AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Fender
NAMM 2019で発表され話題となったフェンダーの新製品American Acoustasonic Telecaster”と“American Performerシリーズ。すでにデジマートでも売れ行きが好調だ。それらを開発するにあたっての狙いや想いについて、米フェンダー開発最高責任者ジャスティン・ノーベル氏に伺った。
──現在デジマートでは、フェンダー製品の売れ行きが大変好調です。日本のユーザーがAmerican PerformerシリーズやAmerican Acoustasonic Telecasterなど、NAMM SHOW 2019で発表されたフェンダーの新製品に注目していることもわかっています。R&Dの観点から、新製品を上手に市場に投下するための戦略とは何でしょうか?
私たちの願望は、ミュージシャンにとって有益なツールを提供したい、という至ってシンプルなものです。私たちはミュージシャンが作品を創造し、新しいサウンドを発見することを手助けしたいのです。それを実現するために、歴史ある楽器を忠実に再現することもあれば、斬新で革新的な楽器を新たに生み出すこともあります。すべての製品は膨大な研究と試行錯誤を経て製品化されており、中には市場に発表されるまでに3年の開発期間を要するものもあります。
── 以前のインタビューであなたは、フェンダーは伝統と歴史を重んじながらカッティング・エッジなイノベーションを追求していると言っていました。American PerformerシリーズとAmerican Acoustasonic Telecasterはまさに、歴史や伝統と、革新的なイノベーションが融合した製品だと感じています。これらの革新的な特徴を教えてください。
American Performerシリーズは、伝統と革新のハイブリッド性を語るのに非常に良い例だと思います。例えば製品のフォルムやデザインは、フェンダーの伝統にのっとって設計されていますが、ダブルタップ・ピックアップ・システムなどのエレクトロニクスや、ネックのラジアス、フレットの種類といったスペック面では、モダンなプレイアビリティを追求してアップデートされています。
一方、American Acoustasonic Telecasterは、今まで存在しなかったまったく新しい楽器という意味では、純粋に革新的な製品だと感じています。アコースティック楽器の製造技術と最先端のエレクトロニクスを融合することで、TELECASTERシェイプという馴染み深いデザインでありながら、かつてないサウンドを奏でるのです。
──日本の市場は、他の国々の市場に比べて特徴的な相違点はありますか? 製品や音楽に対する好みだったり、何か日本が独特と感じるところがあれば教えてください。
どの国においても、実に多彩なカスタマータイプが世の中には存在し、カテゴライズするのは難しいですね。ただ全体的に、日本の皆さまは革新的な技術などにとても敏感で、多様な表現手段、楽器の種類に対してもオープンな心を持っていると思います。
──American PerformerシリーズとAmerican Acoustasonic Telecasterは、どのようなプレイヤーに使ってほしいですか?
American Performerシリーズは、さらに一歩先を目指すプレイヤー向けの製品です。それはサウンド面にしても、演奏面にしても、より幅広い表現力を手に入れられる機能が詰まっています。一方、American Acoustasonic Telecasterは、クリエイティブな意欲さえあれば、無限の表現を創出できる可能性を秘めた製品です。幅広い種類のアコースティック/エレクトリック・ギター・トーンを奏でられるだけでなく、エレクトリック・ギターに近いフォルムのため、従来のアコースティック・ギターでは考えなかった奏法などを編み出すきっかけにもなると思います。例えばあるプロデューサーは、POGペダルとワーミー・ペダルにつないで弾いていました。一般的なアコースティック・ギターだったら、このような使い方をしてみようとは、まず考えませんよね。この製品のコンセプトは「ACOUSTIC. ELECTRIC. そこにある、すべて。」です。試作品をアーティストやプロデューサーの方たちに試奏してもらった時、本当に多くの方々が「そこにある、すべて」を探ろうとしていました。この楽器にルールはありません。クリエイティビティの赴くままに、表現の限界まで挑戦していってほしいと考えています。MIYAVIのようなクリエイティビティに対して貪欲で、大胆不敵なアーティストがこの楽器を手に取ってくれたのも、自然の成り行きなのではないかと思います。
──あなたがAmerican Performerシリーズの製品を一つ選ぶとしたら、どのモデルを選びますか?
それは難しい質問ですね。まるで「あなたの子供の中から、一番のお気に入りを決めてください」と聞かれているようです。もちろん全てのモデルが大好きな自信作で優劣を決めることはできませんが、あえて言うなら、柔軟なサウンド設計が可能なダブルタップ機能を搭載したStratocaster HSSモデル、もしくはStratocasterのトレモロ・ユニットを搭載したJazzmasterになるでしょうか。
──あなたならAmerican Acoustasonic Telecasterを使って、どのような音楽を演奏したいと思いますか?
実際、開発期間中にたくさん弾く機会がありました。私にとってAcoustasonic Enhancerピックアップによるパーカッシブなサウンドがとても音楽的でインスピレーショナルだったため、これを使ってエレクトロニカやヒップホップのような音楽をレコーディングしました。
──日本のフェンダーファンに、メッセージをお願いします。
私たちはこれらの新製品を日本にご提供できることをとても光栄に感じています。日本の市場は私たちにとって、歴史的な意味からも、大変重要で貴重です。私は15回以上、日本を訪れていますが、私だけでなく、フェンダーというブランドをいつも温かく迎え入れてくださって感謝しています。今回ご紹介させていただいた新製品を通して、日本の皆さんがどのような音楽を生み出してくれるのか、とても楽しみにしています!
価格:¥270,000 (税別)