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- 2024/11/16
Style-D、Style-D 12Fret、Style-000C、Style-000
好評連載Martin Times。25回目は21回&22回&23回と同じくカスタム・モデルを4本ご紹介! 今回はJEUGIA三条本店(京都府)、松田楽器店(福岡県)、GUITAR PLANET(東京都)、ポンポロプー(石川県)、による個性的なショップ・カスタム・モデルが登場しますので、お馴染み斎藤誠氏の演奏でお楽しみください。
前回はマーティンのレギュラー・モデルを中心に新作をご紹介したが、今回はまた全国各地のショップに個性的なモデルが入荷したということで、そこから選んだ4本のカスタム・モデルをご覧いただきたい。
まず、今年で創業120年を迎える京都の老舗「JEUGIA三条本店」のCTM Style-Dは、一見シンプルなD-28のように見えるが、実は中身は45グレイド。控えめながら装飾にこだわりの見られるモデルだ。北九州市の小倉北区で90年以上の歴史を持つ「松田楽器店」のCTM Style-D 12Fretは、ピックガード相当部分のデザインにユーモラスな特徴がある。東京・御茶ノ水にある「GUITAR PLANET」のCTM Style-000Cは、ホワイトの質感を追求したカッタウェイ付きのモデル。そして、石川県白山市のユニークな楽器店「ポンポロプー」のCTM Style-000は、用材や仕上げ、個々のパーツの選択に徹底的にこだわり、ビンテージとモダンがお洒落に融合した1本だ。
これらのモデルを眺めていると、ひとくちに「個性」と言っても多種多様な表現方法があることが再認識できる。ボディの形状や材、仕上げも様々なので、斎藤氏のデモでは、サウンド・キャラクターの違いも存分にお楽しみいただけるだろう。
最近カスタム・モデルで多く使用されるようになったグァテマラン・ローズウッドをボディに採用したドレッドノート。一見シンプルだが、ロゼッタはスタイル45、指板のポジション・マークはアバロンのトーチ・インレイ、バインディングは杢目の美しいコア材と、控えめながらお洒落なデザインになっている。また、トップ材はプレミアム・グレードのハイ・アルティテュード・スイス・スプルース、Xブレイシングはアディロンダック・スプルースを使用したリアー・シフテッドのスキャロップトということで、限りなくD-45に近い音質が期待できるだろう。
[店舗の詳細はこちらから!]
【Specifications】
●トップ:ハイ・アルティテュード・スイス・スプルース(プレミアム) ●サイド&バック:グァテマラン・ローズウッド ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm) ●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm) ●トップ・ブレイシング・パターン:アディロンダック・スキャロップト(ゴールデン・エラ) ●価格:オープン・プライス
今回の中ではオーソドックスな見た目ですが、材にはかなり贅沢をしていますね。デモにはピック弾きでストローク中心の曲を選んだのですが、そういう曲が一番弾きたくなるギターなんですよ。コード・カッティングの切れ味を聴かせたい時でも、音が太いのでガツッといってくれますね。00や000とは違って、速いストロークのパッセージでもグーンと低音の部分から支えてくれるところが、うまく表現できたと思います。Bセクションで単音のリード弾きが出てくるところでも、子どもの頃に名盤で聴いたようなマーティンらしい音が聴こえてきて楽しかったですね。1、2弦の音が太くて、3弦から移った時にパワーがガクッと落ちないのも良いと思います。
ビンテージ度が増したスタンダード・シリーズの2018年仕様を基本にしたドレッドノートだが、このシリーズのレギュラー・モデルには存在しない12フレット・ジョイントを採用している。スロッテッド・ヘッドは12フレット・ジョイントと対になる仕様で、サドルにはロング・タイプを採用し、ビンテージ・ライクにこだわったギターに仕上がっている。ユニークなのは、インレイによる外形のみで表現されたピックガード部分で、これは現社長のクリス・マーティンIV世のアイディアだという。
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【Specifications】
●トップ:アディロンダック・スプルース ●サイド&バック:ソリッド・ジェニュイン・マホガニー ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 7/8インチ(47.6mm)●トップ・ブレイシング・パターン:アディロンダック・スキャロップト(ゴールデン・エラ) ●価格:オープン・プライス
良いマホガニーを使っていますね。低音の豊かさは格別で、低音弦2本でブルースのリフを弾くだけでも会場が盛り上がりそうです。それでいて、プレーン弦のパワーが低音弦に負けていないんですよね。僕が持っているOMもそうですが、アディロンダックのトップは自分の思いどおりに鳴ってくれる感じがします。それと遊び心のあるルックスですが、ピックガードがない分、トップがより自由に振動するのかもしれませんね。デモ曲は5弦の開放がベースで、低音域を十分に使い切ってはいないのに、かなりの重量感が出たと思います。僕もRebirth Tourで12フレット・ジョイントのドレッドノートを何本も弾きましたが、これは特に幸せな気分になれるギターですね。
ボディ材にマホガニーを採用したカッタウェイ付きの000。ボディとネックの全面がアンティーク・ホワイトのグロス仕上げという、思い切ったデザインを採用している。グレインド・アイボロイドのバインディングやペグのボタンとも色がマッチしており、バインディングとボディの間の黒いラインが、カッタウェイ付きで起伏のあるボディの外形を美しく浮き立たせ、黒いヘッド・ストックとともに全体をシンプルに引き締めるという、非常にエレガントな仕上がりになっている。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:ジェニュイン・マホガニー ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:インディアン・ローズウッド ●ブリッジ:インディアン・ローズウッド ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●価格:オープン・プライス
全面がホワイトという潔いデザインはエレキには時々見られますが、アコースティックでは珍しいですね。でも、エレキと同じようにカッタウェイがアクセントのひとつになっているし、パーツの選択もうまくて、製作者の美的センスが伝わってきます。ライブの見栄えは、フェスなんかの大会場でも間違いなくすごいでしょう。全面ホワイトの塗装の関係か、音量は少し抑え気味かなという印象ですが、倍音成分がすっきりしている分、コードのボイシングに凝る人や、テクニカルなことをやる人にとっては、むしろコントロールしやすいんじゃないでしょうか。あえて指弾きの曲を選んだ理由もそこにあります。ピックアップを付けても良いでしょうね。
ボディにシポ(Sipo)という、学名ではサペリと同じEntandrophragma属の材を採用し、シンプルなスクエア・ブリッジと指板には、ローズウッド系の材の中でも硬質で重量のあるアフリカン・ブラックウッドを採用するという、マニアックなエレアコ。フィニッシュは素朴だが、昨年ご紹介したアメリカーナ16シリーズにも採用されていた銀色のアクリル製バインディングや、スキャロップト・ダイヤモンドと呼ばれるシャープなポジション・マークのインレイには、モダンなテイストが感じられる。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:シポ ●ネック:ヤレイク・マホガニー ●指板:アフリカン・ブラックウッド ●ブリッジ:アフリカン・ブラックウッド ●スケール:24.9インチ(632.4mm)●ナット幅:1 3/4インチ(25.4mm)●トップ・ブレイシング・パターン:シトカ・スキャロップト ●価格:オープン・プライス
僕はブラック・スモークの000-17を使っているので、同じサラサラの塗装で仕上げたこの楽器は、すんなり自分の中に入ってくる感じでした。シルバーのバインディングは以前に見た時も好きでしたが、これはペグのつや消しシルバーともマッチしていてカッコ良いですね。インレイもロゼッタもストラップ・ピンも含めて、統一感のある都会的なデザインがすごく良いと思います。デモ曲には単音のソロで始まる「ソリッドで男っぽい感じの曲」を選びました。ポンポロプーの親父さんはよく知っているので、テンポの速い曲を気に入ってくれるかどうか気になりますが(笑)、エレアコをアンプで鳴らすと単音が映えるということもあって、この曲にしました。
今回はルックスだけじゃなくて音も全然個性の違うラインナップで、おもしろかったですね。JEUGIAさんのモデルはクオリティの高い材の組み合わせで、お店の想いもいろいろと詰まっているかと思うと気分も盛り上がりました。音が暴れすぎなくて、低音弦から高音弦までバランス良く、上品にまとまってくれるという印象です。デモ曲のエンディングは、2度でぶつけるボイシングを使っても音が濁らないので安心して弾けました。松田楽器店さんのドレッドノートですが、普通のギターやデジタル楽器しか知らない人がこの迫力ある音を生で聴いたら、ビックリするかもしれません。ルックスについては写真を見ただけではピンときませんでしたが、実物を見るとカワイイ感じもありますね。GUIATR PLANETさんの楽器は、プレイヤーの個性との相性を選ぶかもしれませんが(笑)、ギターとしてはとてもカッコ良く仕上がっていると思います。指弾きの曲はライト・ゲージを張ったショート・スケールの楽器が合うので、もともと000で弾くつもりでしたが、最終的にはルックスが優しい感じのこのギターで弾きました。ポンポロプーさんのギターは生でも音が太いですね。エレアコなので、同じ曲を生音とアンプで比較してもらえるようにしました。良い具合に大人っぽいデザインも魅力的です。
斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。青山学院大学在学中の1980年、西慎嗣にシングル曲「Don’t Worry Mama」を提供したのをきっかけに音楽界デビューを果たす。
1983年にアルバム『LA-LA-LU』を発表し、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポート・ギターを始め、数多くのトップ・アーティストの作品への楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。
2018年4月18日、MARTIN GUITARのラジオCMでお馴染みの斎藤誠の新曲「It’s A Beautiful Day」がニュー・シングルとしてリリースされた。また、本人名義のライブ活動の他、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務め、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。そのマーティン・サウンド、卓越したギター・プレイを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!