アコースティックエンジニアリングが手がけた“理想の音楽制作を実現する”環境
- 2024/11/25
エレキ・ギター(ジャンク)
ジャンク・ギターの修理がライフワーク“こいち”によるジャンク沼誘導連載。今回は、こいち自身が過去に修理した「Fernandes ZO-3芸達者」。当時は自由奔放に改造したようだが、現在は不具合が出てしまっている様子。これまで培ったスキルによって愛機はよみがえるのか?
【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。
こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。
助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。
うーん、この改造されたギター、お得なようで高い気もするな~(デジマート、オークション、フリマサイトを巡回しながら)
改造されたギターの価値って難しいよな
本人が良かれと弄っていても付加価値にはなりづらいですよね
かけた費用や愛着もあって手放す際に買い叩かれたくない気持ちはわからんでもないけど
その強気の価格で欲しいと思う人は結局本人だけだったり
残念だけど他人から見たらジャンク・ギターでしかないのかもしれない
こちら自分の手掛けた改造ZO-3になります(精一杯の良い声)
この連載にあがるということは……!
まさかの「ジャンク・ギター」としての登場だよ
それこそギター弄りをネット上にアップし始めた頃の作品ですよね
(詳しいな……)当時では難しかった作業ができるようになったし、過去の自分に向き合う良い機会だと思いまして
では普段どおり粗探しして言いたい放題しましょ~
ぱおん……(ぞーさんだけに)
え?
振り返ってみるとジャンク扱いされても言い訳できないくらいの改造をしていますね
ZO-3保守派には怒られそうだけど、愛ゆえに至った結果です
言い方は悪いかもしれませんが、もっと不衛生であわれな姿に改造するのが好きかと思ってましたよ
意外に小綺麗にまとめているだろ~
ちなみに致命的な不具合はあるんですか?
これは2点支持トレモロかつ、リアにハムバッカーPUを載せたギターにありがちだけど、ボディのスタッド部分が割れてアームがまともに使えません
ピックガードにぴったりと接触しちゃってますね
当時もそのジャンク症状に悩まされつつも対処した(つもり)だったんだけどなあ
長期的にみるとダメだったと
回路的には内蔵アンプから音が出なかったり、ディストーション時に音が出なかったりします
改造していると思いきや、コントロール自体は元からこういう仕様なんですね
なんせ「芸達者」だからな!
ステレオYケーブルを使うと内蔵アンプのセンド・リターンとして機能するなんて言われなきゃ気づきませんよ
役に立たない小ネタかもしれないけど、その構造ゆえ通常のZO-3と違ってほかのギターをZO-3芸達者のジャックに突っ込んでもアンプ代わりになりません
限定的で有益な情報だ
今回は金めっきの部品なので、地道にワイヤー・ブラシで表面のくすみを取りました
金属磨きは使わないんですね
めっきが落ちちゃうのよ
ふとした疑問に体(パーツ)を張っていくスタイル……!
使用感フェチとしては大いにめっきが落ちてくれても問題ないんだけど、ゴールド・パーツを好む人は新品の輝きを好む傾向にあるので大変だなと思う
綺麗なものは儚いですね
8フレット目に深いキズがあって、2弦のチョーキングがままなりません!
フレットをすり合わせてみてもキズが消えなかったので、その部分だけフレットを交換したいと思います
わざわざ使用済みのフレットを用意するんですね
この連載を読んでいる人の部屋には新品のフレットより、弄って遊んで抜いたフレットの方が転がっていると思った次第です
音の出ない原因はアンプ基板の配線が切れかかっていたせいでした
元は基板取付タイプのボリューム・ポットとトグル・スイッチだった部分が交換されていますね
当時の自分はこれくらいの配線とハンダ付けなら壊れないと思ってたんだろうなあ
問題の箇所をハンダ付けし直しました!
これは見事に割れていますよ
過去の自分の処置では不十分ということがわかる
気にしない(気付かない)販売店や演奏者も少なくない部分ですよね
音は鳴るし、発覚したらしたで致命的すぎるし、割れている個体は多い気がするので、正直、確認したくないし見ないフリをしたいところではある
この個体の入手時も商品説明にはなかったらしいですね
電装部の故障だけだと思ったんだけどな~
広がった穴は一旦埋めて、接着剤が乾くまでに新たな対処法を考えましょう!
ということで、元のボディ材より硬そうな木を2枚ほど埋め込んで補強することにしました
センセーがよく唱える「ギターは接着剤で作られているんだから接着剤で直るに決まっている」論ですね
持論を証明するためにもこのZO-3には頑張ってもらいたいものだ
過去のジャンク・ギター修理と向き合う時間が終わりましたね
改造や修理方法は各々に美学があると思うので正解はないと思うんだけど、過去の自分と美意識は変わってなくて良かったです
数十年経って客観的にみた感想はいかがですか
若人、いいセンスしてるじゃん!
客観的に査定する立場になると?
ジャンク・ギター扱いです!
個人で値段をつけるなら
本人しか欲しがらない強気の設定だ!