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- 2024/11/16
BOSS / BD-2
1995年に発売され、ジャンルを問わず国内外のギタリストから大きな支持を集めるオーバードライブの名機、BOSSのBD-2。発売から25周年を記念し、長年BD-2を愛用する田渕ひさ子(NUMBER GIRL)と真鍋吉明(the pillows)のスペシャル・トーク・セッション動画をお届けしよう。日本のオルタナティブ・ロック・シーンを牽引してきたふたりが、BD-2を使い続ける理由とは?
1995年に発売されたBD-2。それまでのオーバードライブ・ペダルとは異なり、回路を真空管アンプ設計の視点から進化させることで、手元のコントロール操作によって迫力あるドライブ・サウンドから鈴鳴りのクリーンまでを操れるようになった、まさにアンプ・ライクなペダルである。モデル名のとおり、いなたいブルージィなクランチ・サウンドから、4×12のブリティッシュ・アンプのような歪み、さらにはファズのような荒々しい音像までも生み出せるが、歪ませた真空管アンプへのブースターとしても評価が高い。
1995年くらいかな? メインの65年製ジャズマスターと一緒にマーシャル1959も買ったんですけど、アンプの音が大きくてまともに鳴らせなかったんですよ。それを買ったお店の店長さんに相談したら、“最近出たばかりのコレをアッテネーターの代わりにしたらいいよ”ってBD-2を薦められたのが最初ですね。歪みエフェクターといえば黄色とかオレンジとか暖色系の色のイメージがあったので、最初は青くてかわいいなと思いました(笑)。それ以来ほぼすべてのライブやレコーディングで使っています。
セッティングはバンドにもよるんですけど、大きい音を出すNUMBER GIRLの場合だとアンプでまずドクリーンを作って、ボードの先頭につないだBD-2で歪ませつつ音量を少し下げるんです。で、ソロの時とかはBD-2のうしろにつないだ歪みペダルで大きい音を出すという感じですね。BD-2を踏むと中域と低域がキュッと締まる感じがしますし、BD-2でアンプの音量を下げることによって、そのあとにつないだ歪みペダルの効きが良くなるんですよ。自分のアンプを持ち込まない時もライブハウスのアンプをクリーンにして、BD-2を踏むっていうのが基本の音です。LEVELツマミはアンプの音量によって変わりますね。耳に痛いところまでハイを上げてキンキンにして使うイメージがないので、TONEツマミは12時以上にしたことはあまりないです。真鍋さんとセッティングが似ていてうれしかったですね(笑)。
真鍋さんのギターは温かいというか、太くて繊細な音というイメージですね。私、会社員時代は寮に住んでいたんですけど、同じ部屋の友達がすごくthe pillowsが好きで、その頃『LITTLE BUSTERS』を鬼リピートしていたんですよ。一緒に聴いていると、緊張しないで聴けたというか、生活の中にスッと入ってくる音だなって思っていました。印象深いアルバムで、『LITTLE BUSTERS』を聴くとその頃を思い出します。
僕も1995年くらいですかね。当時はバンド・サウンドをシフトチェンジしていた時期で、ジャズ的なアプローチを廃して、ロック寄りのアプローチにしようとしていたんです。そのためにはギターのクランチが核になるっていうことがわかっていたので、理想の音が出るペダルを探していたんですよ。その中でもBD-2が雑誌でも評判が良くて、使ってる人も“これはすごい”と言っていて、“とりあえず挑戦してみよう”と思い、発売直後に買いました。すぐにサウンドを気に入って、1997年の『Please Mr. Lostman』では全編で使っています。
25年ほどBD-2を使ってきましたが、今はスイッチャーのループに組み込んで、クリーン〜クランチを担当しています。ピッキングの強さによってクリーンからハードなドライブを行き来できるので、ニュアンスが出しやすいんですよ。以前はクリーン・トーンをアンプのクリーンで作っていたんですけど、どうしても思ったような音が出せなくて。でも、BD-2で若干の歪みを足してあげることで、クリーン・トーンがとてもクリーンらしくなることがわかったんです。GAINツマミとTONEツマミは12時手前。あと最近気づいたのが、LEVELツマミを上げ目にすると良い感触がするんですよ。そうすることで音が際立つんです。
BD-2が今年25周年で、昨年はthe pillowsが結成30周年を迎えさせてただきまして。で、30年前のギター・サウンドっていうのはギタリストの個性や意識があまり反映されず、エンジニアが作るものだったんですね。でも、bloodthirsty butchersやNUMBER GIRLは、日本のギター弾きの意思がCDやライブで全面に押し出されたっていうのをすごく感じたんですよ。時代が変わったというか、ギターの存在感や意思/主張みたいなものが、エンジニアを通り越してこっちに伝わってきた。このふたつのバンドが日本のロック・ギター・シーンに築いた功績は大きいと思いますね。“ギターってカッコ良いんだな”ってキッズに思わせたバンドです。なので、ひさ子さんにはこの先も貫いていってほしいですね。
価格:オープン
田渕ひさ子
たぶち・ひさこ/福岡県出身。1995年にNUMBER GIRLに加入。2002年に解散するも、2019年に再結成を果たす。自身がボーカル&ギターを務めるバンドtoddleを始め、2003年にbloodthirsty butchers、2011年にLAMAへ加入するなど幅広く活動。2018年からはPEDROのギターも担当している。
真鍋吉明
まなべ・よしあき/北海道出身。1989年にthe pillowsを結成し、90年代以降の日本のオルタナティブ・ロック・シーンを牽引。独特のコード・ワークやエフェクターを駆使した表情豊かなプレイに定評がある。昨年バンドは結成30周年を迎え、横浜アリーナ単独公演をSOLD OUT。