AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
DAW/シーケンスソフト
音楽制作を始めてみたいけど何が必要なのか分からない……。そんなビギナーの方へ向けて、パソコンで曲作りを始めるために役立つ知識とツールを紹介する本特集が『Sound & Recording Magazine for Beginners』です。サンレコ本誌にも登場しているサンレコさんとビギナーちゃんとともに、制作機材について学んでいきましょう! まず始めに、現代の音楽制作に欠かせないDAWについて紹介します。
現代の音楽制作ではDAWが必須! これさえあれば、パソコン1台で楽曲を作り上げることだって可能です。このページではDAWがどういったソフトウェアなのかを解説し、後半では主要なDAWを幾つか紹介します。
結局DAWってどういう意味なんですか?
Digital Audio Workstationの略よ。パソコンを使った音楽制作ではこのDAWが欠かせない存在! 歌や楽器のレコーディングと編集、それらを上手に混ぜ合わせて曲として仕上げるミックスまで、あらゆる作業ができるソフトになっているの。DAWでは“プラグイン”と呼ばれるソフトウェアの音源(シンセやサンプラー)や音を加工するエフェクトが備わっているわ。それらを使って楽曲を作っていくの。
どんなパソコンでもDAWは使えますか?
DAWごとに“動作環境”が少し違うからそれを参考にするといいわ。DAWによっては使えるOS(Mac/Windows/Linux)が限られているものもあるの。使いたいDAWが自分のパソコンで動作できるか確認しましょう。また、曲作りが複雑になってくると大量の録音データを扱ったり、ソフトウェアの音源やエフェクトをどんどん追加することもあるわ。そうなるとパソコンのスペックが高い方が有利ね。
いろいろな種類のDAWがあって、どれを選べばいいか分かりません!
DAWによっても持っている特徴はさまざま。商業スタジオで多く使われていてエンジニアとファイルの共有がしやすいもの、ループするフレーズを発展して曲を作るスタイルに向いたもの、作曲を支援してくれる機能が豊富に備わったものなどがあるの。まずは次ページでDAWの基本を知ってから、各DAWの紹介を読んで自分に向いていそうなものを選ぶと良いと思うわ!
スタジオの標準DAWとされているソフト。時間軸上にトラックが並ぶ“編集ウィンドウ”と、ハードウェア・ミキサーを模した“ミックスウィンドウ”を基本構成としています。編集ウィンドウでは、別画面を開くことなくオーディオやMIDIをそのデータの最小単位まで編集可能。ミックスウィンドウでは信号の柔軟なルーティングが行えます。また、Avid Cloud Collaboration機能を使えば、離れた場所にいる人とも1つのプロジェクト内で共同作業ができることもポイントです。1カ月または1年の単位でソフトを使用する権利を購入できるサブスクリプション・ライセンスのほか、永続ライセンス(70,800円)も用意されています。永続ライセンスを購入すれば期間の制限無く使用でき、1年間の無償アップグレード権や17種類のプラグイン特典(年間サプスクリプション)も利用できます。サポートが必要な場合は、年間サポート・プランも別途購入可能です。まずは、誰でも使用できるPro Tools|First(無償)で試してみるとよいでしょう。
動作環境:
Mac » OS X 10.12.6/10.13.6/10.14.6
Windows » Windows 10(64ビットのHome/Pro/Enterprise)
共通 » 16GBのRAM(32GB以上を推奨)、15GB以上のディスク空き容量(インストール時)、インターネット接続環境(インストール時)、64ビットのAAXプラグインに対応
製品情報・問合せ:https://www.avid.com
2014年に発売されたドイツ産のDAW。Mac/Windowsだけでなく、Linuxにも対応しています(ディリゲントではLinux版のサポートは対象外)。パッケージ版/ダウンロード版ともに価格は46,250円。購入後12カ月が経過したバージョン1または2のユーザーは、アップデート版(19,000円)、対象の他DAWユーザーはクロスグレード版(31,000円)を購入可能です。従来のDAWと同様の時間軸をベースにする“アレンジビュー”に加え、オーディオ/MIDIファイルをインポートし、アレンジビューのタイムラインに縛られず再生できる“クリップランチャー”を備えているのが特徴。1つのトラックの中でオーディオ・クリップとMIDIクリップが混在できるのもポイントです。外部のモジュラー・システムとの連携もでき、同期信号の受け渡しやMIDIノートからのCV/Gate生成が可能。最新バージョンでは、The Gridと呼ばれるモジュラー機能が追加されました。150以上のモジュールを使って、自分だけのモジュラー・システムをBitwig Studio内で作ることができます。
動作環境:
Mac » OS X 10.11以降、INTELのCPU
Windows » Windows 7以降(64ビット)、INTELまたはAMDのマルチコアCPU
共通 » 4GB以上のRAM、12GBのディスク空き容量、解像度1,280×768以上のディスプレイ、VSTプラグインに対応
製品情報・問合せ:http://dirigent.jp/
ステップ・シーケンサーで作成したパターンを“プレイリスト”と呼ばれるプロジェクト画面に並べて曲を作るDAWです。こうしたパターン・ベースの制作環境により、トラック・メイカーを中心に人気を博しています。オーディオ機能が省かれたエントリー・グレードのFL Studio 20 Fruity Editon(16,000円)、オーディオ/シーケンス機能や基本的なプラグインが備わったFL Studio 20 Producer Editon(26,000円)、Producer Editonに7つのプラグインを追加したFL Studio 20 Signature Bundle(34,000円)、IMAGE-LINEのすべてのプラグインを収録したFL Studio 20 All Plungins Bundle(120,000円)をラインナップ。パッケージ版では、Signature Bundleと解説本のセットになったFL Studio 20 Signature 解説本バンドル(35,800円)やクロスグレード版(22,000円)も用意されています。バージョン20でMac/Windowsの両OSで使用できるようになりました。
動作環境:
Mac » OS X 10.11以降
Windows » Windows 7以降
共通 » 4GB以上のRAM、4GB以上のディスク空き容量、XGA以上の解像度のディスプレイ(SXGA以上を推奨)、インターネット接続環境
製品情報・問合せ:https://hookup.co.jp
国内メーカーのINTERNETによるWindows用DAW。Ability 3.0 Pro(パッケージ版:54,000円/ダウンロード版:38,000円)とAbility 3.0 Elements(パッケージ版:30,000円/ダウンロード版:22,500円)のほか、Ability Proクロス・アップグレード版(対象の他DAW所有者に特別価格で提供)が用意されています。64ビット・エンジンによるクリアな音質が特徴で、Pro版なら最大16個のエフェクトを用いたかけ録りも可能。MIDIはリアルタイム入力、ステップ入力に加え、ピアノロールやステップエディタ、スコアエディタでも打ち込みができます。作成したMIDIデータは譜面化することも可能です。バージョン3.0では、さまざまな機能を1つの画面に集約したワンウィンドウ・モードに対応。またPro版ではミキサー・ヒストリーやVCAフェーダー、Channel Linkといった機能も新たに装備しました。バンドル・ソフトにはIK MULTIMEDIA SampleTank 4 SEとAmpli Tube Metalが追加されています(Pro版のみ)。
動作環境:
Windows » Windows 7以降(32/64ビット、日本語版OSのみ対応)、INTELまたはAMDのマルチコアCPU、8GB以上のRAM、60GB以上のディスク空き容量(Ability Pro)、5GB以上のディスク空き容量(Ability Elements)、解像度1,280×800以上のフル・カラー・ディスプレイ、VSTプラグインに対応
製品情報・問合せ:https://www.ssw.co.jp/
1985年に発売されたMIDIシーケンサー、Performerが進化を遂げ、オーディオも扱えるようになったのがこのDigital Performer。長年Mac専用でしたが、現在ではWindowsにも対応しています。MIDIシーケンサーとしての長い歴史を持つ故、そのMIDI編集のやりやすさを評価するユーザーが多いです。MIDI分解能が480PPQや960PPQなどのDAWが多い中、Digital Performerは2トリリオン(兆)PPQまで対応可能。高い精度でMIDIを扱うことができます。また、特徴的な機能がチャンク。1つのプロジェクト内に幾つものシーケンスを持つことができます。違うアレンジのバージョンを作ったり、複数の曲を用意してライブのマニピュレートで使うなど、さまざまな活用方法が考えられるでしょう。最新のDigital Performer 10(オープン・プライス/市場予想価格65,000円前後)では、オーディオやMIDIのループをスタック/トリガーできるクリップウインドウや、ZYNAPTIQ ZTX Proテクノロジーによるオーディオ・ストレッチ機能が追加されました。
動作環境:
Mac » macOS 10.11以降
Windows » Windows 7以降
共通 » INTEL Core Duo CPU 1.83GHz以上(マルチコア推奨)、4GB以上のRAM(8GB以上を推奨)、1,024×768以上のディスプレイ解像度(1,280×1,024以上を推奨)
製品情報・問合せ:https://h-resolution.com
STEINBERG Cubaseを設計していた技術者たちが手掛けたMac/Windows対応のDAW。Studio One 4.6 Professional(ダウンロード版:39,630円/ボックス版:オープン・プライス/市場予想価格40,556円前後)、Studio One 4.6 Artist(ダウンロード版:11,852円/ボックス版:オープン・プライス/市場予想価格12,778円前後)、Studio One 4.6 Prime(ダウンロード版のみ:無償)の3グレードをそろえています。Professional版は64ビットのミックス・エンジンを搭載し、マスタリング専用のプロジェクト・ページを備えるのも特徴です。マイナー・アップデートによって、バーチャル・インストゥルメントのマルチプロセッシング機能を強化。さらにミキサーの入力セクションには、入力ゲインと極性コントロールを搭載しました。そのほかにも、MIDIノート編集やトラックのグループ管理、プラグイン・マネージャー、エクスポートに関する機能なども進化。バージョン4のユーザーはフリー・アップデートが可能です。
動作環境:
Mac » OS X 10.11以降(64ビット)、INTEL Core 2 Duoプロセッサー(Core I3以上推奨)、AU/VSTプラグインに対応
Windows » Windows 7(64ビット、SP1+プラットフォーム・アップデート)/Windows 8.1/Windows 10、INTEL Core 2 DuoまたはAMD Athlon X2プロセッサー(INTEL Core I3またはAMD Athlon X4以上推奨)
共通 » 4GBのRAM(8GB以上を推奨)、40GBのディスク空き容量、解像度1,366×768以上のディスプレイ(High DPIディスプレイを推奨、タッチ操作にはマルチタッチに対応したディスプレイが必要)、インターネット接続(インストールとアクティベーションに必要)、VSTプラグインに対応
製品情報・問合せ:https://www.mi7.co.jp/
1989年に発売がスタートしたMac/Windows用のDAWです。生演奏から打ち込みによるエレクトロニックな楽曲まで、幅広いジャンルをカバーできる機能&プラグインの豊富さが魅力。64ビット浮動小数点のミキシング・エンジンを採用しています。最新バージョンではChannel EQに比較モードを搭載。2つのトラックのスペクトラル・カーブを重ねて表示して、オーバーラップする帯域が視認できるようになりました。また、プロジェクトから任意の範囲のビデオとオーディオを書き出すことが可能に。付属プラグインにはMultiTap Delayが追加され、さらにシンセのPadshopがバージョン・アップしてPadshop 2となっています。ほかにも、MIDIのプリレコードやプロジェクト同士でのトラック読み込み機能が強化。Cubase Elements 10.5(オープン・プライス:市場予想価格12,000円前後)、Cubase Artist 10.5(オープン・プライス:市場予想価格32,000円前後)、Cubase Pro 10.5(オープン・プライス:市場予想価格57,000円前後)という3つのグレードを用意しています。
動作環境:
Mac » macOS Mojave(10.14)またはCatalina(10.15)
Windows » Windows 10(ver.1809 / ver.1903、64ビット版)、Direct X 10及びWDDM 1.1に対応したグラフィック・ボード
共通 » INTEL Core IまたはAMD Ryzenマルチコア・プロセッサー(INTEL I5以上を推奨)、4GB以上のRAM(8GB以上を推奨)、30GB以上のディスク空き容量、1,440×900以上のディスプレイ解像度(1,920×1,080以上を推奨)、VSTプラグインに対応
製品情報・問合せ:https://new.steinberg.net/ja/cubase/
├ 音楽制作の中心的存在=DAW
├ オーディオI/Oは音が行き交うターミナル
├ 高音質での録音/再生に欠かせないマイク&モニター機器
├ 制作により深みを加えるMIDIコントローラー&シンセ&プラグイン
├ モビリティに長けたタブレット&スマホ・ツール