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  • 書籍化記念! ? 地下実験室が" 特別編"で帰ってきた!

ピックアップを替えるとギターの音はどう変わるのか?

ピックアップ解析実験

「昔デジマートにさぁ、地下実験室ってあったじゃん?」
「あー……あった、あった」
「それで、今度ピックアップに関する実験をやるらしいよ」
「ふうん。まぁ確かにピックアップって、試奏できないし買ってみないとわからんからな」
というわけで、いろいろと試してみました。

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ピックアップ交換実験

【実験テーマ】ピックアップを替えるとギターの音はどう変わるのか?

 お久しぶりです。連載が止まってから約3年振りの地下実験室・特別編、今回のお題は「ピックアップ」です。

 実はこれ、以前からやりたかったテーマでした。だって、リプレイスメント・ピックアップの説明でよくある「アルニコ・マグネットの●●なサウンドが〜」とかを読んで、アルニコ・マグネットの音のイメージ、できないんですもん……。

 私は、もちろんアルニコ・マグネットのPUが搭載されたギターも、セラミック・マグネットのPUが搭載されたギターも弾いたことがありますが、それぞれ異なるギターですから、音の違いがピックアップや、ましてマグネットに由来するものなのか、正直わかりません。アルニコ2とアルニコ4はどう違うのか? 4は? 5は? 実際どんな音なんでしょう?

──「ピックアップの実験、できませんか?」
デジマート・マガジン編集部(以下、デ)── 「内容次第かと思いますが……」
──「結構、手間がかかると思うんですけど、ピックアップのマグネットだけを交換して音をチェックしたり、ワイヤーの巻数や巻き方を変えたピックアップをいくつも用意して、音の違いを確かめられたらなぁという感じです……」
──「なるほど……では、それができそうな方に相談してみます」

 軽い感じで提案してみたものの、事前の準備が大変なことになりそうです。大丈夫かなぁ……。

────── 後日 ──────

──「手伝ってくださるそうですよ」
──「ええ? どなたが?」
──「フリーダム・カスタム・ギター・リサーチの深野真さんです」

おおーっ!!

 フリーダム・カスタム・ギター・リサーチ(以下、フリーダム)といえば、ギター、ベースはもちろん、オリジナルのピックアップも開発・販売している国内有数の工房じゃないですか! 以前、ある取材で深野さんにお話を伺った時に、知見が深くてすごい方だなぁと思った覚えがあります。

 深野さんに協力していただけるなら、やれる気がしてきました! 

それではピックアップ解析実験
始めるよー!!

実験にご協力いただいたフリーダム・カスタム・ギター・リサーチの代表、深野真さん(左)。笑顔が素敵です!

使用機材

◎ノーブランド STタイプ
(半田付け作業なしで、クリップでピックアップを結線できるよう改造されたギター)
◎ハンドメイド・ケーブル
◎フェンダー・ティアドロップ・ミディアム(ピック)
SHINOS & L ROCKET (アンプ)
◎フリーダム特製 実験用ピックアップ各種

ピックアップ交換が容易にできるよう、ピックガードに加工が施されている

用意したマグネット。見た目からはあまり違いがわからない

実験のために用意したハムバッキング・ピックアップ

アンプはSHINOS&L Rocketを使用

※セッティングについて
■ アンプのセッティングは、すべて同じです。
■ 今回の実験は手弾き演奏です。
■ 本動画の視聴はヘッドフォンを推奨しております。

実験① マグネット交換実験

 ここでは、1つのピックアップのマグネットだけを交換して、音がどのように変わるかを見ていきます。ピックアップの仕様は、次の通りです。

  • PUマテリアル
    BPM社製ビンテージHB規格品(ポール・ピース・ピッチ9.9㎜)※ベース・プレートの足の短いタイプの物を使用
  • ピックアップ・ワイヤー
    MWS社製プレーン・エナメル・ワイヤーの現行品(サイズは、AWG42、ワイヤーの外形は0.071mm)
  • マグネット
    中国製のインチ規格アルニコ・バー・マグネット&フェライト・マグネットの現行品(サイズは2.5”x0.5”x0.125”)
  • 巻き線機
    TANAC AX-1
  • テンション調整機
    TANAC MT100

 巻線機を使ってコイルのターン数を5,000(ハムバッカーなので×2、1万回です)、テンションは4(通常のテンション)で巻き、ポッティングは無しのピックアップをベースに、マグネットだけを交換していきます(市販のピックアップの多くはポッティングされているためマグネットだけを交換することが難しいようですが、ここではマグネット交換を前提にポッティング無しのピックアップを用意していただきました)。

 ピックアップ交換の際には、もちろんピックアップの高さ(弦とポール・ピースの距離)も測定して揃えていますから、機材面で音に影響するのはマグネットの違いだけです。

 試奏中に手元のボリュームを落とすところでは、毎回必ず5の目盛のところまで下げ、それ以外は全開で統一しています。

① セラミック

 最初は、セラミック8という最大磁力105mT、最小磁力99mTのマグネットを試してみます。よく、「モダンなロックに合う、パワフルなセラミック・マグネットを採用したピックアップ」というような文言を見る気がしますが、どうなんでしょう? 早速、音を聞いてみましょう!

 ……えー、最初のマグネットなので、正直特徴がわかりません(笑)。まぁ、こんなものかと思いつつ、とりあえず次に進みます。

② アルニコ2

 次は、アルニコ2です。最大磁力が96mT、最小磁力が82mTと、セラミックより磁力が弱いんですね……。では、音はどうなのか、聞いてみましょう!

 あ! セラミックより少し音が軽く、歪みも弱いですね。ちょっとローが弱く、重心が上のように感じます。また、ローの輪郭もはっきりしないように感じましたが、いかがでしょう?

③ アルニコ3

 アルニコ3は、アルニコ2よりさらに磁力が弱く、最大磁力が78mT、最小磁力が63mTです。よりクリアなマグネットだという評判ですが、私はアルニコ3より少しグチャッとしたローの成分があるような感じがします。歪みもやや強いのは気のせいでしょうか?

④ アルニコ4

 続いては、アルニコ4。最大磁力が122mT、最小磁力が100mTと、ここまででは最もパワフルなマグネットです。

 あ、これは良いですね! 私は好きです。歪みの量がほどよく、歪みの質もクリーミーな感じがします。手元のボリュームを落とした音も、張りがありますね。各帯域のバランスも良いですし、ローの輪郭もはっきりしています。1弦の伸びも良いですね。

⑤ アルニコ5

 最後は、アルニコ5。本日のマグネットの中で、最も強い磁力を持っています。最大磁力が146mT、最小磁力が120mTです。これも良いですね。結構歪むのに、低音域の輪郭がはっきりしていて、ボリュームを落とすとすごくクリーンになります。

 ここまでチェックして、セラミックの音を再確認すると、パワフルなんですけど、やや平面的な音かなという印象を持ちました。

実験用に用意されたピックアップは複数あるが、実験ごとに調整が必要なため深野さんが手際良く作業をしていく

ネジを緩めてマグネットを交換作業をしている様子

ピックアップ中のマグネット1枚変えるだけで音が変わるとは……

実験結果:マグネットの種類でピックアップの音は変わる!

 皆さんは、どう感じましたか? 正直、アンプをもっと歪ませたり、もっとクリーンにすると、また印象が違うかもしれません。最も違いが聞き取りやすそうなセッティングにしようと留意したのですが、それが必ずしも良い音にはならないということ、そのセッティングが有利に働く場合、不利になる場合があることは、頭の片隅に入れておいてください。

実験の途中に深野さんからピックアップにまつわるいろいろな話を聞くことができました。どれも興味深い話で、掲載できないのがもったいないくらい!

実験② ワイヤーの巻数実験

 ここでは、ピックアップの基本的な条件を統一し(マグネットはアルニコ5、ポッティングなし、コイルを巻く際のテンションは4/普通)、ワイヤーの巻数だけが違うピックアップを用意して、そのサウンドの違いをチェックしています。




つづきの実験は
↓ こちらでお楽しみくださいっ ↓

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jikken-t-30.jpg 「ギターの音は変わるのか?」を大命題に、井戸沼室長があらゆることに体当たりで実験する本連載企画「デジマート地下実験室」がついに書籍になりました! 特に人気の高かった22本の記事に加え、今回の「ピックアップ検証実験」完全版も収録。 もちろん本書内の企画はすべて動画対応。スマートホンやPCを使って、実験の模様を視聴することができます。 動画で音を実感すれば、企画の面白さも倍増間違いなし! また、書籍ならではの味わい深さもお楽しみいただけるはずです!

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製品情報

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プロフィール

井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
1日5回デジマートを見る、機材大好きのギタリスト/レビュアー/ライター/ワウペダル奏者。大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。 インスト・ファンク・バンドZubola Funk Laboratoryのメンバー。 2019年3月より、ドラムとギターのみの変態インスト・バンド「Ragos」を始動。

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