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  • 【ジャンク・ギターでこいち時間 デジマート出張版】第6回

アルミ・ボディのアンプ内蔵ギター「Tokai / Talbo Jr.(TJR-498)」をレストアする

エレキ・ギター(ジャンク)

ジャンク・ギターの修理をライフワークとする“こいち”による、ジャンク沼誘導連載第六弾。今回は、超独創的なデザインとアルミニウム合金製のボディで、今なお鮮烈な存在感を放つTalboギターの小型版「Talbo Jr.(TJR-498)」を取り上げる。9V電池駆動のアンプ(&スピーカー)内蔵型で、通称“仔タルボ”とも呼ばれていたメカメカしくもキュートな本器を、実用的にチューンナップしていく。

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【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。

登場人物

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こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。

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助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。

ジャンク・ギター出土
〜バラバラのまま倉庫に眠っていたTokai / Talbo Jr.

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こいち

ジャンク・ギターというものはこちらから求めると寄ってこないものだな

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助手

ぐいぐい来られるとジャンクの女神だって逃げてしまいますよ

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こいち

ということで、手に入れたはいいけどテンションが長続きしなくて放置されていたジャンク・ギターを修理したいと思います!

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助手

連載の私物化に磨きがかかってきた……!

分解した状態のTokai Talbo Jr.

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こいち

こちらアルミ・ボディのアンプ内蔵ギターになります

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助手

東海楽器のアルミ製ギター「タルボ」のコンパクト・モデルなんですね

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こいち

仕様的にピグノーズ・ギターやZO-3ギターを意識したものではあると思うんだけど、タルボ好きのためのファン・アイテム色が強いのか、価格度外視で好き勝手やっている感じがする

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助手

ネックがショート・スケールではなくミディアム・スケールなのも静かな意思を感じます

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こいち

見てのとおり弾ける状態ではないので、重い腰を上げて組み立ててみようと思う

パーツの清掃と交換
〜ステッカー除去や指板磨きからスタート!

ステッカーが全面に貼り付けられたバック・プレート

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助手

そんなに当時のやる気をそいだ原因はなんなんですか……

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こいち

ステッカー剥がしが嫌い

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助手

連載を利用してやりたくない作業を処理しないでくださいよ

オレンジ・オイルをステッカー全体に浸し、サランラップを巻いて数分放置している

カーボン・ヘラでステッカーをこそぎ落とした

中性洗剤とスポンジで残りの接着剤を取り除いた

ステッカーを剥がし終えたバック・プレート

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こいち

プラスチック相手のステッカー剥がし作業だし、些細な傷は気にせず削り落としてやったわ

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助手

ツヤ消し仕様になりましたが、横着した割にこれはこれで良いですね

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こいち

性分的にステッカーだらけのジャンク・ギターは今後買わないようにする

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助手

またひとつ学びを得ている

オレンジ・オイルで指板の汚れを落とした後にワックスで艶出し・保護を行なった。ワックスはKEN SMITH CLASSIC WAX POLISHを使用

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助手

数年放置されたジャンク・ギターの汚い指板をきれいにします

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こいち

今まで自作の蜜蝋ワックスで済ませていたけど、ケン・スミスのワックスがめちゃくちゃ使いやすかった

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助手

苦手な作業もやってみると得るものがありますね

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こいち

お手入れの楽しさをこのワックスが教えてくれました

ペグの樹脂ワッシャーがすり減っている

ジャンク・ペグより調達した樹脂ワッシャー

ワッシャーの交換によりスムーズに動くようになったペグ

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こいち

良いペグも樹脂ワッシャーが劣化していてはストレスだ

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助手

余っていたペグから樹脂ワッシャー部分だけ頂戴します

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こいち

操作性が気持ちよくなった

アルミ・ボディのお手入れ
〜ヤスリがけでアルミならではのツヤを出す

鋳造品のアルミ・ボディ。前オーナーによりエフェクターを内蔵する改造を施されていたため、ボディ・トップには無数の穴があけられている(本来は1ボリューム)

ボディ・バック。砂型から抜きやすいシンプルな構造になっているようだ

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こいち

正直に言うと、このアルミ・ボディが欲しかった

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助手

男の人ってなんで一風変わった素材が好きなんですか?

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こいち

幼少期、ホビー漫画に毒された身としてはアルミとかカーボンに絶大な信頼と憧れを植え付けられているのだ

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助手

木材やプラスチックじゃダメなんですか

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こいち

主人公の強大なパワーを受け止めきれず爆散する

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助手

爆散する……!

ボディ・トップを1200番のスポンジ・ヤスリで研磨した

前オーナーによって切断されたカッタウェイ部分

カッタウェイ部分をヤスリで形状修正した

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こいち

ボディ・トップもステッカー跡と汚れ落としを兼ねてヤスリをかけてしまいました

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助手

アルミは汚れていてもツヤ消しでも光沢でも絵になりますね

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こいち

光り物に対して臆病なので結果が不安だったけど、いい感じのツヤなので良かった

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助手

ヤスリを手にした手前、カッタウェイ部分の形状修正も行なっています

電装系のチューンナップ
〜ピックアップ交換やLED増設、アンプ・スイッチ改造で実用性向上!

もともと搭載されていたピックアップ。ツインブレード・タイプのシングル・サイズ・ハムバッカー

交換するために用意された激安中華ピックアップ

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こいち

無数にあいたボディの穴を利用したいがためにピックアップを交換することにしました

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助手

タップ・スイッチを付けようとしたけど、元のピックアップにはタップ線もなく、分解して改造するほどの気力もなかったわけですね

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こいち

ないない尽くしだ

黄色のLEDと赤いLEDカバー

点灯させた様子

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こいち

無数にあいたボディの穴を利用したいがためにLEDを追加することにしました

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助手

控えめな輝き具合ですね

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こいち

ギター様よりLEDが目立ってはならぬ

プッシュ/プル・スイッチ付きポット。ポット・シャフトを引っ張ったり押したりすることにより、2回路2接点のスイッチを切り替えられる

使用されていなかった1回路を、壊れた時の保険としてジャンパーさせた

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助手

前オーナーがどこまで弄っていて、どこまでがオリジナルか判断できませんが、スイッチの1回路がもったいなかったので同じ動作(引っ張るとアンプがON)をするようにジャンパーしました

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こいち

他社と比較しちゃ悪いけど、小さいトグル・スイッチがアンプのON/OFFになっていないのは大変良い

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助手

電源コンセントのない屋外での使用を想定されているのに、ソフトケースで持ち出そうものならトグル・スイッチは簡単に折れちゃいますからね

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こいち

私は直したその日に折ったことがあるくらいだ(ドヤ)

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助手

ドヤ?

電池ボックスを交換してみた。同等品が手元になかったため、ネジの取付穴が合っていない

ネジ止めをせず、ホットボンドで固定した

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こいち

電池ボックスは合うものが手元になかったので、似たようなものをホットボンドで固定しました

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助手

さっきまで安定性や丈夫さを語っておきながら、ずいぶんと工作感のある処置をしましたね

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こいち

ホットボンドですべて解決する感じは嫌いじゃないんだな〜

組み立て&最終調整
〜組み立て時の注意点と、オクターブ調整ネジの交換

パーツを組み終えたボディ部

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助手

金属ボディも相まってメカメカしてますね

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こいち

この時点で木材が一切使われていないのが気持ちいい

ネック・ジョイント部。バック・プレートを外さないとアクセスできない

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こいち

ここで局地的に有益な情報を言うと、先にバック・プレートを閉じるとネックが取り付けられません(シクシク)

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助手

経験者は語る

弦を裏通しするための開口部

スプレー缶のノズル

スプレー缶のノズルを利用し、ブリッジの穴にクセのついた弦を通している

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こいち

有益な情報をもうひとつ言うと、一度ペグに巻きつけてクセのついた弦を再利用する場合はスプレー缶のノズルが便利ですよ

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助手

消耗品に対して諦めが悪い

サドル部。サドルの溝に弦の折返し部分が乗ってしまっている

ブリッジ底面部。ボディを介さず直接ボール・エンドが止まっている

オクターブ調整ネジの長さが足りず、調整ができない状態

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こいち

ブリッジもこういう使い方は想定されていなかったのか、弦のボール・エンドの巻き返しがサドルに乗っていて気持ちよくない

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助手

ボディの厚みやサステイン・ブロック的なものがないのでこうなっちゃうんですね

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こいち

オクターブ調整的にもサドルをネック側に移動させたいんだけど、調整ネジの長さも足らなくて八方塞がりだ

元のオクターブ調整ネジM3×15(左)と新たに購入したネジM3×20(右)

オクターブ調整後のブリッジ。弦の巻き返し部分も多少改善された

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助手

ということで、元より5mm長いネジに交換してオクターブ調整幅を広げてみました!

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こいち

弦の巻き返し部分も改善されて良かった

修理完了!

Talbo Jr.のアウトプット・ジャックに他のエレキ・ギターを繋いだ状態

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こいち

最後にひとつ有益な情報を言うと、アンプ内蔵ギターにギターを挿すとギター・アンプになるぞ!

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助手

使い道はどうあれ、いざという時に思い出すことにしますね

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こいち

セッションとか……アンプ内蔵ギターのほうの弦が切れた時とか……

ヘッド部

ボディ部

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助手

組み上げてみると雰囲気があってかっこいいギターじゃないですか

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こいち

このポテンシャル、バラバラだった時には想像もつかなかったな〜

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助手

まさか手を付けていなかった理由がステッカー剥がしの面倒さからだったとは

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こいち

今回の学びを得るまでに何本のステッカー・チューン・ジャンク・ギターを手に入れたと思うかね?

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助手

怖っ

できあがり!

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こいち

コンパクトな宴会用ギターとして生まれ落ちたのに、使う機会が生まれないのは寂しいものだ

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助手

気兼ねなく外出できるようになるといいですね

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こいち

いや、交友関係的にね?

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助手

気兼ねなく誘われるような人柄になるといいですね

過去記事一覧

第3回:'90sフュージョン・シーンを彩ったシンセ・ギター「CASIO / PG-300」を修理する

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第4回:ジャンク初心者にも最適! 見た目良し、コスパ良しの「Epiphone / SG G-310」を修理する

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第5回:激安7弦ギター「PLAYTECH / PTR7450FR」をレストア&カスタムする

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