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  • SEシリーズからリリースされた35周年記念の世界3,500本限定生産モデル

Paul Reed Smith / 35th Anniversary SE Custom 24

Paul Reed Smith / 35th Anniversary SE Custom 24

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 今回はPRSのSEラインから、ルックス的にもCOREライン的な要素を盛り込んだ35th Anniversary SE Custom 24をレビューしていこう。

豪華なルックスを備えた
PRSの35周年記念ギター

Paul Reed Smith / 35th Anniversary SE Custom 24(Top)

Paul Reed Smith / 35th Anniversary SE Custom 24(Back)

 PRSの原点であるCustom 24。このモデルがギター市場に与えた影響は計り知れない。90年代以降の「ハイエンド・ギター」の定義を作り出したとも言えるだろう。この限定モデルのSEでは、COREラインのCustom 24モデルが持つスペックを踏襲しつつ、SE Paul's Guitarでの音楽的な機能改良を加えることで、さらにブラッシュアップされた楽器に仕上がっている。

 今回もほぼ工場出荷時の状態でサウンドチェックを行なった。まず感じたのが、圧倒的な弾きやすさだ。丁寧に作られたネック・シェイプに驚く。指板面はもちろん、ネック裏の丁寧な処理はミドル・クラスの中でも低価格帯に位置付けられるギターとして、十二分に満足できる仕上がりを持っている。フレット・サイドの処理なども丁寧だ。セットアップ/弦高に関しても近年製のPRSギターに近く、やや高めのアクションとなっているが、それゆえに鳴りが良く、太いサウンドが得られる。アンプからのサウンドも非常にクセがなく、かといって非力な感じもしない。

 24フレットの”Wide Thin”ネックには、一見して「スペシャルだ」ということをわからせてくれる、アバロン製の”オールド・スクール・バード・インレイ”が施されている。SEラインにアバロン・インレイが施されるのは初めてのこと。35周年モデルに相応しい仕様だと言える。

35周年記念モデルということがひと目でわかる刻印もポイントだ

SEシリーズでは初となるアバロンのバード・インレイが高級感を醸し出す

 また、トレモロ・リッジにはPRSパテンテッド・トレモロを搭載。構造的にはCOREモデルと同じで、PRSらしいガッツのあるサウンドを持っている。なめらかなビブラート効果から、激しいアーミング・プレイまでを支えてくれるだろう。

コイル・タップ・スイッチを搭載し
合計8種類のサウンドが選べる万能モデル

 本器にはSE Paul’s Guitars から採用されたTCI "S" トレブル/ベース・ピックアップを搭載。さらにふたつのミニ・トグル・スイッチを組み合わせている。ハムバッカー・サウンドに加え、各ピックアップが一方のコイルをキャンセルしたシングルコイル・サウンド(コイル・タップ・サウンド)が得られるようになっている。これにより、各ピックアップを個別にハムバッカー、またはシングルコイル・ピックアップとして機能させることが可能だ。H/HもしくはS/S、加えてH/SまたはS/Hレイアウトを選択可能で、基本的なピックアップ・バリエーション=そこから引き出せるサウンドを選択することができる。

SE Paul’s Guitars から採用されたTCI "S" トレブル/ベース・ピックアップはビンテージ・ライクなサウンドが持ち味

ボリューム/トーン・ノブの間に各ピックアップのコイル・タップ・スイッチを設置

 ビンテージ・トーンにインスパイアされたこのピックアップは、迫力ある「ビッグな」ハムバッカー・サウンドから、繊細なニュアンスをもったシングルコイル・サウンドまで、好みのトーンがすぐに見つかるだろう。ハムバッカー時はミドル・パワーでありながら高域がリッチなので、ドライブ感が非常に心地良い。コイル・タップ時も「非力」にならず、キラリとした芯のあるサウンドを生み出してくれる。まるでテレキャスターのようなブリッジ・シングル、ストラトキャスターのようなネック・シングルのサウンドを確認してほしい。

 楽器全体から漂う雰囲気も、「もはやSEラインなのか?」と思わせる楽器としての美しさを感じる。サウンド面も、かなりエアリーで奥行きのあるハムバッカー・サウンドが得られていることがおわりいただけるだろう。玄人も納得せざるを得ない「あの音」や「その音」が瞬時に得られるようにデザインされているように感じる。個人的には、70年代から続く「ロックの名盤」で聴けるサウンドのほとんどがこのギターから引き出せることに非常に感動した。

 いよいよ成熟した感もあるPRSギター。現行ラインナップを見てもルックスの派手さやコンストラクション的な「攻め」よりも、楽器本来のつくり/音色面での「攻め」が強く感じられると思う。中でもSEシリーズは楽器としてのトータル・バランス、そしてCOREラインに迫るサウンド面でのブラッシュアップに目を見張るものがある。

 いずれにせよ、このギターは世界で3,500本の限定仕様となる。他カラーの登場は未定だが、気になったみなさんは今すぐチェックしてみるべきギターであることは間違いないだろう。

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製品情報

Paul Reed Smith / 35th Anniversary SE Custom 24

価格:¥156,000 (税別)

【スペック】
●ボディ:Carved Maple with Flame Maple Veneer(Top)、Mahogany(Back) ●フレット数:24 ●スケール:25" ●ネック:Maple ●指板:Rosewoodd ●ブリッジ:PRS Patented Tremolo、Molded ●ペグ:PRS-Designed Tuners ●ピックアップ:TCI “S” Treble/Bass Pickups ●コントロール:Volume & Tone Control with 3-Way Toggle Pickup Selector & Two Mini-Toggle Coil-Tap Switches ●カラー:Black Gold Burst ●付属品:Gig Bag
【問い合わせ】
コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569 https://www.prsguitars.jp/35th-se-custom24
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

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