AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
エレキ・ギター(ジャンク)
ジャンク・ギターの修理をライフワークとする“こいち”による、ジャンク沼誘導連載第六弾。今回は、超独創的なデザインとアルミニウム合金製のボディで、今なお鮮烈な存在感を放つTalboギターの小型版「Talbo Jr.(TJR-498)」を取り上げる。9V電池駆動のアンプ(&スピーカー)内蔵型で、通称“仔タルボ”とも呼ばれていたメカメカしくもキュートな本器を、実用的にチューンナップしていく。
【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。
こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。
助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。
ジャンク・ギターというものはこちらから求めると寄ってこないものだな
ぐいぐい来られるとジャンクの女神だって逃げてしまいますよ
ということで、手に入れたはいいけどテンションが長続きしなくて放置されていたジャンク・ギターを修理したいと思います!
連載の私物化に磨きがかかってきた……!
こちらアルミ・ボディのアンプ内蔵ギターになります
東海楽器のアルミ製ギター「タルボ」のコンパクト・モデルなんですね
仕様的にピグノーズ・ギターやZO-3ギターを意識したものではあると思うんだけど、タルボ好きのためのファン・アイテム色が強いのか、価格度外視で好き勝手やっている感じがする
ネックがショート・スケールではなくミディアム・スケールなのも静かな意思を感じます
見てのとおり弾ける状態ではないので、重い腰を上げて組み立ててみようと思う
そんなに当時のやる気をそいだ原因はなんなんですか……
ステッカー剥がしが嫌い
連載を利用してやりたくない作業を処理しないでくださいよ
プラスチック相手のステッカー剥がし作業だし、些細な傷は気にせず削り落としてやったわ
ツヤ消し仕様になりましたが、横着した割にこれはこれで良いですね
性分的にステッカーだらけのジャンク・ギターは今後買わないようにする
またひとつ学びを得ている
数年放置されたジャンク・ギターの汚い指板をきれいにします
今まで自作の蜜蝋ワックスで済ませていたけど、ケン・スミスのワックスがめちゃくちゃ使いやすかった
苦手な作業もやってみると得るものがありますね
お手入れの楽しさをこのワックスが教えてくれました
良いペグも樹脂ワッシャーが劣化していてはストレスだ
余っていたペグから樹脂ワッシャー部分だけ頂戴します
操作性が気持ちよくなった
正直に言うと、このアルミ・ボディが欲しかった
男の人ってなんで一風変わった素材が好きなんですか?
幼少期、ホビー漫画に毒された身としてはアルミとかカーボンに絶大な信頼と憧れを植え付けられているのだ
木材やプラスチックじゃダメなんですか
主人公の強大なパワーを受け止めきれず爆散する
爆散する……!
ボディ・トップもステッカー跡と汚れ落としを兼ねてヤスリをかけてしまいました
アルミは汚れていてもツヤ消しでも光沢でも絵になりますね
光り物に対して臆病なので結果が不安だったけど、いい感じのツヤなので良かった
ヤスリを手にした手前、カッタウェイ部分の形状修正も行なっています
無数にあいたボディの穴を利用したいがためにピックアップを交換することにしました
タップ・スイッチを付けようとしたけど、元のピックアップにはタップ線もなく、分解して改造するほどの気力もなかったわけですね
ないない尽くしだ
無数にあいたボディの穴を利用したいがためにLEDを追加することにしました
控えめな輝き具合ですね
ギター様よりLEDが目立ってはならぬ
前オーナーがどこまで弄っていて、どこまでがオリジナルか判断できませんが、スイッチの1回路がもったいなかったので同じ動作(引っ張るとアンプがON)をするようにジャンパーしました
他社と比較しちゃ悪いけど、小さいトグル・スイッチがアンプのON/OFFになっていないのは大変良い
電源コンセントのない屋外での使用を想定されているのに、ソフトケースで持ち出そうものならトグル・スイッチは簡単に折れちゃいますからね
私は直したその日に折ったことがあるくらいだ(ドヤ)
ドヤ?
電池ボックスは合うものが手元になかったので、似たようなものをホットボンドで固定しました
さっきまで安定性や丈夫さを語っておきながら、ずいぶんと工作感のある処置をしましたね
ホットボンドですべて解決する感じは嫌いじゃないんだな〜
金属ボディも相まってメカメカしてますね
この時点で木材が一切使われていないのが気持ちいい
ここで局地的に有益な情報を言うと、先にバック・プレートを閉じるとネックが取り付けられません(シクシク)
経験者は語る
有益な情報をもうひとつ言うと、一度ペグに巻きつけてクセのついた弦を再利用する場合はスプレー缶のノズルが便利ですよ
消耗品に対して諦めが悪い
ブリッジもこういう使い方は想定されていなかったのか、弦のボール・エンドの巻き返しがサドルに乗っていて気持ちよくない
ボディの厚みやサステイン・ブロック的なものがないのでこうなっちゃうんですね
オクターブ調整的にもサドルをネック側に移動させたいんだけど、調整ネジの長さも足らなくて八方塞がりだ
ということで、元より5mm長いネジに交換してオクターブ調整幅を広げてみました!
弦の巻き返し部分も改善されて良かった
最後にひとつ有益な情報を言うと、アンプ内蔵ギターにギターを挿すとギター・アンプになるぞ!
使い道はどうあれ、いざという時に思い出すことにしますね
セッションとか……アンプ内蔵ギターのほうの弦が切れた時とか……
組み上げてみると雰囲気があってかっこいいギターじゃないですか
このポテンシャル、バラバラだった時には想像もつかなかったな〜
まさか手を付けていなかった理由がステッカー剥がしの面倒さからだったとは
今回の学びを得るまでに何本のステッカー・チューン・ジャンク・ギターを手に入れたと思うかね?
怖っ
コンパクトな宴会用ギターとして生まれ落ちたのに、使う機会が生まれないのは寂しいものだ
気兼ねなく外出できるようになるといいですね
いや、交友関係的にね?
気兼ねなく誘われるような人柄になるといいですね