AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Amrita Custom Guitars
以前、渋谷にショールームを構えていたアムリタ・カスタム・ギターズが、今年の1月から湯島へ移転した。もともとは、同ブランドの監修をしている後藤雅樹氏が使っていたプライベート・スタジオで、ラジオ番組の収録やCM音楽、アーティストのデモトラック制作なども行なっている。今回は、この新しいショールームの魅力を後藤氏に語ってもらい、最新モデルをギタリストの徳武弘文&孝音親子に試奏していただいた。
御茶ノ水近く、湯島に1月からオープンしたアムリタ・カスタム・ギターズのショールーム。もともとはプライベート・スタジオで、プリプロ程度までの作業をこなせる機材がそろい、音源なども充実。プロの現場でアムリタのギターをじっくり弾き比べることが可能だ。現在は完全予約制で、電話もしくはメールで予約することができる。
●住所:東京都文京区湯島2-19-5 日商岩井本郷マンション801
●電話番号:03-3818-8863
●E-Mail:info@amritaguitars.com
●営業時間:13:00~20:00 ※木曜日定休
●備考:完全予約制(臨時休業もあり、事前の確認が必須)
【詳細はこちらから!】
渋谷のお店の時代から、アムリタ・ギターには何度もお伺いしていたのですが、このスタジオはとてもお洒落な空間だと思います。スタジオ内には、ウーリッツァーやギター・アンプなど、ビンテージ機材がたくさん置いてあってワクワクしますね。それにさまざまなジャンルの音源もたくさん置いてあって、何時間でもいたくなる素敵な空間です。いつも修理や調整も何かあれば、しっかりと相談に乗ってくれて、すごく信頼しているショップです。
アムリタ・カスタム・ギターズ監修の後藤雅樹氏にアムリタ・スタジオの魅力を聞いた
──湯島にショールームを移転されたのはいつからでしょうか?
今年の1月からです。もともとは僕が仕事部屋にしていたスペースで、ラジオのエディットやCM音楽を作ったりと、プライベート・スタジオとして使っていた場所です。その機能は今も残してあります。スタジオの機能を生かして、ギターをこんな風に録れますよといった体験をしてもらうこともできます。それから、すでにアムリタ・ギターを使って録音した音源もあります。それをマルチで聴くこともできます。つまり、より実践的なアドバイスをすることもできるんです。このショールームでは、一般的なギター・ショップでは難しい、よりクリエイティブなことをお客さまとシェアしたいということもあって、こちらに移転してきました。
──プロの現場をより感じられそうですね。ギターのマイク乗りまで試せる楽器店は、他にはないと思います。
そうかもしれないですね。それから録音した音源を、地方のお客さまに送ることもできるメリットもあります。どうしても来店することができない方に、こういう音がしますと伝えることができるんです。
──こちらのショールームでは、ほぼすべてのアムリタ・ギターが試せますか?
ほとんど在庫しています。他にもオリジナルのプリアンプDIや、取り寄せになりますがM.I.Jペダルズのエフェクターも試せます。
──このショールームに来るには、どうすれば良いですか?
基本的に、メールか電話で予約をしてください。他のお客さまと重ならないようにして、じっくりとギターを選んでいただければと思っています。中にはギターを弾きに来たのか、CDを聴きに来たのか、それともただ話に来たのかわからない方もいますが、それでいいと思っています。お店とお客さまというより、友だちのような距離感で接していただけると嬉しいです。
──CDなどの音源も充実していますね。
おそらく数千枚はあると思います。音楽を聴きながら、この音色が好きとか言っていただければ、近いモデルを提案することもできますね。もちろん、こちらが目指しているサウンドを提示することも可能です。
──ギターの調整に関しては、こちらのショールームでも行なっていただけるのでしょうか?
簡単な調整程度であれば、すぐにご対応いたします。
──移転されてから来られたお客さまの反応はいかがですか?
嬉しいことに、長居してくださるお客さまが多いですね。それから、あまり楽器店では好まれないのかもしれないですが、今メインで使っている楽器を持ち込んでもらい、アムリタ・ギターとじっくり弾き比べをしてもらっても、僕はいいと思っています。自分にとって、どちらのギターが好みなのかということは、実際に弾いてみないとわからないので、そういったご相談も大歓迎ですね。過去には、弾き比べをした結果アムリタ・ギターを気に入ってご購入いただき、持ってきたギターをそのままうちで委託販売された方もいます(笑)。
──では最後に、アムリタ・ギターの魅力を教えていただけますか?
プロのプレイヤーにもそのままお使いいただける演奏性、それからビンテージにも通じるサウンドは、大きな魅力だと思っています。レコーディングやライブに、すぐに使用できるレベルで仕上げています。細かなことですが、最初からネック・ブロックにはバッテリー・ホルダーを付けていますし、エンドピンも加工なしでジャックを付けられる穴径にしてあります。それからもうひとつ。ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)の合板を使用したモデルも特徴です。間に質の高いメイプル材を挟むことで、合板ですがハカランダの良さが出ています。実はハカランダの合板は、原材料費もかさんで利益率も悪いんです(笑)。ただアムリタが世の中にいいギターを残すということが大切ですので、がんばって販売させていただいています。ぜひハカランダ合板のモデルを、1度は試していただきたいですね。
良質なホンジュラス・マホガニーをサイド&バックに使ったOMシェイプのモデル。トップのヨーロピアン・スプルースとの組み合わせ、さらには指板&ブリッジに使われたブラジリアン・ローズウッドにより、軽快感がありながらも太く温かみのある音が鳴る。実用的なストラップピンの位置などにもこだわりが感じられる。
●価格:421,000円(税別)〜
音がすごく優しいと思う。僕が普段使っているモデルは、もう少しボディ・サイズが大きいから、どちらかと言えば男っぽい。このモデルは、ネックも握りやすくて滑りもいいですし、手が小さくても弾きやすい。ボディも軽いので、女性にもオススメのモデルだよね。それから、音のバランスが良くてまとまっている感じがあるね。
徳武弘文が愛用するアムリタ・ギターは、サイド&バックにハカランダの合板を使ったモデル。一般的なOMよりもボディ下部が大きく、胴厚も120mmと深い。このギターは、マーティンらしい音のする国産ギターを探していた際に出会い、その音色の良さと演奏性の高さから選んだという。今ではピックアップも取り付け、ライブやレコーディングに大活躍している。
fホールを有したセミ・ホロー・ボディのTLタイプで、ボディはアッシュ、ネックはメイプルを採用。ネックは50年代のグリップを再現している。注目すべきは貼りメイプルのスラブ・ボード仕様の指板。これによりアタック感のあるサウンドを生み出し、ブライトで音抜けの良いキャラクターが加味される。(編集部)
●価格:330,000円(税別)〜
質の高いメイプルを挟んだハカランダ合板が使われた、アムリタ・ギターらしい1本。トップには、シトカ・スプルースが組み合わされている。指板&ブリッジはエボニー、ヘッドの突き板にはブラジリアン・ローズウッドが使われ高級感を醸し出す。000シェイプで抱え込みやすく、ホンジュラス・マホガニーのネックも演奏性が高い。
●価格:430,000円(税別)〜
ボディの厚さが薄くて、体にフィットします。それから、すごくボディの鳴りがいいですね。ハイも良い感じに抜けてくれるので、弾いていて気持ちがいいですし、音のバランスも整っています。ネック・グリップはスケールが短い分、少し細く感じて握りやすいですね。コードも弾きやすいので、ストローク主体の曲でも弾いてみたいですね。
サイド&バックにインディアン・ローズウッドの単板が使われた、OMシェイプのモデルを愛用するのが徳武孝音だ。ギター自体の響きが好きで、木の温もりを感じる音がするという。またアルペジオから、ストロークまで幅広い汎用性がある点もお気に入り。43mmのナット幅ということもあり、エレクトリック・ギターからの持ち替えでも違和感なく弾きやすい。
アルダー2ピースのボディは伝統的なオフセット・ウエスト・タイプ。メイプル・ネックに貼られた指板材にはもちろんハカランダを使用している。また、完全ハンドメイドでシェイプされたネック・グリップは多くのギタリストの手に馴染むはずだ。ピックアップにはLindy Fralin製のJazzmaster Setを搭載しており、クリアで抜けの良いサウンドは歪みとの相性も良い。ピックが弦をヒットした瞬間にビリっと電気が走るような鋭い反応性は、弾いていて気持ちが良いポイントだ。伝統のプリセット・コントロールやなめらかに効くトレモロも、JMタイプ好きにはたまらない点だろう。(青山陽一)
●価格:390,000円(税別)〜
──アムリタ・ギターとの出会いは?
孝音 2012年だったか、13年くらいにチャボさん(仲井戸麗市)と、吉田健さん、村上秀一さんがやっている3Gというバンドのライブを観に行ったんです。その後に僕も参加させていただき、一緒に演奏する機会がありまして。その時にチャボさんがTLタイプのギターを弾いていたんですね。そのギターは、すごくいい音がして。それでチャボさんに、そのギターについて聞いたら、アムリタ・ギターだということを教えてくださいまして。それですぐに行ってみたのが、アムリタ・ギターとの出会いですね。
──エレクトリック・ギターを弾きに行ったのですか?
孝音 そうですね。渋谷のお店に長時間居座って、すべて弾かせてもらいました(笑)。どれも本当に良くて、すごく楽しい時間でしたね。そのことをすぐに親父に報告して。“すごくいいお店があるから行った方がいい”とね。
──それで弘文さんもアムリタ・ギターに行ったんですね。
弘文 そうですね。当時は、マーティン・タイプの国産で良いギターを探していたので、息子から聞いてすぐにお店に行きまして。それで、今も使っているOM-Jumboを選びました。僕はスタジオで使えるギターを探していて、オールマイティに使えるモデルが欲しかったんです。ストロークもできて、アルペジオもできるようなギター。そういうイメージに、アムリタ・ギターはぴったりでしたね。
──弘文さんはアムリタ・ギターのどのような点に惹かれましたか?
弘文 やっぱり音色ですね、鈴鳴りの良い音がしていまして。そのトーンがどうしても欲しかったですね。もう5年ぐらい使っていますが、何のトラブルもなくて、今でもいい音がしています。すごく気に入っていますね。
──ライブ、レコーディングともにお使いですか?
弘文 そうですね。ラインでも出力できるようにして、アムリタのプリアンプも使わせてもらっているので重宝していますね。ノイズレスで、すごくいい感じです。
──今はたしか、サイド&バックがハカランダ合板のモデルを使われていますね。
弘文 買う時に単板のモデルとも悩んで、3〜4時間くらい弾き比べて決めまして。やっぱり、どこかにハカランダの音が耳に残っていたから、そちらの方が気に入ったんだと思います。
──孝音さんは、いつ頃からアムリタ・ギターをお使いですか?
孝音 僕はわりと最近です。チャボさんから教えてもらった時から気に入っていましたが、いろんなモデルが出る度に弾かせてもらっていて、弾く度に全部欲しくなって、なかなか決められない(笑)。
──ちなみにアムリタ・ギターのどこがお気に入りですか?
孝音 僕は親父が使っていた古いギターを時々使わせてもらったりしているんですが、アムリタ・ギターはビンテージっぽいというか、そのままのような音が出てくるので、すごくいいなと思いますね。
──音の鳴り方もビンテージに近いのでしょうか?
弘文 近いと思いますよ。鳴り方が良くなるためには、経年変化が必要で時間がかかるけど、それがアムリタ・ギターでは短時間で近い音が出ます。
孝音 エレキの話になってしまいますが、アンプ直でつないだ時の芯のある音は、ビンテージのような鳴りですよね。
──孝音さんは、アコースティック・ギターも使われていますよね?
孝音 僕が使っているアムリタ・ギターのアコースティック・ギターも、ショールームに行って何本か試させていただいて決めました。ローズウッド単板から出る、少し締まった音が魅力的だなと思って選びました。それにエレクトリックから持ち替えても違和感がないし、グリップも握りやすくて弾きやすいと思います。
──では最後に、アムリタ・ギターの魅力を教えていただけますか?
弘文 音色や演奏性が海外のギターと比べても引けを取らないのに、価格が求めやすいのが魅力だよね。それにプロの現場で使ってもトラブルがない。長く弾き続けられるギターだと思いますよ。製作者のこだわりを感じますね。
孝音 まずは音が魅力的ですね。いい音が鳴るためにはしっかりとした作りも必要なので、そこも素晴らしいギターだと思います。ギターそのものから、すごくこだわりを感じられる点もいいですね。
本記事はリットーミュージック刊『アコースティック・ギター・マガジンVol.81 2019年9月号』の特集記事を転載したものです。9月号は、“あなたにとっての一生モノのアコギとは?"をテーマに、アコギ・ショップのこだわり店主に話を聞き、どんな楽器が一生モノと呼べるのかを考察するスペシャル・プログラムや、ブギ連(内田勘太郎×甲本ヒロト)のインタビューなどなど、盛りだくさんの内容。ぜひチェックしてみてください!
本記事の一部はリットーミュージック刊『ギター・マガジン 2019年8月号』の一部を抜粋したものです。今号のギタマガでは、ブルース三大キング(ブルース最強説vol.2)と題して、B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングの魅力を総力特集。ほかにも、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライングバーズやテデスキ・トラックス・バンドの来日公演時の機材紹介など、盛りだくさんの内容。ぜひチェックしてみてください!
価格:¥421,000 (税別)
価格:¥430,000 (税別)
価格:¥330,000 (税別)
価格:¥390,000 (税別)
徳武弘文
とくたけ・ひろふみ。“Dr.K”の愛称でも知られるギタリスト。これまで数々のミュージシャンのライブ、レコーディングなどに参加。また自身のバンド、Dr.K Projectでも精力的に活動している。
徳武孝音
とくたけ・たかなり。徳武弘文の息子であり、ナッシュビルに音楽留学したのちにギタリストとして本格的に活動を開始。現在はTEXLYNXのギター、親子デュオ、家族バンドなどでも活躍している。