Fender Made in Japan Hybrid Ⅱ × 沖聡次郎（Novelbright）

Fender Made in Japan Hybrid II Stratocaster

Fender Made in Japan Hybrid II Stratocaster（Modena Red）

　Made in Japan Hybridシリーズの後継機として誕生したHybrid Ⅱ。こちらはそのストラストキャスターだ。本モデルの共通仕様はUSフェンダー・チームと共同開発したピックアップ、従来以上に握り心地を高めたスリムなNew Modern“C”シェイプ、細身のナロー・トール・フレット、丸く滑らかに仕上げた指板エッジ、オレンジ・ドロップ・キャパシターの採用、通常のジャックに比べて2倍の接点を確保したピュア・トーン・ジャックといった内容。こちらのモデナ・レッドはストラトキャスターだけに用意されたニュー・カラーだ。

Oki's Impression

出したいと思った音を即座に具現化できるギター。

　すごく弾きやすいですね。ネックを握った瞬間、“初めまして”という感じじゃないというか。長い間弾き込まれてきたギターのような感触があります。クリーン・トーンでも歪みでも、まさにストラトのイメージ通りの音。アンプをどんなセッティングにしても、これまで耳にしてきたようなストラトの音がします。クリーンは粘りがあって、なおかつ前に飛んでいく感じ。歪みの乗りも良いですね。ふくよかで気持ちの良い歪みサウンドです。扱いやすくて、その時に出したいと思った音を即座に具現化できるギターという感じがしました。それは僕にとってすごく大事なことなんですよ。それと僕はビンテージ・ギターを何本か持っているんですけど、ビンテージってギター単体で弾いた時は良くても、バンドに馴染まないと感じることもあるんですね。でも、このモデルは伝統の音を受け継ぎながらも、ちゃんと現代のバンド・サウンドに溶け込んでくれるような気がしました。

Fender Made in Japan Hybrid II Telecaster

Fender Made in Japan Hybrid II Telecaster（Forest Blue）

　こちらはHybird Ⅱのテレキャスター。本器もUSフェンダーと共同開発したピックアップを搭載している。注目はリア＋フロントの直列・並列配線が選択できる4wayポジションのセレクター・スイッチを採用していること。さらに従来のハイブリッド・テレキャスターにはなかったバック・カットを施すことで、演奏時のフィット感を高めていることもポイントのひとつ。ネックはNew Modern“C”シェイプで、細身のナロー・トール・フレットが打たれている。こちらのフォレスト・ブルーは今回テレキャスターに用意されたニュー・カラー。

Oki's Impression

クリーンはまさにテレキャスターならではの音。

　グッド・サウンドですね。このモデルも弾きやすいです。クリーンはまさにテレキャスターならではの音で、カッティングが気持ち良い。ちょっとビックリしたんですが、ピックアップ・セレクターに4つ目があるんですね（笑）。4つ目のポジションはリアとフロントのシングルを直列にしたハムバッカー的なサウンドも出せるということですけど、たしかにその音はパワフル。歪ませるとパワー・コードでガーッと弾くようなプレイもいけます。でも、パワー感だけじゃなくてマイルドな部分もあるので、しっかりと歌わせられる音色だと思いました。ボリュームやトーンの効きも良かったですね。しかもツマミの動きにきちんとついてきてくれる。ボディ裏のバック・カットも良いですね。ボディの角が身体に当たらないのでフィット感があります。フォレスト・ブルーという色もかわいくて渋い。ルックスもギター選びの決め手のひとつですから、色も大切ですよね。

Fender Made in Japan Hybrid II Jazzmaster

Fender Made in Japan Hybrid II Jazzmaster（Vintage Natural）

　Hybrid Ⅱはビンテージなルックスはそのままに、モダンな演奏性に仕上げたシリーズだが、中でもこのジャズマスターは特に実用性を重視したモデル。まず、現在の音楽シーンでは活用されることの少ないジャズマスター特有のプリセット・スイッチを取り外し、ピックアップ・セレクターを6弦側に移動。さらにムスタング・タイプのサドルを採用することで、オリジナルで起こりがちだった弦落ちを解消させている。ビンテージ・ジャズマスターではあまり見られないメイプル指板が選べるのも本器の特徴。またジャズマスターでは珍しく、ナチュラル仕様がラインナップに加わっている。

Oki's Impression

扱いやすくなって、演奏性もスムーズになっている。

　僕はジャズマスターも持ってるんですけど、やっぱり弾いていて楽しいギターですね。ジャズマスターって、かき鳴らすイメージが強いですけど、このネックの感触だと十分に歌わせられるモデルだなと思いました。あとジャズマスターは歪みが乗りにくいというイメージがあって。それも持ち味のひとつではあると思うんですけど、このモデルの音はパワフルですね。歪みもしっかりと乗ってくれます。それでいて“らしさ”は失われていなく、ジャキッとした部分もあるんですよ。耳に痛い音ではなく、バンドのアンサンブルにうまく馴染んでくれるようなサウンドですね。それと、このモデルはプリセット・コントロールが外されていますけど、普段ポップスやロックをやっていると、そうした機能を使いながら細かく音作りするのはなかなか難しかったりするんですよ。でもその回路が外されている分、より扱いやすくなって、演奏性もスムーズになっている気がしますね。

Total Impression

僕がギターを始めた頃に、
このクオリティのモデルがあったらなと思いました。

　どのモデルもすごく弾きやすかったのが印象的でした。初めて手にするギターはどうしても弾きづらかったりするんですけど、一緒にひとツアー回ってきたくらいの感覚で弾けましたね。どのモデルのピックアップもキャラクターがしっかりとしていて、狙いどおりの音が出ていたと思います。あと3本ともペグがロック式でしたけど、僕が持っているギターも全部ロック式に交換しているんですよ。やっぱり弦交換がしやすいですし、チューニングの安定感だったり、そこにかかるテンション感だったり、ロック式は良いですよね。新たに誕生したニュー・カラーも良いと思います。ギター選びはまずルックスから入りますから、色も大切ですよね。モデナ・レッドは車（スポーツ・カー）のカラーということで、グッときました（笑）。フォレスト・ブルーもキレイな色だし、ジャズマスターのナチュラル・フィニッシュは新鮮でカッコ良いと思います。

　フェンダーと言えば、“ザ・ギター”。これぞギターの音という王道のブランドですよね。今回のラインナップはMade in Japanシリーズということですけど、そのシリーズ名どおり、フェンダーの伝統的なサウンドを受け継ぎながらも、日本人が日本でプレイすることを前提に、その体格や好みを反映しながら、ネックの仕上がりやサウンドがセットアップされている感じが伝わってきました。この価格帯なら、がんばれば学生でも手が届くと思うんです。僕がギターを始めた頃に、このクオリティのモデルがあったらなと思いました。

　僕もそうでしたけど、初心者の方や、これからギターを始めようとする方って、どういう弾き方をすればいいのかとか、どういう音作りが正解なんだろうとか、なかなかわからないものですよね。でもそういう時期に、こうしたしっかりと作られた弾きやすいギターを手にすることで、プレイ自体も上達するだろうし、プレイヤーの成長にもつながると思うんです。楽器から教えてもらうことって多いですからね。だから初心者はもちろん、今後長く付き合っていける良いギターが欲しいと思っている方にも、ぜひ手にしてもらえたらと思います。

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