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  • Markbassから初のペダル型プリアンプ、Mark Vintage Preが登場!

Markbass Mark Vintage Pre meets 酒井太

Markbass/Mark Vintage Pre

小型軽量ベース・アンプ界のパイオニア的存在である、イタリア発のアンプ・ブランド“Markbass”。今年創立20周年というアニバーサリー・イヤーを迎えた同社より、初となるペダル型プリアンプ“Mark Vintage Pre”が登場した。最激戦区“プリアンプ”に切り込む本機の実力をじっくりと検証していく。試奏を担当するのはアーティスト・サポート、セッションなど多方面で活動を展開し、Markbassのエンドーサーでもあるベーシスト、酒井太だ。

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Markbass Mark Vintage Pre × 酒井太

Markbass Mark Vintage Pre

アンプ・ブランドの概念で生まれた、真空管搭載のプリアンプ

 Markbassの新製品、Mark Vintage Preはヴィンテージからモダンまで幅広いスタイルのサウンド・メイクが可能なペダル型プリアンプDIだ。真空管による艶やかで上質なサウンド、周波数設定が刷新された効きの良い4バンドEQ、フラット/カット/オールドの実用的なプリセットEQ、クラシカルなルックスなどは、最新ヘッドアンプ“Little Mark Vintage”の系譜でもあり、今後のMarkbassの新機軸となりそうだ。

 本機の主な信号経路は、インプットから+6dBのブースト機能を伴うバッファーを経たあとクリーン/ドライブ・シグナルに分岐し、クリーンのみゲイン・ノブ、真空管回路、プリセットEQを経てブレンド・ノブでドライブと合流、センド/リターンを経て4バンドEQ、ヴォリューム・ノブ、アウトプットという流れ。エフェクト・オフ時はトゥルー・バイパス(XLR、ヘッドフォン・アウトはミュート)で、ドライブは同スイッチを長押しすることで2タイプのサウンド・キャラクターを選択できる。クリップを含む各機能の状態はLEDの色と点滅で表示される。

 また、専用トランスを介したXLRバランスのDIアウト、ヘッドフォン・アウト、AUX入力、マーカス・ミラーの提案により実現したデジタル・アウト(サンプリング・レート44.1/48/96KHzを選択可能)など、あらゆるシチュエーションに対応する充実した機能を装備した一機だ。

中心部にはアンプ・ヘッド“Little Mark Vintage”にも採用されている、真空管“12AX7(ECC83)”を搭載。ペダル型でありながら、真空管特有の倍音豊かで温かみのあるサウンドが体感できる。

左側面にはアウトプット端子を実装。ほかのエフェクト・ペダルやチューナーなどを接続するためのセンド/リターン端子も用意されているため、使用用途の可能性が広がる。

背面左側には、各周波数帯においてピュアで豊かなサウンドを実現できるよう最適化されたDIアウトとグランド・リフト・スイッチを装備。付属の12VDCアダプターで駆動が可能だ。

背面右側にはマーカス・ミラーのアイディアから開発されたサンプリング・レート・スイッチ(44.1/48/96KHz)付のデジタル出力RCAとトスリンクを備える。レコーディング・ツールとしても効果的だ。

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Sakai's Impression

ノイズレスで現代的な使いやすい機材。全ベーシストにオススメです。

 Mark Vintage Preは良い意味ですごくクセが強いという印象ですね。クリーンでも真空管ならではの厚みがあってリッチな音だと思います。4バンドEQの効きも良くて幅広い音作りができるんですけど、プリセットEQがすごく良くて、これとドライブの組み合わせだけでも音が作れるかなと。ツマミも多くて難しそうだなと思ったんですけど、簡単に音が作れたのは意外でしたね。

 プリセットEQはシンプルで使いやすいです。“カット”は普通のドンシャリにありがちな冷たい感じにはならず、ローがほどよく前に来てくれるので気持ちよく弾けます。個人的には初めてドンシャリが良いと思いました(笑)。あと、“オールド”がまたメチャ良いんですよねぇ(笑)。単純にEQのハイを削ってコモっている感じでもなくて、状態の良いヴィンテージ・アンプでパッと音を出したときの感覚に似ているというか。厚みもあってちゃんと抜けてくるし……不思議な音ですね(笑)。ペダル型プリアンプでこういう音って聴いたことがないです。個人的にはずっと“オールド”でもいいって感じです。

 ドライブ①は芯が消えずにゲインをガッと上げて自然に歪んでるような、とても真空管アンプっぽい歪みの音ですよね。ベースの音の周りに歪みの成分が付いてくるんじゃなくて、芯の音がそのままグリッと歪んでるみたいな感じで、アンサンブルだと比較的クリーンに聴こえると思うんですけど、実際はけっこう歪んでるというか、掛けっ放しでもいいくらいです。こういう音をこの一機だけで再現できるっていうのはもの凄いなと思いましたね。ドライブ②は、よりファジーなんですけどやっぱり芯のある音です。ブーストはブースト量が固定(+6dB)なんですけど、ベーシストがソロを取ったりメロディを弾いたりするときにはだいたいこのくらいの量(のブースト)かなって思います。LEDが視認性が良くてわかりやすいのも良いですね。

 ライヴだったらここからの音をXLR OUTからPAに送って、歪みのオン/オフは曲によって切り替えて……音はアンプっぽいけどエフェクターみたいな使い方かな。レコーディングではどんな楽器を使っても好みの音が作れそうですし、アンプを鳴らさなくてもアンプ特有の歪み感とか奥行き感が出せるのでラインだけでもあまり寂しくならず盛り上がれる音が録れそうですね。フラットにすればもっとクセのない音も録れますし。宅録ではデジタル・アウトがあるので音質の違いなども含めてXLR OUTと使い分けるとおもしろそうですね。AUX INやPHONE OUTを使えばこの一機だけで手軽に練習できるし、本格的な音なのでテンションも上がって練習時間も増えそうですね。

 こういうルックスだけどヴィンテージな音だけでもなくて、ノイズレスで現代的な使いやすい機材だし、全ベーシストにオススメですね。あんまりこういう製品ってなかったと思うし、いろいろな人に触ってみてほしいです。まずは自分の楽器を持って楽器屋に行くと!

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製品情報

Markbass / Mark Vintage Pre

価格:¥71,500

【スペック】
●コントロール:ゲイン、マスター、ドライブ、ブレンド、ロー・ミッド、ハイ・ミッド、ロー、ハイ、フラット/カット/オールド切り替え、ドライブ・スイッチ、オン/オフ・スイッチ、ブースト・スイッチ、グランド・リフト・スイッチ、サンプリング・レート・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット、センド/リターン、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、XLRラインアウト、デジタル・アウト●電源:DC12V専用アダプター●外径寸法:193(W)×127(D)×59(H)mm●重量:840g
【問い合わせ】
パール楽器製造 TEL:047-484-9111 https://pearl-music.co.jp/markbass/
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プロフィール

酒井太
さかい・ふとし●福島県南会津郡出身。Crystal Kay、KREVA、堂本剛、AKB48といった多数のアーティスト・サポートをはじめ、アニメ「鬼滅の刃」などのオーケストラ・コンサートにも多数参加している。また自身のバンド“THE PIGEONZ”や、ベーシストの鈴木渉、森多聞とのベース・トリオ“BASS TRIO WTF”のメンバーとしても活動するなど、幅広いフィールドで活動を展開している。

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