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  • 手に入れやすいSEシリーズにPaul's Guitarが仲間入り

Paul Reed Smith / SE Paul's Guitar

Paul Reed Smith / SE Paul's Guitar

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ポール・リード・スミス氏のこだわりを詰め込んだ
Paul's Guitar

 ポール・リード・スミス氏の名を冠した「Paul’s Guitar」。これまでにも2009年に100本限定で製作されたPaul’s Dirty 100から始まり、Paul’s Guitarのレギュラー・ライン以外でも、Private Stockや、研究開発の意味を持つPaul’s Guitar R&D(Research and development)として、ごく少数のプロト・モデルが市場に出たこともある(日本国内では現在でも限られた本数だが入手可能)シリーズだ。

 Paul’s Guitarのコンセプトは、その名のとおり「ポール氏の考える理想のギター」である。ギター・プレイヤーでもあるポール氏が市場のトレンドなどを意識しながらも、「自身が欲しいと思うシグネチャー・モデルを作った」ということになるだろう。「ブランド・オーナーが自分の個人的なギターを作ったの?」と呆れる人もいるかもしれないが、もともとPRSとはそういうブランドなのだ。ポール氏が考える「最高のギター」を作る……それがPRSの設立当初からのコンセプトだということは、ご存知の方も多いことだろう。

 もちろん、普段は市場のトレンドやアーティストの声を取り入れて「世のミュージシャンのために」ギターを作っているポール氏だが、自身もプレイヤーでありアーティスト、さらに相当なギター・マニアであるということで、このPaul’s Guitarはひとりのミュージシャンとしてのこだわりが詰め込まれたシリーズとなっている。

 「Paul’s」と付くすべてのPRSギターに言えるのが、ある程度「ギターを弾けるプレイヤーに向けた」モデルであるということだ。PRSファン/マニアやコレクターというよりは、「現場でギターを弾く人」向けのスペックやプレイアビリティが詰め込められている。今回ご紹介するモデルはSEラインとはいえ、Paul's Guitarのコンセプトからまったくはずれていない。

コイル・タップ・スイッチを搭載し
合計8種類のサウンドが選べる万能モデル

Paul Reed Smith / SE Paul's Guitar

 さて、このSE Paul’s Guitarだが、まず圧倒的に弾きやすく、丁寧に作られたネック・シェイプに驚く。指板面はもちろん、ネック裏の丁寧な処理はミドル・クラスの中でも低価格帯に位置付けられるギターとして、十二分に満足できる仕上がりを持っている。フレット・サイドの処理なども丁寧だ。セットアップ/弦高に関しても近年製のPRSギターに近く、やや高めのアクションとなっているが、それゆえに鳴りが良く、太いサウンドが得られる。アンプからのサウンドも非常にクセがなく、かといって非力な感じもしない。

 ピックアップは、このモデルのため新たにデザインされたTCI “S”トレブル/ベース・ピックアップで、近年世界的に再評価されているPRSピックアップの質の良さがうかがえる。フラット過ぎず、かといってビンテージPAFレプリカ系の「枯れた感じ」でもない。とにかくピュアなサウンドだ。特にネック・ピックアップのサウンドは30万円クラスの楽器を弾いている感覚にまったく引けを取らないと思う。

SE Paul's Guitarのため新たにデザインされたTCI “S”トレブル/ベース・ピックアップは素直なサウンドが特徴だ

ボリューム・ノブとトーン・ノブの間に独立したネック/ブリッジ・ピックアップのコイル・タップ・スイッチを搭載

ラップアラウンド・スタイルのアルミ製ブリッジにはブラスのポールが採用されており、芯のある音を生み出す

 さらに各ピックアップにはコイル・タップ・スイッチが搭載されており、ネック・ハムバッカー、 ミックス、そしてブリッジ・ハムバッカーという基本の3つの音色に加え、ネック側シングルとブリッジ側シングルの選択が可能だ。これはSEラインナップでは初めての採用となる。ネック・ハムバッカーとブリッジ・シングル、またはネック・シングルとブリッジ・ハムバッカー、さらにネック・シングルとブリッジ・シングルを合わせると、計8種類のサウンドが切り替えられるということになる。コイル・タップ時のシングルコイル・サウンドも非常に優れており、か細い印象にならない。まるでテレキャスターのようなブリッジ・シングル、ストラトキャスターのようなネック・シングルのサウンドを確認してほしい。

 SEラインナップの中ではハイエンド(という表現が正しいかはさておき)に位置するこのSE Paul’s Guitarだが、その住み分けはかなりハッキリとしているという印象。むしろSEと付けなければ「もうワンランク上のギターとして展開することもできたのでは?」と思うほどだ。かなりエアリーで奥行きのあるハムバッカー・サウンドが得られていることがおわりいただけるだろう。しかも玄人向けの音楽にもフィットする「あの音」、「その音」が瞬時に得られるようにデザインされているように感じる。個人的には、70年代から続く「ロックの名盤」で聴けるサウンドのほとんどがこのギターから引き出せることに非常に感動した。

 ほかにも、PRSのSEラインナップはモダン/ジャズ・アプローチ、ヘヴィ・サウンドなど、それぞれの趣向に応じてさまざまなモデルが用意されているが、このPaul’s Guitarはそれらすべてのエッセンスを凝縮したギター好きのための1本に仕上がっていると感じる。やはりポール・リード・スミス氏は生粋のギター・キッズなのだと痛感した。

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製品情報

Paul Reed Smith / SE Paul's Guitar

価格:¥156,000 (税別)

【スペック】
●ボディ:Carved Maple w/ Flame Maple Veneer(Top)、Mahogany(Back) ●フレット数:22 ●スケール:25" ●ネック:Mahogany ●指板:Rosewoodd ●ブリッジ:PRS Stoptail with Brass Inserts ●ペグ:PRS-Designed Tuners ●ピックアップ:TCI “S” Treble/Bass Pickups ●コントロール:Volume & Tone Control with 3-Way Toggle Pickup Selector & Two Mini-Toggle Coil-Tap Switches ●カラー:Amber、Aqua、Fire Red
【問い合わせ】
コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569 https://www.prsguitars.jp/sepaulsguitar
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

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