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- 2024/11/16
波形編集ソフトウェア/DAW/シーケンスソフト
平成から令和へ。時代の節目となった2019年も残りわずか。皆さんにとってどんな1年でしたでしょうか? 今回はデジマートでの売り上げデータや、全国の楽器店から寄せられた情報を元に、今年売れた電子楽器&音響機器について振り返ってみます!(各カテゴリごとに製品名のアルファベット順で掲載しています)
Mother-32、Grandmotherと並ぶ、MOOGのお母さんシリーズのひとつ。Brother From Another Mother(直訳すると「異母兄弟」、転じて「仲の良い友達」の意)を文字ったネーミングになかなかのセンスを感じます(笑)。こちらは8ステップ・シーケンサーを搭載したアナログ音源のリズム・パーカッション・シンセサイザー。MOOGらしい太いキックから、過激なエグいサウンドなど、セミ・モジュラー・シンセならではの多彩な音作りが可能です。
ミニ鍵盤、電池駆動、スピーカー内蔵でありながら、JUPITER-8、JUNO-106、SH-101などのアナログ・シンセから、XV-5080やRDシリーズといったPCM系音源、さらにTR-808、TR-909、CR-78などのビンテージ・リズム音源までも搭載。これほど大量な音源を持ち運べる小型シンセサイザーって今まであったでしょうか? 標準鍵盤の61鍵モデルJUPITER-Xは来年発売予定。こちらはJUPITER-8そっくりでゴージャスなデザインと操作性に富んだレイアウトがポイント。発売が待ち遠しい!
人気アナログ・シンセ“minilogue”が、上位機種“Prologue”直系のデジタル・マルチ・エンジンなどを追加し大幅にグレード・アップ! 音作りの幅が一層広がりました。エフェクト部においては、ステレオ化され、ディレイのほかにモジュレーション&リバーブが追加。しかも3系統同時使用可能です。特に“Riser”、“Submarine”というリバーブは昇天しそうなぐらい幸せな気分にさせてくれます。また、16個のボタンを鍵盤代わりに演奏できるKEYBOARDスイッチを装備したモジュール版「minilogue xd module」も発売され話題になりました。
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今年あたりからようやく “モジュラー・シンセ”の要素を取り入れた電子楽器が注目されるようになりましたね。その中でもVolca Modularは、モジュラー・シンセをさらに身近な存在にしてくれました! 8つのモジュール、50のパッチ・ポイントを装備したセミ・モジュラー・アナログ・シンセ・モジュールと、デジタル・エフェクト搭載し、volcaならではのシーケンサーが見事に融合。モジュラー・シンセ入門編としても最適な1台です。同時に発売されたvolca drumと組み合わせれば、完全フロア対応の次世代ダンス・ミュージックが手軽に楽しめます。
キーボーディストからクリエイターのファースト・シンセとして選ばれることも多いJUNOシリーズ。特に軽量で電池駆動できるキーボードとして、ライブ・ハウスやリハスタでも重宝されています。現行モデルJUNO-DSは、1,200種類以上という膨大な音色がカテゴリ別に分けられており、自分の好きな音色をすぐに呼び出せるフェイバリット機能や、サンプラーのように使えるフレーズ・パッドやボコーダーなど、ライブの即戦力になる機能が満載です。61鍵モデルのJUNO-DS61はブラックとホワイトに加え、ブラック鍵盤を搭載したモデルJUNO-DS61B(写真上)が台数限定で発売されていますので、欲しい方は早めにゲットしてください!
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本格的なシーケンサーを搭載したモバイル・ワークステーション。なんといっても驚くべきなのはその軽さ。61鍵モデルで3.8kg、88鍵モデルで12.3kgという軽量っぷり! 1,000以上の膨大な音色からCATEGORYダイヤルで音色の種類を選び、VALUEダイヤルを回すだけの簡単操作で、自分の探したい音をすぐに見つけられるのも魅力です。またパッド・サンプラーやボコーダー、USBオーディオMIDIインターフェイスも搭載し、ライブ・パフォーマンスから楽曲制作まで対応。ファースト・シンセとして十分すぎるほど機能が充実しています! 61鍵モデルには4色展開のネオン・カラー・バリエーションのKROSS Special Editionのほか、シックなホワイト仕上げの本体に、音色搭載のSDカードとソフトケースを付属した島村楽器限定モデルKROSS2-61SC(写真上)といった豊富なラインナップが用意されています。
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ヤマハのフラッグシップ・シンセサイザーMONTAGEのテクノロジーを継承したシンセサイザー。サウンド・エンジンはMONTAGEそのもので、リアルな楽器音や即戦力のシンセ音色を豊富に収録したAWM2音源と、進化したFMシンセシスのFM-X音源を組み合わせて使用することが可能です。ここまで価格が抑えられたというのはとてもありがたいですね。また、MONTAGEにはなかったリズム・パターン機能が新たに追加されるなど、パフォーマンス向けの機能が強化されています。
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ステージ・ピアノCPシリーズの最新モデル。ピアノ、エレピ、その他の音源といった3つのセクションが完全に独立していて非常にわかりやすい! これまでのCPシリーズにはなかった斬新なレイアウトです。重要なピアノ音源には、3種類のグランド・ピアノ(CFX、S700、ベーゼンドルファー290インペリアル)とアップライト・ピアノ(U1、SU7)「CFX」、エレピ(CP80、78 Rd)といったライブ・ステージ不可欠な音色が網羅されています。丸みを帯びたアルミ素材を基調としたデザインもすてきです!
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真っ赤なNORDキーボードは、どのシリーズもデジマートでは人気が高いですが、その中でも一番売れたのがオルガンやエレピのセクションが強化されているモデルのNord Electro 6です。最大同時発音数が120ボイスと大幅に拡大されたピアノ・セクションや、2種類のパイプ・オルガン音源や、デュアル・オルガン・モードが追加されたオルガン・セクション、そして内蔵メモリーが拡張されたサンプル・シンセ・セクションなど、サウンド面が旧モデルよりさらに強化。またプログラム、ページをすばやく並べ替えできるオーガナイズ・モードなど、操作面においても向上しています。
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音楽制作に欠かせないDAWの中で今年最も売れたのがこちら。Cubaseは今年で30周年を迎え、それを記念したキャンペーン・セールが実施されました(なんと通常価格の半額!)。この恩恵を受けて手にされた方も多いのではないでしょうか? ぜひ使いこなしてすてきな楽曲を作ってくださいね。毎年のバージョン・アップで新機能が追加されていくのも楽しみであったりします。今年もバージョン10.5が11月に発表され、MultiTap Delayが追加されたり、ソフト・シンセPadshopがバージョン・アップしたりしました。
コンパクトで使い勝手が良いミニ32鍵盤仕様のキーボード・コントローラー。Ableton Live LiteやMaschine Essentialsといった音楽制作ツールに、6,100以上のサウンドや10GBに及ぶソフト音源やプラグインも付属します。MASCHINEシリーズと併用するとMaschine側の大型スクリーンを見ながら、音選びの操作やスケールやコード演奏設定ができるのでMaschineユーザーにサブ・キーボードとして人気絶大。コンパクトな点もモバイル性に富んだコンパクトなサイズも魅力的ですね。これだけのスペックでこの価格は、私も正直驚きました。
iZotope Ozoneは、エンジニアやクリエイターにとって欠かせないマスタリング・ソフトとして支持されていますが、廉価版のOzone Elementsが、キャンペーンで無料配布されたり、KORGのMIDIコントローラーなどを購入時に付属する KORG Software Bundleに追加されたりしたので、特に今年は一般的なDTMユーザー層にも広がったように感じます。このソフトの便利な点は何と言ってもAIが楽曲を解析して自動的に処理してくれるマスター・アシスタント機能です。これにより初心者でも簡単に楽曲の音圧の処理ができてしまいます。 また、AIを活用したチャンネル・ストリップ・プラグインNeutronもミックス・ダウンでそれぞれのパートの音処理を自動的に行なってくれるのでOzoneと併用するのがオススメです。これらはさまざまなバンドル製品として販売されているので、使用目的とご予算に応じてお求めくださいっ!
多くの販売店さんから「UR22MKIIは、入門用オーディオ・インターフェースとして定番化している」という声をいただきました。確かに、基本機能はバッチリな上に、Mac/WindowsだけでなくiOSにも対応し、DAWソフトCubase AIとアプリ版Cubasis LEも付属しているので、さまざまな環境に対応していますからね。また、入力信号とDAWからの再生音をミックスしてコンピューターに戻すことができるループバック機能はインターネット配信にも対応しています!
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→ 2万円以内で買える! ギタリスト&ボーカリスト向けのオーディオ・インターフェースの選び方
グルーヴ・マシンの元祖ことRoland MCシリーズが突如復活! しかも従来のモノとは比較にならないほど高いスペックです。同社の新ワークステーションFANTOMにも採用されている新音源を搭載し、リアルタイム・タイム・ストレッチ対応のオーディオ・ルーパーも装備しています。クラブ系のライブ・パフォーマンスでは、すでに多くのトラック・メイカーが導入しています。電池駆動可能な4トラック・シーケンサー版のMC-101も同時に人気があります。
6トラックのサンプル・ベースのグルーヴ・マシン。これまでのelektron製品とは違って、非常にシンプルな操作で直感的に扱えるのが特徴です。薄型で白いボディも今までのelektronにはないデザインですね! 豊富な内蔵音源だけでも十分楽曲制作が楽しめますが、コンピューターからサンプルを転送することも可能。また、ステップごとに各パラメーター値を記録できるパラメーター・ロックはもちろんのこと、トラックのトリガーを設定した確率でランダムに発音させるChanceというパラメーターを新搭載するなど、elektronならではの機能が満載です。
DJ機器メーカーPioneer DJの新ブランドTORAIZから発売されたマルチトラック・シーケンサー。USB(Type B)、MIDI、CV/Gate、Clock、DIN Syncといった豊富な接続端子を搭載し、DAWやMIDI機器はもちろん、ビンテージ・シンセやリズム・マシン、モジュラー・シンセもコントロールできます。そのさまは、製品名のとおり、まるでイカ(SQUID)のよう! また、「音源非搭載」という点も、シーケンサー単体機としての本気を感じます!
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→ TORAIZ SQUID × O.N.O
FM、8ビット、グラニュラーなどの強力なシンセエンジンとステップ・シーケンサー、エフェクトを搭載した電池駆動&スピーカー付き小型シンセサイザー。今年のNAMMで発表され話題となり、発売前からSNSでの制作過程の動画が公開され、シンセ・ファンの間で注目されていました。デジマートでは予約開始後あっという間に初回入荷分が売り切れてしまう店舗も。サウンド・クオリティの良さもさることながら、機能面も充実しており、先日OSがバージョン・アップし、外部クロック信号の受信が可能になりました。これによりKORG VolcaシリーズやTeenage Engineering Pocket Operatorシリーズなどとの同期演奏が楽しめます。
マルチメディア・シーケンサー/シンセサイザーと銘打たれているとおり、音だけでなくビジュアルやライティングまでのコントロールできるとても楽しい製品です。OP-1と同様に、見た目の想像を超える機能が満載ですが、操作感はPocket Operatorシリーズに近い印象です。また、特に面白いのが専用iOSアプリとの連携によるグラフィック系のコントロールで、3Dモーション・グラフィックスをOP-Zでコントロールできるモーション機能や、iPhoneの写真使って即興でミュージック・ビデオを生成できるフォトマティック機能も搭載しています。
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→【Yebisu303のMachine Live解体新書】第4回 OP-ZとPO-35で追求する“2ステップ”のグルーヴ
多くのシンセサイザーを所有されている方でも、気兼ねなくどこでも持ち運べるポータブル・キーボードが欲しいなぁと思ったことはあるはず。40音色+2ドラムキットを搭載したミニ・キーボードではありますが、これだけでは魅力が伝わりきれていません(笑)。アルペジエーター、モーション・エフェクト、フレーズ・レコーダー機能、USB-MIDIを搭載で、鍵盤にはrefaceで使われている高品位なHQ Mini鍵盤が採用されいます。そんな理由もあって、売れに売れすぎて現在入手困難になってます……。私も欲しいと思って探したんですが、すでにどの店でも売り切れていました(汗)
DJソフトrekordbox dj用DJコントローラーで、手軽にコンピューターを使ったDJが楽しめます。クラブ常設機のCDJやDJミキサーのレイアウトを踏襲しているので、今後のDJ活動する上で必要な機材の操作にもなれることができます。しかも驚くべきなのが、iOSアプリdjayにも対応したことです。djayはSpotiifyとの連携可能なのでもう音源に困ることなく、どこでもDJすることができます。入門用としては機能が充実しすぎてます(笑)。こんな価格でいいんでしょうか……。ちなみにiOSアプリをつかってワイヤレスでコントロールできるDDJ-200も今年のヒット商品です。
プロの音響現場でも有名なJBL PROFESSIONALから発売された2ウェイの同軸スピーカー。同軸スピーカーというのはそれぞれのユニット(この場合、高域用/低域用のユニット)が中心を同じくして重なり合うように配置したスピーカーで、原音に忠実な点音源再生ができると言われています。104-Y3はリーズナブルな上に、フラットでパワフルな出力でデジマートでも人気がありました。丸みを帯びたボディも今までのJBLにはないデザインですね。
発売された当時は、軽量でコンパクトなBluetoothモバイル・スピーカーというイメージを多く持たれたと思いますが、このスピーカーの本当の魅力はサウンドにあります。エンジニアを中心に口コミで広がり、ゆっくり一般ユーザーにも広がった印象を持ちました。リア・パネルには3バンドのEQスイッチに加え、デスクトップに設置する際のの共鳴を補正する“DESK”モードも搭載しているところが、宅録やベットルームでの音楽制作にも重宝しそうです。
マルチトラック・レコーダ搭載のミキサーZOOM LiveTrakシリーズはリハスタでのバンドの一発録りやライブ・ハウスのPAなどで人気を博しています。今年発売されたL-8は、8チャンネル仕様のコンパクト版でありながら、ジングルや効果音を鳴らせる6個のサウンド・パッド、電話の音声をミックスできるスマートフォン入力など、これまでにはなかった機能を搭載し、新しいニーズにも対応しています。
発売されたばかりですが、今年発売された注目の製品ということでこちらも紹介しましょう! デジマート・マガジン読者ならご存知とは思いますが、アンプ・シミュレーターを搭載したワイヤレス・ヘッドフォンで、ワイヤレスなのに音の遅れがなく、臨場感と没入感がハンパないです。BOSSのYouTubeチャンネルでさまざまなアーティストが試している動画が公開されていますが、実際に初めて試すとびっくりして、まさにあのような反応になります(笑)。こちら現在入手困難になるほどの人気です!
いっちー(市原 泰介)
学生のころから作曲やDJ活動、バンド活動などの経験を積む。某楽器販売店を経てリットーミュージックに入社。前職では楽天市場内の店長Blogを毎日10年以上更新し、2008年ブログ・オブ・ザ・イヤーを受賞。得意ジャンルはクラブ・ミュージック。日々試行錯誤中。