AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Fender/Telecaster
フェンダーのエレキ・ギターの歴史は、テレキャスターから始まった。ブランドの礎を作ったモデルであり、超ロングセラーでもあるだけに、広い価格帯に渡って魅力的なラインナップが揃う。今回、10万円〜15万円(税抜)の価格帯のモデルに焦点を絞り、2019年末現在で比較的入手しやすい計10本を実際に試奏してみた。ストラト編に続き、リアルなインプレッションを交えて各モデルの特徴を紹介するので、テレキャスター選びの参考にしてほしい。
【紹介モデル一覧】
■01. American Performer Telecaster
■02. American Performer Telecaster Hum
■03. Made in Japan Hybrid 60s Telecaster
■04. Made in Japan Hybrid Telecaster Deluxe
■05. Made in Japan Traditional 69 Telecaster Thinline
■06. Made in Japan Traditional 70s Telecaster Thinline
■07. Vintera '50s Telecaster
■08. Vintera '60s Telecaster Bigsby
■09. Vintera '70s Telecaster Custom
■10. Road Worn '50s Telecaster
※本企画では入手しやすいレギュラー・モデルを優先して選定しており、限定モデルやアーティスト・モデルは除いております。また、メーカー希望小売価格を基準にしているため、セールなどによって10万円以下になっているモデルもございます。あらかじめご了承ください。
カリフォルニア州のコロナ工場で生産されているAmerican Performerシリーズ。歴としたUSA製のフェンダーが、この価格帯で手に入れられることが嬉しい。本器は、アルダー・ボディにYosemite(ヨセミテ)シングルコイル・ピックアップを搭載したモデル。“モダンC”のネック・シェイプは、「Made in Japan Hybrid Telecaster Deluxe」などと比べると、驚くほど薄く感じる。指板は9.5インチRで、ジャンボ・フレットが22フレットまで打たれている点などは、現代におけるプレイを考慮した仕様だ。
個体差なのか、このモデルの特徴なのかはわからないが、今回試奏した全モデルの中で最もボディの振動を感じる。座った姿勢でアンプにつながずに弾いていると、太ももに振動がビンビン伝わってくる。サウンドは、乾いていて明るくて、これぞテレキャスターといった音。そして、Greasebucket(グリースバケット)トーン・コントロールが秀逸で、トーンを絞ると高域を落とすだけでなく同時にローも調整し、音が必要以上にこもることがない。しっかりとトレブルが出るギターだけに、このトーンで調整していくと好みのポイントが見つかるはずだ。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:モダン“C” ■指板:メイプル or ローズウッド ■フレット:22 ■フレット・サイズ:ジャンボ ■スケール:648mm ■ペグ:フェンダー・クラシックギア ■ブリッジ:3サドル・サドル・スルー・ボディ・テレ・ブリッジ ■ピックアップ:Yosemiteシングルコイル・テレキャスター×2 ■コントロール:マスター・ボリューム、マスターGreasebucketトーン・サーキット、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:ハニー・バースト(ローズウッド指板)/サテン・ソニック・ブルー(ローズウッド指板)/ビンテージ・ホワイト(メイプル指板)/ペニー(メイプル指板) ■価格:¥148,000(税別)
本器は「American Performer Telecaster」の、ネック・ピックアップがハムバッカーになったモデル。ネック側のDoubleTap(ダブルタップ)ハムバッキング・ピックアップは、コイル・スプリット式で、トーン・コントロール・ノブを引くとシングルコイルとしても使用できる。American Performaer Telecasterよりトーン・バリエーションは広いが価格は同じというところも見逃せないところ。
ネック側がハムバッカー(基本)、ブリッジ側がシングルコイルだが、両者のバランスが良く、音量差は感じない。ネック・ピックアップをスプリットした音も非常に良く、おまけの機能ではなく、使えるサウンドとなっている。ブリッジ側はブライトな音で、Greasebucketトーン・コントロールで心地良いポイントを探すと良いだろう(ハイの出方はアンプとのマッチングにもよるが)。音色の幅が広く、しかも調整できる余地も広いので、変な話だが音はいかようにでもできる1本。極端な話、見た目で買ってしまったとしても、好みの音に持っていきやすいギターだ。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:モダン“C” ■指板:メイプル or ローズウッド ■フレット:22 ■フレット・サイズ:ジャンボ ■スケール:648mm ■ペグ:フェンダー・クラシックギア ■ブリッジ:3サドル・サドル・スルー・ボディ・テレ・ブリッジ ■ピックアップ:アメリカン・パフォーマーDoubleTapハムバッカー(ネック)、Yosemiteシングルコイル・テレキャスター(ブリッジ) ■コントロール:マスター・ボリューム、グリースバケット・トーン・サーキット、3ウェイ・ピックアップ・セレクター + Push-Pullコントロール ■カラー:オウバージン(ローズウッド指板)/3カラー・サンバースト(メイプル指板)/ビンテージ・ホワイト(メイプル指板)/サテン・サーフ・グリーン(ローズウッド指板) ■価格:¥148,000(税別)
日本製のMade In Japan Hybridシリーズの60sモデル。基本的なサウンドはチャリッとした高域が魅力のテレキャスターらしいテレキャスターといった感じだが、本器は4ウェイ・スイッチを搭載しており、ネック・ポジション、ブリッジ・ポジションに加えて、2種類のミックス・ポジション(両ピックアップを直列、または並列)も選択可能。つまりパワフルな擬似ハムバッカー的なサウンドも得られるところがハイブリッドたる所以だろう。
ナット幅が42.5mmとわずかに広く、ハイ・ポジションでも厚くなりすぎないグリップ感(シェイプは“U”)、ミディアム・ジャンボ・フレットの採用、ネック裏のサテン・フィニッシュなど、弾きやすさの面ではややモダンなギターに寄っており、クラシカルなルックスとの対比がハイブリッドの名にふさわしい。加えて、本器はカラー・バリエーションが12色もある点にも注目したい。ギターを購入する、そして長く使い続けるうえでは、見た目も非常に重要だ。テレキャスターの音が好き、形が好き、だけど色はあまり好みのものがない、という人には、ぜひ本器のラインナップから探してみることをお勧めしたい。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:“U” ■指板:ローズウッド ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ミディアム・ジャンボ ■スケール:648mm ■ペグ:ビンテージ・ロッキング・チューナー ■ブリッジ:3サドル・ビンテージ・ストリングス・スルー・ボディ・テレwithブラス・サドルズ ■ピックアップ:アメリカン・ビンテージ’58テレキャスター ■コントロール:ボリューム、トーン、4ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:3カラー・サンバースト/アークティック・ホワイト/ブラック/キャンディ・アップル・レッド/キャンディ・タンジェリン/チャコール・フロスト・メタリック/フラミンゴ・ピンク/ミッドナイト・ブルー/オーシャン・ターコイズ・メタリック/シャーウッド・グリーン・メタリック/ソニック・ブルー/サーフ・グリーン ■価格:¥115,000(税別)
本器は日本製のMade In Japan Hybridシリーズのテレキャスター・デラックス(ネック、ブリッジともにピックアップがハムバッカーのモデル)。1970年代に生産されたオリジナルを元に現代的な仕様を日本の技術で取り入れ、ピックアップにはUS製のものを搭載している点がポイントだ。まず、ハムバッカー搭載モデルなので当然、音は太い。とはいえピックアップ・デザイナーの巨匠ティム・ショウが設計したShawbucker(ショウバッカー)ピックアップは、こもりすぎることなくカリッとした高域の成分を残しており、太いがやはりテレキャスターの音がする。
ネックは“U”シェイプで、けっこうしっかりとした握り心地だ。特にロー・ポジションではがっしりとした感触で、おおよそ「Vintera '50s Telecaster」と「Vintera '60s Telecaster Bigsby」の中間ぐらいのイメージと考えていただければいいだろう。ネックの裏のサテン仕上げも心地良い。やや現代的になっているのは、指板のRが9.5インチ、フレットがミディアム・ジャンボに、さらにロック式ペグを採用している点。また、オリジナルの70年代ものはラージ・ヘッドだが、本器はスモール・ヘッドという点もハイブリッド感がある。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:“U” ■指板:メイプル or ローズウッド ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ミディアム・ジャンボ ■スケール:648mm ■ペグ:ビンテージ・ロッキング・チューナー ■ブリッジ:6サドル・ストリングス・スルー・ボディ・ストラト・ハードテイルwithベント・スティール・サドルズ ■ピックアップ:Shawbucker(ブリッジ)、Shawbucker 1T(ネック) ■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:アークティック・ホワイト(ローズウッド指板)/ブラック(メイプル指板)/チャコール・フロスト・メタリック(メイプル指板)/シャーウッド・グリーン・メタリック(ローズウッド指板)/ナチュラル(メイプル指板) ■価格:¥118,800(税別)
「Made in Japan Traditional 70s Telecaster Thinline」と同じく日本製のシンラインだが、こちらはネック側、ブリッジ側ともにピックアップはシングルコイルが搭載されている。また、ボディ材にマホガニーが使われている点も大きな違いだ。ボディ材によるものなのか、個体が持っている特徴なのかはわからないが、シンラインにしてはエアー感、アコースティック感はなぜか控えめ。ただしソリッド・ボディのテレキャスターと比較すると、やはりローの出方が優しい(ゴツンとダイレクトに出てくるというより、わずかにコンプレッションがかかってゆっくり出てくるような感じ)。
ネック・ピックアップはかなり甘め、逆にブリッジ・ピックアップはかなり固めの音で、その対比がおもしろい。ミックス・ポジションのチャキチャキした音は絶品! 試しに歪ませてみると、一般的には低音がもたつきがちなネック・ピックアップでも、ボディ構造のおかげか余計なローがなく、非常に心地良いサウンドが得られた。軽量なところも魅力的で、何年か弾き込んでみたい(大化けしそう)と思わせられた1本。
※別店舗にて試奏取材
【Specifications】■ボディ:マホガニー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:“U” ■指板:メイプル ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ビンテージ・スタイル ■スケール:648mm ■ペグ:クローム・ダイキャスト ■ブリッジ:3サドル・ビンテージ・スタイル・ストリングス・スルー・ボディ・テレwithクローム・バレル・サドルズ ■ピックアップ:ビンテージ・スタイル・シングルコイル・テレ ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:ナチュラル ■価格:¥108,800(税別)
こちらも日本製だが、MIJ Hybridとは違ってトラディショナルなシリーズ。本器はネック側、ブリッジ側ともにハムバッカーを搭載した70s Telecaster Thinlineだ。手に取ると、やはり軽い! 鳴りも当然といえば当然だが、よりアコースティックな響きを持っている。このあたりの感覚は、可能であれば楽器店で試奏していただけると一発で伝わるだろう。
アンプにつないでカッティングすると、甘い中にも“チャッ”という心地良いハイが混ざり、自然と演奏も軽快になる。特にお勧めはミックス・ポジションで、この音はほかでは出せないこのギターならではの個性だ。同じく2ハムバッカーの「Made in Japan Hybrid Telecaster Deluxe」とはボディの構造が違うため、こちらのほうがローの出方が優しく、軽やかなバッキングには最高。仕様的にはアッシュ・ボディ、メイプル1ピースの“U”ネック、7.25インチRの指板、ビンテージ・スタイルのフレットが21フレットまで打ってあるといった具合で、特別な機能が搭載されていたり特殊材が使われているわけではないが、多くの人に試してもらいたいギターである。
【Specifications】■ボディ:アッシュ ■ネック:1ピース・メイプル ■ネック・シェイプ:“U” ■指板:メイプル ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ビンテージ・スタイル ■スケール:648mm ■ペグ:クローム・ダイキャスト ■ブリッジ:6サドル・ストリングス・スルー・ボディ・ハードテイル ■ピックアップ:ワイド・レンジ・ハムバッキング×2 ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:ナチュラル/USブロンド ■価格:¥108,000(税別)
フェンダー・ビンテージのゴールデン・エラ(黄金時代)のスタイルとサウンドを追求した、メキシコ製のVinteraシリーズ。本器は、当時のモデルの完全再現というよりも、現代において50sモデルらしいフィールを楽しめるギターと考えたほうがいいだろう。例えば、鮮やかなフィエスタ・レッドのフィニッシュは、1950年代テレキャスターの定番フィニッシュではないが、現代の目で見れば非常にポップで魅力的な仕上がりだ。
実際に本器を手にして、最初に気づいたのがネックの太さ。“アーリー'50s U”シェイプのしっかりとした握り心地は、太め、厚めのグリップが好きな人にはたまらないだろう。音への影響も大きそうだ。ビンテージ・スタイル'50sシングルコイル・テレ・ピックアップとの合わせ技で、確かに太い音が出ている。クリーン・トーンでブリッジ・ピックアップを選択しても、まったく耳に痛くなく、むしろコリコリ、ゴツンとしたニュアンスが心地良い! ビンテージ・スタイルのフレット、7.25インチの指板のR、3個のブラス製ブリッジ駒など、細部にもこだわっている。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:アーリー'50s“U” ■指板:メイプル ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ビンテージ ■スケール:648mm ■ペグ:ビンテージ・スタイル ■ブリッジ:3サドル・ビンテージ・スタイル・ストリングス・スルー・ボディ・テレwithクローム・バレル・サドルズ ■ピックアップ:ビンテージ・スタイル'50sシングルコイル・テレ×2 ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:フィエスタ・レッド ■価格:¥108,000(税別)
Vinteraシリーズの2本目は、60sスタイル、しかもビグスビー搭載というクールなモデル。写真はもちろん、実物のかっこよさは圧倒的だ! このルックスだけで、試奏せずに購入するという人がいても何ら不思議がない。ただし、弾き心地は'50sモデルとはかなり異なるので、その点を確かめたい人には試奏することをお勧めしたい。かなり太めのネックの'50sに対して、こちらの“アーリー'60s C”シェイプはもう少し細め・薄めに感じる(ナット幅の数値は同じ1.65インチ)。
ボディ材の違い('50sはアルダー、こちらはアッシュ)、本器に搭載されたビンテージ・スタイル'60sシングルコイル・テレ・ピックアップの影響で、本器のほうがチャリンとした高域の成分を強く感じる。明るく、反応の良い音だ。これにはネックの質量や指板材(パーフェロー)、ビグスビーの影響もありそうだ。また、試奏した個体に関しては、アームをかなり揺らしてもチューニングの狂いがまったくなく、重さも感じなかったことを付け加えておく。
【Specifications】■ボディ:アッシュ ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:アーリー'60s“C” ■指板:パーフェロー ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ビンテージ ■スケール:648mm ■ペグ:ビンテージ・スタイル ■ブリッジ:Bigsby B5ブリッジ&テイルピース ■ピックアップ:ビンテージ・スタイル'60sシングルコイル・テレ×2 ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:ホワイト・ブロンド/3カラー・サンバースト(オンライン販売限定) ■価格:¥124,200(税別)
VINTERAシリーズの3本目は、70sスタイルのカスタム(ネック・ピックアップにワイド・レンジ・ハムバッカー、ブリッジ・ピックアップにビンテージ・スタイル'70sシングルコイル・テレを搭載したモデル)だ。ブリッジ・ピックアップはかなりカリッとした音で、ネック・ピックアップは対照的に非常に甘い音。サウンドの幅が広く、これ1本でさまざまな曲調に対応できそうだ。
加えて、本器はミックス・ポジションの音がとても魅力的。ハムバッカーとシングルコイルをミックスしたこの独特の音は、ほかのギターでは絶対に出せない。コントロール的にも2ボリューム、2トーンなので、2つのピックアップの混ぜ具合をボリュームの調整で変えることでき、さらに個性的な音を作ることもできる。ネックは’60sよりもさらに細い“シンC”シェイプ。このネックが弾きやすいという人も少なからずいるだろう。ネック・ジョイントは3点止めで、このあたりにも1970年代のフィールが溢れている。しかし、フィエスタ・レッドのフィニッシュは70年代的というよりも、現代でより映える仕上げ。音も見た目も、人と被らないギターが欲しい人にお勧めだ。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:シン“C” ■指板:パーフェロー ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ビンテージ ■スケール:648mm ■ペグ:ビンテージ“F”スタンプド ■ブリッジ:3サドル・ビンテージ・スタイル・テレwithスロテッド・スティール・サドルズ ■ピックアップ:ビンテージ・スタイル'70sシングルコイル・テレ(ブリッジ)、ワイド・レンジ・ハムバッキング(ネック) ■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:フィエスタ・レッド ■価格:¥108,000(税別)
メキシコ製で、使い込まれたような“WORN”フィニッシュが特徴のテレキャスター。傷や塗装の剥がれ、パーツの変色やサビまで再現されている。塗装にはニトロセルロース・ラッカーが使われており、この価格帯ではほかにない仕様だ。ネックは“C”シェイプだが、実際に手にしたネックはイメージしていたよりもやや厚みがあり、感覚としてはネックの両端の肉が少なめで、ほんのわずかにソフトV的なシェイプだと感じた。ネック裏の触り心地も、サテン・フィニッシュとは異なり、“塗装が剥げてサラサラになっている”感触。
サウンドは、チャキン、チャリチャリ系のテレキャスターとは趣が異なり、ガツン、ゴツン系とでも言おうか、50sと言うだけあって太めの音だ。ピックアップはやや出力が高めの“TEX-MEX”ピックアップが搭載されているので、その影響もあるだろう。明るい、ブライトと称されることが多いテレキャスターにこの形容が適切かわからないが、やや“ダーク”なテレキャスター。歪ませて弾いても楽しい。とにかく、この見た目が欲しければこれ一択だ。
【Specifications】■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■ネック・シェイプ:“C” ■指板:メイプル ■フレット:21 ■フレット・サイズ:ナロー・トール ■スケール:648mm ■ペグ:ビンテージ・スタイル ■ブリッジ:3サドル・ビンテージ・スタイル・ストリング・スルー・ボディ・テレwithクローム・バレル・サドルズ ■ピックアップ:Tex-Mexシングルコイル・テレ×2 ■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■カラー:ブロンド/2カラー・サンバースト ■価格:¥135,000(税別)
10万円〜15万円という価格帯の中で、10本のテレキャスターを試奏してみたが、スペックのデータや見た目以上に個性的な音と弾き心地を堪能できた。1本1本、グリップも違えばピックアップも違う(きちんと作り分けられている)。テレキャスターという歴史のあるモデルの基本線は崩さずに、同程度の価格のモデルにこれだけはっきりとした個性を持たせる、フェンダーというブランドの底力を見た思いがする。
音の方向性としては、高域がブライトなテレキャスターらしいテレキャスターと、より太い音を狙ったモデルに大別されるように思う。自分が欲しい音の方向性と、弾き心地に関わる部分がビンテージ系かモダン系か、あとはルックス(これも重要!)の面から、ぜひ自分にぴったりのテレキャスターを選んでほしい。
クロサワ楽器 お茶の水駅前店
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