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- 2024/11/16
オーディオ機器
ギター・マガジン2018年9月号の特集『トロピカル・スウィンギン! キューバ発、ブラジル行き。』に連動したコンピレーションCD『トロピカル・スウィンギン! キューバ 楽園のギタリストたち』が発売しました~。というわけで、今回のギタマガ・オーディオ部はCDの宣伝、もとい、本コンピの素晴らしさを高音質で余すことなくお伝えすべく、キューバのギター名演に合うヘッドフォン探しを決行! するとどうやら中野ブロードウェイの中に、イカしたヘッドフォンを紹介してくれそうなお店があるとのこと。俺たちさっそく行ってみることにしたYO!
今回はこちらのCDに合うヘッドフォンを紹介してもらいました〜。話題沸騰&売り切れ続出でお馴染みの、ギタマガ監修コンピCD『トロピカル・スウィンギン! キューバ 楽園のギタリストたち』(2,592円也)です。1960年代キューバのエレキ名演をコンパイルし、しかもギタマガ2018年9月号の特集とがっつり連動しているという、いろんな意味で世界初の試みを体現した超~イケてるCDです。ぜひ本誌と合わせて楽しんでください!
“新しい歪みエフェクターも欲しいし、パッチ・ケーブルも買い足さなきゃなぁ~” なんていうギタリスト諸兄は、1年中金欠でしょうな! 我らオーディオ部も、オーディオに使うお金はほとんど残っておりません(泣)。だがしかし! だからと言って日常的に音楽を聴くためのギア=ヘッドフォンをおろそかにしちゃあいかん! ということを、改めて実感した今回の調査をご覧あれ。
中野ブロードウェイの中にあるフジヤエービックというオーディオ・ショップのヘッドフォン担当。店頭に立つほか、“ヘッドフォン祭”や“ポタ研”といった同店主催イベントの運営にも携わるという、その道のプロ! 好きなギタリストを無理矢理聞いたところ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラのふたりとのこと。
── 8月にギター・マガジン監修で、60年代のキューバ・ギターを集めたコンピCDを作ったんですけど、その宣伝、あ、いや、魅力をより楽しんでもらうために、素敵なヘッドフォンを探してまして。それでお店の噂を聞いて、今日来てみた次第でございます。
根本 承知いたしました。ひととおりCDを聴かせていただいたたうえで、合いそうなものをご用意いたしましたので、ご紹介したいと思います。
── 頼もしいッス! そもそも、こちらはどういったお店なんでしょう?
根本 今はヘッドフォンやイヤフォンなどの“パーソナル・オーディオ”に特化して、中古をメインに取りそろえています。ほかにもスピーカーはもちろん、隣のフロアにはDTMの機材やプロ用カメラなんかも置いてありますね。音楽をやる方でしたら、作曲や編集、PV撮りの機材まですべてそろいますので、グルッとまわっていただくと何か見つかるかもしれません。
── ヘッドフォンの在庫数は多いんですか?
根本 すぐに聴いていただけるものでしたら、常時100台以上はあるかと思います。イヤホンなど細かいものも入れたら、その倍にはなりますね。
── すごい数だ~。ではさっそく1台目のヘッドフォンを教えて下さい!
根本 まずは、DENON(デノン)のAH-D1200というモデルです。当店の価格だと大体16,000円前後ですね。
── 白と茶色がオッシャレ~!
根本 黒一辺倒のヘッドフォンの中で、デザイン的にもひと味違いますし、装着感も良いんですよ。中低域がグッと迫る感じで、なおかつ柔らかめな音が特徴です。長時間、聴いていても疲れない音質だと思いますよ。
── 1万円台だけどレトロな高級感があります。
根本 今回のコンピCDが“1960年代”ということだったので、そこも意識しつつ選んでみました。アース・カラーな感じが葉巻っぽいっというか、キューバっぽいかなと思いまして(笑)。ちなみに、ケーブルが取りはずせるので、断線してしまった時にパーツだけ交換できるっていうのもポイントです。
── では、聴いてみましょう。(装着)おお……まわりの音が全然聞こえない!
根本 ポータブル系なので、しっかり密閉して外の騒音に負けない作りになってるんですよ。僕が聴いた時は、5曲目のちょっとギターが歪んだやつ(セネン・スアレスの「Belinda」)の雰囲気がちょっとおもしろかったですね。
── では、セネン・スアレスを聴いてみましょうか(試聴中)……けっこう、低音が強い感じですか? ギターの音が少し太めに聴こえるので、迫力が増したように感じますね。
根本 若干ファットな音だと思います。ギターはもちろん、パーカッションの良さなども楽しめるのではないでしょうか。
── ギター単音でメロを弾いているような曲には合いそうです。
根本 続いては、SENNHEISER(ゼンハイザー)のHD25です。もう25年以上も同じデザインで作られている、ロング・セラーのド定番モデルですね。
→ フジヤエービック商品情報ページ
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── オーディオ好きには超定番という感じ?
根本 そうですね。見た目通り質実剛健というか、まず壊れませんし、仮に壊れてもパーツ単位で手に入るのが特徴です。そのせいか、テレビの競馬やプロレス中継などで使われることも多いですね。
── ほ~それは頼もしい。
根本 音は25年前のモデルがベースなので、現代的というよりローファイなんですよ。ガツンと来る、パンチの効いた音が特徴ですね。今回のコンピだったら、9曲目「Tumbao No.1」(フアニート・マルケス)のギターのカッティングが、目立つ感じで合うと思いました。
── ほ~フアニート・マルケスのカッティングですか。どれどれ……(装着)。
根本 ただ、お世辞にも装着感が良いとは言えなくて、2時間もつけてると耳が痛くなってきちゃうんですけどね(笑)。でも、そういうマイナス要素があるにも関わらず、このヘッドフォンでしか出ない音が好きだっていうファンの方がすごく多いんです。
── (試聴中)確かに、ちょっとエッジィなギターが映える感じがしますね。
根本 ちょっと粗さもあるので細やかな再現性には限界があるんですが、今回のCDのような60年代の録音だと、音質の古さみたいな部分がうまくマスクされるんじゃないかなと思います。
── あとは、ギター・バッグの中に放り込んでおいても壊れないという頑丈さが魅力ですかね。
根本 それはもう大丈夫です。ウチの常連さんは、夏になるとこれをつけて森に昆虫採集に行くそうです。壊れないから、途中で雨が降ろうが全然お構いなしという(笑)。
── 一体、何を聴きながら昆虫採集を……?
根本 いろいろ聴かれるんでしょうけど、クラシックなんかもお好きなようですよ。
── ほ~……。ちなみに価格は?
根本 当店では20,000円前後ですね。ただ1回買えばほぼ壊れないので、お得なヘッドフォンではあります。
── これは木のパーツがカッコいいですね
根本 Meze Audio(メゼ・オーディオ)はルーマニアのブランドで、これも中低域を前面に押し出した感じですね。見た目はウッディで温かみがありますけど、音のほうはしっかりした現代的なサウンドです。当店では、大体3万円前後になりますね。
── 前のふたつより、少し上のグレードなんですね。さっそく装着っと……あ、ヘッド・バンドが伸びて頭にフィットした! 付け心地がめっちゃいいですね。
根本 いちいち調整しなくても、スッとそのままつけられるのが便利ですよね。ちゃんと耳を覆ってくれるので装着感も良いと思います。
── 何かオススメの曲はありますか?
根本 これだと、2曲目の「El Tercer Hombre The Third Man」(ウィルソン・ブリアン/「第三の男」のカバー)がいいですかね。音の広がり感があるので、それぞれの楽器がどこで鳴っているのかがわかりやすいと思います。
── (聴く)う~ん、確かに広がり感は前の2モデルよりあるかも。ストラトをバチバチとハジいている感じとか、ピアノの音もキレイです。
根本 音がちょっと柔らかめで中低域がグッと前に出ているんですけど、高域や細かいニュアンスも拾ってくれるのが、このヘッドフォンの特徴ですね。音の配置もわかりやすいし、最近人気を集めています。
根本 最後はちょっとお値段的に高くなってしまうんですけど、TAGO STUDIO(タゴ・スタジオ)のT3-01というモデルです。大体、5万5000円前後ですね。
→ フジヤエービック製品情報ページ
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── お、おお……。
根本 群馬の高崎にスタジオを構えている多胡さんというレコーディング・エンジニアの方が、自分で使うためのモニター・ヘッドフォンを作ったのが始まりでして。実際に作ってるのも群馬県で、メイド・イン・高崎です。
── 本当だ、金属パーツに“TAKASAKI”って書いてある!
根本 ヘッドバンドが着脱式だったりして、パーツ単位で交換できる、いわゆるメインテナンス可能な作りになっているんです。
── 末永く使えますね。
根本 やっぱりスタジオ・ユースを意識してるだけ あって、音の分離感や定位感っていうのが抜群なんですよ。今回のような古い音源でも、レコーディング時の演奏者の位置なんかは、ほかのヘッドフォンとは違う世界が広がると思います。10曲目の「Tú No Sabes De Amor」(カルロス・エミリオ・モラレス)が、ちょっと今っぽい感じの録音だったので合いそうだなと思いました。
── (聴く)楽器の位置がすごいハッキリ分かりますね。(もう1回聴く)う~ん……情報量がすさまじい!
根本 ちょっとレベルが違う感じですよね。ただ、集中して聴く時にはすごく良いんですけど、何か作業をしながらとか、ちょっと気晴らしに聴くという感じで使うには、解像度が高すぎて疲れちゃうかもしれません(笑)。
── まさしくモニター用という感じですね。
根本 でもギターにこだわってる方だったら、そこまで経験していただくと、今までとはヘッドフォンの認識が変わってくるんじゃないでしょうか。メゼも音の鳴り分けは良かったと思うんですけど、さらにその上を行く、もう分析的って言ってもいいくらいですね。
── いや~お腹いっぱいです。あと、ヘッドフォン選びのコツってありますか?
根本 好きな曲で、納得いくまで聴くことですね。そういう曲は、どこかに自分の好きなポイントがあると思うんですよ。そこを重点的に聴くといいんじゃないでしょうか。そうしているうちに、そのポイントに合ったヘッドフォンが段々と見つかるので、それを基準にすると良いと思います。
── なるほど~。
根本 さらに、そのヘッドフォンで他の曲を聴いた時に“あれ? この曲だとそうでもないな?”と思ったりして、“こっちの曲に合うのは何かあるかな……?”という感じで探していくと、あっという間にハマっていくという(笑)。
── それは恐ろしい……。
根本 また、どこでどう使うかも大事ですよね。通勤の1時間で好きな曲を聴いたり、夜寝る前にゆっくり聴いたりと、目的別で選べるのもヘッドフォンのおもしろいところかなと思います。スピーカーだと大きいので、そういうわけにもいきませんから(笑)。
── 確かにタゴ・スタジオのは良い音でビックリしたんですけど、寝る前だと音が良すぎて目が覚めちゃうかもしれませんね。
根本 もともとの目的がモニター用ですからね。ですので、性能の高さが自分の使い方に合うかっていうとそうではないんです。一番良いスペックだからそれを選ぶのではなく、ご自分の聴きたい環境や使い方とかに合うかどうかという選び方がいいのかなと思います。
── ギタリストならではの選び方なんてのは……ないですよね?
根本 楽器をやられている方は、すごくシビアな耳をお持ちなので、やっぱりご自分でじっくり試して選んでいただくのが間違いないですね。あとは、ギターを弾いたり作曲しながら使うものと、移動中に好きな曲を聴くものって、やっぱり違うと思います。そういう意味でも、使い分けが出来るのがヘッドフォンの利点だと思うので、ひとつのモデルだけでなく、いろいろな視点や目的別に選んでいただくと、より楽しめるんじゃないでしょうか。
── エフェクター感覚で使い分ける感じですね。
根本 そうですね。ただ、やっぱり楽器のほうにお金がいっちゃうとは思うので(笑)、当店でしたら中古品も多いので、よりお得に買えるものがあったりもします。そういう提案でもできますので、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい(笑)。
── ギタリストのお財布事情まで理解してもらえるとは恐縮です(笑)。今日はありがとうございました~!
住所:〒164-0001 東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ 3F
営業時間:10:30 ~ 20:00
お休みはお正月と休館日のみ。
土日も祭日も営業中!
TEL:0120-189-248
Webサイト:https://www.fujiya-avic.jp/
本記事は、リットーミュージック刊『ギター・マガジン 2018年10月号』の特集記事を転載したものです。今回の巻頭特集は「プロ・ギタリストが選ぶ!我が心の新3大ギタリスト。」で、60人を超えるギタリストに「新3大ギタリスト」を選定してもらった結果、はからずも今のギター・シーンを浮き彫りにする結果に?! ぜひチェックしてみてください!
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