけじゃなく、張りのある倍音も立っているという、意外とありそうでないトーンですね。軽く弾いても鳴りが豊かです。V-Classブレイシングの効果なんでしょうね。ES2は生っぽいレスポンスがありがたいです。
本記事は、リットーミュージック刊『アコースティック・ギター・マガジン 2021年9月号 Vol.89』の記事を抜粋・転載したものです。今号巻頭特集は“ビートルズのアコギ大博覧会2021”。ポールとジョン、ジョージ、リンゴ4人の歴代ヒット曲を収録した歌本も付録。宅録、動画&配信にも活用できる“5万円で買うアコギ向きマイク”特集など内容盛りだくさん。ぜひチェックしてみてください!
価格:オープン
価格:オープン
価格:¥2,420,000 (税込)
価格:¥1,320,000 (税込)
価格:¥302,500 (税込)
有田純弘(ありた・よしひろ)
1957年生まれ。84年に渡米し、翌年、U.S.ナショナル・バンジョー・チャンピオンシップにて優勝。一時期はボストンを拠点にジャズ、ブルーグラス、民族音楽などさまざまなジャンルで活躍、さらにはベラ・フレック、デヴィット・グリスマンを始めとした数々のビッグ・ネームと共演を果たした。92年にソロ・アルバム『Whale Dance』(Strictly Country Records:SCR-28)を発表。現在はギター、マンドリン、バンジョーなどあらゆる弦楽器を操るマルチ弦楽器プレイセッションに参加。洗足音楽大学ジャズコース講師を務める傍ら、鬼怒無月や竹中俊二とのトリオ“FRETLAND”などで精力的な活動を展開している。