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ATV EXS Seriesの衝撃 feat. かねこなつき

ATV / EXS Series

ATVが満を持して発表した新モデル、EXSシリーズ。自宅練習に特化した電子ドラムでありながら、世界的に高い評価を受けたaDrumsのテクノロジーを集結。核となるモジュールも、同社が誇るaD5を踏襲し、非圧縮ステレオで録音したドラム・キット・サウンドを内蔵。クオリティの高い音色で本格的な練習ができると話題を集めている。今回は注目の女性ドラマー=かねこなつきによるデモンストレーションと、“トレーニングビューワー”機能を使った実践的なレクチャーを通して、EXSシリーズの魅力に迫ってみたい。

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ATV EXS-3の衝撃

コンパクト・サイズのシェル・キットEXS-3

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 aDrumsで培ったノウハウを注ぎ込んだ自宅練習用の電子ドラム、EXSシリーズ。aDrumsは実際の木胴シェルを用いた、リアルなルックスが特徴でしたが、EXSシリーズは電子ドラムならではの薄胴パッドを採用。自宅での練習スペースが限られている人にとって、特に口径の大きなバス・ドラムに関しては、コンパクトなEXSシリーズの方がありがたいかもしれません。

 EXSシリーズにはEXS-5とEXS-3という、パーツのサイズや構成の違う2種類がラインナップされており、今回試奏したのは省スペースを意識したコンパクト・タイプのEXS-3。シンバル類はハイハットとクラッシュが12”で、ライドが14”。サイズこそaDrumsと比較すると一回り小さくなりますが、実際のシンバルと違和感のないルックスで、セッティングの距離感も掴みやすいと感じました。

13"メッシュ・パッドをスネア、タムに採用した本格仕様のEXS-5

EXS-3に比べて1枚シンバルが多く、より実践的な練習が可能だ

 実際に演奏してみて感じたのは、キット全体の安定感。これはしっかりと体重を受け止めてくれるキック・パッド、そして本物のスタンドを使用したハイハットの踏み心地などが大きく関与していると思いますが、アコースティック・ドラムと同様、遠慮なく身体の重さをセットに預けられ、地面からの反力をしっかり感じながら演奏できるのが良いですね。タムやスネアのパッドは10”で統一されていますが、ヒットした際、スティックがヘッドに食い込むときのタッチもリアル。シンバル類も含めて、叩いた感触と発音にギャップが少ないのもaDrums譲りで、生々しい音色と相まって演奏に心地良く集中できます。

独自の緩衝構造を採用した安定感抜群のキック・パッド。ヒットした瞬間を把握できる打感と素早い発音を両立し、ツイン・ペダルにも対応可能。高速連打の練習にも最適

“非接触式センサー”を用いたハイハット。ボトム側には光センサー、トップ側のクラッチ裏側に、白い反射板が装備されて、高い検出精度と追従性を具現化

2プライ仕様のメッシュ・ヘッドを装備し、センサーはエッジ付近の3ヵ所に配置する“マルチ・センサー”を採用。打面の感度が均一化され、幅広くダイナミクス表現が可能

外周360度すべて演奏できるATVオリジナルのシンバル・パッド。独自のピボット機構によって全方向への自然な揺れを実現。クラッシュは12"、ライドは14"でサイズ感も本格的

こだわりの音色を内蔵したxD3モジュール

xD3モジュール

 EXSシリーズのエンジンとなる音源モジュールはxD3。aDrumsにも搭載されていたaD5を踏襲したモデルで、コンパクト・サイズのパネルに最低限のボタン類を配したシンプルなデザインが美しいです。非圧縮ステレオで丁寧に録音したリアルな音源を、独自に開発したタイム・ラグを感じさせない低レイテンシー技術を駆使して鳴らすことで、ドラマーの求める微妙なタイミングに応え、本格的な演奏が可能となります。

 内蔵されるドラム・キットは厳選されたタイプの異なる5種類で、それをパネル上の1〜5のボタンで切り替えて使用。さらにATV SOUND STOREには現在4種類のドラム・キットがアップされており、これを無料でダウンロードして使用することも可能です。 

 各パッドの音を個別にMIDI録音することができる、INDIVIDUAL MIDI機能が搭載されているのも大きな魅力。ATVのこだわりを感じる部分で、これによってDAWソフトを使ってMIDI録音する際に、各パッドのデータを分けて収録することができます。

真ん中に大きく表示されている“Modern Rock”がキット名。ジャズ、ポップスなど音楽ジャンルを想定した5キットがデフォルトで内蔵

各パッドの音を個別にMIDI録音できるINDIVIDUAL MIDI機能を搭載。今回のかねこのパフォーマンスも、この機能を使ってレコーディング

“トレーニングビューワー機能”を使った練習メニューを公開!

 EXSシリーズは練習に特化したモデルということで、トレーニング機能が充実しています。中でもメトロノームと連動した“トレーニングビューワー”は、叩いた音を波形で表示する機能で、タイミングのズレや音の強弱を視覚的に確認することが可能。演奏中、ディスプレイに波形がリアル・タイムで表示されるため、集中して練習に取り組むことができます。ここではその機能を使った練習メニューを紹介したいと思います。

♯1 キックとスネアの音量とタイミングを強化するエクササイズ

 レコーディングなどの空き時間に、エンジニアさんと「経験の少ないドラマーのバック・ビートに音量ムラがある」という話題になることがあります。一定の音量で叩くのは難しいものです。そこでバック・ビートの音量が均等に叩けているか、波形でチェックしてみましょう。シンプルな4分音符でバス・ドラムとスネアで一定音量を意識するエクササイズです(Ex-1)。あえてハイハットを叩かずに2点に集中してみましょう。繰り返し練習すると、タイミングの微妙なズレもチェックできます。

♯2 手足のボース・トレーニング

 演奏が落ち着かないように聴こえたり、フレーズが決まらない原因に、“同時に叩く箇所が微妙にズレている”ということがあります。これを鍛えるために、シンプルな4分音符での同時打ちを練習してみましょう。バス・ドラムから始めて、右手、左手と順番に加えていきます(Ex-2)。ちなみにこのような練習は“ボース・トレーニング”と呼ばれます。慣れたら8分音符や3連符での同時打ちにもチャレンジして欲しいと思います。

♯3 左右のアクセントを揃えるエクササイズ

 交互打ちでの左右のアクセントの強さをチェックする練習です(Ex-3)。まずは右左の交互打ちによる16分音符で、1打目の右手にアクセントをつけて、次の小節では2打目の左手にアクセントをつけて左右のバランスをチェックしてみましょう。強い音だけではなく弱い音のバランスもポイントになります。

♯4 ゴースト・ノートを使ったダイナミクス強化エクササイズ

 右手のアクセントの合間を左手で小さな音で埋めるフレーズの左手の音量をチェックするエクササイズです(Ex-4)。最初の小節では左右交互うちで右手のアクセントの隙間を左手の小さな音で埋めます。2小節目では「右左左」の3打のフレーズも用いて、やはり右手のアクセントの隙間を左手で埋めます。1小節目と2小節目で左手の音量バランスが変わらないように意識してみましょう。右手のアクセントにつられて左手のスティックが上がりすぎないことを意識して練習してください。

かねこなつき × EXS-3

ラストに話題の女性ドラマー、かねこなつきによるEXS-3の試奏レポートをお届けしていこう。aDrumsで自宅練習を行う彼女が体感したEXS-3の実力とは?

アコースティック・ドラムと同じ感覚で練習できる
aDrumsの良いところがしっかり引き継がれている

かねこ「私はaDrumsを自宅で使っているんですけど、今回試奏したEXSシリーズを初めて叩いたとき、そのaDrumsの良いところをたくさん引き継いでいるなと思いました。これまでにいろいろなエレクトロニック・ドラムを試してきましたが、アコースティック・ドラムとの違いがどうしても気になってしまったんです。でもaDrumsはその差を感じなくて、個人的には見た目が“ドラム”という点が大きいように思いますね。EXSシリーズはすごくコンパクトなんですけど、タイコやシンバルのサイズがリアルで、間隔もアコースティック・ドラムに近いように感じました。

 サウンドも本格的で、パッドの反応も良くて、特にaDrumsと同じ、360度叩けるシンバル・パッドが採用されている点がうれしいですね。私はこのシンバル・パッドが特に気に入ってるんです。いろんな場所を自由に叩けて、しかもしっかり揺れてくれる。これまでのエレクトロニック・ドラムは、センサーが反応する位置が決まっていたりして、それに対応するために変なクセがついてしまいがちだったりしますが、aDrumsだとアコースティック・ドラムと同じ感覚で練習することができるんです。このEXSシリーズにもそれがしっかり引き継がれていて、いつもと同じ感覚で叩くことができました。自分が意図したタイミングでちゃんと鳴ってくれる点もaDrumsと同じですね。

 クオリティがすごく高いので、“練習用とは言え、高いんだろうな”と思っていたら、予想した以上にリーズナブルで、特に今日叩いたEXS-3は(市場実勢価格で)10万円台という話を聞いて、“この価格でこのクオリティはすごい!”ってビックリしました。これからドラムを始めるという初心者にも、もっとうまくなりたいと思う中上級者にもオススメできるエレクトロニック・ドラムだと思います!」

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本記事はリズム&ドラム・マガジン2019年6月号にも掲載されています

 今回の特集はリットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2019年6月号』掲載記事を再編集したものです。表紙特集は、3月にこの世を去った伝説のセッション・ドラマー、ハル・ブレインの追悼企画。カーペンターズ、サイモン&ガーファンクルを筆頭に数々のヒット曲で名演を残し、ポップ・ミュージックの歴史を刻んできたレジェンドの軌跡を辿っています。さらにドラマー必携品=スティック・ケースの大特集も掲載。ぜひチェックしてみてください!

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製品情報

ATV / EXS-3

価格:オープン

【スペック】
●キット構成:10インチ・メッシュ・キック、10インチ・メッシュ・スネア、10インチ・メッシュ・タムタム(×2)、10インチ・メッシュ・フロア・タム、12インチ・ハイハット、12インチ・クラッシュ・シンバル、14インチ・ライド・シンバル ●サウンド・モジュール:xD3 Silver
【問い合わせ】
ATV http://www.atvcorporation.com/products/drums/exs-5_3/
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ATV / EXS-5

価格:オープン

【スペック】
●キット構成:13インチ・メッシュ・キック、13インチ・メッシュ・スネア、10インチ・メッシュ・タムタム(×2)、13インチ・メッシュ・フロア・タム、14インチ・ハイハット、14インチ・クラッシュ・シンバル(×2)、16インチ・ライド・シンバル ●サウンド・モジュール : xD3 Silver
【問い合わせ】
ATV http://www.atvcorporation.com/products/drums/exs-5_3/
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プロフィール

かねこなつき
栃木県出身。14歳のときに父の転勤先である台湾にてドラムと出会う。その後尚美学園大学音楽表現学科を卒業。菅沼孝三氏、村石雅行氏らに師事。2018年には国内女性ドラマー初のSONORアーティストとなり、高城れに(ももいろクローバーZ)ソロ・コンサートのバック・バンドも務める。上海で開催されたアジア最大の楽器見本市MUSIC CHINAへ出演の際には、その愛嬌あるキャラクターと、華奢な身体から繰り出される華やかなパフォーマンスが、非常に多くの人の心を掴み注目の的となるなど、国内国外問わず精力的に活動中。

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