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エレガット最新モデルをマルセロ木村がチェック!

エレガット

近年、進化が目覚ましいエレクトリック・ガット・ギター(エレガット)。ブラジル音楽からジャズ、ロックやポップまで幅広く演奏するミュージシャン、マルセロ木村に魅力的な5機種の最新エレガット試奏してもらった。

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YAMAHA
ELECTRIC NYLON STRINGS GUITAR NCX5

YAMAHA ELECTRIC NYLON STRINGS GUITAR NCX5(Front)

YAMAHA ELECTRIC NYLON STRINGS GUITAR NCX5(Back)

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独自開発のピックアップで豊かな生鳴りを出力

 伝統的なクラシック・ギターを製作し続けているヤマハ。その経験を活かし、より幅広いジャンルに対応できる設計で作られたナイロン弦のNXシリーズがリニューアル。このモデルは12フレット・ジョイント、一般的なクラシック・ギターと同じボディ厚で作られた日本製の“NCX5”。トップはヨーロピアン・シトカ・スプルース単板、サイド&バックはウォルナット単板という組み合わせからスウィートなサウンドを生む。弦高は低くセッティングされ、音の反応も良く速いフレーズも弾きやすい。また新開発された3ウェイのハイブリット・ピックアップ・システム“Atmosfeel™” System74Nを搭載し、ナイロン弦の繊細なレンジを再現する。

【Specifications】●トップ:ヨーロピアン・シトカ・スプルース単板 ●サイド&バック:ウォルナット単板 ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●スケール:650mm ●ナット幅:52mm ●ピックアップ:“Atmosfeel™” System74N ●ケース:セミハード・ケース ●価格:198,000 円(税抜価格:180,000 円)●問い合わせ:株式会社ヤマハミュージックジャパン お客様コミュニケーションセンターギター・ベース・ドラムご相談窓口(0570-056-808)

Marcelo’s Impression
アンプを通してもナチュラルなサウンド

 実はヤマハからのお仕事で1度弾いていますが、そのときと印象が変わらず、スプルースとウォルナットの組み合わせから生まれるスウィートな生鳴りがすごく気持ちいい。倍音もまとまっていて、テンション・コードもこもらずクリアに鳴ります。その響きはアンプを通しても変わらず、とてもナチュラルなサウンドですね。

 ピックアップの性能がとても素晴らしい。ピックアップをミックスして好みの音に調整できますが、ピエゾだけの音もいいですね。もちろん3つピックアップが付いているので、ボディ・タップの音もしっかり拾ってくれます。指板の感触はクラシック・ギターに近く、速いフレーズも弾きやすい。ブラジル音楽はもちろんジャズにも合うと思います。

ASTURIAS
Solo Classico Premio/S

ASTURIAS Solo Classico Premio/S(Front)

ASTURIAS Solo Classico Premio/S(Back)

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演奏性に優れたフラッグシップ・モデル

 福岡県久留米市にある工房で、高品位なフラットトップ・ギターやウクレレを職人の手作業で作り続けているアストリアス。中でもこのモデルは、エレガットのフラッグシップ・モデル。上質なジャーマン・スプルースがトップに使われ、サイド&バックにはインディアン・ローズウッドが組み合わされる。そこから生まれる響きは、量感のある低域、美しく伸びる高域が特徴で、倍音も豊か。スケールを640mm、ナット幅を50mmに仕上げ、ボディ厚もやや薄く作られ、幅広いプレイヤーが演奏しやすい仕様だ。同社が掲げる“偉大なギターといえども、弾きやすくなくてはならない”という言葉通り。L.R.バッグスのデュアル・ソースは癖もなく使いやすい。

【Specifications】●トップ:ジャーマン・スプルース単板 ●サイド&バック:インディアン・ローズウッド単板 ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●スケール:640mm ●ナット幅:50mm ●ピックアップ:L.R.Baggs Dual Source ●ケース:セミハード・ケース ●価格:330,000 円(税抜価格:300,000 円) ●問い合わせ:ロッコーマン(03-3980-1001)

Marcelo’s Impression
スピード感のあるテクニカルな曲を弾きたくなります

 このギターも生音が豊か。低域もしっかり出ますし、高音もとても美しい。またピッチがとても良くて最終フレットまで音詰まりがなく、カッタウェイもあってハイ・ポジションまで演奏しやすい。いつも650mmのスケールを弾いているので、短いかなと思いましたが、ネック・シェイプがやや肉厚でしっかりと手に馴染むので違和感がないですね。ナット幅も50mmですし、ソロがたくさん入ったスピード感のあるテクニカルな曲を弾きたくなります。これはジャズのソロ・ギターでも使いやすいと思います。

 それからピックアップがすごく良く、音に膨らみが出ます。また、音量を上げてもハウリングしにくいように感じます。ボディ厚が薄いのも好みですね。

GODIN
Grand Concert Deluxe

GODIN Grand Concert Deluxe(Front)

GODIN Grand Concert Deluxe(Back)

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豊かな表現力を備えたエレクトロニクスも魅力

 幅広いミュージシャンに愛用されるグランド・コンサートがさらに進化。トップにはセダーの単板を使い、豊かなアコースティック・ニュアンスが得られるようになっている。ゴダンならではのダブル・チェンバー構造でハウリングが抑えられるのも特徴だ。スケールは651.8mm(25.66インチ)、またナット幅は50.8mm(2インチ)に設定されている。ピックアップは、定評のあるL.R. バッグスのリリックと各弦に独立したピックアップがサドルにマウントされ、2つをブレンドして使うことで、より豊かな表現力が得られる。さらにサチュレーション効果を加えるサーキットを搭載し、状況に応じた幅広い音作りが可能となっている。

【Specifications】●トップ:セダー単板 ●ボディ:2 チェンバード・マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板:リッチライト ●スケール:651.8mm ●ナット幅:50.8mm ●エレクトロニクス:Custom Voiced L.R.Baggs Electronics, Adjustable SaturationSystem ●コントロール:Master Volume, Treble, Mid, Bass, Mic Volume, Phase Switch ●ケース:ギグ・バッグ ●価格:オープン・プライス(実勢価格=¥275,000【税抜価格¥250,000】) ●問い合わせ:JESインターナショナル(0561-72-9801)

Marcelo’s Impression
サチュレーションがいいアクセント

 ルックスはエレクトリックに近いですが、弾き心地はクラシック・ギターのような感触で、指板のアールも好み。以前にグランド・コンサートを使っていましたが、それよりもアコースティック・ニュアンスの強い生音に近いサウンドです。それから新しく加わったサチュレーションがいいアクセントですね。音に温かみとコンプレッション感が加わります。サチュレーションを少し上げて、深めにリヴァーブをかけると好みの音色です。ゴダン特有のアタック感もあって、ブラジル音楽とすごく相性がいい。

 このギターは反応も良くて、パーカッシヴな曲に使いたくなります。弦高が低くセッティングされていますが、適度なテンション感があるのもいいですね。

LANDSCAPE SE-01N/N

LANDSCAPE SE-01N/N(Front)

LANDSCAPE SE-01N/N(Back)

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レコーディングからライヴまで様々なシチュエーションに対応

 オリジナリティを求めギター作りを続けてきたブランド、ランドスケープ。同社からエレクトリック・ギタリストにもオススメしたい最先端のエレガットが登場した。各弦独立したピエゾ・ピックアップを内蔵したフィッシュマンのT-O-Mパワーブリッジを装備し、弦高やピッチもシビアに調整可能だ。さらにナイロン弦のみならず、様々な弦にも対応する。ナット幅は48mmとエレクトリックとクラシックの中間で、シェイプもエレキ寄りに仕上げられ、エレキの感覚で弾くことができる。さらにゼロ・フレットやヒールレスなカッタウェイなど、様々なプレイに対応する仕様を備える。ハウリングにも強い設計で、どんなシチュエーションでも重宝するモデルだ。

【Specifications】●トップ:スプルース単板カーブド・トップ+フレイム・メイプル ●ボディ:ホロウ・チェンバー・マホガニー・バック ●ネック:マホガニー+メイプル3P 積層ネック ●指板:エボニー ●スケール:635mm ●ナット幅:48mm ●エレクトロニクス:FISHMAN T-O-M Powerbridge(Piezo Pickup) ●ケース:ギグ・バッグ ●価格:269,500 円(税抜価格:245,000 円) ●問い合わせ:フックアップ(03-6240-1213)

Marcelo’s Impression
とても素直な音で、エフェクターのノリも良さそう

 一般的なエレガットのイメージで弾くと異なったサウンドに聴こえると思います。どちらかと言えば、エレクトリック・ギターに近いかな。とても素直な音で、エフェクターのノリも良さそうです。空間系のエフェクターを使って、少し不思議な響きのコードを弾きたくなりますね。エフェクターを多用するギタリストにはすごくオススメです。それからレコーディングでも使いやすそう。

 またナイロン弦ですが、フラット・ピックで弾いても気持ちがいいですね。コードの響きも均整が取れていて、ピッチもしっかりしています。3 バンドのEQも使いやすく、特にベースをブーストしても音がこもらないのがいい。コンテンポラリーなジャズにも合いそうです。

Journey Instruments
OC520

Journey Instruments OC520(Front)

Journey Instruments OC520(Back)

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本格的な仕様を備えたトラベル・エレガット

 テキサス州発のジャーニー・インストゥルメンツは、ネックを取り外してコンパクトに専用キャリング・ケース(TSA準拠)に収納し持ち運べる仕様ながら、高い演奏性と音質を備えたトラベル・ギターを製作するブランドだ。ネックとボディは、ステンレス製のネック着脱システムを介して接続し、ボディ・バックのネジを締めることでセッティングできる。このOC520は、ナイロン弦のエレガット・モデル。トップにはセダーの単板を用い、スケール650mm、ナット幅52mmと本格的な仕様だ。また人間工学に基づいて設計された“The Wedge”と名付けられた非対称のボディ形状は、演奏時の負担を減らす。さらに3つのコンタクト・ピエゾも内蔵し、サイド・サウンドポートも付く。

【Specifications】●トップ:セダー単板 ●サイド&バック:パーフェロー ●ネック:アフリカン・マホガニー ●指板:オバンコール ●スケール:650mm ●ナット幅:52mm ●ピックアップ:JourneyTek 3コンダクター・ピエゾ・ピックアップ ●ケース:専用バックパック ●価格:96,800 円(税抜価格:88,000 円) ●問い合わせ:Journey Guitars Japan(0422-66-2745)

Marcelo’s Impression
心地よい音で思わず歌いたくなるギターです

 少し高音寄りのアルト・ギターっぽい響きがあって、これはすごく好きな音です。パーラー・サイズですが生音も大きい。トラベル・ギターだから、サウンドもそれなりかなと思いましたが、すごく本格的です。サイドにあるサウンドポートから漏れる音がとても心地よくて、思わず歌いたくなりますね。

 クラシック・ギターのような音ではないですが、このギターにしか出せない個性的なサウンドです。その音を活かして、ロックとかポップスの曲をアレンジしてソロ・ギターもいいと思いますし、アコースティック・ジャズにも向きそう。ピックアップもすごく素直な出音で、とてもバランスがいい。ボディもカラダにフィットして弾きやすいですね。

Bose L1 Pro8

エレガットとの相性も抜群な極上のポータブルPAシステム

l1-pro8_img1.jpg 高品質なポータブルPAで、多くのミュージシャンから支持されるボーズ。中でもこの“L1 Pro8”はポータブル・ラインアレイ・システムが採用されたコンパクト・モデルで、エレガットにも最適な高音質と性能を誇る。

 中高域用には8 つの50mmドライバーが配置され、指向性は水平180度に対応し、スピーカーの真横でもモニターできるほど。可搬性に優れる筐体にするため、ウーファーはレーストラック型(楕円形)を採用するなど工夫が凝らされている。

 入力は背面に3ch 備え、ファンタム電源にも対応する。また最適なEQがボタン1つで得られる“ToneMatch” 機能も便利。さらに専用アプリ“L1 MIX”を使えば、より緻密な音作りもできる。

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【Specifications】●定格出力:300w ●再生周波数帯域(±3dB):45Hz-16kHz ●最大音圧レベル:118dB SPL ●指向特性:水平180°× 垂直40° ●ユニット:2インチ・ネオジム・ドライバー×8、7×13インチ・ウーファー(ハイエクスカーション・レーストラック型) ●入力端子:XLR/フォーン・コンボ端子×2、フォーン、3.5mmステレオ・ミニ(CH3 のみBluetooth 対応) ●出力端子:XLR ●外形寸法:317(W)× 2000(H)× 456(D)mm ●質量:17.3kg ●価格:162,800 円(税抜価格:148,000 円) ●問い合わせ:ボーズ(03-5114-2750)

Marcelo’s Impression
プラグインするだけで良質なサウンド

l1-pro8_kimura_img.jpg

 L1(Compact)を使ったことがありますが、さらに良くなっているのがすぐに分かりました。それからToneMatchを使えば、初心者でもプラグインしてすぐに良質なサウンドが楽しめます。背面のコントローラーも見やすく、とても使いやすい。やはりボーズのラインアレイ・システムは素晴らしく、スピーカーの真横で演奏しても、音がしっかりとクリアに聴こえて驚きます。

 僕がよく演奏する小さなステージでは、PA がいないこともありますが、このPAシステムを持ち込めば100人くらいまでのライヴにも使えそう。また、エレガットの生音もいいけど、ピックアップを通した音で練習したい人もいるはず。そんな方にも“L1 Pro”はオススメです。

Total Impression

どのモデルも個性があって音や演奏性の違いがハッキリ分かりました

─今回、5本のエレガットをBoseの“L1Pro”を通して弾いてもらいましたが、いかがでしたか?

 すごく楽しかったですね。なかなか新しいエレガットを5 本も弾き比べられる機会はないですし。どのモデルも個性があって、音や演奏性の違いがハッキリ分かりましたね。どれもピックアップを通しても生音のニュアンスが感じられました。ピックアップの進化もすごいですね。

─マルセロさんは普段ブラジル音楽を中心に、ジャズやロック、ポップスと幅広く弾きますが、どのような基準でエレガットを選びますか?

 まずは左手で弦を押さえたときの感覚です。それからスケールが演奏に馴染むか。そのあと、ボディが自分の身体に合うか試してみます。すごく良いギターでも、手や身体に馴染まないモデルは弾くのが辛くなってきます。最後に音ですね。だから、いくら良い音でも演奏性が自分に合わなければ選びません。

─今回5本弾きましたが、どれかお気に入りはありましたか?

 どれも良くて、1本を選ぶのは難しい(笑)。気になったのは、折り畳めるジャーニーのモデル。このギターの音色は、すごく歌いたくなりました。それから持ち運びしやすいのもいい。ヤマハやアストリアスは生音が素晴らしいですし、ゴダンはさらに進化していましたね。ランドスケープも個性的な音で、エフェクターをたくさん使って弾いてみたいと思いました。今回の5 本はどれもオススメです。

─エレガットを選ぶ際に大切なことは?

 まずは自分がどのような音を出したいか、自分に質問することが大切ですね。それから演奏するジャンルに合った音が鳴るのか、弾きやすいかをチェックしてください。できれば試奏して選ぶのがいいと思います。

─普段エレガットをどのように使っていますか?

 ライヴはもちろん、レコーディンで使うことも多いですね。生音が綺麗なエレガットであれば、生音とライン両方を録って、最終的にミックスして使うこともあります。その方法はすごく好きですね。それからバンドで弾く際にも、エレガットはとても役立ちます。

─今回、試奏用のアンプにはBoseの“L1 Pro”を使いましたが、エレガットとの相性は?

 すごく良かったです。どのモデルもプラグインしただけでいい音が鳴ってくれました。それに音がクリアで、各モデルの個性も分かりやすかったです。それからリヴァーブもクオリティが高く、ゴダンを弾いたときに深めにかけたら、とても気持ちがいいサウンドでした。低音も迫力がありますし、本当に素晴らしいアンプです。

『Jazz Guitar Magazine Vol.6』 5月17日発売!

JGM6表紙.jpg 本記事は、5月17日(月)発売のリットーミュージック刊『Jazz Guitar Magazine Vol.6』にも掲載されます。巻頭表紙特集は「魅惑のボサ・ノヴァ」。ジャズとボサ・ノヴァの関わりや、ボサ・ノヴァの核となる“バチーダ奏法”を発明したジョアン・ジルベルトの半生、ブラジルの名手たちの名盤などを楽譜付きで詳しく紹介します。これを読めば、きっとガット・ギターが欲しくなるはず! また、ウェス・モンゴメリー、ピーター・バーンスタイン、ギラッド・ヘクセルマンといった、ストレートなジャズの記事も充実しています。ぜひチェックしてみてください!

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製品情報

エレガット

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プロフィール

マルセロ木村
ショーロ、サンバ、ボサ・ノヴァといったブラジル音楽をはじめ、ジャズ、ポップスなど幅広いジャンルを弾きこなすギタリスト/ボーカリスト。 23歳のときに来日し、現在まで日本を中心に音楽活動を行なっている。その実力は渡辺貞夫にも認められ、彼のバンドでも演奏。2018年にはオリジナル・アルバム『Samba A Distancia』もリリース。

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