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- 2024/11/16
Line 6 / Helix Floor
Line 6 Helixシリーズを愛用するトップ・アーティストたちに、その活用法とインプレッションを披露してもらう本連載。その第9回目は、クイーンの楽曲をバンド+オーケストラで演奏するプロジェクト、“クイーン シンフォニック”で来日したセッション・ギタリスト=アンディ・ジョーンズ(Andy Jones)に登場いただく。今回、5月10日~11日の2日間に東京国際フォーラムで開催された来日公演の舞台裏にて彼をキャッチし、ブライアン・メイ・サウンドの秘密や通常のライブとは異なる編成の中でのHelix Floorの活用法を聞いた。
Helix/HXファミリーすべてに適用されるファームウェア2.80がリリースされた。当アップデートは、すべてのHelix/HX製品を同一のエコ・システム内に統合するための新しいHelixコア・エンジンを採用した最初のファームウェアとなり、すべてのHelix/HXユーザーが対象となる。その内容でまず注目したいのは、大量に追加された画期的な機能群。例えば、HelixをPCと接続して、DAW/DJソフト/照明ソフト/メディア・プレイヤー/動画ソフト/webブラウザ/画像編集ソフト/ビデオ・ゲーム/エクセル/パワーポイントなどのコントローラーとしても機能させることができる“ホットキー”(※HX Stompは対象外)、VDI経由で接続されたVariaxの個々の弦のレベルをリモートで独立して調整できる“Variax ストリングス・レベル”(※HX StompとHX Effectsは対象外)の追加、さらにHelixおよびHX間でプリセットを共有できるようになるなど、その内容は多岐にわたる。もちろん今回も新たなアンプ・モデルとエフェクト・モデルも追加されているので、ぜひ以下のURLから併せてチェックしてほしい!
■ニュース・ページはこちら
https://line6.jp/news/1168/
■ファームウェアのアップデート方法はこちら
http://yamaha.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/10135/session/L2F2LzEvdGltZS8xNTYzODgzNTI0L3NpZC9WajIyVnNrbw%3D%3D
※2019/7/24追記
最新テクノロジーとこれまでLine 6が培ってきたノウハウをすべて投入した“最高のギター・プロセッサー”を実現するべく、6年にも及ぶ開発期間を経て2015年にリリースされたHelixシリーズ。現在までにフロア・タイプ2種とラック型、プラグインをラインナップしているが、中でも宅録/ライブといったシチュエーションを問わず人気を呼んでいるのが、フロア・タイプのHelix Floorだ。最新のVer2.71では、新開発のHXモデリングによる72タイプのアンプ・モデリングと37タイプのキャビネット、MシリーズやDL4などから移植された77種の“レガシー”エフェクトを含む194種類以上のエフェクトなどを内蔵し、まさにギター・サウンドメイクの中枢システムとして活躍してくれる。
Helixが誇る膨大なアンプ/キャビネット・モデリング、エフェクトの数々は、ただたくさんの機材のトーンを活用可能というだけでなく、その組み合わせにより歴代の名手のシグネイチャー・トーンを辿り、再現できることも示している。例えば、ジミ・ヘンドリックスであれば【Arbitrator Fuzz】や【Ubiquitous Vibe】【Chrome】【Brit Plexi】など、エディ・ヴァン・ヘイレンであれば【Gray Flanger】や【Script Mod Phase】【Transistor Tape】【PV Panama】など、かつて彼らが愛用した実機のモデリングを活用して、肉薄するサウンドを創出可能だ(さらに、Line 6のwebサイト「CUSTOMTONE」では世界中のユーザーが作成したプリセットをダウンロードすることもできる)。アンディ・ジョーンズの例のように、Helixでエミュレートしたブライアン・メイのトーンが、クイーンの名を冠したオフィシャル・プロジェクトにおいて認められているということが、何よりそのサウンド・クオリティの高さを証明していると言えるだろう。さらにHelixからPA卓に直接プラグインすることで、アンプ/キャビネット・モデリングも含めた音色をそのまま会場のスピーカーから出力できるだけでなく、“クイーン シンフォニック”のように繊細な音を奏でるオーケストラと合奏するがゆえに必要とされる、自身の音の緻密なコントロールにも難なく対応できてしまう。サウンドだけでなくユーザビリティにおいても、プロ・ミュージシャンが求め、必要とされるクオリティとクリエイティビティを実現するのがHelixの真骨頂である。
僕に必要なすべての機材がHelixの中に入っている
僕はもともとクラシックを学んだあと、ジャズにのめり込んでイギリスのナショナル・ユース・ジャズ・オーケストラに参加したんだ。そこから多くのセッションや商業的なプロジェクトでプレイする中で多くの人と出会い、やがてヴァン・モリソンやクリフ・リチャード、そして2012年頃にクイーンを題材にしたミュージカルに関わるようになり、ブライアン・メイと面識を持つようになった。今回の“クイーン シンフォニック”は、ブライアンの徹底的な監修のもと、クイーンが残したオリジナル・レコーディングを忠実に再現し、それにオーケストラを加えるというプロジェクトなんだ。
今回もそうだけど、今ではほとんどのライブをHelixだけで行なっている。もちろんビンテージ・アンプを使うことも好きだけれど、単にライブ・ツールとして考えるとHelixのほうが使いやすくて、僕もそれに慣れきってしまったんだ。実は僕が使っているHelixは、あるギター雑誌のレビューのために、Line 6のデモンストレーターも務めるポール・ハインドマーシュの手元に一時期あったものでね。だから、最初から彼が作ったプリセットがいくつか入っていて、その中に“Ph.D May(メイ博士)”というプリセットがあった。それはAC30のモデリングと【Deranged Master】を組み合わせたもので、僕のほうで少しEQなどを調整したけれどほぼそのまま使っているよ。ちなみに、以前ミュージカルの現場にブライアンが来て実際にプレイしてくれたことがあって、彼が持ってきたAC30を見てみると、なんとすべてのノブがフルの設定だったけどね(笑)。それと、スナップショットは重要でパワフルな機能だ。サウンドほど重要視していた機能ではなかったけど、使ってみて相当なものだと気づかされたよ。(音色切り替えの際の)タイムラグが皆無で、これを上回るものなんてないんじゃないかな。“クイーン シンフォニック”では“Ph.D May”のドライブをオフにした状態をメインにして、曲のパートごとにドライブやディレイ、コーラスを加える設定を6個ほど作って、スナップショットで切り替えている。ちなみにブライアンは時折コーラスを使って少しだけゲインを加えて、リードとは少し違うサウンドを作っているんだよ。
世界各国を飛び周るような状況だと、Helixははるかに優れている。持ち運びやすさはピカイチだし、どこで鳴らそうが同じサウンドが得られるわけだ。僕に必要なすべての機材がHelixの中に入っているって考えると、本当にアメイジングなことだよ。それと、実は最近Powercabを手に入れて、まだ現場で使ってはいないけれど、これからほとんどの仕事で使おうと思っているくらい気に入っているんだ。ギターに特化した、よりリアルなサウンドというのかな、ディープでビンテージなサウンドが得られる。Powercabが素晴らしいのは、大出力なビンテージ・アンプのフィーリングを小音量でも再現できることだ。
アンディ・ジョーンズ「Helixを使えば僕のやりたいことの90~95%はクリアできる。これはアンプを使う場合には達することのできない満足度だ」
価格:オープン
アンディ・ジョーンズ
イギリス出身。クラシックやジャズで培ったアカデミックなプレイを武器に、ヴァン・モリソンやクリフ・リチャードを始めとする多数のアーティストのサポート・ワークを務める。また、クイーンの楽曲を題材にしたミュージカル『ウィー・ウィル・ロック・ユー』ではブライアン・メイとともにアレンジも手がけるなど幅広く活躍中。