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- 2024/11/16
MTD / Standard 535-24
名匠マイケル・トバイアスが率いるハイエンド・ベース・ブランド“MTD”が、新たなシリーズ“Standard”の展開を開始した。MTDのベースと言えば少人数で作り上げられる巧みのハンドメイド楽器として名高いが、同シリーズは品質や機能性、サウンドの特徴は高額モデルと同等ながら、トップ・ウッドを廃したことで高いコストパフォーマンスを実現。今回、“Standard”を愛用する奥野翔太(WEAVER)に登場願い、その高いポテンシャルを披露してもらった。
MTD(マイケル・トバイアス・デザイン)は、かつてトバイアス・ギターズ(TG)で高い評価を得たルシアー、マイケル・トバイアスが1994年に新たに興した工房。その看板モデルであり、TGとはまた異なる理想を追求したのが、35インチ・スケール/ボルトオン・ジョイントという特徴を持つ535だ。その535を元に、クロサワ楽器店からの提案をマイケルの息子であるダニエルが具現化したのが、このStandardシリーズ。低価格モデルというと海外生産などが多いが、本シリーズはトップ・ラミネイトの排除や自社塗装といった点以外は、製作工程から各種パーツまですべてハイエンド・モデルと同じ。偽りなくMTDの王道に連なるモデルと言える。
Standardシリーズの5弦/24フレット・モデルは、ボディ材にアッシュ、ポプラ、アルダーがラインナップ。ウォルナットやマートルなどのエキゾチック・ウッドをトップに配するのがMTD流だが、それを廃したことがコストダウンの一要因となっている。ただし、バック面の電池ボックスやアッセンブリーの蓋に同質のボディ材を用いるなど、木工面での手間を省いたわけではない。ピックアップはバルトリーニのリバースPタイプ。プリアンプもバルトリーニのカスタム・モデルで、3バンドEQに3ポジションのミドル帯域選択という構成もハイエンド・モデルと同様だ。ブリッジとペグはヒップショット製カスタム・モデルだが、小振りなUltraliteタイプ・ペグを用いることで多弦でも快適なヘッド・バランスを実現。さらに、ゼロ・フレットの採用とバズ・フェイトン・チューニング・システムの導入で、ピッチのズレや音質差といった問題も解消している。[この商品をデジマートで探す]
MTDのベースに初めて触れたのは4〜5年ぐらい前で、所属レーベルの社長が7弦モデルを貸してくれたのがきっかけです。かなり好みの音に近かったので2年ほど前に自分で6弦モデルを買ったんですが、やはり値が張る楽器なのでツアーに持ち歩くのは難しい。それが、このStandardシリーズはローコスト・モデルではあるんですけど、MTDならではの鳴りやサウンドはまったく変わりませんし、軽量化されているのかすごく使いやすくて、ライブには持ってこいだと思い使い始めました。
MTDのベースは、アクティブ楽器ならではのパワーがあるうえでアコースティックな鳴り方をしてくれて、奏者のダイナミクスや表現が素直に出せるのが魅力ですね。このStandardシリーズは、そのうえでちょっとパワフルな印象があって、良い意味で音が暴れてくれる部分もあります。
EQはミドルの周波数帯選択スイッチもあってかなり幅広い音作りができます。さらにタッチも出しやすいので、楽曲の場面に応じて“こう行きたい”っていう感覚的な部分も表現しやすいです。僕自身は、ピックアップ・バランサーは基本的にはセンターで、メロディを弾く場合はリア寄りにしています。これだけでも少し“いなたい”感じになり、音に哀愁が出るんですよ。逆にフロント寄りにするとさらにアコースティック感が増しますね。“こういう音が出るんだったら、こういうフレーズを弾きたい”と思わせてくれますし、ベーシストとしてのスキルを上げてくれるという印象があります。
それと、僕としては、和音プレイなど普段ではできないフレージングができるのでなるべく開放音を使いたいんですが、やはりゼロ・フレットがないと開放音と押弦音の響きの違いが気になってしまう。その点、MTDのようにゼロ・フレットがあればそういったストレスもなくなりますし、より開放音を使いたくなりますね。アコースティック楽器的な音の分離の良さもあるので、コード弾きも楽しくなります。今後このシリーズで6弦モデルが出る予定ということですが、この価格帯でツアーにも持っていける6弦ベースなら僕もすごく興味がありますし、欲しいですね。
最初は、アコースティックな鳴りということで生楽器と合わせて使うことが多かったんですけど、最近は例えばちょっと冷たい感じの打ち込みトラックの中で、生楽器らしさをパワフルに鳴らすという使い方もカッコいいと思うようになってきて、WEAVERでもそういう使い方はおもしろいかなと思っています。世界的にもそういうアプローチが増えてきていますし、そういう意味でもMTDが活躍する機会が増えていくと思いますね。
2019年5月11日(土)と12日(日)に開催予定のサウンドメッセ in 大阪 2019。そのORANGEブース(F01)にて、奥野翔太の出演が決定した。奥野が出演するのは、ORANGEアンプとMTD Standardによるデモ演奏イベントとトーク・ショーで、5月11日(土)15:00〜と16:30〜の2回を予定している。奥野がソロでベースを弾き倒す貴重なイベントなので、関西近郊の方々は奮ってご参加ください!
【サウンドメッセ in 大阪 2019概要】
■日時:2019年5月11日(土)、12日(日)
■場所:ATCホール 〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10
■入場料:⼀般前売券1,300円/当⽇券1,500円(※18才以下は入場無料です)
■サウンドメッセの詳細は → http://sound-messe.com/
奥野翔太
2004年に神戸高校の同級生として出会い、2007年に現在の3人編成となり、3ピース・ピアノ・バンド“WEAVER”としてライブハウス神戸VARITを中心に活動をスタートさせる。2009年にダウンロード・シングル「白朝夢」でデビュー。2019年3月にニュー・アルバム『流星コーリング』とドラムの河邉が執筆した同名小説「流星コーリング」を発売し、“物語と音楽のリンク”をテーマに東名阪ツアーを敢行。7月からは、3月にリリースしたベスト・アルバム『ID 2』を引っさげた全国ツアーを敢行する予定だ。