AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Roland/V-Drums Series
今春、高校/大学入学をきっかけに軽音楽部やサークルでドラムを始めたビギナーも、新しい生活環境に慣れて、そろそろ本格的に練習をしたいという時期ではないでしょうか。そんな自宅で思い切り叩きたいドラマーの味方になってくれるのがローランドのVドラム! ビギナーからトップ・プロまで対応する幅広いラインナップを誇り、充実した練習をしたいドラマーにぴったりの1台がきっと見つかるはず!! 今回は“電子ドラムの自宅導入”をキーワードに、アコースティック・ドラムでの演奏を想定したセッティング術や、目的別ラインナップ紹介など、ビギナーが知りたい“あれこれ”をすべてレクチャーします!
上写真を見るとわかるように、アコースティック・ドラムは、電子ドラムと比べて口径が大きく、スネアやタム、シンバルなど、それぞれの距離が離れます。電子ドラムは非常にコンパクトに設置することが可能ですが、一方で、アコースティック・ドラムでの演奏を前提とした練習で使うのであれば、その距離感に近い形でセッティングする必要があるでしょう。ドラマーの好みに合わせたセッティングに対応可能なVドラムのラック・システムならば、それも容易に実現することができます。せっかく導入する電子ドラムです。より効果的な練習ができるように心がけましょう。ここでは、セッティングのポイントについて解説していきます。
それではアコースティック・ドラムと同じ過程を辿りながら、Vドラムをセッティングしていきましょう。アコースティック・ドラムをセットする上で、最初に決めるのがスローンの位置です。これはVドラムでも同様で、スローンとキットの距離が近づきすぎないよう注意しましょう。もちろん座る位置は体格などによって個人差はありますが、スネアの位置ギリギリまでスローンを寄せて座ることはオススメできません。
またスローンの位置は、キック・ペダルとハイハット・ペダルとも密接に関わってきます。自分が座った位置からスネアを挟んで、左右のペダルが自然と足を広げた場所に来るようにセットしてみると良いでしょう。また、スローンの高さはキック・ペダルに足を乗せたときに、膝がやや下がるくらいの距離が基本とされています。アコースティック・ドラムに座って構えている下記写真を参考にしてみてください。
スローンの位置、ペダルのポジションが決まったら、次はスネアの高さを決めていきましょう。スネアはスローンに座って、オープン・リム・ショット(フープと打面を一緒に叩く)をした際に、スティックがちょうど打面と並行、あるいはチップ側が少し下がるくらいの高さがちょうどいいでしょう。ポイントはスローンよりも高い位置にスネアをセットできているか、ということです。ハイハットの高さも重要です。スネアの打面から15〜20cmが1つの目安と言われていますので、ぜひ参考にしてみてください。
Vドラムは各パッドをコンパクトに設置できる点が特徴ですが、稀に設置スペースを意識し過ぎて、スネアとフロア・タム位置のパッドの距離が近すぎるケースが見受けられます。アコースティック・ドラムでの演奏を前提とした練習で使うのであれば、スペースが許す範囲で、ラック自体を広げましょう。アコースティック・ドラムのスネアとフロア・タムの口径を想定し、その打点の中央にパッドを配置するイメージでセットするのがポイントです。立った状態から俯瞰で見たときに、少し離れ過ぎているかなと感じるくらいがちょうど良かったりもします。
スローン、スネア、パッドの位置関係が決まったら、いよいよ最後はシンバルのセッティングです。シンバルは口径が大きいので、アコースティック・ドラムでの演奏を想定している方は、シンバル同士の間隔を広げると良いでしょう。下写真のようにシンバル・マウントを垂直にセットすると、距離感が近くなるので、少し奥側に斜めにセットしましょう。モデルによってはブームにできるものや、セッティングの自由度が高いボール・クランプを採用したモデルもあり、アコースティック・ドラムに限りなく近いシンバル・セッティングをすることも可能です。
上記のポイントに沿ってセッティングしたVドラムの俯瞰写真が下の1枚。アコースティック・ドラムの写真と比較しても、かなり近いのがわかるでしょう! このようにアコースティック・ドラムでの演奏を想定したセッティングはもちろん、反対に上写真のようにアコースティック・ドラムではできない超コンパクトなセット・アップも可能で、さまざまな組み合わせで楽しめるのもVドラムの魅力です。
ここからはVドラムで学ぶことができるドラミングの基本をレクチャーしていきましょう。アコースティック・ドラムでの演奏を想定した使い方を考えている人こそ、知っておきたいポイントが満載です!
ドラミングの大きな魅力の1つが、音量の大小をコントロールするダイナミクス表現です。アコースティック・ドラムでの演奏を想定した使い方を考えているドラマーにとって、電子ドラムのダイナミクス表現は気になるポイントだと思います。しかしVドラムの強みはまさにその点で、モジュールには生ドラム特有の発音原理を仮想的に合成する独自の技術を採用。抑揚豊かなサウンドを実現し、Vドラムだからこそ身につけられる繊細な表現もあります。
アコースティック・ドラムでは、それぞれのタイコの口径やチューニング具合によって、リバウンドが大きく変化します。特にフロア・タムはピッチも低く、跳ね返りを利用して演奏することが難しいです。電子ドラムに採用されているメッシュ系のヘッドは、リバウンドを捉えやすく、アコースティック・ドラムでの演奏を想定した練習には向いていないのでは?と考える人もいるかもしれません。しかし、Vドラムでは打面の張り具合の調整が可能で、それぞれのタイコ特有のタッチに近い状態で練習することができます。
アコースティック・ドラムには、良い音で鳴らすことができるポイント、いわゆるスウィート・スポットがあります。Vドラムの上位機種モデルは、打点による音の変化を再現していますが、アコースティック・ドラムと電子ドラムではサイズ感が異なることもあり、特にビギナーは良い音で鳴らすのが、難しいと感じるかもしれません。そこでまずは、打面の中心を狙って叩くことを意識してみてください。真ん中をヒットすることはドラミングの基本で、そこにサイズは関係ありません!
価格、サイズ、静音性、機能性などなど、ビギナーが電子ドラムを購入する上で気になることは数多くあります。そこでここでは、目的別にオススメのVドラムを紹介! 用途に合ったモデルが見つかったら、ぜひ一度、楽器店などで実際に試奏してみましょう!!
※価格はすべてオープンプライスです。表示した価格は市場実勢価格になります(税別)
▼5万円以下:TD-1K(¥46,000前後)
気軽にドラムの練習を始めたいとは思いつつも、やっぱりかかる費用は最小限に抑えたいという人は多いことでしょう。電子ドラムのエントリー・モデルは、3万円くらいからありますが、中でも5万円以下での購入を考えている人にはこのTD-1Kがおすすめです。コンパクトさと簡単操作、そして静粛性を兼ね備えたモデルです。音も上位モデル譲りの迫力あるサウンドが数多く収録されています。各パッドの高さや位置が簡単に調整できるので、ドラムをやっていたお父さんと、これからドラムをやってみたいというお子さんの両使いにも最適です。このキットでドラマーとしての第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
▼10万円以下:TD-1DMK(¥76,000前後)、TD-1KPX2(¥93,000前後)
初心者用電子ドラムとしても手を出しやすい価格帯に属するのが、TD-1DMKとTD-1KXP2の2モデル。パッドの打面素材はいずれもラバーではなく、2プライ仕様のメッシュ・パッドが装備されており、より高い静音性を確保しながらの自宅練習が可能です。あまり高いキットは手が出ないけど、ある程度しっかりとした練習環境を想定している人にピッタリで、バンドや部活の曲の予習や復習などにも十分に使える機能が備わっています。リーズナブルでありながらも高い表現力を求める人に最適なチョイス。ちなみに両モデル共に、ツイン・ペダルに対応したキック・パッドを採用している点もうれしいポイントです。
▼15万円以下:TD-17K-L-S(¥108,000前後)、TD-17KV-S(¥125,000前後)
初心者はもちろん、中級者以上のドラマーにもオススメしたい高い演奏性と表現力を備えたTD-17K-L-SとTD-17KV-S。中でもTD-17KV-Sはオール・メッシュ仕様で、スネア・パッドは12”と大きく、かなり本格的です。5~10万円代のモデルよりも、シンバル、タムが一回り大きくなり、アコースティック・ドラムをより意識した、本格的な練習を行ないたい人にはこれらの電子ドラムをエントリー・モデルとして導入することを推奨します。モジュールのTD-17は、Vドラムのフラッグシップ・モデル=TD-50のサウンド・エンジンを継承しており、ドラム経験者の練習用途としても十分に満足できるクオリティとポテンシャルを秘めています。どちらも自宅練習に満足できる1台でしょう。
▼TD-17KVX-S(¥165,000前後)
TD-17KVX-Sは12"クラッシュ・シンバル2枚と13"ライド・シンバル1枚を備えた、本格的なドラム・セット構成のVドラムです。ドラムのパッドはもちろんオール・メッシュで、スネアはアコースティック・ドラムに近い12"の大きなパッドが装備されています。ハイハットは市販のハイハット・スタンドに取りつけて使用するVハイハットを採用。ペダル操作に合わせてパッド自体が上下動し、オープンからクローズまでのハイハット・ワークがスムーズに表現できます。サイズ、演奏感も含めてアコースティック・ドラムを想定した練習をしたい人に、最適のスタンダード・モデルと言えるでしょう。ちなみに上記の動画内で使用しているVドラムは、こちらのモデルになります。
周囲に気兼ねなく練習したいという人にとって、静粛性は重要なポイント。TD-1Kはビーターレスのキック・ペダルを標準装備しており、静粛性に優れ、階下への振動問題にも配慮された設計になっています。そしてTD-1DMKはコンパクトさを備えながらも豊かな表現力を兼ね備えたモデルで、スネアやタムにはメッシュ・ヘッドを採用。打撃音が静かになる工夫が施されています。両者とも操作がとても簡単ですので、キッズ・ドラムとしてお使いいただくのも良いでしょう。
部屋のスペースや置き場所があまり確保できないという人は、TD-1K、TD-1DMK、TD-1KPX2の3モデルがオススメです。中でもTD-1KPX2はコンパクトでありながらも、スネアとタムすべてにメッシュ・ヘッドが採用されており、さらにはワイド・タイプのキック・パッドによって、ツイン・ペダルのセッティングも可能となっています。そして、何より特筆すべきは、パッドとシンバルを装着したまま折り畳むことができる専用のスタンドでしょう。自宅での練習はもちろん、ライ ブなどにも気軽に持ち出すことができるポータブル性を兼ね備えているので、いつでもどこでも演奏が楽しみたい人にもオススメです。
▼TD-17KV-S、TD-17KVX-S、TD-17K-L-S
日常の練習をもっと楽しいものにしたいあなたには、多彩な機能が搭載されたTD-17シリーズがオススメです。中でもドラマーの最も重要な役目である、テンポ・キープ力を養うのに最適なコーチ・モードは、自分のスキルや目的に合わせて3つのメニューから選択、正確さや得点が表示され、ドラム・テクニックの上達具合をゲーム感覚で把握できるようになっています。また、音源のTD-17(※)にはBluetooth機能が搭載されており、手持ちのスマートフォン&タブレットとVドラムを無線接続することが可能。お気に入りの楽曲と合わせてのドラム演奏が簡単に楽しめます。SDカード(別売り)への録音機能も搭載され、いわゆる“叩いてみた”動画も簡単に作ることができます。
※TD-17K-L-Sの音源TD-17-LにはBluetooth機能は搭載されていません
▼TD-25KV-S(¥240,000前後)、TD-25K-S(¥196,000前後)
TD-25シリーズは、ドラマーの求める幅広いダイナミクスや繊細なニュアンスを、的確にサウンドへ反映することができる本格モデルです。セット・ドラミングの要を担うスネアに関しては、打点位置検出機能によってヘッドを叩く位置やリム・ショットのさじ加減で、絶妙にサウンドが変化する構造になっており、フラムやゴースト・ノートなどのセンシティヴなスティック・ワークも、的確に音に反映してくれます。また直感的にドラム・サウンドをカスタマイズすることができるのも大きな特徴。曲調に合わせてさまざまなセッティングを試すことができるなど、よりアコースティック・ドラムに近い感覚で叩くことが可能です。
▼TD-50KVX(¥730,000前後)
ドラマーが欲しい表現力が最大限詰め込まれた、Vドラムの中でも最高峰のキットがTD-50シリーズです。ルックス&演奏感も含めて、ステージ使用に応えうる機能が満載。音色を徹底的に作り込むことも可能で、プロの現場のレコーディングやライブなど、幅広いシーンでの使用実績があります。スネア・パッドはアコースティック・ドラムにおいて一般的な14"のものを採用。さらにライド・シンバルには18"のパッドを装備。安定感のあるドラム・ラックと22"のバス・ドラムの組み合わせは圧巻。演奏性、ルックス、すべてにおいて存在感を放ちます。
本記事は、リットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2019年8月号』の特集記事を転載したものです。表紙特集は、華やかな多点キットから重厚なドラミングを放つD'ERLANGERのTetsu。さらに恒例の誌上コンテストの課題曲発表や、KREVA×白根佳尚によるスペシャル対談、リハスタの個人練1時間を使ったトレーニング・メニューを紹介する特別企画など、盛りだくさんの内容。今回のモデルを務めた山木コハルと、その父である山木秀夫とのスペシャル対談の完全版も掲載しています。本記事と併せてぜひお楽しみください。
山木コハル
やまきこはる●2012年、13歳でエントリーした大型オー
ディションで受賞後、数々のテレビ・映画・舞台・ラジオに出演。2014年にはアイドル・グループの一員としてCD デビューも果たす。昨年まで第一線のグループで活躍した後、2019年よりソロ活動を開始。 歌唱、演技に定評が高く、トーク番組やイベントのMC までこなすマルチな才能を持つ。今春、ソロとしての初ライブを開催するなど、精力的な活動を行っている。
山木秀夫
やまきひでお●1952年生まれ。熊本出身。中学よりドラムを始め、1974年に市川秀男のトリオに加入し、上京。プロ・ドラマーとしての活動をスタートさせる。以降、近藤等則、アート・リンゼイ、ビル・ラズウェル、井上陽水、B’z、福山雅治、JUJU など、膨大な数のライブ/レコーディングに参加。現在は国内外での演奏活動の傍ら、自身が培った経験や知識を後進に伝えていくプロジェクト=山木秀夫コレクションも展開中。