AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
CTM GPC、CTM 000C、CTM 00 12Strings、CTM 000
好評連載Martin Times。26回目も前回に引き続きカスタム・モデルを4本ご紹介! 今回は松木屋(福井県)、イケベ楽器 アコースティックステーション リボレ秋葉原(東京都)、VELVETSOUND(静岡県)、クロサワ楽器 Dr.Sound(東京都)による個性的なショップ・カスタム・モデルが登場しますので、お馴染み斎藤誠氏の演奏でお楽しみください。
マーティンのレギュラー・モデルには「王道の定番としての魅力や安心感」がある一方、カスタム・モデルには製作者やオーダー主のこだわり次第でさまざまなバリエーションが生まれるので興味が尽きない。というわけで、今回も引き続き個性的なカスタム・モデルをご紹介しよう。
通人をもうならせる品揃えで知られ、福井県福井市で音楽教室や練習スタジオも運営する松木屋には、マーティンのボディ形状としては新しいGPCのエレアコが入荷。仕上げの色と相まって、一見したところではマーティンと思えないようなデザインになっているところがまたおもしろい。電子パーツのメッカとしても知られる東京・秋葉原に位置する、イケベ楽器 アコースティックステーション リボレ秋葉原からは、キルテッド・メイプルの見事な杢目が印象的なカッタウェイ付きOMが登場。今年で創業30周年を迎える静岡県のVELVETSOUNDの入荷モデルは、小ぶりな00のボディと12フレット・ジョイントが特徴の12弦ギター。そして最後は、御茶ノ水にあるクロサワ楽器 Dr.Soundに入荷したウッディなデザインが特徴の000-45のバリエーション・モデルである。
今回はこれまでにも増して振り幅の広いバリエーションのラインナップとなった。それぞれの個性的なサウンドをじっくりと味わっていただければ幸いである。
マーティンのボディ形状としては最も新しいGPCを採用し、しかも仕上げがアンバー・トーンという、見慣れたマーティンのルックスをあえて外した遊び心を感じさせるモデル。ピックアップ・システムにフィッシュマン製のオーラVTエンハンスを搭載したエレアコで、アンダー・サドル・ピックアップの信号から楽器の音をマイクで拾ったようなサウンドを生成し、トップ裏に取り付けたトランスデューサーの音をミックスすることで、アンプを使っても自然なマーティン・サウンドが得られるようになっている。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:ソリッド・イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(25.4mm)●トップ・ブレイシング・パターン:シトカ・ノン・スキャロップト ●価格:オープン・プライス
デモ曲の最初のアルペジオを指弾きした時、すごく弾きやすいと思ったんですよ。コードのルートを低い音域で鳴らさなくても、ペラペラの音にならないんです。ボディに厚みがあるのが良いのかもしれませんね。Bメロでミュートのピック弾きになるところも、生音でもすでにエレアコを弾いているみたいな手応えがあります。これはやはり、弾き語りからロックっぽいものまでこなす、新しい人に向けたギターだと思います。トラディショナルなモデルに比べてレンジの広さを感じさせる一方、やっぱりマーティンだなと思わせるキャラクターも持っていて、アンプで鳴らした時にもそれがちゃんと伝わってくるのも良いですね。
カッタウェイ付きのOMだが、ボディ材にはマーティンでは珍しいメイプルを使用。しかも、ただでさえ見事なキルト杢をさらに強調するような、トランス・ブラック・エッジ・サンバーストという仕上げが施されている。バインディングもキルテッド・メイプルだが、明るい木地の色をそのまま生かすことで、変化に富んだボディの外形を際立たせている。バックも中央のストリップを省略してキルト杢の魅力を強調するデザインで、メイプル・ボディならではの引き締まったサウンドとも相まって、個性的な1本に仕上がった。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:キルテッド・メイプル ●ネック:セレクト・マホガニー ●指板:イエボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●トップ・ブレイシング・パターン:シトカ・スキャロップト ●価格:オープン・プライス
引き締まった音がメイプル・ボディらしいですね。音が散らないので、ピックアップを載せても良いと思いますよ。そしてルックスがすごいですね。マホガニー・ネックの塗装もボディの色に合わせてあるようで、とても上品です。僕のメインもOMですが、まったく違うものを弾いている感覚でした。ギターって見た目の影響も大きいんですよ。ザクザクとコードを刻んだ時のサウンドはメイプルならではですね。デモ曲はBメロがスカっぽくて、今までやっていなかったことを使ったことのないギターに合わせるのはおもしろかったです。リズムが締まって高音がジリジリしないのはメイプルの効果でしょう。
マーティンの12弦ギターはドレッドノートをベースにしているものが普通だが、このモデルはコンパクトな00をベースにしながら、12フレット・ジョイントを採用することでボディ容量を確保し、12弦ならではのレンジの広い豊かな響きを損なわないようにしている。また、ボディの肩の部分に丸みのあるスロープト・ショルダーを採用することで、標準的なクラシック・ギターに近いホールド感を実現。全体の外観は17シリーズを思わせるが、このモデルではシーラーで導管を埋めた高級感のあるサテン仕上げで高級感がある。
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【Specifications】
●トップ:アディロンダック・スプルース ●サイド&バック:ソリッド・ジェニュイン・マホガニー ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:24.9インチ(632.5mm) ●ナット幅:1 7/8インチ(47.6mm) ●トップ・ブレイシング・パターン:アディロンダック・スタンダード ●価格:オープン・プライス
前々回に試奏したものとはタイプの全然違う12弦ですが、このルックスが圧倒的に良いですね。スロッテッド・ヘッドで12フレット・ジョイントというデザインも、ペグの色合いまで含めてバランス良くまとまっていると思います。音量はドレッドノートに比べればもちろん小さいけれど、コンパクトな抱え心地にプライベート感がありますね。今回、僕が作ってきたデモではドロップDチューニングで弾きましたが、自分の部屋でポロンポロンと指弾きするにも最高でしょうね。トップ材のアディロンダック・スプルースの効果も出ていると思います。ショート・スケールで扱いやすいし、12フレット・ジョイントならではのふくよかな音も魅力でした。
レギュラー・モデルとしては最上位となる000-45を基本に、ボディ材には今年1月のNAMMショウで選定したココボロを使用したカスタム・モデル。バインディングにはココボロに似た色合いのブビンガを採用し、アバロンのインレイを上品に浮き立たせている。指板のスノーフレーク・インレイとヘッドのトーチ・インレイも、華やかながら目立ちすぎず、ボディのインレイと微妙なバランスを保っている。トップ材のアディロンダック・スプルースにはVTS処理が施され、古風で典雅な外観にふさわしい、熟成されたサウンドが楽しめる。
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【Specifications】
●トップ:アディロンダック・スプルース(VTS) ●サイド&バック:ココボロ ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(25.4mm)●トップ・ブレイシング・パターン:アディロンダック・スキャロップト(ゴールデン・エラ) ●価格:オープン・プライス
このギターは「どこからでもかかって来なさい」というぐらいのバランスの良さがありますね。音に重量感があるのはココボロの効果なんでしょう。000使いの柳沢二三男が弾いても、「違う音だ!」って言うだろうな(笑)。とにかく、弾いている時の充実感というか、満足感がすごいです。倍音がとても豊かで、音符が2度でぶつかるような複雑なボイシングのコードを弾いても明瞭に響くから、そういうコードを使う気にもなりますね。ココボロとアバロンとブビンガの色合いには高級感があるけど、おとなしくてシックな感じがして、よく見るとすごいですね。これでいくとペグはやはりゴールドじゃなきゃダメですよね(笑)。
今回はドレッドノートがないし、変わったギターばかりだったので、ワクワク感が大きかったですね。実は前々回に弾いた12弦のドレッドノートのモデルを、9月に福岡のギター・フェスタに出演した時にも使ったんですよ。そこで12弦じゃなきゃ表現できない世界の良さを再認識したところだったので、今回また12弦がきてうれしかったですね。VELVETSOUNDの林さんはお洒落だし、カッコ良いものが好きな人だと思っているので、彼がこのギターを選んだのはすごくわかるような気がします。GPCはさまざまな奏法を組み合わせたモダンなプレイヤーにも対応できるギターで、アルペジオでもボディの振動が胸のあたりに伝わってくる感じも気に入りました。あと、僕の曲には「君に贈る僕のラブソング」という、原由子さんが詞を付けてくれた曲があって、そのリード・ギターはメイプル・ボディのアコースティックで弾いているんですよ。今回使ったOMCはまさにそういう音がしました。000-45はバランスが最高で、ココボロのキャラクターも気に入りました。今度ギターを作ってもらう時にはココボロを使ってもらおうかなと思っちゃいました。そんなわけで、期待どおりのバリエーションが楽しめましたね。
斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。青山学院大学在学中の1980年、西慎嗣にシングル曲「Don’t Worry Mama」を提供したのをきっかけに音楽界デビューを果たす。
1983年にアルバム『LA-LA-LU』を発表し、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポート・ギターを始め、数多くのトップ・アーティストの作品への楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。
2018年4月18日、MARTIN GUITARのラジオCMでお馴染みの斎藤誠の新曲「It’s A Beautiful Day」がニュー・シングルとしてリリースされた。また、本人名義のライブ活動の他、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務め、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。そのマーティン・サウンド、卓越したギター・プレイを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!