Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
ZOOM / G6
1980年代からユーザーに寄り添ったエフェクターを数多くリリースしてきたZOOMの新型ギター・プロセッサーは、タッチ・パネルによる直感的な操作で複雑なプロセスを経ることなく理想のサウンドを生み出してくれる“G6”。バリトン・ギターで重低音サウンドを轟かせるサバプロのTatsuyaがチェック!
この1台のなかに無限のサウンドを秘めたプロダクト、それがギター・マルチ・プロセッサー“ZOOM G6”だ。もちろん現在のギター機材群のなかには同様に多様なサウンドを創出するアイテムも多々あるが、本機の特徴は、何と言っても理想的な音をシンプルかつ少ない作業ですぐに鳴らせるところにある。そう、いかに多彩な音が作り出せるとしても、それが簡単に操作・出力できなければ宝の持ち腐れになってしまうからだ。
直感的なサウンドメイクを可能にしているのが、G6最大の特徴である『タッチ・スクリーン』を使った操作方法にある。各パッチの表示からエフェクトの選択、並び替えまで、すべて画面上のビジュアルと指先の操作で完結させられるのだ。従来のマルチ・エフェクターにあった煩雑なスイッチ操作が“見たままのアイコン操作”に置き換わることで、格段にアナログ的プロセスに変わり、テンポ良く直感的な音作りができるようになる。画面も4.3インチと、一般的なスマートフォン以上のサイズ感で、細かいスワイプ動作も非常にしやすい。
操作性という点では、『フット・スイッチ』の使い勝手の良さもポイントだ。製品サイズをコンパクトにまとめるため、ひとつのスイッチにさまざまな役割を持たせるのはマルチ機の常套手段だが、こちらはその役割を視認性の高いモード表示とともに提示。音色のスムーズな転換や踏み間違い防止という観点からも、ライブではとても重要となる点だ。パッチの展開はもちろん個々のエフェクターの切り替えもこのスイッチで行なえ、その設定もタッチ・スクリーンでワンタッチだ。
いかに使い勝手のいいマルチ・エフェクターでも、その音がイマイチだったら本末転倒。もちろん上位機種である同社“G11”直系のサウンドはどれも即戦力と言えるもの。定番16種+オリジナル6種のアンプ・モデリング(キャビネットは22種)、最大で9タイプを同時使用できるエフェクトはオリジナルを含め130以上を内蔵。IRローダー機能と併用することで、ズンズンと歪んだヘビーなトーンからクリアでヌケのいい音まで、再現できない音はほとんどないとも言えるのでは。この音色については、Tatsuyaのラウドなプレイでチェックしてほしい。また専用ソフト“Guitar Lab”を使えばPC上でのサウンド管理ができるようになるほか、オンライン配信される追加エフェクトやプリセット・パッチを無料で取得することもできるので、利便性はさらに高くなることだろう。
近年のテクニカル・プレイヤーには必須のルーパー機能の録音時間は、最長で90秒(モノラル時/SDカード使用で拡張・保存も可能)。入出力端子も多彩で、すべての音を本機内で作り直接PAに送り外音にするという使い方もオススメ。またエクスプレッション・ペダルを有していながら重量は2kg未満のため、ギター・ケースに入れても楽々持ち運べるのがうれしい。
使い方が自由だからこそ
“自分ならではの使い方を見つけてみろよ”って1台。
まずこの価格帯(市場実勢価格は40,000円前後)でタッチ・パネルっていうのが衝撃ですよね。表示される内容もわかりやすいので、エフェクトも“これは何だろう?”と直感的にやりやすかった。それにプラスして、アナログチックなパラメーター・ノブがいいんです。ゲインを上げたりミドルを下げたりと、それぞれのステータスがきちんといじれるので、かゆいところにも手が届いているな、という印象です。
音作りでは、まずは最初から入っているプリセットから自分の楽曲に合う音を探すことから始めました。そもそもスゴい数のプリセットが入っていて、どれも“そのまま使えちゃうんじゃないの”というのがたくさんあるんです。もちろん深い作り方も完備されてるなと感じたので、作り方は無限大にあるなと。イチから作ると、時間がいくらあっても足りなそう(笑)。
使った音色は4パターンで「リフA」「リフB」「リードA」「リードB」という具合です。演奏するときには『メモリー・モード』でそれぞれを「メモリー1」~「メモリー4」に振り分けて踏み換えていったんですけど、「リードA」と「リードB」はディレイとワウのアリナシの違いなので、「メモリー4」のなかにディレイとワウもアサインさせてその中でオン/オフすれば、3つのメモリーで完結させるという使い方もできたと思います。
僕は1曲のなかでセクションが進むのに合わせて音色を切り換えていったんですけど、ベースとなる音を作っておいて『エフェクト・ボード・モード』でエフェクターをオン/オフしていくという使い方もできる。こういった使い方は好みだと思います。
音作りの際は、使いたいエフェクトをリアルタイムで入れられるのも使いやすいなという印象です。これができるって僕の中ではすごく大事で。1回システムを組んじゃうと、いじるときは改めてシステムを開けないといけない。それがその場で直感的にできてしまう。しかも、そのディスプレイ画面がわかりやすい。替えたいものを指でなぞるだけなのがすごいなと。
まだ実際のライブハウスで使ったわけではないですが、家やスタジオで使った限りでは“これで充分”というクオリティだと思います。僕はライブだったら、リターンからアンプにつないでモニターにしつつ、LRのアウトから直接PAに送ると思います。アウトをアンプにインしてマイキングすると、G6の良さが減りそうなので。
僕らがギターを始めた時代でも、“マルチはマルチだよね”って言われていたと思うんです。それがこの時代まできて、実際にアンプを鳴らさずPAに直送りまでできるようになった。G6できちんと音を作り込んで、PAさんにうまく伝えられたら、自分の出したい音がそのままライブで再現できちゃうんですよ。そのシステムがギター・バッグに入れられるくらい手軽に持ち出せて、この価格で実現するんだから安いですよ。若いバンドマンで“これから何買おう?”って悩んでいる人たちにも“これ一台あったらいんじゃない?”って伝えたいですよね。プリセットのなかにはすでにいいのがあるし、ルーパーも入っていて……最高に遊べると思います。
G6は使い方が自由なので、逆に自由だからこその“自分ならではの使い方を見つけてみろよ”って1台だと思います!
本記事はリットーミュージック刊『METAL HAMMER JAPAN Vol.6』の記事を一部転載したものです。
メタルはアグレッシヴであるべし! 『METAL HAMMER JAPAN Vol.6』では、メタルがより過激な音楽になるために通過した、パンク/ハードコアとの家系について、フィリップ・H・アンセルモとゲイリー・ホルトが大いに語る! 7人体制ハロウィンからはアンディとマイケルのふたりが登場。このほか新譜リリースのGOJIRA、聖飢魔Ⅱリズム体対談、2000年以降のキラー・チューンTOP100、ウクレレで弾くメタル曲など、ラウド・ミュージックのすべてがここに!
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Tatsuya(たつや)
Survive Said The Prophetのギタリスト。バリトン・タイプの6弦ギターで大幅にダウンさせたヘビー・サウンドと確かなテクニックを合わせ、ほかにないサウンドで存在感を示す。バンドの最新リリース作は『To Redefine / To Be Defined』。初夏からのフェスティバルへの出演も続々決定!