AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Fender
フェンダーブース内の特設ステージにて、 2019年に新たなシグネイチャー・モデルを発表したダフ・マッケイガンが登場した。インタビュアーはフェンダーの製品開発最高責任者であるジャスティン・ノーベル。ダフの音楽におけるベースの原初体験からフェンダーのベースとの出会い、今回の開発のきっかけとなったストーリーについて語ってくれた。
ダフ・マッケイガン(以下D):そもそも初めてベースを手に入れたのは13歳の頃。その頃はギターもドラムもやっていて、さまざまなバンドで演奏してた。ベースはいろんなブランドのものを次々に弾いていたんだけど、訳あってギターもドラムも手放すことになって、最終的にはベースだけが残った。ちょうどその頃、スラッシュに出会ったんだ。だからベース・プレイヤーになりたかったというよりは、ベースしか持ってなかったってことだね。でもそれが運命的にガンズ(・アンド・ローゼズ)に繋がったんだ。
D:フェンダーのベースに関して言えば、ベースプレイヤーだったら「ベースといえばフェンダー」っていうのは当たり前で、誰もが憧れる存在だ。ただ、その頃の僕は金がなくて、別のブランドのものを使っていた。ガンズがどんどん大きなライブハウスで演奏できるようになって、レコード会社と契約して、やっと必要なギアやタトゥーを入れる金が手に入った頃、ハリウッドのサンセットにあるギターセンターで、素晴らしいサウンドの、白いボディに黒いネックの日本製フェンダー ジャズベース・スペシャルを見つけたんだ。まさに僕の夢のベースとの出会いだったね。
その1本のベースで「アペタイト・フォー・ディストラクション」ツアーを回った。バックアップに違うブランドのものを用意してたけど、必要なかった。それから同じジャズ・ベース・スペシャルを探したんだけど、なかなか見つからなくて、フェンダーを訪ねて新しいベースを手に入れたんだ。でもネックがどうも合わなくてね。最初のベースのネックは卵の殻のような丸みがあったんだけど、それと同じフィーリングのものを作ってもらいたくて、ネックの形状をコンピューターに取り込んで、新たにデザインしてもらったんだ。そしてようやく新たなジャズ・ベース・スペシャルが誕生して、同じものを3本手に入れたんだ。
D:そういった経緯で僕のベースのアイデアが生まれたんだけど、それから時は流れて、最初の自分のシグネイチャー・モデルがフェンダーから出せる事になったんだ。フェンダー・アーティストになって、偉大なプレイヤー達と肩を並べて、自分のシグネイチャー・モデルをフェンダーから出す事が出来るなんて、本当に光栄で信じられない様な事だと思っているよ。
2作目となる今回のモデルに関しては、「Walking Papers」というグループにいた頃にアイデアが生まれたものなんだ。そのバンドはベースとドラムがとてもグルーヴィでバンドの重要な位置を占めていた。ちょうどその頃僕はベースのレッスンを受けていて、ベースの理論から指弾きなどの奏法を、生まれて初めて徹底的に学んでいた。確か48歳か49歳くらいだったな。同じ時期に、あるベースを借りる事になったんだ。様々な改良が加えられていて、ドロップDチューニングが簡単にできる素晴らしいジャズ・ベースだった。Walking Papersでは演奏の幅広い柔軟性が求められていて、ドロップDでの演奏も必要だった。そんな事もあって、僕はそのベースを使い始めて、すっかり恋に落ちてしまったんだ。そこでフェンダーのスタッフと話し合って、今までのジャズベース・スペシャルと、新しく出会ったそのモダンなジャズ・ベースがクロスした、新しいものをデザインし始めた。それが今回発表になったモデルさ。
すでにこのベースでツアーにも出て、いくつかのアルバムでも使っている。ガンズのセットでも使っていて、ジャズベース・スペシャルよりも幅広い使い方ができる万能のベースだよ。まもなくリリースされる新しい楽曲もこのベースで作っているから、ぜひ楽しみにしていてほしいな。