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サックスはどんな素材でできている? 〜初心者のためのサックス入門(2)

サックス

  • 制作:デジマート・マガジン  記事協力:アルソ出版

前回からスタートした初心者に役立つサックス入門! 第2回はサックスの種類や素材について紹介します。楽器の素材には目を引くものがたくさんありますが、サックスはどんな素材でできているのでしょうか?

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サックスは何種類ある?

左から順にソプラノ、アルト、テナー、バリトンサックス

 サックスというと最初に思い浮かぶのがアルトサックス、もしくはテナーサックスでしょう。ほかにもソプラニーノサックス、ソプラノサックス、バリトンサックス、バスサックスとたくさんの種類があります。

 アドルフ・サックスは開発した当時、なんと14種類もの楽器を作ったそうです。すでに確立されたオーケストラに入ることは難しかったからでしょう。サックス属だけでオーケストラやアンサンブルをできるように考えたと思われます。

 一般的にはソプラノ、アルト、テナー、バリトンサックスの4種類が使われることが多く、クラシックのサックス四重奏ではおなじみですし、ビッグバンドでもアルトとテナー、バリトンをメインにセクションを担い、曲によっては、持ち替えでソプラノも多用されます。

サックスは移調楽器?

 それぞれのサックスの音域を知る前に、サックスが移調楽器であることを説明しておきます。ピアノでドを弾いたときに、サックスでドを吹くと、違う音が鳴ってしまいます。もともとピアノの音と同じC調やF調のサックスもあったのですが、現在使われているアルトとバリトンの調子はミ♭(E♭)ソプラノとテナーはシ♭(B♭)です。マーチングや吹奏楽などで必要性の高いE♭管とB♭管が残り、C管は定着することなく現在ではほとんど見かけなくなりました。

 ピアノで出る音を「実音(じつおん)」(ドを弾いたらドの音が出ます)と言いますが、サックスはなぜ調子を変えるような面倒なことをしたのでしょうか?

 管楽器は管の長さによって音の高さが変わります。そのためピアノなどの実音表記の楽譜を演奏する場合、アルト、バリトンではピアノのドの音がラに、ソプラノ、テナーではドがレになるといった具合に、ピアノの楽譜をそのまま演奏すると違う音、違うキーになってしまいます。

 そこで楽譜に書かれた音と同じ指使いで吹けるよう、サックスなどの移調楽器は「記譜音(きふおん)」で書かれます。

 管楽器で実音の楽器は少なく、フルート、オーボエ、ファゴット、C菅のトランペット、チューバぐらいなのです。

それぞれの音域について

 ソプラノからバリトンまで使うとかなり広い音域レンジが得られます。同族楽器ならではの音の融合、美しいハーモニーが持ち味のサックス四重奏は、弦楽カルテットのような豊かな表現力が魅力です。ジャズ、ポップスにおいてもサックスセクションの力強く迫力のサウンドといった具合に、どんなジャンルにおいても人気の楽器ということがうかがえますね。

※ソプラノは機種によってはG音まで出ます

サックスの素材について

サックス素材の王道「真鍮」

 まるで宝石のようなプラチナで作られたフルートから、動物の皮で作られた打楽器、木の温もりを感じさせるヴァイオリンなど、楽器の素材には目を惹くものがたくさんありますが、さて、サックスはどんな素材でできているのでしょうか。

 まず、圧倒的に多いのが真鍮(しんちゅう)と呼ばれる銅合金です。「ブラス」と言う場合もあります。これは銅と亜鉛を混ぜたもので、互いの混合比率によって強度や色に変化が出てきます。

  • 七三黄銅(イエローブラス)
    サックスやトランペットなどの管体に多く採用されている。銅が70%・亜鉛が30%、または銅が65%・亜鉛が35%のもの。加工がしやすくメッキの付着率もいいので、楽器のほかに複雑な加工を施す必要のある飾りボタンなどに使用されることもある。音色は明るく張りがある。

  • ゴールドブラス(ブロンズブラス)
    銅=75〜85%。イエローブラスに比べて少し赤みが増す。幅のある豊かな音色を出すことができる。

  • レッドブラス
    銅=85〜90%。ゴールドブラスよりもさらに赤みが増す。柔らかく落ち着いた音色が特徴。

王道以外の材質は?

 メーカーによっては持っている技術力を生かして、こだわりの材質で楽器を製作することもあります。

  • ブロンズ
    銅と錫(すず)の合金。真鍮よりも素材自体が柔らかいため、やや加工に手間がかかる。しかし銅の比率が80%に近いためその音色には落ち着きがあり、華美ではないが丸みのある響き。

  • 銀(シルバー)
    銀は大変柔らかい素材であるため、実際は適度な硬度を保つために少量の銅などを加えたものが管楽器の素材として採用されていることが多い。音色は、透明感があり、遠くまで響いていくような印象。

 このほか、サックスに限らず管楽器に使用される金属については、銅、亜鉛、ニッケルの合金であるニッケルシルバー、金と銅などの合金である金合金(よく18K、14K、9Kなどと呼ばれ、アクセサリーなどで目にすることも多い高価な金属ですね。ちなみに24Kは金100%です)。また、純プラチナ製のフルートもありますが、素材自体が大変高価です。重量的にも値段的にも、この素材でサックスを作るのは難しいでしょう。

表面仕上げも重要な要素

 楽器の表面の仕上げにもいろいろあります。表面にラッカーやメッキの加工をしたり、逆になにも加工しない(材質のまま)ノーラッカー(アンラッカーとも言います)などです。

 ラッカーは本体に使われた金属の表面を「塗装」して焼き付けます。メッキは金属に金属を「付着」させる仕上げです。

ラッカーの種類

 ラッカーは素材自体が持つ音色を尊重しつつ、余分な拡がりを抑えた響きが特徴です。ラッカーには、素材を保護するという重要な役目があるので、メッキの上にラッカーをかける、という機種もあります。

  • クリアラッカー
    透明なラッカーを吹き付ける。素材の色がそのまま生かされる

  • ゴールドラッカー、ブラックラッカー、ピンクラッカー
    色の付いた塗料を混ぜて作られたラッカーを吹き付ける。

  • アンラッカー
    表面仕上げを施さない機種。時と共に見た目の輝きは失うが、金属が退化したときに見られるアンティークなフォルムとその開放的な響きを好む奏者も多い。

金属メッキ

本体に使われた金属とメッキに使われた金属の両方の良さを併せ持つ音色となります。また金属に金属を付着させるので、ラッカーより管体の厚みと重量がほんの少し増します。

  • 金メッキ(ゴールド・プレート) 金の持つ煌びやかで輝かしい音色。
  • 銀メッキ(シルバー・プレート) あたたかみのある柔らかい音色。
  • ピンク・ゴールド・メッキ あたたかさと煌びやかさを兼ね備えた音色。
  • ブラック・ニッケル・メッキ ナチュラルで指向性のある音色。

ベルの彫刻

 メーカーの特徴が見た目でわかりやすいのがベルにある彫刻です。上位モデルやエントリーモデルによってメーカーでも違いがありますから、いろんなメーカーや機種を見比べても面白いですよ。また自分の好みの絵や画像をオーダーメイドで彫刻するプレイヤーもいます。


次回は8月13日(金)公開予定

【アーカイブ】はじめようSAX! 初心者のためのサックス入門

はじめようSAX! 初心者のためのサックス入門 V0L.1

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