“ONE DAY GUITAR SHOW”で発表された桜モデルの注目機種を総ざらい!
- 2025/01/07
BOSS / KATANA-AIR
2018年1月に発表され、瞬く間にギタリストたちの注目を集めた革新的ワイヤレス・アンプ、BOSS KATANA-AIR。その革新性は、何よりも本機が“完全ワイヤレス”という点に宿る。これまで自宅でギターを弾くときは、シールドはもちろん、エフェクター、アンプ、電源ケーブル、場合によって音楽プレーヤーなどを用意する必要があり、“弾く前に”いくつもの工程を踏んでいた。しかし、このKATANA-AIRを導入すれば、上述の機材と、それらを準備する行為から“完全に”解き放たれることができるのだ。今回は、そんな音楽生活を一新させるワイヤレス・アンプを亀本寛貴(GLIM SPANKY)に試奏してもらい、その実力に迫った。
KATANA-AIR最大のポイントである“完全ワイヤレス”というコンセプト。これは単に付属トランスミッター(WL-T)を介したギターのワイヤレス化だけを指しているのではなく、電池駆動が可能な点や、モバイル機器とBluetooth接続して音色をエディットしたり、音楽の再生ができることなどを含めて“ケーブルレス”であるということ。つまり、自宅で(もしくは出先などでも)手軽にギターを演奏し、音楽を楽しむためのシステムすべてを“無線化”できるのだ。
ギターの演奏という点でやはり注目なのは付属トランスミッター(WL-T)と本体のワイヤレス技術だが、超低レイテンシーでタッチやレスポンスにも違和感はなし。本体のドックに接続すれば、周囲の電波状況(2.4Ghz帯)を確認し自動で最も安定して繋がるように設定してくれるので、ワイヤレス・ビギナーでも迷うことなく扱えるわけだ。WL-Tはドックから充電することができるうえ、一回の充電で12時間の使用が可能。さらにKATANA-AIRは、一定時間演奏を行なわないと自動的にスタンバイ状態に移行してくれるのだが、ふたたびギターを手に取るとWL-Tに内蔵されたセンターが振動を検知、即座に接続を再開してくれる。省エネかつ、いちいちアンプ本体まで電源操作に戻らなくても良いというわけだ。
本体内には、KATANAシリーズで定評のあるハイゲイン・スタック・アンプ[BROWN]を始めとする5種のアンプ・タイプと、各3タイプがアサインできるBST/MOD、DELAY/FX、REVERBといったエフェクトを内蔵。アンプやエフェクトの設定を各3つメモリできる【CH A/B】ボタンもあり、好みの音色を簡単に呼び出すことが可能だ。さらに、スマートフォンやタブレットなどをBluetooth接続し、iOS/Android対応のモバイル・アプリBOSS TONE STUDIO(BTS)を使用すれば、50種類以上のエフェクトの選択や接続順なども含めた詳細な設定、パッチの管理などもできる。BTSにはチューナー機能もあり、すべての操作を手元で完了できるのも“完全ワイヤレス”の所以だ。
◎BOSS TONE STUDIOアプリをダウンロード!
[iOS][Android]
KATANA-AIRには、7.5cmスピーカーを2基搭載し、30W(電池使用時は20W)で駆動するステレオ・オーディオ・アンプ/スピーカーとしての一面もある。モバイル機器などとBluetooth接続し、音楽ファイルや動画のストリーミング再生などを高品位なサウンドで楽しめるのはもちろん、バッキング・トラックを流しての練習なども可能。音楽鑑賞から音楽制作までを、ケーブル類にわずらわされることなく気軽に楽しめるのが、KATANA-AIRという新提案だ。
“面倒だな”って思う点を全部解決してくれる
これまで僕は、家でソファなどに座ってギターを弾くといったことを、ほとんどしてこなかったんです。それはやっぱり、アンプの電源を取ったりシールドをつないだり、クリーン・トーンだと物足りないから歪みや空間系のエフェクターを用意したりっていう、ギターを弾く前の準備が面倒だったからですね。その“面倒だな”って思う点を全部解決してくれるのが、まずKATANA-AIRのすごいところだと思いました。
僕はライブでもワイヤレスを使ったことはないんですが、実際にKATANA-AIRを試してみて、タッチやレスポンスも有線で弾いているのと同じ感覚で違和感はなかったです。音も良くて気持ち良く弾けましたね。【AMP TYPE】では、[CRUNCH]がシンプルで扱いやすく、GAINをそれほど上げずに単音を弾いても充分なサステインがあるし、コードも潰れないのが良かったです。[LEAD]は[CRUNCH]と似たキャラクターなんですが、より単音が太くて、まさにリード向きですね。ハイゲイン・スタック・アンプ的な[BROWN]は暴れる感じ、ザクザクっと噛みつく感じがあって、ハードロックに向いていると思いました。あと普段は、どクリーンなトーンはあまり使わず、クランチからギターのボリュームを下げてクリーンを作るようにしているんですが、今回はいつもはあまりやらないカッティング・プレイで[CLEAN]が使えるなと思い、オート・ワウをかけて演奏してみました。
エフェクトもかかりが良いですし、ツマミひとつで直感的に調整できる。しかもどの位置でもちゃんと成立した音になるのは素晴らしいなと思いました。エフェクトの微調整はモバイル・アプリのBOSS TONE STUDIOで行ないましたが、この使い心地も良かったです。ディレイのTIMEなどを数値で入力することもできますし、気に入った音色をメモリしておいて、すぐ呼び出せるというのは良いですね。僕らの世代は特に、スマホは常に持ち歩いていますし、これならチューナーも入っているから手元で全部済むというのは便利ですよ。
Bluetoothスピーカーとしては、非常にクリアでワイドレンジ。デモ動画のバッキング・トラックを再生してみても、違和感なく聴くことができました。そのうえで【AMP TYPE】やエフェクトなどが心地よくギターの音を鳴らしてくれるというのが驚きでしたね。やっぱりエレキ・ギターって、それだけで弾いていても練習にならないし、アンプなども含めて楽器だと思うんです。それが非常にやりやすくなるし、もしかしたら高価なエフェクターやアンプを買い揃えるより、良い音を出すギタリストになる近道かもしれないですね。
幅72mm×奥行き121mm×高さ56mmという、ほぼBOSSコンパクト・シリーズと同サイズのワイヤレス・レシーバー。そのサイズはもちろん、パラレル・コードにより他エフェクターへの電力供給も可能なため、エフェクター・ボードへの組み込みに最適な1台だ。伝送範囲20mのトランスミッターはWL-Tが付属しており、WL-50のドックで充電(3時間の充電で12時間の連続使用が可能)とチャンネルの自動設定ができるので、ワイヤレス・ビギナーでも手軽に扱える。シールド使用時の音質変化を再現したケーブル・トーン・シミュレーション(OFF/SHORT/LONG)も、こだわり派には興味深い機能だ。 [この商品をデジマートで探す]
幅87mm×奥行き22mm×高さ36mm、43gという小型軽量なトランスミッターWL-Tと、ほぼ同サイズのレシーバーのセットという、驚くほど小型かつイージー・オペレートなワイヤレス・システム。伝送範囲は15mと充分なうえ、両者を10秒間接続するだけで自動的に最適な設定にしてくれるという簡便さも、ワイヤレス導入を考えている人にはアピールするポイントだろう。3mのシールド使用時の自然な音質変化を模したケーブル・トーン・シミュレーションを搭載したWL-20は通常のパッシブ・エレキ・ギター向け。同機能がないWL-20Lは、プリアンプを内蔵したエレアコや、ショルダー・キーボードやローランドのエアロフォンなど出力がライン・レベルの楽器に最適だ。 [この商品をデジマートで探す]
価格:オープン
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亀本寛貴
かめもとひろき●1990年8月24日生まれ。高校在学中に松尾レミ(vo,g)らが結成したGLIM SPANKYに加入。2010年に上京を果たし、2014年に1stミニ・アルバム『焦燥』をリリースする。圧倒的な存在感を示す松尾のボーカル、ブルージィかつ往年のロック・フィールを感じさせる亀本のギター・プレイが大きな話題を呼ぶ。順調にリリースを重ねながらライブ動員も増やしていき、2018年5月には初の日本武道館公演を成功させる。最新作は、2018年5月に発売した4thシングル『All Of Us』。