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- 2024/11/16
Fender / NAMM Show 2020 New Model
こちらではフェンダー製品開発最高責任者であるジャスティン・ノーベルと、シニアプロダクトマネジャーのアル・アバシのインタビューを掲載。ジャスティンには製品全体について、アルには売れ行きが好調なPlayer Seriesの新展開である“Phase Ⅲ”について話を聞いた。
一生付き合ってもらいたい楽器ですから、
自分の好みに合わせて楽器のカスタマイズも楽しんでいただきたいですね。
──今回はAmerican Ultraシリーズを軸に、待望のAcoustasonic Stratocasterや新たなMustang Amp(Mustang GTX)、新しいペダル(MTG Tube Tremolo)もリリースされます。その中でも特に注目すべき製品と、それぞれの魅力を簡単に教えてください。
今年も多くの新製品を発表している中で優劣をつけるのは難しいのですが、世界のトップ・アーティストたちの信頼をいただきながら製作しているアーティスト・モデルは、私たちも特に誇りを持っていますね。今年はエリック・ジョンソンのVirginia Stratocaster、トム・モレロ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)のTom Morello Stratocaster、ジム・ルート(スリップノット)の新しいJim Root Jazzmasterを。そしてカスタムショップからはジョージ・ハリスンのRocky Stratocasterを発表します。また、アンプの製品開発で培ったノウハウをペダルに凝縮したMTG Tube Tremoloも、フェンダーならではのユニークな試みだと思います。
──最近はアクセサリー類も非常に充実してきており、さまざまなパーツが販売されています。“カスタマイズできる”というのをフェンダー・ギターの魅力のひとつとしてあげるギタリストもいるほどですが、そういう人にとってはすべて純正パーツで改造できるのは非常にうれしいことだと思います。このようなパーツ類、アクセサリー類の拡充はどのような目的があるのですか?
フェンダー製品の魅力は、おっしゃるとおりコンポーネントを交換しやすい構造、すなわち柔軟なモジュール性です。レオ・フェンダーは製品のメンテナンスのしやすさを確保するためにこのような構造にしたのですが、プレイヤーのスタイルや嗜好は時とともに変化していき、そのようなニーズにも柔軟に対応できるのも、この構造の便利なところです。一生付き合ってもらいたい楽器ですから、自分の好みに合わせて楽器のカスタマイズも楽しんでいただきたいですね。
──革新的/現代的なプロダクトが注目されがちですが、今年はビンテージ・リイシューとして、64年製プリンストン・リバーブをハンドワイヤリングで再現した'64 Custom Princeton Reverbがラインナップに加わりました。すでにシルバー・フェイスの68年製モデル、ブラウン・フェイスのクリス・ステイプルトン・モデルがラインナップされていましたが、2020年に本機をリイシューした経緯と、その魅力について教えてください。
近年プレイヤーのアンプの好みは、よりコンパクトなチューブ・アンプへとシフトしています。そのようなトレンドの中で、プリンストン・アンプを求める声も多く聞かれるようになりました。本機はハンドワイヤリングの基板とパイン材のキャビネットにより、60年代のサウンドをバランス良く再現できているのが魅力です。
──また、今回のLead Ⅱ & Ⅲの発表には驚きました! いわゆるビンテージ・フェンダーではない、1980年前後のこのモデルを復刻した経緯はどのようなものだったのでしょうか?
フェンダーのスタッフの多くがLeadモデルのファンなんですよ。また、フェンダー・ファンの中からも「いつもの定番モデルとは違うもの」を求める声が上がってきていたのも大きいですね。私自身、Leadモデルのダブル・カッタウェイ・デザインと特殊なワイヤリングには昔から興味を持っており、特にトランスペアレント・レッド・カラーのボディにブラック・ピックガードというコンビネーションに惹かれていました。Leadモデルはフェンダーの定番モデルとは一味違った雰囲気がありますが、完全にフェンダーの製品と言えるおもしろさも併せ持っています。フル・スケールでありながら若干コンパクトなサイズもクールですよね。80年代の文化がリバイバルしているということもあり、タイムリーに発表できたことをうれしく思っています。
──Playerシリーズには2ハムバッカーのテレキャスターやフロイド・ローズ搭載器なども加わり、対象とするギター・プレイヤーの幅がさらに広がりました。Made in Japan Modernシリーズを始め、特にヘヴィメタル/ハードロック・ギタリストたちへの対応が向上した印象ですが、Playerシリーズのラインナップ拡張の目的と、新ラインナップの魅力について聞かせてください。
「フェンダーの主力モデルが好きだけど、もっとアグレッシブな音楽にも使えるパワフルな製品が欲しい」というリクエストも聞いていますので、そのようなニーズに対応しました。私たちはすべてのジャンルのプレイヤーに対してソリューションを提供したいと考えています。もちろん、ヘヴィメタルやハードロックを好むプレイヤーも例外ではありません。「フェンダー製品はラウド・ミュージックに適さない」という印象をお持ちの方も多いと思いますが、スリップノット、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、アイアン・メイデン、ディープ・パープル、イングヴェイ・マルムスティーンなど、ヘヴィメタル/ハードロック・アーティストたちにもフェンダーは昔から愛用され続けています。
──2020年のフェンダーの製品戦略について聞かせていただけますか?
最近ではヒップホップやR&B、エレクトロニック・ミュージックなど、今までエレクトリック・ギターがあまり目立たなかった音楽シーンのライブやレコーディングでギターが使われることが増えてきたと感じています。ギターはリフを作るためだけでなく、「独特のテクスチャーをサウンド・スケープに与えるツール」として再注目されるようになってきているのです。実際、世界各国においてギター市場は成長しているんですよ。とてもエキサイティングな時代ですので、時代に合った製品展開を続けていきたいと考えています。
──最後に日本のFender Loverへメッセージをお願いします!
フェンダーにとって日本はとても大事な国で、いつも日本の動向に注目しています。個人的にも何度も訪れていますし、何度でも訪れたいと思わせてくれる素晴らしい国です。渋谷や御茶ノ水、大阪の街を歩きながらインスピレーションを受け、新製品のアイディアを思索するのが大好きなんです。また、日本のプレイヤーやファンのみなさまはフェンダー・ブランドの良き理解者で、私たちの歴史もよくご存知の方が多くいらっしゃいます。いつも応援いただき、とても感謝しています。アリガトウゴザイマス!
Player Series Phase Ⅲは
フェンダー・ブランドで最初の1本をお考えの方には最適なシリーズです。
──Player Series Phase Ⅲのラインナップを教えてください。
Mustang、Duo-Sonic、Mustang Bass PJです。今回からOffset SeriesがPlayer Seriesとなり、各モデルは新しいボディ・カラーで一新しました。それぞれのモデルはDesert Sand、Tide Pool、Aged Naturalという3色がラインナップされています。
──3つのニュー・カラーのコンセプトは?
Desert Sandはビンテージ・フェンダー・カラーとしてお馴染みですし、Tide PoolはPlayer Seriesの定番カラーです。なので、ビンテージ・カラーとニュー・カラーを組み合わせたラインナップになっています。Aged Naturalはアップデートされていて、よりビンテージらしい雰囲気が出ています。
──Offset Seriesからスペックの変更点はありますか?
スペックはOffset Seriesと同じですね。9.5インチの指板ラジアス、ミディアム・ジャンボ・フレット、そしてネック裏はサテン仕上げ。とてもスムーズに演奏できるので速いパッセージにも向いています。このフレットと指板ならベンディングも簡単ですよ。ピックアップもOffset Seriesと同じで、グレイトなサウンドです。Duo-Sonicはデュオ・ソニック・シングルコイル・ピックアップ搭載モデルとハムバッカー搭載モデル(Duo-Sonic HS)があって、ハムバッカー・モデルはコイル・タップでシングルコイルに切り替えが可能ですね。そしてMustangもムスタング・シングルコイル搭載モデルと、ムスタングMP-90搭載モデル(Mustang 90)があるんです。それらはまるでハムバッカーとシングルコイルの中間のようで、高音域の明瞭さを保ちつつ、ディストーションやオーバードライブ感も得ることができるんですよ。
──Mustang Bass PJについても教えてもらえますか?
ジャズ・ベース・タイプのピックアップとスプリット・コイル・ピックアップが搭載されています。注目すべきはショート・スケールと小さめのボディの組み合わせなので、ビギナーの方が練習しやすいということ。サイズが小さいとネックを握ることやボディを抱えることが難しくないですからね。そしてこのモデルも3色のカラー・バリエーションで、すべて新しく追加されたカラーとなっています。
──最後にPlayer Series Phase Ⅲが気になっている方へメッセージをお願いします。
手に取りやすい価格ですし、フェンダー・ブランドで最初の1本をお考えの方には最適なシリーズです。レオ・フェンダーはMustangをスチューデント・モデルとして開発した経緯があるので、私たちはその伝統を受け継いでいきたいですね。