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- 2024/11/16
Neo Instruments / micro VENT 122、micro VENT 16
Neo Instrumentsから、ロータリー・スピーカーのシミュレート・ペダル、“micro VENT 122”と“micro VENT 16”が新登場。今回はビンテージ・サウンドへの造詣が深いギタリスト、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIに2機種の実力を試してもらった。
ロータリー・スピーカー・サウンドのシミュレーターとして高い評価を受けるNeo InstrumentsのVENTILATOR Ⅱ。その兄弟機であるmicro VENTシリーズは、サウンドを損なうことなく、よりコンパクトなストンプ・ボックス・サイズに収めることに成功した。ラインナップはVENTILATORテクノロジーを受け継ぐmicro VENT 122と、フェンダーVibratoneのサウンドを再現したmicro VENT 16(どちらも実勢価格35,000円)の2機種。
まず、VENTILATOR Ⅱの直系であることを示す黒い筐体のmicro VENT 122は、レスリー122 ロータリー・スピーカーをモデルにしている。回転するホーンとドラム・ローターを備え、それぞれの加速が異なることで生まれる複雑かつ独特な音色を見事に再現。ホーンとドラム・ローターに1本ずつマイクを使ったクラシックなサウンドをシミュレートしている。
次に、白い筐体のmicro VENT 16はギタリストが使用することが多いフェンダーのロータリー・スピーカー、Vibratoneを再現。内蔵された10インチのスピーカーを1本のマイクでとらえた音をシミュレートする。
どちらの機種も、マイクとスピーカーの距離感やスピーカーの回転速度を可変できる。また、加速と減速の時間を設定することも可能だ。さらに、両機種ともにアナログ・ブレンド回路を備えているため、ロータリー・サウンドとドライ・シグナルをミックスできる点もギタリストにはうれしい機能と言えるだろう。
僕が探し求めていたものはこれかもしれない!
実は、ずっとロータリー・スピーカーのサウンドを出せるペダルを探していたんですよ。僕たちの曲に「LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜」というのがあるんですが、ギター・サウンドが少しオルガン的な音色なので、ライブで再現するためにいろいろなシミュレーターも試してきたんです。でも、しっくりくるものがなかなか見つからなくて。これはすごく良いですね。操作性がシンプルだから、開発の段階からギタリストに特化して作られたものなんだと思いました。
僕たちのスタジオにはレスリー・スピーカーも置いてあるので音の比較もしやすいんですが、本物との比較というよりは“ギタリストがイメージする、レスリー・スピーカーを通した音”という、このペダルのオリジナリティを感じますね。レスリー特有の広いレンジの立体的なサウンドをコンパクト・ペダルで再現するのは難しいはずですが、うまくできているなと感じました。僕が探し求めていたものは、これかもしれないですね。
アルペジオの空間を広げる時に使いたいかな。
これはmicro VENT 122よりもギター・エフェクター的だと感じました。良い意味でレンジがエレキ・ギターの範囲に収まっているので、曲中のオン/オフでも使いやすいと思いますよ。micro VENT 122は、ギター・サウンドの範疇を飛び越えるくらいレスリーのサウンドになる分、曲調そのものに大きく影響しますが、こちらのmicro VENT 16はエフェクト感がそこまで深くないというか、ソロやBメロだけで使っても自然に前後とつながる気がします。
だから“フランジャー的な新しいサウンド”を探すギタリストにも薦めたいですね。フランジングとはまたひと味違う揺らぎとロータリー特有の奥行きは、ほかのエフェクターでは代えがきかない効果的な音が作れます。例えば普通のアルペジオも、フレーズが聴き取りづらくなることなく、フランジャー以上に広く空間を演出できるかもしれません。また、両モデルに共通して言えるのですがBLENDツマミが良い。どんなセッティングでも、芯のあるギターの原音を位相のズレを感じずにミックスできるので、低音がなくなりません。
コンパクトで扱いやすい。
あきらかにギタリスト向けですよね。
この2機種は両方良かったですね。極端に言えば、micro VENT 122はギターの音を“オルガンそのものの音”に変えて、micro VENT 16は“オルガンっぽい音に変えるもの”という印象です。用途が違うので、どちらも持っていていいと思います。
ロータリー・スピーカーのシミュレーターって“キーボーディストにもギタリストにも使ってほしい”という開発者さんの気持ちがにじむペダルも正直多いんですよ(笑)。でも、この2機種はコンパクトさや扱いやすさを含めて、あきらかにギタリスト向けですよね。そこが好きです。このふたつはこれまでのシミュレーターとはプロダクトの方向性も違うし、レスリーで出せないアグレッシブなギター・サウンドも作れるので、ぜひ一度試してもらいたいです。
僕は音数よりも、一発を“バーン”と鳴らした時の気持ち良さを大切にしていて。その中で、トレモロやレスリーによるリアルな“揺らぎ”は、クラシック・ロックの、あのあこがれの音を出す大切な要素です。今回の2機種は、僕にとっても大きな出会いですね。特にmicro VENT 122は、ずっと使っていくと思いますよ。
本記事は、8月12日(水)に発売されたリットーミュージック刊『ギター・マガジン 2020年9月号』にも掲載されています。表紙巻頭特集は「シティ・ポップと夏。〜とろける極上ギター・ソロ篇」。ぜひチェックしてみてください!
価格:オープン
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NAOKI
デビュー20周年を迎えたロック・バンド、LOVE PSYCHEDELICOのギタリスト。昨年のツアーでは、サウンドへのこだわりから高さ2.7mの会場用スピーカーを特注した。