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父と娘のヤマハ・パシフィカ

YAMAHA PACIFICA 112V&612V II X

ギター歴40年のTさんは筋金入りのレイドバック世代(50歳代)。ある時、20歳の娘がエレキギターを始めたいと言い出した。いてもたってもいられず、すぐにでも楽器店に見に行きたいという。それなら任せておけと、Tさんはついていくことにした。さんざん弾き倒した末に買ったギターは?

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ある日、娘がエレキギターを買いたいと言い出した。その時、父は……。

 近年、ギターを弾く若い女性が増えているという。ガールズ・バンドの台頭やアニメの影響もあるのだろう。楽器店をのぞいても、制服姿の女子が試奏している姿をよく見かける。

 都内に住む二十歳の女子大生、Aさんは中学生の頃にアコギをポロポロと弾いた経験はあったが、ここへきてエレキギターに興味が湧いたという。好きなバンドの動画を見ていて自分もエレキギターを欲しくなり、楽器店に買いに行くことにした。

 しかし、何を買ったらいいかわからない。そこでAさんは父親についてきてもらうことにした。なにしろ父親のTさんはギター歴40年、大阪出身でコテコテのレイドバック世代。フュージョンをこよなく愛し、好きなギタリストはラリー・カールトンにジェイ・グレイドンである。多数のエレキギターを所有し、休日は日がな一日ギターを弾いたり、エフェクターボードをいじったりしている。こんなに心強いことはない。

そして、とある休日、2人は楽器店に出かけていった。
果たして娘のAさんが買ったギターは?

楽器店に到着

 エレキギター売り場にやってきた娘のAさんと父親のTさん。

「うわ〜、たくさんあるな〜」と娘。「そやな、こっちの売り場は高級ギターが多いな。ちょっとあっちへ行ってみよ」と父

 というわけで、入門者向きのギター売り場にやってきました。

こちらにもたくさんのギターが並んでいます

 ここでスタッフが出てきて丁寧に応対してくれました。
「当店で初心者の方にお薦めしているのはこれです」と言って、
差し出したのはヤマハのパシフィカ112Vという機種。

希望小売価格39,600円のリーズナブルな値段です。「あ、可愛い」とAさん

 一目で気に入った様子のAさんはさっそく試奏してみることにしました。

スタッフがマーシャルにつないでチューニングしてくれます

「さあ、どうぞ」「ありがとうございます」

パシフィカを渡されて弾き始めるAさん。
たどたどしいながらも、ドレミを弾いたり、コードを鳴らしてみたり。

「弾きやすい!」と喜んでいます

横で見ていた父親のTさんも、興味を持った様子。

「ちょっと、こことここ押さえてみ」などとちょっかいを出してきます

 そのうち自分でも弾きたくなったTさんは
「ちょっと貸してみ」とパシフィカを娘から奪い取り、
バリバリと弾きまくりご満足の様子。

「もうちょっと高い機種はないんかな」と言い出しました。

「う〜ん、思ったより良いな、これ」とご満足の様子

もちろんあります!
と差し出されたのはパシフィカ612V II Xというモデル(希望小売価格83,600円)。
この値段がシリーズ中の最高価格というから驚きです。

さっそく弾き始めたTさん。思わず顔をサンタナにして夢中になって弾きまくっています

パシフィカを試してみて

娘

は…
 自分がちょっとうまくなったのかな、もしかして弾けるのかなって錯覚を起こすほど弾きやすかったです。初心者に特にお薦めできると思います。重さもとても軽いので、ギターの重さがツライと感じる女性にもいいですね。多彩な音が出て、ライヴ会場で鳴っているような音質も気に入りました。

父

は…
 すみません、正直ナメてました。まず、バランスの良さや弾きやすさにビックリしました。音は安い価格帯のモデルでも十分。特にシングルコイルの鳴りがいい。高グレードのモデルは完成された音で、これが7〜8万円で買えるんだから、学生さんのみならずレイドバック世代にも超おすすめです。てか欲しい。

んなわけで、
父娘仲良くパシフィカをお買い上げ。

これからのギター・ライフが楽しみですね!

販売スタッフに「ヤマハ・パシフィカ」について訊いてみた!

 今回、取材にお邪魔したのは島村楽器 八王子店。大型店舗で売り場面積が広く、 豊富な在庫をそろえている。ギターやベースの展示本数もかなり多い。

島村楽器八王子店の様子

「幅広い価格帯の商品を置いているので、どんな方がいらっしゃってもお探しのものが見つかると思います」とスタッフの廣瀬さん

 スタッフの廣瀬和哉さんはエレキギターの担当で、初心者にはパシフィカをお薦めすることが多いという。

廣瀬さん ── パシフィカのいいところは、作りの良さからくる弾きやすさです。弾きづらくなりにくいんですよ。初心者の方にも安心してお渡しできます。あとは、ジャンルを問わずさまざまな音楽シーンで使える音を出せるところ。1本でなんとかなりますよっていうのが売りです。木材のクオリティも高くて、コストパフォーマンスに優れている。ギターの楽しさを、お手軽に経験できるモデルかなと思います。

 それではレイドバック世代のようにギター歴の長い人にはどうなのだろうか。

廣瀬さん ── 大人の方も納得できるスペックになってると思います。よくよく見ると、本当に良いパーツを使っていたりする。それをこの値段で作れるのはさすがヤマハさんですね。お父様世代はいろんな音を出したいじゃないですか。それも1本でなんとかなる。手が出しやすい価格帯なので、説得もしやすいと思うんです、奥様を(笑)。

島村楽器 八王子店

lb6_yamaha_p13.jpg住所 〒192-0046 東京都八王子市明神町3-27-1
京王八王子ショッピングセンター6F
電話番号 042-656-7321
FAX 042-656-7323
営業時間 10:00~21:00
定休日 基本無休

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坂本夏樹による
ヤマハ・パシフィカ試奏レポート

 ここで父と娘が買ったパシフィカの実力はどんなものなのか、 多方面で活躍する坂本夏樹に試奏してもらうことにした。

Yamaha PACIFICA112V

ボディにアルダーを使用
フィンガリングもスムーズなエントリー・モデル

 アルダー・ボディにメイプル・ネック&ローズウッド指板をボルト・オン・ジョイントしたエントリー・クラス・シリーズの1本。写真のヴィンテージホワイトのほか、ユナイテッドブルーなど鮮やかなカラーが映えるようにボディはグロス仕上げとなっているが、ネックはサラッとしたサテン仕上げで、フィンガリングもスムーズに行なえる。グリップも細めながら丸みがあり、ロー・コードも押さえやすいだろう。ピックアップはSSH 配列となっているが、トーン・ノブをプルすることでリアのハムバッカーがコイルタップされる仕様。5ポジションのセレクターと合わせ、シャープなカッティングからパワフルなコード弾きまで、多彩な音色を生み出してくれる。

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【Specifications】
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●フレット数:22●ブリッジ:ヴィンテージ・タイプ●ピックアップ:シングルコイル(アルニコV)×2、ハムバッキング(アルニコV)×1●コントロール:5点式セレクター・スイッチ、マスター・ボリューム、マスター・トーン(+コイルタップ・スイッチ)●カラー:ヴィンテージホワイト●希望小売価格:39,600円(税込)

どんなポジションでも弾きやすい。
これ1本でなんとかなるっていう信頼感があります──坂本夏樹

 これで新品の状態っていうのがまず驚きますね。構えてネックを握ると、それがどんなギターか大体見当がつくんですけど、これはバランスも良くて鳴るギターだとわかります。初めて持ったギターだということを忘れてしまうぐらい(笑)。ネックも、細いんですけど丸みがあってコードも押さえやすいし、どんなポジションでも弾きやすいです。リード向きとかギター&ボーカル向きとかではなく、これ1本でなんでもできるっていう信頼感があります。ピックアップは、コイルタップの音がちゃんと使えるし、リアとセンターのハーフトーンもカッティングにメチャクチャ合う。これをポンと渡されてライヴをやれと言われても、まったく問題ないですね。

Yamaha PACIFICA612V II X

コストパフォーマンスの高さが光る、シリーズ中ハイエンドのモデル

 ボディのカラーや搭載パーツのコスメ・チェンジを施し、新しく4モデルがラインナップに加わったコストパフォーマンスの高さが光るハイエンド・シリーズの1本。本器もアルダー・ボディにメイプル・ネック&ローズウッド指板をボルト・オン・ジョイントしている。掲載のマット・シルク・ブルーはネックがサテンに仕上げられているが、カラーによってグロスとサテンがあるほか、フレイム・メイプル・トップ&アルダー・ボディとした612VIIFMXも用意されている。

 ピックアップはセイモア・ダンカンのシングルコイルSSL-1を2基とハムバッカーCustom5を1基搭載。こちらもトーン・ノブのプルでハムバッカーがコイルタップされる5セレクター仕様だ。ブリッジはウィルキンソンのVS50-6を搭載しているが、グローヴァーのロッキング・チューナーとの組み合わせでチューニングの狂いはほぼない。グラフテックのナットとリテーナーによって適度なテンション感とチューニング精度アップを図っている。

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【Specifications】
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●フレット数:22●ブリッジ:ウィルキンソンVS50-6●ピックアップ:セイモア・ダンカンSSL1(フロント)、セイモア・ダンカンSSL1RwRp(センター)、セイモア・ダンカンCustom5(リア)●コントロール:5点式セレクター・スイッチ、マスター・ボリューム、マスター・トーン(+コイルタップ・スイッチ)●カラー:マットシルクブルー●希望小売価格:83,600円(税込)

より経験者向きっていう感じ
レコーディングでもしっかり使えそうです──坂本夏樹

 112Vと比べると、やはり音の厚みなどはこちらのほうがあって、より経験者向きっていう感じはありますね。リアのハムバッカーもエスカッションの影響でシャキッとするから、シングルコイルとも上手くバランスが取れています。そこまで狙っているんだったらすごいですね。ネック・ジョイント部分の面取りなどもしっかりしていて、より人の手が入っている気がします。アームを使った時のチューニングのズレもほとんどないですし、ロック式のペグやグラフテックのナットを使うことの効果がちゃんと出ている。パーツの選定とかもなんとなくじゃないんですよね。ライヴはもちろんですけど、これだったらレコーディングでもしっかり使えそうです。

PACIFICAシリーズの概要

 それまでのMGシリーズなどと比べ、モダンでありながらトラディショナルという方向性を目指し、ヤマハのアメリカ開発チームの主導によって1990年に発売されたパシフィカ。コーネル・デュプリーやマイク・スターンがその派生モデルを愛用していたことからも、そのクオリティの高さは推して知るべしだ。今回紹介する最新ラインナップは4シリーズで展開しており、100シリーズはローズウッド指板とメイプル指板、サテン仕上げや左利き用など5モデル、200シリーズはキルトとフレイムというメイプルのトップ材違いで2モデル、300シリーズはP90タイプ&ハムバッカーの1モデル、600シリーズはフレイム・メイプル・トップやP90タイプ&ハムバッカーなど5モデルをラインナップしている。“シンプルなコンストラクションと贅沢なマテリアル”というテーマどおり、厳選されたパーツ類と豊富なカラー・バリエーションは大きな魅力で、老舗の本気度が伺えるシリーズだ。

『ギター・マガジン・レイドバックVol.6』発売中!

gmlb_2106.jpg 本記事は、ゆる〜くギターを弾きたい大人ギタリストのためのギター専門誌『ギター・マガジン・レイドバックVol.6』から転載したものです。今号は、池田エライザを表紙に、ジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ』と『ワイアード』を大特集、さらには伝説のギター・ワークショップ特集、虎舞竜の高橋ジョージのギター・コレクションなど、ユニークかつマニアックな特集を多数掲載。大人のギタリストにぜひ読んでいただきたい1冊です!

■詳細はこちら → https://www.rittor-music.co.jp/s/gmlb/

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製品情報

YAMAHA / PACIFICA 112V

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YAMAHA / PACIFICA 612V II X

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YAMAHA / PACIFICA 612V Ⅱ FMX

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YAMAHA / PACIFICAシリーズ

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プロフィール

坂本夏樹(さかもと・なつき)
チリヌルヲワカ、She Her Her Hers、Over The Topでのバンド活動を経て、スタジオ・ミュージシャン、プロデューサーとして、Creepy Nuts、DÉ DÉ MOUSE、HOME MADE 家族、reGretGirl、たんこぶちん、酸欠少女さユりなど、数多のライヴ、レコーディングに参加する。

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