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- 2024/11/16
Fender / American Performer Precision Bass & Jazz
2019年1月開催のウィンターNAMMにて、Fenderの新シリーズAmerican Performerが発表されました。ベースのラインナップはジャズ・ベース、プレシジョン・ベース、ムスタング・ベースの3機種で、新開発のYosemite(ヨセミテ)ピックアップと、これまた新開発のパッシブ・トーン・サーキットGreasebucket(グリースバケット)が搭載されている点はもちろん、すべてリア・ポジションにJタイプ・ピックアップを搭載する2PU仕様となっているのも興味深いところですね。ここではリリースされた3機種の中からプレシジョン・ベースとジャズ・ベースについて詳しくレポートしていきましょう。
マテリアルは全モデルともボディがアルダー、ネックがメイプルとなっていますが、手にしてみて大変軽量なことに驚きました。ボディ・カラーは機種ごとに組み合わせの異なる4色展開で、指板はボディ・カラーによってメイプルかローズのいずれかが組み合わされます。サテン・サーフ・グリーンはジャズ・ベースとムスタング・ベースのみ、サテン・レイク・プラシッド・ブルーはプレシジョン・ベースのみラインナップされるカラーですが、どちらも鮮やかな発色の艶消し塗装で、最近のアメ車のような雰囲気があってイマっぽい印象がありますね。
ネックは全モデルともサラッとした肌触りのサテン・フィニッシュ、モダン“C”シェイプ、9.5インチの指板Rとなっていますが、ネック幅や厚みはモデルごとに従来のジャズベらしさやプレベらしさを残しつつもスリムで握りやすく仕上げられていて、近年のフェンダー製ベースの流れを汲んだ洗練されたスタイルだと感じます。注目の新開発Yosemiteピックアップは、リッチで表情豊かなトーンが得られるように設計されているそうで、従来の製品に比べて出力がアップしている分だけ音抜けも良く、スッキリとした癖のないキャラクターなのでどんなジャンルでも対応できそうです。
プレシジョン・ベースはPJ仕様ですのでコントロール・パネルをフルアップした状態では従来のプレベらしさはあまりなく、レンジの広いモダンな音色という印象です。リアを絞ってフロントのみにすると従来のプレベらしさが顔を覗かせますが、それでも従来製品よりもモダンでスッキリした音色だと感じました。リアのみにするとソリッドでシャープなシングルコイル・ピックアップらしい音色になりますが、ジャズベらしい音色ではないところがおもしろいですね。PJタイプだからといってプレベとジャズベの両方の音色が出せるわけではなく、あくまでプレベのリアにシングルコイル・ピックアップを搭載した独特の音色なのです。
一方、ジャズ・ベースの音色もワイドレンジで癖がなくモダンな印象で、多少乱暴に弾いても音色が暴れることなくアンサンブルでも馴染みやすそうです。引き締まった低音感やタイトなアタック感はやはりジャズ・ベースならではと言えますが、従来の製品以上に扱いやすい楽器と言えるでしょう。
従来のパッシブ・トーン・サーキットは、ボリューム・ポットとコンデンサをひとつずつ組み合わせたシンプルな回路ですが、American Performerシリーズに搭載されたGreasebucketはパッシブながらもちょっとした工夫が施された新開発のサーキットで、従来の製品と同じようにトーンを絞れば高域がアッテネート(減衰)されていくのですが同時に低域も適量減衰されるようになっています。トーンを操作して感じるのは、効果がとてもスムーズでバランスが良いということです。ただコモるだけでなくスッキリとしていて、抜けの良さを保ったまま落ち着いた音色へと変化していく印象です。従来のトーンよりも積極的に音作りに活用できそうですね。
さらに特筆すべきはAmerican Performerシリーズのリーズナブルな価格帯です。ワンランク上のクオリティを安定してリリースできるのは、エレクトリック・ベースという楽器をリードしてきたフェンダーならではと言えるのかもしれません。従来の製品であれば“こだわりのプレベ”、“オールマイティなジャズベ”という図式があったかもしれませんが、American Performerシリーズはどのモデルも万能性に優れていて、ここにショート・スケールのムスタング・ベースも選択肢に加わりますから、どのモデルを選ぶのかとても悩ましいですね。
価格:¥159,000 (税別)
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