Fender American Professional Ⅱ Stratocaster × DURAN

What is American Professional Ⅱ？

絶えず改良を重ねて生み出した、 現代シーンに対するひとつの答え

　2017年に登場し、大きな話題を呼んだアメリカン・プロフェッショナル。もともとはフェンダーの標準モデルとして世界中で大ヒットした“アメリカン・スタンダード”の後継機という位置づけで誕生した。そんなアメリカン・プロフェッショナルはスタンダードの基本設計を受け継ぎながらも、プレイアビリティを現代に合わせてブラッシュアップし、ピックアップに著名なデザイナー、ティム・ショウが開発したV-Modピックアップを搭載。伝統のデザインと革新性を見事に融合させたものに仕上がっていた。そして今回、そのスペックをさらにアップデートして第二世代モデルとして登場したのが、本特集で紹介する“アメリカン・プロフェッショナルⅡ”である。ギターのラインナップはストラトキャスター、ストラトキャスターHSS、テレキャスター、テレキャスター・デラックス、ジャズマスターの5機種だ。

　フェンダーには、常にミュージシャンたちの声に耳を傾けながら改良を重ねてきた歴史がある。もちろん、楽器としてのクオリティを極限に高めるためだ。今回も前シリーズをリリースしてからの約3年間、フェンダーはアーティストたちとの密接なコミュニケーションを通じて数々のフィードバックを得てきた。そして良き部分は残し、改良点は徹底的に追求した。それは今回のスペックを見ても明らかだ。ディープCシェイプのネックや9.5インチR指板などの人気の仕様はそのままに、本シリーズに合わせてボイシングを細かく調整したV-Mod Ⅱピックアップや、従来以上にスムーズな弾き心地を実現したネック・ヒールなどを実装。さらに注目すべきは、プッシュ操作によって+αの音色が得られるトーン・ ノブである。そのサウンド効果はモデルによってさまざまだが、例えばストラトキャスターならばフロント・ピックアップが常時オンとなり、幅広いトーン・オプションが選択可能となるのだ。

　また、カラーリングの豊富さにも注目したい。近年はリアル・ライブだけでなくネットでの映像配信も盛んになってきているが、その数はあまりにも膨大だ。 熾烈を極めた競争市場で生き残るためには、視覚的な要素も無視できないだろう。そこで今回、新たに用意されたマイアミ・ブルーやマーキュリーなどのスタイリッシュなカラーは、現代シーンを生き抜こうとするプレイヤーにとって一助となるはずである。

　多様化し続けるシチュエーションにおいて、信念を持って活動するミュージシャンたちをサポートするべく進化を遂げた本シリーズ。今こそ、この柔軟な演奏性と瑞々しい音色を体感してほしい。

Point 1
本器のために改良した新V-Modピックアップ

　ピックアップにはV-Modをアップデートした“V-Mod Ⅱ”を搭載する。新たにボイシングを見直し、ダイナミクスと音色をチューニング。芯のあるサウンドを創出可能だ。各モデルはそれぞれ特徴に合わせて微調整が行なわれ、どのPUポジションでも最適なトーン・バランスを得られるようになっている。ストラトキャスターHSSとテレキャスター・デラックスには、V-Mod Ⅱダブル・タップ・ハムバッカーを搭載する。

Point 2
幅広い音色選択が可能なトーン・コントロール・スイッチ

　各モデルのトーン・ノブにはプッシュ・プッシュ式のトーン・ コントロール・スイッチが搭載され、押すと+αの音色を得ることが可能だ。その音色効果は各モデルによって違うが、例えば3シングルコイルのストラトキャスターの場合、フロント・ピックアップが常時オンとなり、ストラトキャスターHSSならばハムバッカーのコイル・タップとなる。バッキング〜ソロなど、ボタンひとつで多くのプレイ・スタイルに対応できる。

Point 3
滑らかでガッシリした握りのディープCネック

　ネック・シェイプはアメリカン・プロフェッショナルで採用されたディープCネックを継承。アメリカン・スタンダードなどに採用されていた“モダンC”と、ビンテージ系テレキャスターなどで使われた“Uシェイプ”の中間的な握りとなっている。モダンCの滑らかなショルダーと、U シェイプのがっしりとしたグリップ感を両立させているのだ。指板エッジもていねいにロール・オフ処理されており、弾き心地も良好である。

Point 4
手にすぐ馴染む自然なネック・フィニッシュ

　ネックの仕上げは“スーパー・ナチュラル・ネック・フィニッシュ”を採用。今回のアメリカン・プロフェッショナルⅡ用に新開発されたもので、サテン・フィニッシュほどサラサラしておらず、グロス・フィニッシュほどツルツル感がない絶妙さである。例えるなら、サテン・フィニッシュのネックを適度に弾き込んだ自然な手触りと言えるだろう。新品特有の違和感もなく、すぐに手に馴染んでくれる。

Point 5
人間工学を取り入れた演奏性の高いネック・ヒール

　高音弦側ジョイント・ブロックの角を落とし、ハイ・ポジションへのアクセスを容易にしたネック・ヒール。アメリカン・プロフェッショナルⅡでは人間工学の見地も取り入れながらカット形状を見直している。そのうえで角を丸く滑らかに仕上げることで、前シリーズよりもさらに演奏性を高めているのだ。ハイ・ポジションでのソロはもちろん、コードを弾く時もストレス・フリーなフィンガリングが可能となる。

Point 6
全モデルでトレモロ・ユニットを一新

　トレモロ・ユニットもグレードアップを遂げた。ストラトキャスターのトレモロにはコールド・ロールド（冷間圧延成型式）のスチール・ブロックを採用。サステインを豊かにし、なおかつ音の明瞭度やハイエンドのきらびやかさを高めている。ジャズマスターには新開発のポップイン・アーム式パノラマ・トレモロ・システムを搭載することで、従来よりも扱いやすく、圧倒的な安定性を獲得。アーミングも悠々自適に行なえる。

Point 7
“パイン材”使用のモデルが新たにラインナップ

　ブロードキャスターや初期テレキャスターなど、古くからフェンダーで使われてきたパイン材。本シリーズでは一部のモデルで、そのパイン材をボディに使用したモデルがラインナップした。ロースト加工を施しており、温かいサウンドと伸びやかで甘いトーンが特徴だ。くっきりとした杢目は見た目のインパクトも十分で、その“渋さ”はステージや映像で目を引くこと間違いなしだろう。

American Professional Ⅱ Stratocaster
フロントPUの常時オンでストラトを超えたサウンドを

Fender / American Professional Ⅱ Stratocaster（Front）

Fender / American Professional Ⅱ Stratocaster（Back）

　アメリカン・プロフェッショナルⅡの顔役でもあるストラトキャスター。オーソドックスな3シングルコイルのモデルで、ボディにアルダー、ネック材と指板にメイプルを採用（ローズウッド指板仕様、ローステッド・パイン・ボディのモデルもラインナップ）。ネック形状のディープCシェイプ、ナロートール・フレット、9.5インチR指板といった基本仕様は前シリーズから引き継ぎつつも、新設計のネック・ヒールを備えることで、ハイ・ポジションの演奏性を抜群に高めている。ピックアップには新開発のV-Mod Ⅱシングルコイルを3基マウント。きらびやかさとウォームさを両立した、独自のサウンドを作り出すことができる。リアのトーン・ノブに備え付けられたスイッチでは、フロント・ピックアップの常時オンが可能となる。リア&フロントの組み合わせや、フロント&センター／リアのハーフトーンなど、組み合わせ次第で多様なサウンド・パターンが創出できるのだ。まさに“すべてのプレイヤー”にフィットするギターがここに生まれた。

リアのトーン・ノブでは、スイッチによりフロント・ピックアップの常時オンが可能。セレクターとの組み合わせによって、多彩な音色が作り出せる

ボディ裏には深いコンター加工が施されている。長時間のプレイにも耐えうる抜群のフィット感で、ストレスフリーな演奏性を実現した

【Specifications】●ボディ：アルダー、ローステッド・パイン（シエナ・サンバースト、ローステッド・パイン） ●ネック：メイプル ●指板：メイプル／ローズウッド ●フレット：22 ●スケール：648mm ●ピックアップ：V-Mod Ⅱ Single-Coil Strat×3 ●コントロール：ボリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター、プッシュ・プッシュ・スイッチ ●ブリッジ：2ポイント・シンクロナイズド・トレモロ with ベント・スティール・サドル、ポップイン・トレモロ・アーム and コールドロールド・スティール・ブロック ●ペグ：フェンダー・スタンダード・キャスト／シールド・スタガード ●カラー：【ローズウッド指板】3カラー・サンバースト、オリンピック・ホワイト、ミスティック・サーフ・グリーン、マイアミ・ブルー、マーキュリー、ダーク・ナイト、ローステッド・パイン 【メイプル指板】3カラー・サンバースト、オリンピック・ホワイト、ブラック、ミスティック・サーフ・グリーン、マイアミ・ブルー（写真）、ダーク・ナイト、シエナ・サンバースト、ローステッド・パイン

DURAN's Impression

リアとフロントのミックスが
オールマイティに使えます。

　初めて弾いた感じがしないですね。体と手にすぐ馴染んできました。 初めて手にするギターだと、どうしても違和感のあることも多いんです けど、ネックも握りやすいし、“知らない人じゃない”的な感覚というか。 サウンドはやっぱり、ちゃんとストラトの音でありつつ、よりハイブリッドな印象ですね。フロントの音は僕の持っているストラト（フェンダー・ロード・ウォーン）よりも温かみがある印象ですけど、どのピックアップ・ポジションでも、ちゃんと音が前に飛んでいってくれるのが素晴らしい。フロント・ピックアップを常時オンにできるスイッチも、ワンタッチで操作できて便利ですね。リアとのミックスにすると、テレキャスターっぽい音というか...... 軽く歪ませてコードをジャカジャカ鳴らすような時にもすごく合うし、僕はカントリー的なチキン・ピッキングをすることも多いので、そういうプレイにもピッタリだと思うんですよ。スイッチの組み合わせによっていろんな音色が出せるから、ジャンルを問わず、オールマイティに使える1本だと思いますね。

American Professional Ⅱ Stratocaster HSS
バッキング〜ソロまで1本ですべて対応可能！

Fender / American Professional Ⅱ Stratocaster HSS（Front）

Fender / American Professional Ⅱ Stratocaster HSS（Back）

　今や定番モデルとなったHSSピックアップ・レイアウトのストラトキャスター。“マーキュリー”と呼ばれるメタリック・フィニッシュが近未来を感じさせるクールな1本だ。基本スペックはハムバッカー以外3シングルコイル・モデルと同じだが、本モデルではメイプル指板モデルのみにローステッド・パイン材のボディを用意する。ディープCシェイプのネックにナロートール・フレット、9.5インチR指板という仕様で、ピックアップにはフロント&センターにV-Mod Ⅱシングルコイル、リアにV-Mod Ⅱダブル・タップ・ハムバッカーをマウントする。本器のトーン・コントロー ル・スイッチでは、リア・ピックアップがコイル・タップされ、シングルコイル風の乾いたサウンドを創出可能。一般的にハムバッカーのタップ・サウンドは特有のキャラクターが付きものだが、本器はシングルコイルらしいコシのあるブライトなサウンドが得られるように調整されている。バッキ ング〜リード、ソロなど、幅広いプレイ・スタイルを要求されるプレイヤーにオススメの1本だ。

リア・ピックアップにはV-Mod Ⅱハムバッカーを搭載。パワフルなサウンドが持ち味だが、フェンダー特有の歯切れの良さも兼ね備えている

コールドロールド・スチール・ブロックを採用した2点支持トレモロ。冷間圧延成型という方法で作られており、音のサステインや明瞭度を向上させている

【Specifications】●ボディ：アルダー、ローステッド・パイン（シエナ・サンバースト、ロースト・パイン） ●ネック：メイプル　●指板：メイプル／ローズウッド ●フレット：22 ●スケール：648mm ●ピックアップ：V-Mod Ⅱ Single-Coil Strat（フロント、センター）、V-Mod Ⅱ Double Tap Humbucking（リア） ●コントロール：ボリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター、プッシュ・プッシュ・スイッチ ●ブリッジ：2ポイント・シンクロナイズド・トレモロ with ベント・スティール・サドル、ポップイン・トレモロ・アーム and コールドロールド・スティール・ブロック ●ペグ：フェンダー・ スタンダード・キャスト／シールド・スタガード ●カラー：【ローズウッド指板】3カラー・サンバースト、オリンピック・ホワイト、マイアミ・ブルー、マーキュリー（写真）、ダーク・ナイト 【メイプル指板】3カラー・サンバースト、オリンピック・ホワイト、ミスティック・サーフ・グリーン、シエナ・サンバースト、ローステッド・パイン

DURAN's Impression

深く歪ませてもつぶれない。
リアは“ガツン！”とした音ですね。

　実は僕、ハムバッカーのギターは持ってないんです。だから弾くのを楽しみにしていたんですが、これは好きな感じですね。リアのハムでは “ガツン！”とした音が出ます。クランチ・サウンドを作ってみると、シングルコイルで感じたその良さが、ハムバッカーにもある印象でした。逆にかなり歪ませてコードを弾いても、全部の音がつぶれずにしっかりと鳴ってくれます。歪みを深くしてもノイズが気にならないし、速いパッセージをレガートで弾くとか、伸びやかなサステインが欲しい人にはオススメしたいです。タップした音も良いですね。ハムバッカーをタップさせた音ってあまり好きじゃないんですけど、これはシングルコイルらしい音だと思いました。タップ特有の違和感もないですね。それから、“ボリュームの効き”が僕にとって重要なポイントなんですが、これはすごい。歪ませた状態でボリュームを絞るだけで、良い感じのクリーンになるんです。クリーン・サウンド自体は3シングルのストラトもそうでしたが、ボディと弦がしっかりと鳴ってくれますよ。手元で幅広い音色が作れるし、かなりモダンな印象のギターですね。

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