AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
エレキ・ギター(ジャンク)
ジャンク・ギターの修理をライフワークとする“こいち”による、ジャンク沼誘導連載第二弾。今回は、初回の反省を生かして“比較的軽症”を条件に探した結果、ジミー・ペイジやシド・バレットも愛した名器の後継モデル、Danelectro 59-DC(美品)を発見。ジャンク初心者にも手を出しやすい、汚れのクリーニング方法をご紹介!と思いきや、意外なところに落とし穴が……。
【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。
こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。
助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。
前回の教訓を生かしてほどよい症状のジャンクを探しに楽器の聖地、御茶ノ水へ巡回しに来ました!
御茶ノ水駅からリットーミュージックへ向かう道中、必ず立ち寄るお店ですね
ここは中古買取して手に負えない(割りに合わない)と判断したジャンク・ギターを店頭で投げ売りしている感じなので、御茶ノ水に来た際はぜひチェックすべき観光スポットだ
「こいち時間」に登場した楽器・機材は数知れず……
しみじみ
こ、これは……!
ダンエレの59-DCだ。ボディ材をメゾナイトという……
買ってきます!
早いよ。でも一品物のジャンク楽器の購入には大事なことでもある
女々しく細かく店員に症状なんて聞いてられませんよ!
必要かどうかじゃない!
買ってから考える!
優しい店員さんがフェンダージャパンのソフト・ケースを付けてくれました
裸で持ち帰らなくちゃいけないお店もあるから、勢いで買うと大変な目にあうぞ
ある時はドラムのタムをスイカのように持ち帰り……
ある時はギターをプチプチで簡易包装されて持ち帰ったものだ
あらためて見るといいなーこのギター。手頃な値段のセカンド・ギター的なポジションだし、かわいいし、普通にうらやましい
なかなかの目利きでしょう!
ざっと症状を確認するとガリもなく、ネックの反りもなく、ただただ汚いだけっぽいな
え、このベタベタするガムテープの粘着物を綺麗にするだけで終わるんですか!?
個人的にはパンチが弱いけど、ジャンク弄り界隈の裾野を広げるためには仕方あるまい(しょんぼり)
センセー的にはハズレだけど、ジャンク沼への触りとしてはアタリということですね!
ギャンブルの取っ掛かりに成功体験は必要だしね。でかしたぞー(棒読み)
ストラップ・ピンからノブに至るまでガムテープでの固定跡があることから、前のオーナーは相当激しい演奏をする人だったということがわかる
その割に塗装やペグなどへのダメージが少ないのが救いですね
ギターを投げたりはしてない人だったということがわかる
だんだん考察が雑になってきてます
例えばこちら、1弦が切れてもペグ・ポストからは外さず、そのまま新しい弦を張っているようですが
ライブ中に弦が切れて急いで交換する必要があったのかなあ
普通だ〜
あ、ブリッジに亀裂が入ってる
ええ!?
交換用のパーツがたくさん出ている古典的なギターならまだしも、こういう壊れたら代替部品を探すのも苦労するモデルには致命的な問題だぞ
えええ……
お店側もしっかり状態を確認したうえで「直しても仕方がない」とジャンク販売にしたんだろうね
……ということは
奇しくもまた重い症状を引いてしまったようだ
お買い得なジャンク・ギターを手に入れたと浮かれていたのに……(しょんぼり)
悲観することはないよ。当初は「ギターを綺麗に掃除するだけのつまんない個体を持ってきやがって」とテンションが上がらなかったくらいだが
散々に言いよる
こうなってくるとジャンク・パーツの在庫も生きるし、対処方法を考えたりするのが楽しくなってくる。でかしたぞー!
ムキー!
とりあえずステッカー、ガムテープ跡の掃除は頼んだよ
助手使いが荒い
個人的にはめちゃくちゃやりたくない作業の筆頭になる。だってアンプに繋げば音は出るし、このまま遊べるもの
記事上、仕方ないとしても良い経験になりますね
シール剥がし用にオレンジオイルを塗って数分放置します
垂れてしまったり塗りづらいところには、オイルを塗ったあと患部に食品用ラップフィルムを被せるなどしてください
一応、ボディ・サイドは塗装ではなく建築用の壁紙シートみたいなものなので、オイルが浸透しないよう気をつけること
このギターのカッタウェイの内側部分はすでに剥がれちゃってますね
時間が経ったダンエレの末路だ。気になるような人は所有することにそもそも向いていないと思う
厳しい
ちなみに塗られている塗料によっては相性が悪いこともあるので、大事な楽器はピックガードやネック・プレートの内側の塗装面でパッチテストしてください
数分待つ予定が、けっこうな時間をTVゲームに費やしてしまったわけですが
基本的に待てない性分なので、塗装や接着の時にもこれを生かしたいと思いました
知見を得ている
ほーら、みるみる粘着物が落ちていくぞ〜!
確かに数分だけ放置するより作業性が良いのが悔しいですね
カチカチに固まった頑固な接着剤も簡単に取れる〜!
傷心している身にこのノリはキツイ
大まかにオレンジオイルで接着剤を除去したら、ピカールなどの研磨剤で残った汚れも取りつつ、最後は表面の油分を取るため、パーツ・クリーナーでサラサラした触り心地にしています
繰り返しになりますが、大事なギターは目立たないところでパッチテストを行なってください
店員さんが途中までステッカーを剥がしてくれていたおかげで、苦手な作業も大変スムーズでした
前オーナーとギターのドラマを想像するのが楽しいし、貼ってあるステッカーはそのままでも良かったんだけどね……
剥がさないですよねそれ
うん、愛着が湧いちゃう。知らないバンドのステッカーが貼ってあっても剥がさない
知らないアーティストのサインは?
それは落書きなので消します
分解・清掃中に面白かったのがピックガードとジャック、ボディの取付部分で、シールドの抜き差しに対してピックガードが変形しないように、金属プレートが良い仕事をしていたこと
端っこのネジ1本で留まっているかと思ったら、金属の爪をボディにスライドして固定するような形になっているんですね
ホロウ・ボディという特徴をそのまま利用しているのが大変スマートで賢い
最初はピックガードの外し方がわからず金属の爪を曲げてしまったそうですが
自分の賢さが及ばなかった部分でもある。だってピックガードの他の部分は両面テープで留まってるんだよ……? そういう設計の気持ちに合わせるじゃん
フレットの減りから見てもそこまで弾かれたギターでもないみたい
ライブのメインで使うには不満もあったんでしょうね
フレットのくすみと指板の汚れは前回と同じく、番手の細かいスチールウールで指板ごと掃除した後に、ピカールで研磨してオレンジオイルで仕上げてみた
基本的にローズ指板で安価なギターだったらこの流れが多いですね
作業量と達成感のバランスがちょうど良くて好きなのだ
この破損部分を店頭で気づいてパスした猛者はいるのだろうか?
こんなのかわいさ余って勢いで買っちゃいますよ
購入を煽った手前のフォローでもないけど、これは自分でも自信ないわ
よく見たら、くたびれたレス・ポールのブリッジみたく、ボディ方向に変形もしてますね
もともと細かく調整できるようなブリッジでもないけど、指板のアールに合わせると6弦と1弦の弦高は下げづらいだろうなあ
ということで多少の責任も感じるので作ってみた
割愛されすぎて置いていかれました
現物から寸法をトレースして、ホームセンターで買ってきたアルミ板を加工しました
金属加工は敷居が高い気もします
エレキ・ギターに使われる木材に比べて、とりわけ加工が難しいほど硬いわけでもなく、なんなら一番柔らかくて加工性が良いまであるので気軽に挑戦してほしい
ともあれ、ありがとうございます……!
御託は置いといて、もともと付いているアルミ製ナットにアルミ製ブリッジ・プレートを組み合わせたかった
まるでこれが本来の姿かのような統一感ですね
ジャンク・ギター弄りは人によってさまざまな対処があると思うし、他社製のリプレイスメント・パーツでガッチガチに「改造しました」感を出すのも悪くないけど、「こいち時間」的にはこれが正解かなと
ギター本体に加工を施すのは最後の手段と
自分自身がジャンク・ギターだったら「こいちさんに買われて良かった」と思うような施工を心がけたいものだ
臆病さもあるので普段より少し細いゲージの弦を張ってみました
チューニングも問題なさそうですね
またしばらくTVゲームでもして様子を見てみるか
こらこら
良かれと思って買ってきたジャンク・ギターが重症とは、前回の二の舞でしたね
まさかブリッジ・プレートを作る羽目になるとは思わなかったよ
でも手が加わると愛着もひとしおですね
こうなると思い出補正でジャンク・ギターが増えていく一方なので気をつけるんだぞ!
説得力がすごい
(ゴソゴソ)
……?
ちなみにこれは自分が過去に手に入れたジャンクのダンエレだ
同じの持ってるんかい
購入価格が同じくらいで少し違う! ピックアップは最初からディマジオのスーパー・ディストーションが載っていたし、ブリッジもワンランク上のものに交換されている状態だった。こっちのほうがお得感が勝る
め、めんどくさ〜!