50年以上にわたりトップ・ルシアーとして活躍してきたスティーヴ・クライン氏が、自身のこだわりを実現するために日本での生産を決意し、クライン・ジャパンを設立。その第1弾として「sTele」の2機種が登場した。

sTele Ash

sTele Red Wood

　スティーヴ・クライン氏は、フライング・ブレイスや人間工学に基づいたボディ・デザイン、芸術の域に達するインレイ・ワークや寄木細工など、当時の常識を大きく覆すアイデアや設計で、プレイヤー、ビルダー、コレクターたちの楽器の見方を大きく変えた、稀有な才能を持つギター・デザイナーでありギター製作家だ。スタインバーガーやテイラー、スティーヴ・カウフマンなどのギター製作やデザインにも携わり、また製作方法や製作器具、工具の開発など、ギター産業の開拓にも多大な貢献を果たしている。

　ソリッド・ボディ・モデル「sTele」は、50年以上にわたり世界のトップ・ルシアーとして走り続け、数々のギター・メーカーやギター製作家、トップ・プレイヤーの需要に応え続けてきたスティーヴ・クラインの思考の原点でもあり、集大成でもある。シンプルな中にも、構造、形状、セットアップなど、細部にまでこだわりが盛り込まれ、微妙なニュアンスの表現も含め、それらを実現するために信頼の置ける日本での生産を決意。2年にわたる製造打ち合わせを経て、満を持してクライン・ジャパンをリリースする。

　クライン氏曰く、クライン・ギターズは代々受け継がれてきたギターの構造に、人間工学に基づいたデザインを融合したハイブリッド・モデル。すでに完成形だと言われている楽器の基礎構造に手を加えることは非常に難しく、それにより本来の良さを損なう可能性もある。しかしクライン氏が奇才と言われる所以は、それを誰もが思いつかない方法でやってのけるところにある。

　「sTele」は一見、伝統とは異なるユニークなデザインだが、構えた瞬間から長年使ってきた手になじんだ楽器のような印象を受け、プレイアビリティ、バランス、ピッチ感など、どれもが心地よい究極のスタンダードに仕上がっている。

　ラインナップは2種類で、ボディ材がアッシュの「sTele Ash」とボディ材がレッド・ウッドの「sTele Red Wood」。その弾き心地とサウンドをぜひ体感してほしい。