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- 2024/11/16
エレキ・ギター(ジャンク)
ジャンク・ギターの修理をライフワークとする“こいち”による、ジャンク沼誘導連載第八弾。今回は、1984年にギター・シンセサイザーGR-700と同時発売されたギター・シンセ・コントローラー「Roland / G-707」をカスタムする。独創的なスタビライザーを持つ近未来風デザインが特徴で、かつては武沢豊(安全地帯)やアンディ・サマーズが使用したという歴史的名器である。非常に貴重なモデルのため、オリジナルを維持しつつのカスタムを実施したが、なんとまさか自前の3Dプリンタを駆使することになりました……!
【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。
こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。
助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。
「エレクトリック・ギター」って名前からして、もっとロボットみたいな見た目だと思っていたよな
言わんとしていることはわからなくもないですが
ましてや木材でできているなんて夢にも思わなかった
よく考えたら半世紀以上前のデザインのギターがずっと愛されてますからね
歴史的には挑戦的なコンセプトのギターたちも存在していたはずだけど
自然淘汰されたうえのスタンダードは強さを増すばかりですね
埋もれてしまったギターたち、自分の元に集まってくれー!
これは年始早々にジャンク・ギターを買ってしまった画像ですが
そろそろ変わったコンセプトの楽器が欲しいなと
こうやって理由をつけては増えていくわけですね
あと購入したのはギターじゃないですぅ〜ギター型のシンセ・コントローラーですぅ〜
言い訳が無理やりすぎる(イラッ)
日本のロボット・アニメで育ってしまうと抗えないような力がこのギター・デザインにはある
これが冒頭で言っていたロボット感ですか
ボディからヘッドにかけて繋がるスタビライザー、なんて美しいシルエットなのでしょう……!
シンセの入力装置の意味合いが強いのか、やりたい放題なデザインですね
待たれーい! スタビライザーは必要だぞ! ロマン部位なだけじゃなくデッド・ポイント解消の効果もあるとマニュアルにも書いてある! 有害な寄生振動を完全に抑えてくれるんだぞ……! ちなみに素材は新開発特殊プラスチックだ
スタビライザーが好きすぎる(イラッ)
派手な見た目ですけど、よく見ればシンプルな構成のギターなんですね
以前の記事で登場したCASIOのシンセ・ギターと違ってシンセ本体は外付けだし、エレキ・ギターとして使う分には不要なツマミだらけなのだ
連載を通してセンセー好みのギターがわかってきた気がしますよ
この個体、シンセ・コントローラーの動作が未確認ということでジャンク扱いだったんだけど、ギター回路にも手が加えられていたようだ
“商品説明と違うジャンク・ギター”なんて、買われる人によってはトラブルの元ですよね
なまじ貴重なギターだし、変な人が寄ってくるリスクはあるけど、価値が下がるような説明は省きたい時の便利な言葉が「ジャンク品」なのだ
トラブルにならなくて良かったですよ
やはり自分が買うべき運命だったんだな、ヨシヨシ
変な人が寄ってきてしまった
気休め程度に取り付けられた滑り止めがまったく用をなさない
フライングV(コリーナV)に付いているそれと同じくらいな効果ですよね
良くも悪くも古典的なギター・デザインから離れると弾きづらくもなるジレンマだ
斬新なデザインと弾き心地の両立は難しいと
ステージ映え、立って弾くことを想定されているだろうから仕方ないけど、私は誰に見せるわけでもなく自宅で普段使いをしたいので、使いやすいレッグ・レストを作ってみようと思い立ったわけですよ
これを……普段使いに?
思い返すとこの連載はシール剥がし作業ばかりだ
嫌がらせのように寄ってきますね
いつものようにオレンジ・オイルとピカールで仕上げてみた
想像やスケッチでいくら考えても使い勝手やパッと見の印象はわからないので、ダンボールでレッグ・レストの模型を作ってみた
いつになく手間をかけてますね
元の素晴らしいギター・デザインを後付されたパーツで崩してしまうのは大罪である
これなら別にあっても違和感はないと思いますよ
誰かに後押しされないと進めないくらいに恐れ多い所業なのだ
先ほどの模型を参考に採寸、モデリングしたレッグ・レストですね
メーカー側の意匠を汲み取りつつ、さも“オプション・パーツで存在した”感が少しでも出せていればいいな
モデリングしたレッグ・レストを3Dプリンタで出力してみた
前回のピックアップ・ワインダーといい、今回の3Dプリンタといい、どのご家庭にもある工具感覚で登場させてきますね
調べてみると簡単だったり安価だったりするので、ジャンク修理と同じくらい軽率に挑戦してほしい気持ちの現われである
ジャンク・ギターを1本我慢すれば手に入るかもしれないと
それが一番難しい
自作レッグ・レストと元デザインの親和性も悪くない気がする
表面未処理、無塗装でも良い雰囲気ですね
実は塗料まで買っておいて何だけど、これにて終了とする!
うまくいった勢いでそのまま終わらせた……!
想像でしかないけど、当時のギター・メーカーも外国のコピー品作りなんてやめて日本のオリジナル・ギターを認めてほしかったと思うのよ
ユーザーが求めていなかったんですかね
国産メーカーだからこそ仕上がったプロダクトだと思うし、そういう意地みたいのをこのモデルから感じる
時代を越えて刺さりまくっている人がいる
宇宙一かっこいいギターだと思っている
そんな一生モノのギターみたく言うと後で揚げ足を取られちゃいますよ
銀河一かっこいいギターだと思っている