Stringphonic
ジャズ・マヌーシュ（ジプシー・ジャズ）を創り出し、本年で生誕110年となる不世出のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルト。その独特のサウンドの秘密は、マリオ・マカフェリが開発しセルマー社から発売された“セルマー／マカフェリ”のギターだが、オリジナルは制作期間が非常に限られており、手に入れることはもはや不可能。しかし現在、ジャンゴを愛する世界各国のメーカーからセルマー／マカフェリ・タイプが発売されており、トップ・プレイヤーたちもそのようなレプリカを愛用してジャンゴ・サウンドを継承している。ここでは大阪のギター専門店、ストリングフォニックが展開するこだわりのセルマー／マカフェリ・タイプを紹介しよう。
Stringphonic Advanced Model
大阪の心斎橋に店舗を構えるストリングフォニックは、セルマー／マカフェリ・タイプのギターを数多く取り扱うジャズ・マヌーシュ・ギタリスト御用達の専門店。そんな同店が国内の有名弦楽器工場にオーダーし、こだわって製作される純国産のギター・ブランドがストリングフォニックだ。このアドヴァンス・モデルは、フラッグシップのアドヴァンス・プレミアム・モデルをベースに、コスト・パフォーマンスを高めた人気モデル。ブリッジ下部辺りでトップ板を曲げるトップ・ベンド、オリジナル・セルマーに近い特殊なヘッド・ジョイント、デュポンにも用いられるシャーラー製オープン・ギア・チューナーを採用するなど、ハイエンド・モデル同様の仕様を備えている。トップはアディロンダック・スプルース単板、サイド＆バックにはブラジリアン・ローズウッド合板という組み合わせ。特にサイド＆バックのエキゾティックな杢目はアコギ好きにはたまらない。極薄のラッカーが施され、パワフルな生鳴りを実現している。
オリジナル・セルマーをモチーフにしたヘッド・ロゴが気分を盛り上げてくれる。ヘッドのデザインも近いシェイプだ。チューナーはシャーラー製の3 連オープン・ギアを採用
トップ材にはアディロンダック・スプルースが使われている点も特徴。ブリッジはブラジリアン・ローズウッド（ハカランダ）が用いられ、輪郭のハッキリとした抜けの良いトーンを生み出してくれる
ブラス製のテイルピースは、USAデル・アルテから供給されているパーツ。“DR”のロゴ・マークが入れられている。エボニーの突き板もアクセントだ
【Specifications】
●Top：アディロンダック・スプルース単板●Back & Side：ブラジリアン・ローズウッド●Neck：マホガニー●Fingerboard：エボニー●Frets：21F●Nut Width：約45mm●Bridge：ブラジリアン・ローズウッド●Scale：670mm●Price：298,000円（税別）
Stringphonic Advanced FV
フランス人製作家ジャック・ファヴィノが製作を始め、現在は2代目のジャンが引き継ぎセルマー／マカフェリ・タイプを作っているファヴィノ。このギターは、そんなファヴィノらしいコンプレッション感のある甘いサウンドを目指し製作されたマニアックなモデル。特徴となるやや大きめのボディ・サイズ、3Pのネック、さらにブリッジの形状など、細かな点まで再現されている。もちろん塗装は極薄のラッカーで仕上げられた1本だ。
【Specifications】●Top：シトカ・スプルース単板 ●Back & Side：サントス・ローズウッド ●Neck：ハード・メイプル（3P）●Fingerboard： エボニー ● Frets：21F ●Nut Width：約45mm ●Bridge：エボニー ●Scale：670mm ●Price：280,000円（税別）
Stringphonic Chorus Limited Brazilian
セルマー／マカフェリ・タイプのギターを1930 年代からパリで作っていたアントワーヌ・ディ・マウロ。彼のヒット作と言えるのがセルマー・タイプのボディ・トップにf ホール、アーチバックという仕様のコーラス・モデル。それをモチーフに開発されたのが、このギターだ。さらにこれは製作本数200 本を記念した限定モデルで、サイド＆バックにハカランダ合板を使用。深みのあるサウンドで、ジャズ・マヌーシュに限らず重宝するはず。
【Specifications】
●Top：シトカ・スプルース単板 ●Back & Side：ブラジリアン・ローズウッド ●Neck：アフリカン・マホガニー ●Fingerboard：エボニー ● Frets：21F ●Nut Width：約45mm ●Bridge：ブラジリアン・ローズウッド ●Scale：670mm ●Price：248,000円（税別）
Stringphonic Basic
ストリングフォニック・ブランドの中では、エントリー・モデルと言えるベーシック。しかし、上位モデルと同工場で製作される国産で、さらに30 年以上シーズニングしたシトカ・スプルースの単板トップ、ラッカー・フィニッシュ、ハカランダのブリッジなど、上位機種のような仕様を備えている。切れのあるサウンドが心地いい。写真のナチュラル以外にヴィンテージ・ブラウンもラインナップしており、最初の1本としてもオススメだ。
【Specifications】
●Top：シトカ・スプルース単板 ●Back & Side：インディアン・ローズウッド ●Neck：アフリカン・マホガニー ●Fingerboard：インディアン・ローズウッド ●Frets：21F ●Nut Width：約45mm ●Bridge：ブラジリアン・ローズウッド ●Scale：670mm ●Price：160,000 円（税別）
大阪の心斎橋駅からすぐ近くの好立地にあるストリングフォニックは、ジャズ・マヌーシュ・ギタリスト御用達の楽器店。店内には自社ブランドをはじめ、数々のセルマー／マカフェリ・タイプが並ぶ。
住所：大阪府大阪市中央区南船場3 丁目2-6 大阪農林会館2階
電話：06-6120-1828
Webサイト：http://www.stringphonic.com/
営業時間： 12:00 ～19:00（月～土）／12:00 ～18:00（日、祝日）
定休日：水曜日、第1＆第3 木曜日 ※臨時休業あり
本記事は11月17日発売のリットーミュージック刊『Jazz Guitar Magazine Vol.5』にも掲載されます。巻頭特集では、ジャンゴ・ラインハルトとその魂を受け継いだギタリストたちを大フィーチャー。ここには掲載しきれなかった、さまざまなセルマー／マカフェリ・タイプも紹介しています。その他、ジョン・スコフィールド最新インタビューと、それに関連したアウト・フレーズ講座、小沼ようすけや宇田大志などの連載記事など、ジャズを愛するギタリスト必見の内容です。
価格：￥298,000 （税別）
価格：￥280,000 （税別）
価格：￥248,000 （税別）
価格：￥160,000 （税別）
