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  • 【ジャンク・ギターでこいち時間 デジマート出張版】第10回

ポール・ギルバート・シグネイチャー「Ibanez PGM-30」を修理する

エレキ・ギター(ジャンク)

ジャンク・ギターの修理をライフワークとする“こいち”による、ジャンク沼誘導連載。記念すべき10回目は「Ibanez PGM-30」のジャンク・ギターが登場。ポール・ギルバート・シグネイチャー・モデルPGM-300の廉価版で、ド派手なジュエル・ブルーのボディにピンクのF字ホール・ペインティング、そしてリバース・ヘッドが特徴的なこのギター。こいちの情報によると、商品ページにはジャンク具合がていねいに説明されていたというが……さっそく見てみよう。

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【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。

登場人物

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こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。

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助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。

ジャンク・ギター出土
〜「EARL GREY 万代多賀城店」でIbanez PGM-30を発見

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こいち

「ジャンク品の商品説明は下手に細かく記載するとトラブルの元」と今まで口を酸っぱく言ってきました

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助手

センセーの辛い思い出が蘇ってしまいますからね

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こいち

しかしどうだろう、デジマートでめちゃくちゃ詳細な説明文のジャンク・ギターを発見してしまったわけですよ

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助手

わかってますよ。心配になって買ってしまったとか言うんでしょう

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こいち

いんや、説明の細かさに感動して買ってしまった

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助手

そういう買い方もあるのか

Ibanez PGM-30。ポール・ギルバート・シグネイチャー・モデル

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助手

これはポール・ギルバートさんのシグネイチャー・モデルじゃないですか!

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こいち

アーティスト・モデルにありがちな、本人向けの使いづらい仕様なんてこともなく、無難に派手でかっこいいギターだ

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助手

これまた普通にそのまま使えそうなギターですが

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こいち

このお店は安価な楽器やジャンク・ギターに対しても、ていねいにネジ1本までバラしてチェックしているんじゃないかと思える情報量に好感が持てました

非常にていねいに書かれたジャンクの状態

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助手

ジャンク・ギターにこの説明量の多さ……!

状態の確認
〜説明どおりでうれしさ半面、さびしさ半面……

リバース・ヘッドが特徴的なヘッド部。ロック・ナットが社外品に交換されておりサイズが合っていない状態

ジュエル・ブルーにピンク色のFホールが映えるド派手なボディ。アームやバック・パネルが欠品している

商品説明によるとフロントPUとリアPUが交換されており、フェイズ・アウトしている状態とのこと

ボディ・サイドには大きな打痕と塗装のチップが目立つ部分

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こいち

商品説明欄でほとんど記載されていたことなので、状態を再確認するだけになってしまう

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助手

普通、ピックアップが交換されていることはアピールしても、フェイズ・アウトしているとは書きませんよね

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こいち

それに納得して購入しているのでトラブルも少ないのかもしれない

ペグを留めるナットはしっかり締まっていた

ロック・ナットのベースを留めるネジもしっかり締まっていた

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こいち

ノー・チェックのジャンク品と違って、各部のネジの緩みはお店側で締め直している気がする

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助手

普通に使っていても緩んでくる部分ですもんね

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こいち

こちらで作業することがないんですよ

ネック周り
〜フレットのすり合わせ、ロック・ナット外し、テンション・バーの掃除

弾き込まれデコボコになったフレット

音が詰まる部分を軽くすり合わせた

主に使用したSK11の両面ダイヤモンド砥石

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助手

たくさん練習した証、立派なフレットの減り具合ですね

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こいち

フレット周りは完全に交換時期だと思うけど、すり合わせに留めます

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助手

これくらいになるまでひとつのギターを弾き込みたいですね

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こいち

弾いてるうちにジャンク・ギターが増えてしまうんだよな

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助手

困ったものです

サビと汚れを除去したテンション・バー

サイズの合わないロック・ナットは外して使用することにした

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こいち

アームも欠品しているし、ダブル・ロックする利点もないと思うので社外製のロック・ナットは外してしまいます

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助手

ついでにザラザラしていたテンション・バーの裏側をきれいにしました!

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こいち

弦のすべりも良くなることでしょう

ボディ周り
〜PU位相調整、タッチ・アップ

色々と手が加えられているボディ部

フロントとリアPUはGibsonの刻印があるものに交換されていた

フロントとリアPUは1芯シールド線のものが搭載されている

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助手

Gibson製のピックアップに交換されているのはうれしいですね

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こいち

改造された中古楽器の魅力でもある

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助手

そして残念ながらセンターPUとのハーフ・トーンはフェイズ・アウトしている音が出ています

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こいち

個人で改造したギターではよくある症例だ

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助手

しかも金属カバーのピックアップですし、1芯シールド線なのでホットとコールドを繋ぎ変えるのは大変なやつですね! 以前の記事でも言ってました!

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こいち

そうなのよ。だからセンターPUの白い線と黒い線を繋ぎ変えて、交換したPUの方に位相を合わせることにします

センターPUのホット線(白)とコールド線(黒)

センターPUのホット線とコールド線を繋ぎ変えた状態

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こいち

作業は2箇所のハンダを外してつけ直すだけだ

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助手

ハーフ・トーンもしっかり太い音が出るようになりました

一般的なピックアップ・セレクター「YM-50」

Ibanez上位機種に搭載されているピックアップ・セレクター「VLX91」

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こいち

ちなみに交換されていたフロントとリアPUがもし4芯だったら、配線アレンジも考えていたんだけど

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助手

この「VLX91」というピックアップ・セレクターが生産終了品で貴重ということに気付いてしまいましたからね

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こいち

楽器の歴史的資料として保管しておくことにします

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こいち

そして「普段やらないことをやってみる」をこの連載の裏コンセプトにしているので、最後に塗装のタッチ・アップ作業をしてみます

左からトップ・コート「NAILSINC 45セカンド」、メイン・カラー「pa ネイルカラー A152」、UVクリア・レジン「星の雫」

タッチ・アップ前のボディ

タッチ・アップ途中

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助手

ギターについた傷、大好きですもんね

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こいち

不慮の事故だったとしても思い出なわけですよ

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助手

タッチ・アップは奥さんから借りたマニキュアを使ってみたそうですが

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こいち

どうなるか結果がわからないものをジャンク楽器に試すのだ

UVライトを照射している状態

ヤスリで平面出し。使用したのはサテライトツールス タイラー400

番手を上げたスポンジヤスリで表面を磨いた。3M製のものを使用

ピカールを使い、塗装面を仕上げている

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こいち

正直、色味も合ってないし、UVレジンは磨いても曇るばかりだった

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助手

タッチアップは下手に作業するとみっともなくなるばかりですね

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こいち

傷はそのままにした方が良いという好例でした!

修理完了!

ヘッド部

ボディ部

完成

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こいち

今回は楽器の商品説明が丁寧すぎて原稿に書くことがなかったに尽きる

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助手

安心して購入できるジャンク・ギターでしたね

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こいち

悪いところまでしっかり書いてあって、ギャンブル性なんて皆無なのに「ジャンク」と書いてあるだけで欲しくなっちゃうのは不思議だよな~

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助手

オークションとかでも中古品よりジャンク品の方が高騰することがあるのは同じようなレストア趣味の心をくすぐる何かがあるんでしょうね

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こいち

壊れているということに価値があるのだ

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助手

皆さんも是非売れないと思ったものを出品してみましょう!

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