AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
OYAIDE / NEO SOLDERLESS SERIES
秋葉原の電気街で半世紀以上、さまざまな種類のケーブルを取り扱ってきたオヤイデ電気。このケーブルに特化した日本屈指のプロフェッショナル集団が、現代のペダルボード事情に合わせて提案するひとつのソリューションが、ネオ・ソルダーレス・シリーズだ。ハンダを使わずに好きな長さのパッチ・ケーブルが作れるソルダーレス・ケーブルは、その手軽さと引き換えに音のクオリティや耐久性が軽んじられていたが、本製品は独自の機構によりプロ・ギタリストも愛用する高いクオリティを実現した。ここからは、プロの使用例も見ながら、その実力に迫る。
ハンダ付けが不要で、簡単かつスピーディに好みの長さのケーブルが製作できることで人気を集めているソルダーレス・ケーブル。しかしその工作のしやすさの一方で、作りにバラつきが出やすく、移動や抜き差しによる接触不良が起きやすいのも事実。しかし、今回登場したオヤイデのネオ・ソルダーレス・シリーズは、そうした面を改良しながら高性能、高音質、高強度に設計されたモデルだ。
最大の特徴はDual Clawed Locking Systemという独自構造のプラグ。これは従来のソルダーレス・ケーブルのように、ネジでケーブルを固定するのではなく、カバー全体で全方向からケーブルを固定することで2ヵ所の爪が外装シースに食い込み、シールドが導通する仕組みだ。また、線材も取り回しのしやすい細身の4mm径ながら、従来モデルの2~3倍の導体面積を誇る中心導体を採用。シールド部は高密度な編組で、外装シースはカーボン含有のフレキシブルな素材となっている。
“切る、差し込む、締める”という3ステップで完成する本製品だが、もう少し詳しく作り方をお教えする。超カンタンに誰でも作れるものの、初めてで不安な人は写真を見ながら一緒に作っていこう。
ソルダーレス・プラグ専用ケーブルSLD-ZEROの中心導体には、機材のポテンシャルを最大限に引き出してくれることで定評のある精密導体102SSCをギター・ケーブルに初採用。また、従来のソルダーレス・ケーブルに比べて2~3倍の導体面積になっており、引き伸ばしによる抵抗値の変化を抑えている。シールド部は90%以上の高密度で構成された編組シールドを使用。断線を予防しながら、耐ノイズ性を極限まで高めている。
ソルダーレス・ケーブルで気になるのは、やはりその強度と耐久性。それを測るため、発売開始にともない、試験機関にて耐久テストを実施した。荷重500gをかけながら往復90度の屈曲運動をくり返した結果、18,923回でケーブルが破断。しかし、その際もケーブルは導通したままで、プラグ内部でケーブルは回転していなかったそうだ。さらに金属疲労の跡も見られなかったという。いかに高い耐久性かがわかる。
ソルダーレス・ケーブル最大の魅力は、何と言っても好みの長さのケーブルが簡単に自作できること。昨今、実にいろいろなエフェクターが登場しているが、その筐体サイズやイン/アウトの位置はさまざま。ボード内を頻繁に組み替えたり、ボードをコンパクトに収めたい人にとって、そのレイアウトは悩みの種だろう。その点、カスタム・ケーブルならレイアウトは自由自在。美しい配線はトラブルの防止にもつながる。
4月にリリースされたばかりの本製品をさっそくボードに導入した、美濃隆章(toe) と小原綾斗(Tempalay)というふたりのプロ・ギタリストに、ネオ・ソルダーレスの実力を聞いた。
簡単に美しく仕上げられるし、
ソルダーレスなのに音が良い!
──実際に使ってみた印象は?
今までソルダーレス製品は使ったことがなかったんですが、なんとなく音が硬いイメージがあったんです。でも、このネオ・ソルダーレスはすごくナチュラルですね。線材も細いのにレンジも広いし変なピークもなくて、さすがオヤイデだと思いました。
──今までと音の変化はありますか?
野外フェスで一度使っただけですけど、正直違いはわからなかったです。でも逆に、そこが気にならなかったということは、問題はまったくないということですよね。ただ、これに変えて音がバキっとしてパンチが出た気はします。
──この製品は耐久性も売りなんですよ。
“引っ張ったら簡単に抜けちゃうんじゃないか” って思って、けっこうな力で引っ張ってみたんですよ(笑)。でも全然ガッチリしていて、むしろハンダ付けするものより、引っ張りに対する耐久性はネオ・ソルダーレスのほうがあるんじゃないかな。
──作ってすぐ引っ張ったんですか(笑)?
そう(笑)。僕はライブでしかボードは使わないので、ライブ中にギターの音が出なくなるって最大のトラブルなんですよ。だから、耐久性が一番大事なんですよね。
──本製品の魅力とは?
簡単に美しく仕上げられるし、ソルダーレスなのに音が良い! あと、耐久性があるから信用できますね。何より作っていて楽しい! 止まらなくなります(笑)。
ケーブルの断線って怖いじゃないですか?
だから、耐久性は一番重要ですよね。
──実際に使ってみた印象は?
今は変えたばかりで、いろいろと試行錯誤中なんですけど、なんとなく音に元気が出るような気がしましたね。以前は普通のパッチ・ケーブルを使っていたんですけど、変えて音が悪くなったりも全然していませんし、正直違いもわからないくらいです。
──今まで、パッチ・ケーブルのトラブルはありましたか?
普通のパッチ・ケーブルってけっこう太いじゃないですか。長さも少し長かったのか、足でボードを操作する時に、ケーブルがエフェクターのツマミを動かしちゃったりっていうことがあったんですよ。ボードも組みづらかったりもしましたし。でも、ネオ・ソルダーレスはぴったりで作れるし、線も細くて良いですね。
──耐久性もかなり高いんですよ。
耐久性は一番重要ですよね。パッチ・ケーブルの断線って、怖いじゃないですか。だから、安心できますよね。
──作ってみた感想は?
工作などはプラモデルくらいしか経験はないですけど(笑)、初めてでもすごく簡単に作れました!
──どんなギタリストにオススメですか?
エフェクターはギターを何段階も進化させてくれる愛すべきもので、その大事な橋渡しの役割がパッチ・ケーブルなんですよ。だから、エフェクターを愛するギタリストならば、パッチにこだわれ! こだわるならオヤイデだろう! このケーブルで統一してツアーに臨むのが楽しみですね。
本記事の一部はリットーミュージック刊『ギター・マガジン 2019年8月号』にも掲載されています。今号のギタマガでは、ブルース三大キング(ブルース最強説vol.2)と題して、B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングの魅力を総力特集。ほかにも、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライングバーズやテデスキ・トラックス・バンドの来日公演時の機材紹介など、盛りだくさんの内容。ぜひチェックしてみてください!
美濃隆章
みの・たかあき◎神奈川県出身。日本を代表するロック・インスト・バンド=toeのギタリストであり、レコーディング・エンジニアとしても数々の作品に携わっている。愛器はフェンダー・ジャズマスター。最新作は昨年発表した『Our Latest Number』。
小原綾斗
おはら・りょうと◎高知県出身。Tempalayのギター&ボーカルとして、2015年にデビュー。愛器はフェンダー・ムスタングで、ストレートなロックからエフェクティブなプレイまで幅広いスタイルを持つ。最新作『21世紀より愛をこめて』が発売中。