“ONE DAY GUITAR SHOW”で発表された桜モデルの注目機種を総ざらい!
- 2025/01/07
Rick Turner Guitars / Renaissance Standard Bass/RB5FL-STD
リック・ターナー氏は、ロー・インピーダンス・ピックアップやアクティブ・サーキットの先駆的なギター/ベース・ブランド、アレンビックの共同創業者としても知られる楽器製作家(ルシアー)で、1960年代から楽器業界の第一線で長く活躍する重鎮のひとり。そんなリック・ターナー氏が自身の名を冠したブランドからリリースするルネサンス・ベースは、“AMPLICOUSTIC(アンプリコースティック)”という独自の概念の元に設計された革新的な楽器です。
従来のエレクトリック・アコースティック楽器(いわゆるエレアコ)は、アコースティック楽器にピックアップを取り付けアコースティック楽器に近い音色を出力する楽器ですが、このルネサンス・ベースは逆転の発想で、ピックアップからリアルなアコースティック・サウンドを出力できるように設計された楽器なのです。あえてセンター・ブロックの入ったセミ・ホロウ構造のボディは、余分な生鳴りを抑えることでハウリングのリスクを回避するとともに、よりダイレクトでピュアな弦の振動をピックアップに伝達することでアコースティックな音色を出力することが可能となっています。その他にもカーボン・ファイバーで補強されたネックがボルトオン・ジョイントとなっているなど、従来のエレアコとは一線画す設計思想であることが伺えますね。
本器のピックアップ・システムはサドルの下に仕込まれた1基のピエゾ・ピックアップとD-TAR Wave-length Soloプリアンプで構成されており、コントロールはボリュームとトーンだけというシンプルな構成です。D-TARはリック・ターナー氏とセイモア・ダンカン氏によって設立されたブランドで、Wave-length Soloは単3乾電池2本による駆動ながら内部で18Vに昇圧することで、ワイドレンジかつハイクオリティなアコースティック・サウンドを実現しています。
本器のマテリアルはボディ・トップにウエスタン・レッド・シダー、ボディ・バック&サイドにマホガニー、ネックはメイプルのエボニー指板となっています。シンプルな曲線美と杢目を活かした美しい仕上がりが魅力的ですね。楽器を手にしてみると最初にとても軽い(3.1kg)ことに驚きました。肝心のサウンドは、フレットレスということもありますが、ウッディでナチュラルな雰囲気にあふれた上品な音色です。トーンを絞ることで(単にこもるのではなく)よりウッディな雰囲気も出せるので、ウッド・ベースのような空気感と雰囲気を持った音色を作ることもできます。プレイアビリティはアコースティック弦が張られていますがエレクトリック・ベースに近いと感じました。35インチ・スケールだけあってローB弦のテンション感もほど良く、アコースティックなキャラクターを保ったままタイトな低音を鳴らすことができるので、アコースティック編成のみならず、さまざまなジャンルやアレンジの楽曲でも活用できるでしょう。
エレキ・ベースから持ち替えても違和感のないボディ・サイズや取り回しの良さを持ちながら、ウッド・ベースともフレットレス・ベースとも、エレクトリック・アップライト・ベースとも形容しがたい、幅広い音色が引き出せる新鮮な楽器でした。リアルなアコースティックの音色とプレイヤビリティの高さが高い次元で融合した唯一無比の本器。その特徴を生かした新たな音楽スタイルも創造できそうですし、さまざまなアレンジやシチュエーションでも活用できるので、本器を手にしていれば出番は増えそうですね。
価格:オープン