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- 2024/11/16
Marshall / DSL1C
マーシャルの人気アンプ・ヘッド、JCM2000。その伝統的なサウンドを受け継ぎながらも、サイズはコンパクトに、そして便利な機能を搭載し、ホーム・ユースに最適化させた小型コンボ・アンプがDSL1Cだ。今回は普段のライブやレコーディングでマーシャルJVM210Hを愛用するTHE ORAL CIGARETTESのギタリスト、鈴木重伸を試奏者に迎え、DSL1Cの魅力に迫る。
自宅でも真空管サウンドを
マーシャルの人気機種であるJCM2000のサウンドを継承し、ホーム・ユースに最適なサイズ感を実現したDSL1C。コンパクトなコンボ・タイプながら、プリ管にECC83を2本、パワー管にECC82を1本搭載した真空管アンプで、自宅でも本格的なサウンドを楽しむことができる。出力は1Wだが、背面に搭載されたロー・パワー・スイッチを押すことにより、0.1Wまで出力を下げることが可能。さらにスピーカー・エミュレーター回路を通過したヘッドフォン・アウトも搭載されており、深夜での演奏もバッチリ対応できる。ライン・アウトにも対応しているので、レコーディングでも活躍してくれるだろう。
チャンネルは2種類用意されており、1つ目のクラシック・ゲイン・チャンネルは“マーシャルらしい”荒々しいクリーン〜クランチが特徴。ボリュームを上げた際の挙動は、まさしく真空管アンプのそれだ。そして2つ目のウルトラ・ゲイン・チャンネルは、ザクザクとブリッジ・ミュートが気持ち良いモダンなドライブ・サウンドを楽しむことができる。
“マーシャルってこうだよ”っていうのを
わかってもらえる1台ですかね。
いつもはマーシャルのヘッドとキャビで演奏してるんですけど、DSL1Cはそれに引けを取らないパワー感がありつつ、ボリューム感も家で鳴らしても大丈夫なように設計されていて、すごく使いやすそうだなと感じました。ボリュームを上げると歪みが増していく感じがマーシャルの好きなところなので、そういう細かい部分まで再現されていて、このサイズながらに凝ってるなと思います。
リバーブも付いているので、今回はクリーンの時にしっかりとかけてみました。僕はいつもレス・ポール・カスタムのセンター・ポジションで弾くことが多いんですけど、それと合っていて、“芯のある良い音”という印象でしたね。このサイズって家で弾くのにうってつけだなと思うんですけど、そうすると何かを犠牲にしなきゃいけないじゃないですか(笑)? でも、ボリュームを上げた時のクランチが残っているのは、すごくうれしかったというか。マーシャルをずっと使っている身としては、“マーシャルってこうだよ”っていうのをわかってもらえる1台ですかね。
ゴツイ音が得意なほかのメーカーのアンプと引けを取らないくらいロー感もしっかり響きましたし、ウルトラ・ゲイン・チャンネルもすごく弾きやすかったです。THE ORAL CIGARETTESは色んなジャンルの楽曲があるんですけど、僕がマーシャルを使っている理由は、それに一番対応してくれるからなんですよね。EQや、ギターのボリュームの絞り方1つで色んなジャンルの曲が弾けるので、そこはマーシャルの良いところかなと思っています。
ボリュームを上げないと歪まないっていうのは、マーシャルの良いところでもあり、難しいところでもあるんですよ。よくライブハウスとかでボリュームをフルにしてキャビを外に向けたりとかしていたのが、DSL1Cはこのボタン1つで音質はそのままに音量を下げられて、すごく便利だと思いましたね。
ライブでも普通に使えるんじゃないかな。マーシャル・ヘッドと比べても遜色ないっていうのが強みですね。僕が学生の時は小さい家庭用のアンプを使っていたんですけど、DSL1Cがもっと前に発売されていれば、僕も学生の頃に重宝していたと思います。
一番の理由がジャンルレスに使えるアンプだからなんですよ。
──普段からJVM210Hを愛用されていますが、その経緯は?
たぶんなんですけど、2013年に大阪でレコーディングした時だったかな? その時はお金もなかったので、たぶん半年か1年後くらいに買ったと思います。アンプをマーシャルにしてからはずっと変わってないですね。
──JVM210Hを選んだ理由は?
多チャンネルのアンプなので、操作性と音のバリエーションですかね。それまではエフェクターで歪みとかを作っていたんですけど、アンプの歪みだけでやるっていうのにも、ちょっと憧れがあったんです。JVMはもちろんそれもできるし、チャンネルを切り替えてクリーンも出せるので、使いやすかったんですよ。
──バンドではJVM210Hの歪みとクリーンを軸にしているんですよね?
そうですね。イントロのテーマを弾いている音もマーシャルの歪みに1台ブースターを踏んでいるくらいで、ほぼアンプだけの音が主軸です。
──JVM210Hの歪みサウンドの印象はどうでしょう?
締まりのある抜けの良い音で、クリーンもキレイに鳴る、っていうのが僕の印象ですかね。ハムバッカーとの相性も良いですし、たまにシングルコイルのギターも使うので、その時もクランチ〜クリーンのカッティングにも合います。
──鈴木さんは、マーシャルと言えばやはりJVMのイメージが強いんですかね?
そうですね。僕の中ではもちろんJVMですけど、スタジオには自分のヘッドを持っていかない時もあるので、たまにスタジオに置いてあるJCM800や900を使ったりもしています。
──今、ご時世的にも、住宅環境的にも、大きいアンプを持たない方が多いじゃないですか? 自分のアンプを所有するメリットって何だと思いますか?
ギターを弾くのがもっと楽しくなると思いますよ(笑)。若い人はお母さんとかに怒られるんでしょうけど……僕も怒られていましたし(笑)。でもやっぱり、耳だけで聴くのと、実際に音を鳴らして体でちゃんと受け止めるのとでは全然印象が違うので、よりギターを弾くのが楽しくなるんじゃないかと思いますね。
──では改めて、鈴木さんがマーシャル・アンプを使っている理由を教えて下さい。
正直に話すと、何回もほかのアンプを買おうか悩んだりしつつ(笑)、でも“やっぱりオーラルでやるんやったらマーシャルやなぁ……”っていうのが僕の中でくり返されていて。先ほども言いましたけど、一番の理由がジャンルレスに使えるアンプだからなんですよ。マーシャルだと作り方次第でどんな曲にも合いますし。そこが好きで使っていますね。
THE ORAL CIGARETTESが1年2ヶ月ぶりとなる新曲「Red Criminal」を配信限定で6月30日にリリース! 詳細はバンドのオフィシャルHPへ。
価格:オープン
鈴木重伸(THE ORAL CIGARETTES)
すずき・しげのぶ●奈良県出身。2010年に結成されたロック・バンド、THE ORAL CIGARETTESのギタリスト。普段からマーシャルのJVM210Hを愛用している。6月30日に配信限定でシングル「Red Criminal」(TVアニメ「SCARLET NEXUS」オープニング・テーマ)をリリース予定。