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- 2024/11/16
Fender / Jim Adkins JA-90 Telecaster Thinline
今年3月に開催されるDOWNLOAD JAPAN 2020に出演が決定しているジミー・イート・ワールド。そのフロントマンであるジム・アドキンス(vo,g)のシグネチャー・モデル、Jim Adkins JA-90 Telecaster Thinlineに、ニューカラー・モデルが加わった。もともと彼が愛用していたTC-90をもとに、自身が好むスペックを盛り込んだ1本である。そして今回、NAMM2020の会場でジム本人にコンタクトを取ることに成功。シグネチャー・モデルのこだわりを語ってもらった。
僕たちみたいなパンク・ロックだけでなく、
スカでもカントリーでも、幅広い音楽で使えるサウンドに仕上がっていると思うよ。
──以前にはクリムゾン・レッド・トランスペアレントやナチュラル・カラーのシグネチャー・モデルをリリースしていましたが、今回発表されたJA-90はアークティック・ホワイト・カラーですね。
実はその前にブラック・トランスペアレント・カラーも出していて、今作で4作目なんだ。このモデルにいたるまでには、いくつかスペックを変更しているんだよね。3作目のナチュラル・カラー・モデルを作る時にはネック材をメイプルにしたのを覚えている。ブライトなトーンが気に入ったし、ルックスもナチュラルなアッシュ・ボディによりマッチしたからね。だから今回もメイプル・ネックを採用したよ。それと前のモデルのプレイ・アビリティがとても気に入っていたから、今作ではカラー以外は大きな変更は加えていないんだ。
──このモデルは2005年頃に製造されていたTC-90 Thinlineをベースに開発されているんですよね?
フェンダーのヘッドオフィスがアリゾナ州にあるんだけど、僕たちが使っていたスタジオが近所だったんだ。フェンダーのスタッフの多くはミュージシャンで、地元のミュージック・シーンで活躍している人がたくさんいてね。だから彼らとライブ会場とかで知り合う機会も多くて、TC-90を紹介してもらったんだ。そしてしばらく使っているうちに、「TC-90をカスタマイズしたい」と相談を持ちかけた。で、何度かこのような話をしていたら、「せっかくだから一緒にギターをデザインしてみないか?」と提案されたんだよ。当時使っていたほかのギターの気に入っていたところと、TC-90のセミ・ホロー・ボディのサウンドを合体させて、JA-90が完成したというわけさ。
──ネックのスケールが629mmと少し短めですよね。これはサウンド面でレギュラー・スケール・モデルに比べてどのような違いがありますか?
うーん……スケールの長さでサウンドが変わるのかは正直わからないな。どちらかと言うと、それまで使い慣れてきたギターのスケールに合わせて長さを調整してもらったんだ。サウンドを重視したというよりは、自分に合ったプレイ・アビリティを優先して採用したスケール仕様だね。
──ジミー・イート・ワールドのようなギターを歪ませる音楽にはシングルコイルよりもハムバッカーのほうが合うという意見もありますが、あなたはこのモデルにセイモア・ダンカン製P-90シングルコイルを採用しています。その理由を教えてもらえますか?
僕はジーザス・リザードのデュアン・デニソンや、ロケット・フロム・ザ・クリプトのジョン・リースが出すギター・サウンドがすごく好きなんだ。彼らのような、激しく歪ませてもコード感を残しつつ、プレイの輪郭がきちんとわかるサウンドを僕のモデルでも目指していてね。P-90はそういうサウンドが作りやすいピックアップだと感じていて、クリーン・トーンとダイナミクスもすごく好きだよ。あとはシングルコイルだけどエネルギッシュなところも気に入っている。例えるなら、コーヒーを飲みすぎてカフェイン・ハイになっているような独特のパワー感があるんだよね(笑)。一般的なソープバー・タイプのピックアップよりもデンジャラスで、おもしろみがあると思うな。
──セミ・ホロー構造ですが、ハウリングなどの問題はないですか?
セミ・ホロー・ギターは確かにハウリングしやすいという性質があるよね。でも、それはアンプやエフェクターのセッティングで大部分は解消できる問題だ。逆にハウリングしやすい性質を利用して演出に組み込んだりする時もあるよ。僕は決してフィードバック・ノイズが嫌いなわけではないんだ。ハウリングしている中で曲を演奏するのも楽しいと思っているよ。あと最近は腰痛でね(笑)。セミ・ホローは軽いから体にも優しいよ(笑)。
──JA-90はどのようなプレイヤーにオススメですか?
僕たちみたいなパンク・ロックだけでなく、スカでもカントリーでも、幅広い音楽で使えるサウンドに仕上がっていると思うよ。Telecasterが使われる音楽であれば、間違いなくこのギターも普通に使えるだろう。そこまで高額な製品というわけではないけど、1本目のギターとしてはちょっと敷居が高い値段かもしれないね。だから2本目としては最適だと思うな。ギターがある程度弾けて、これからもずっとギターという楽器を弾き続けていきたいと考えているプレイヤーには、サウンドのパレットを広げる良いチョイスになるだろう。いろんなジャンルの音楽で、いろんなプレイ・スタイルで使ってもらえたらうれしいね。
──3月には来日公演も行なわれます。最後に日本のギタリストへメッセージをお願いします。
早くツアーに出て、日本のファンのみんなに一日でも早く会いたいと思っているよ。日本まで行ける機会はなかなかないから、今回もツアーのついでにいろんな人と出会って、いろんなところを訪れて楽しみたいと思っている。日本は目まぐるしく変化していく国だから、きっと3月に訪れる時にはまた新しい発見があるだろうね。本当にみんなと会えるのを楽しみにしているよ。みんなも僕たちのライブを楽しみにしてくれていたら、とてもうれしいな!