AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
電子楽器
みなさん、こんにちは! Yebisu303です。そろそろ今年も終わろうかという時期ですが、冬のボーナスでどんなシンセを買おうか迷っている方も多いのではないでしょうか? NAMM Show開催に向けた各楽器メーカーの動きも気になるところですね! それでは今回も、ハードウェア機材を用いたライブ・パフォーマンスの可能性を探求していきましょう!
1990年代後半を中心にUKで流行した音楽ジャンルで、1拍目に対して3拍目では裏拍でキックを鳴らす特徴的なスタイルから、リズムの重心が2つある=2Stepと呼ばれています。UKガラージから進化を遂げ、現在も同国で根強い人気のあるDubStep(ダブステップ)、Grime(グライム)、Bassline House(ベースライン・ハウス)などのベース・ミュージックへの橋渡し役な役割を担ったジャンルとしても知られ、当時の代表的なアーティストとしては、海外ではArtful Dodger、MJ Cole、Zed Bias、国内ではm-floやMondo Grossoなどが挙げられます。
そのほかのオススメをSpotifyプレイリストにまとめてみましたので、興味がある方は是非こちらもチェックしてみて下さいね。
同社のOP-1と似た外見ながら根本からコンセプトを刷新。音楽・ビジュアル・ライティングなどをコントロールできるマルチメディア・シーケンサー/シンセサイザーです。小型ながら非常に快適なワークフローでトラック・メイクを楽しむことができます。
ミキサー部は大きく“ドラム・グループ”と“シンセ・グループ”の2つに分類されます。ドラム・グループには、サンプル・ベースのトラック4つ(キック、スネア、パーカッション、サンプルなど)を用意。1ステップに2つまで同時にサンプルを鳴らせるため、例えばクラップとスネアをレイヤーさせて音に厚みを出すといった使い方ができます。一方シンセ・グループにも、トラック4つ(ベース、リード、アルペジエーター、コードなど)が用意されており、OP-1で作成したサンプルもインポート可能。これらのトラックをフルに活用すると、スリムなボディから想像もできない重厚なサウンドが出せます。
シーケンサー部はオーソドックスな16STEPの打ち込みをベースとしながらも、発音タイミングを細かく調整可能なマイクロ・タイミング、パターンに偶発性を与えるステップ・コンポーネント、ステップごとに固有のパラメータ変化を設定できるパラメータ・ロックなどのモダンな機能が盛り込まれています。
OP-Zの最もユニークなポイントは、さまざまな機能が用意された専用iOSアプリとの連携でしょう。Bluetooth接続でiOSアプリからマルチタッチでOP-Zのパラメーターをワイヤレスでコントロールできるのはもちろんのこと、iOSデバイスに映し出された3Dモーション・グラフィックスをOP-ZでコントロールできるMOTION(モーション)機能や、iPhoneで撮影した写真を最大24枚まで使って即興でミュージック・ビデオを生成できるPHOTOMATIC(フォトマティック)機能も搭載しています。
▼ iOSアプリの画面の一部
さらに舞台照明や演出機器をコントロールするための世界標準規格DMX機器にも対応し、ライブ・パフォーマンス・VJ・舞台照明を同時にこなすことができるなど、まさに次世代のポータブル・インストゥルメントの名にふさわしい仕上がりとなっています。
PO-35は同社Pocket Operatorシリーズの最新機で、ライン入力のほか、本体のマイクで録音した音声を即座に素材として使うことも可能なボーカル・シンセ/シーケンサーです。おもちゃのような見た目とは裏腹に、なんとトータルで120秒ものサンプリングが可能なメモリーを内蔵。録音した音声を15のトラックへ個別に保存できます! 工夫すれば1曲分のボーカルをまるごと収録できますね。
8つのエフェクト・アルゴリズムも個性豊かなものばかり! ボーカル・プロセッサーAuto Tuneの効果が味わえるauto tuneや、今もクラブ・ミュージックの声ネタ製造機としてカルトな人気を誇る知育玩具Speak & Spellのような質感が得られるretro、懐かしのFlashアニメの“ゴノレゴ・シリーズ”を想起させるnoiseなど、名前は知らなくても聴けば一発でわかる楽しい効果が満載です。
さらに、同社のリズム・シンセサイザーPO-32 tonicで採用された、ソフト音源microtonicと互換性を持つドラム/パーカッション・シンセを1トラック搭載しています。たった1トラック? と思われるかもしれませんが、キック・スネア・ハイハットなどキャラクターの異なる16種類のサウンド・プリセットを本体に用意されている上、ステップ毎に音色を切り替えて打ち込めるので、工夫次第でかなり複雑なビートを構築することができるんです。もちろんPO-32 tonicとの相互データ転送にも対応しています。
これらの音源を駆使し、録りためた複数のボイス・サンプルをステップ単位に切り替えながらトラック・メイクできます。Pocket Operatorシリーズではおなじみのパンチイン・エフェクトも8種類内蔵されているので、即興でのライブ・パフォーマンスもお手のもの! ハードウェア/ソフトウェア両面の限界まで楽しい機能が詰め込まれています。
動画の1:10付近からの展開で声ネタを細かくカットアップしたようなフレーズが流れていますが、これらはOP-Zのプリセット・キットを加工して鳴らしています。OP-Zのドラム・トラックは、ピッチ調整、逆再生のオン/オフ、ローパス/ハイパスフィルター、再生位置、アンプのASRエンベロープ、エフェクト・センド、パン、ボリュームのパラメーターが調整可能で、これらをパラメータ・ロック(任意のパラメータをステップ単位に固定)できます。
設定は打ち込みたいステップ・キーを押さえながら任意のダイアルを回して、固定したいパラメーターを調整するだけ! 全てのトラックを打ち込んでコード進行も作ったけどなにか足りない……という時、この機能を駆使して変則的なフレーズを打ち込めば、曲に新鮮さが出てくるかもしれませんよ。
先述の通り、OP-ZにはiOSアプリと連携させて3Dモーション・グラフィックをコントロールできる機能がありますが、それらのシーン切り替えやエフェクト追加もシーケンサーで完全に制御することができるんです。
こちらの設定は、トラック選択ボタン+モーション・キー(本体右端、ビデオ・カメラのアイコン)を選択し、ドラムと同じ要領で追加したい映像効果を打ち込んでいくだけです。
黒鍵(1~0)にシーン(映像の種類)切り替え、白鍵に映像へ付加するエフェクトの選択が割り当てられているので、任意のステップ・キーを押さえたまま、これらのキーを押すことで、瞬間的にシーンの切り替えやエフェクトの追加を行なえます。
音声と映像を同時に変化させたいけど、本体だけでは無理なんじゃないの? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、その心配はご無用! トラックのリンク機能を駆使することで実現できるんです。これは、アクティブなトラックの操作を、他のトラックへも反映させるための機能で、今回はパンチイン・エフェクトに連動して映像にもエフェクトがかけられるように該当するトラックをリンクさせていきましょう。
こちらは、トラック選択ボタンを押したままの状態でパフォーマンス・キー(黄色いダイアルのすぐ下、人間のアイコン)を押しながら、モーション・キーを押して設定します。アクティブにしておきたいトラックを最初に選択するのがポイントですよ。
この状態でパンチイン・エフェクトをかけると、再生中のパターンにエフェクトがかかると同時に映像側にもエフェクトを追加してくれるというわけです。もちろんこれらの操作を行なっても、事前にモーション・トラックへ打ち込んでおいたシーン切替え・エフェクト用のシーケンスが消えることはないので、とても複雑な表現が可能になります。
[パンチイン・エフェクトの種類(ドラム/シンセ・トラック共通)]
F:ダック F#:フィルタースイープ G:ループ1 G#:ステレオ A:ループ2 Bb:ピッチ B:フォロー/エコー C:ランプアップ C#:ショート D:ランプダウン C#:ロング E:ランダム
このトラックのリンク機能、使い方によっては複数のドラム・トラックやシンセ・トラックをユニゾンして鳴らすような用途でも効果を発揮します。ぜひ試してみて下さい!
ちなみに以下の動画は、OP-Zだけで音と映像のエフェクトをリアルタイム変化させたり、各トラックのミュートのオン/オフを切り替えたデモ演奏です。専用iOSアプリの映像を出力させた液晶モニタの上にOP-Zを乗せているのでインパクトある映像が撮れてますね。
OP-Zにはパターンのチェーン機能が搭載されているので、1つのパターンを繰り返し再生し、エフェクトで盛り上げてから次の展開に……といった使い方も簡単です。操作方法は、プロジェクト・ボタン(本体背面、一番左側)と再生ボタンを押しながら、チェーンしたいパターンが保存されているボタンを順番に押していくと、パターンをつなげて再生できます。動画の0:41付近では、8つのパターンをチェーンして曲の展開を切り替えています。
ちなみにパターンのチェーン設定時のiOSアプリ側はこのような画面になっています。
以下の動画では、OP-Zのマスター・トラックのコード進行作成機能を使って、1小節のループをリアルタイムに展開させてみました。パフォーマンス・トラックのパンチイン・エフェクトも使っているのでエフェクトと同期したモーション・タイポグラフィの映像が表示されているのがわかると思います。
PO-35には8種類のパンチイン・エフェクトが搭載されていて、ボタン9〜16の順に割り当てられています。これらを使用するにはFXボタン+かけたいエフェクトのボタン(9〜16)を押します。
それぞれ効果が想像できるような名前になっていますが、大まかには“stutter sweep(ボタン9)”、“16 bar build up(ボタン12)”が長い尺で変化するエフェクトで、それ以外は瞬間的に使うと効果的です。これらをOP-Zのパンチイン・エフェクトと組み合わせると、同じフレーズを繰り返してしまいがちなライブ・パフォーマンスにメリハリを出すことができますよ。
動画の0:11付近では、PO-35のパンチイン・エフェクト“stutter sweep”を使用すると同時にOP-Zのパンチイン・エフェクト「ダック」でドラムをミュートし、ドラマチックな効果を作り出しています。
いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介した2台、どちらも非常にかわいらしいルックスながらハイエンド機種顔負けのポテンシャルを秘めていることがお分かりいただけたかと思います。特にOP-Z、この記事内だけではとても紹介しきれないほど機能が盛りだくさんなので、ぜひお店でその楽しさを体感してみてくださいね!
それではまた次回お会いしましょう!
Yebisu303
トラックメイカー。20代後半よりトラック制作を開始。無類のハードウェア機材愛好家でもあり、日々マシンライブを行う傍らで演奏動画をYouTubeへ投稿している。アナログ・シンセサイザー"KORG monologue"のプリセット製作を担当。