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- 2024/11/16
Hoochies (フーチーズ)
日本各地に点在するという、ハマったら抜け出せない機材の沼スポット。自他共に認める機材好きで1日に5回デジマートを見る男が、全国の沼を訪ねて歩く連載、それが「ニッポン沼めぐりっ」! 今回は東京都渋谷区の「Hoochies(以下、フーチーズ)」に突撃です!
今回で12回目となる「沼めぐりっ」も相当深い。なにしろあの「フーチーズ」だ。プロ御用達の機材がずらりと並ぶ圧巻の品揃えに加えて、スタッフの方々の知識も半端ない、すごい店なのだ(でも敷居は高くないですよーw)。
「フーチーズ」は、デジマート・マガジンを読んでいるのなら知らない人はいない「DEEPER’S VIEW 〜経験と考察〜」のお方、村田善行さんがいらっしゃるお店だ。今回は店内を探索しつつ、村田さん自身も掘り下げてしまおうという、いわば特別企画「DEEPER’S 沼めぐりっ!」なわけで、これは見逃せないぜ!?
というわけでやってきたのが、渋谷駅。集合場所は定番の“モヤイ像前”だ。
渋谷の駅周辺は、今、強力に再開発を推し進めている。こんな写真も将来は貴重な資料になるかもしれない。
いつも「沼めぐりっ!」では何かをモグモグ食べてから楽器店に行くのだが、いつもそれではバカみたいなので(12回目にして気付いた!)、今回はちょっと趣向を変えてみる。
↓ あそこに昇って、街を一望するのだ!
早速、渋谷スクランブルスクエアの屋上、渋谷スカイへ。屋上へと向かう通路は近未来感、満点だ。
屋上からものを落とすと危険なので、ロッカーに荷物をしまうように指示される。帽子もかぶってちゃダメなんだって(風で飛ばされるから?)。
↓そしてロッカーはやっぱりこの番号を探してしまうのであった。
ロッカーのあるフロアから、最上階へ。
このエレベーターで、すでに怖い。
言い忘れていたが、私は高所恐怖症だ。
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怖い怖い怖い怖い怖い……
怖い怖い怖い怖い怖い……
地上230mの最上階の一角は、周りが低めのガラスの柵のみ!
そこの端っこに行って写真を撮るのが楽しいんだって!
楽しいことあるかー!
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はい、エレベーターで戻ってきました。
地上14階あたり、ここなら余裕です。
これ以上寄り道してないで、そろそろ村田さんに会いにいこう! ということで、渋谷駅前から246通り沿いの坂を上って「フーチーズ」に到着!
ここが「フーチーズ」だぁーーーっ!
入ってすぐに出迎えてくれたフルアコ、セミアコのギター! オリジナル・ブランドのCrews、それとVOXの新製品も見える。
その裏にはソリッドのモデルが並ぶ。オリジナル・ブランドのRabbit isの製品だ。
階段を降りてすぐのところにカウンター(修理の受付なんかをここでするのかな?)があって、その下に飾ってあるのがこれ! 野村義男さんの改造メロディメイカー! なんでも、元はシングルカットなのを切ってダブルカットにしちゃったそうな。PUはディアルモンドかな? センスいいなぁ。
こちらはなんとイギリスのキャッスルダインエレクトロニクスが作った
「フーチーズ」オリジナル・ファズ、オリンピック!
やっと入荷したそうだが、今回のロットはすべて予約済み。試奏したけどめっちゃよかった! 今から次回入荷分を頼むのが吉!
カウンターの上は、こんな感じ! よく見ると、カラーサウンドのオーバードライバーや、今や超高額ペダルとなったクロン・ケンタウルスがポロポロ置いてある。
恐る恐る、本を持ち上げると……
ぎゃーっ!
クライドマッコイのピクチャーが!!
カウンターに置いてあったマニアックなペダルの洋書「Vintage & Rarities」に村田さんが!
ここのカウンターは本当に恐ろしくて、リペア待ちなのか村田さんの私物なのかはわからないが、棚にぼこぼこレア・ペダルが入れてある。
棚の足元にあるのは、これは村田さんの私物であろう、ファズフェイスがゴロゴロと!
ここまで見て、ペダル欲が刺激されてしまったあなた! 「フーチーズ」には購入できるペダル・コーナーもあるよ(楽器店だからね)!
今、話題のオーバードライブ・ペダルも!
D.A.Mのファズも!
オーガニック・サウンズも!
これは、オーディオ用のプリメイン・アンプUsagi no mimi。「フーチーズ」のオリジナル商品だ。
さてさて、「フーチーズ」は当然のことながら、竿の品ぞろえも圧巻!
まずはこちら、クルーズのギター!
こちらはクルーズのベース!
PRSが充実しているのも「フーチーズ」ならでは。
アコギも充実!
多くは商談ルームに展示してある。もちろん、ひと言声をかければ入室や試奏も可能だ。
こちらは試奏用のアンプと、クルーズのオリジナル・ペダル。
販売用のアンプは、ほとんど別室に並んでいる。
アンプ室に置いてあった、ビンテージ・マーシャルの山! 残念だが、これらは販売用ではない。
ここで、村田さんを発見! 何をしているんだろう?
忙しそうな村田さんに、ダメ元で聞いてみる。
「秘密の部屋も、紹介していいですか?」
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すると、即答で
「いいですよ! 今、ちょっとごちゃごちゃしていますけど、
適当に写真撮ってもらって構いません」
とのこと。
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……ごくりっ
「フーチーズ」の沼に潜入するぜ!!
(注)この部屋は基本的には公開されていませんので、いきなり訪問して「見せてください」と言っても難しいです。ご了承ください。
ズガーンと置いてある、ダンブル。
足元のボードもすごい!
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ユニヴァイブ、ピートコーニッシュ各種、
そしてマーシャルの“ブラックフラッグ”!
こっちにもユニヴァイブ、
クライベイビー“トップロゴ”、
そして……。
はあ、はぁ、はぁ
これ以上この部屋にいると過呼吸になるわ。
もう退室して、村田さんに話を伺おう。
私 ── 村田さんは、元々はパンクとかハードコアが好きで、それからクラシック・ロックも聴くようになって機材にはまったということですが、その流れ、珍しいですよね。
村田さん ── そうですね、でもガレージ・パンクの人は50年代の音楽をリスペクトしているんですよ。あとは90年代のオルタナの人って80年代はディスるんですけど、70年代はリスペクトしていたり。パールジャムがニール・ヤングを好きだとか。それで聴いてみたら、音が良かったんですよ。昔の音楽は奥行きがあるなと。それから、やっぱりこの会社に入って、クラシックなロックを耳にする機会が増えましたね。
私 ── 村田さんが音を追求するようになったのは、その辺りからなんですね……。ところで「フーチーズ」のHPやデジマート・マガジンの試奏動画を見た人はみんな感じていると思うんですが、なんでいつも良い音を出せるんですか?
村田さん ── うーん、僕はギタリストもボーカリストと一緒だなと思っていて。うまいボーカリストは、声を出す練習、音程を取る練習なんかをするじゃないですか。ギターもまったく同じで良い音を出すには練習が必要なんです。具体的には、ダイナミックスをきちんとつけるということですね。歌うように弾く。そうすると音も良くなるんですよ。
私 ── あー。わかります。
村田さん ── 常に全力疾走していると疲れるし、見ている方も飽きちゃう。話もそうですよね。常に大声の人の話は入ってこないじゃないですか。で、ギターも必要以上に力を入れずに“このくらいでアンプがいい具合に動くよな”っていう力加減とかセッティング、あとはギターとアンプの関係性がわかれば、どんな機材を使ってもいい音が出せると思います。
私 ── なるほど。“沼めぐりっ!”にはもったいないほど(笑)、ギターを弾く上で大事な話ですね。
村田さん ── とにかく、うちに来てくれたら良い音を出せるように、相談に乗りますよ。良い音を出したかったら、うちに来てください。
ネットでの買い物も便利だけど、実店舗の良さってこういうところだよなぁ。個人がいくら頑張っても、やっぱり楽器店さんの知見にはかなわない。触っている量が違うんだから。だから、楽器店さんに教わることって、本当は多いはず。村田さんの動画を見るのも勉強になるけど、直接見て、聞けば、段違いに得るものは多い(ただし、楽器店に行って何かを教わる時には、ケーブル1本でも買い物をするとか、楽器店と良い関係を作ることも大事っす)。
最後に「フーチーズ」の皆さんと記念撮影!
はぁ、今日も良いショップで良い機材を堪能した。もう喉がカラカラだ。お決まりではあるが、ビールを飲まないことにはこのコーナーは終わらない(笑)。
今日は「やきとりの名門 秋吉 渋谷桜丘店」にインだ! 厳選されたメス鶏だけを使用した「純けい」というやきとりが人気のお店だ。
まずはやっぱり、今日もビールをお願いします!
しあわせを噛み締めたところで……ミッション・コンプリート!
水深(ギターの品ぞろえ)★★★★★(裏メニューまで含めたら星100個)
水質(スタッフの対応)★★★★★
沼の面積(フロアの広さ)★★★
周辺状況(近隣の飲食店など)★★★★★
判定:良い音を出したいなら、行かねばならぬ沼!
Hoochies (フーチーズ)
住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-16-7 B1F
電話番号:TEL 03-5428-6739
FAX:03-3464-8567
営業時間:11:00~20:00(只今短縮営業にて19:00まで)
定休日:毎週 火曜/年末年始
(2021年は1/6(水)から営業開始)
デジマート・ショップページ
https://www.digimart.net/shop/2820/
井戸沼尚也(いどぬま なおや)
日本で唯一の、沼鑑定士(自称)。
1日5回デジマートを見る、機材大好きのギタリスト/レビュアー/ライター/ワウペダル奏者。
インスト・ファンク・バンドZubola Funk Laboratoryのメンバー。
2019年3月より、ドラムとギターのみの変態インスト・バンド「Ragos」を始動。マスクをするとデジマート地下実験室の室長に似ているらしい。