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  • 話題のオールインワンPAシステムを“本番”でチェック!

ライブで発揮されるBose S1 Proの真価

Bose / S1 Pro Multi-Position PA system

ここ数年ですっかり定着した感のある、カフェやバーなどで行うアコースティック・ライブ。生に近いスタイルだからこそ、音質にはこだわりたいところだが、音響設備が整っていない会場が多いのも事実。そんな場面で力を発揮するのが、Bose(ボーズ)から新たに登場したPAスピーカー・システム=S1 Proだ。片手で持ち運びできるほどの小型サイズでありながら、パワフルで広がりのあるサウンドを誇り、さらにシチュエーションに合わせた音作りも可能な画期的なPAシステムである。そんな話題のS1 Proをドラム&カホン奏者のKAZUがチェック。今回は実際にライブの本番で使用し、その実力に迫ってみた!

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演奏活動を後押しする革新的なPAシステム

Bose S1 Pro Multi-Position PA system / 価格:78,000円(税別)

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 世界的な音響メーカーであるボーズが、満を持して発表したS1 Proは、ミキサー、アンプ、スピーカーを一体化した、オールインワンPAシステム。6.8kgという超コンパクトなボディに、開発/研究に心血を注いできたボーズの技術とノウハウが凝縮され、あらゆる場面で極上のサウンドを提供してくれる。
 その大きな特徴の1つが、置き方に合わせて音質を自動補正するAuto EQ機能。スピーカーの設置方法は、場面によってさまざまだが、S1 Proでは内蔵されたセンサーが設置ポジションを感知し、置き方が変わっても常に音質を均一に保ってくれる。近距離にオーディエンスが集まる路上から、スタンディング、着席スタイルまで、それぞれのシチュエーションでベストなリスニング環境を創出。また横に倒して床に設置すれば、フロア・モニターとしても活用することが可能だ。

35mm径のスタンドへの設置が可能(スタンド別売り)。立ち見スタイルなど、より広いエリアに音を届けることができる

置き方を変えても音質を均一にするAuto EQ機能を搭載。横に倒して、床に置けばモニター・スピーカーとしても使用することが可能

 入力チャンネルは3つあり、Ch1、Ch2にはマイクや楽器をダイレクトに挿入できるXLR/標準フォンのコンボ・ジャックを採用。リバーブ機能の他、マイクやアコースティック・ギターに最適なEQに切り替えられるToneMatch EQプロセッシングも搭載されている。Ch3は3.5mmのステレオ・ミニ入力に対応し、さらにBluetoothによるストリーミング再生が可能。スマホやタブレットなどに保存してある音源にワイヤレスで接続ができるのは、マイナスワンの音源に合わせて演奏する機会の多い、打楽器奏者にはうれしいポイントだ。
 また野外でスピーカーを使用する際、電源を確保するのに苦労した経験のある人も多いかと思うが、S1 Proはバッテリー駆動も可能。リチウムイオンを採用した専用バッテリー=S1 Pro batteryを使用することで、1回の充電で、4〜6時間の再生が可能(標準使用の場合)。コンパクトで多彩な機能を持つS1 Proは、あらゆるミュージシャンの演奏活動を強力に後押しする、まさに革新的なPAシステムだ。

入力チャンネルは3つ装備。Ch1と2はエフェクト調整機能の他、ToneMatch EQプロセッシングが搭載されている。Ch3は3.5mmのステレオ・ミニ入力に対応し、Bluetoothを介してストリーミング再生ができる

電源のない場所で活躍するS1 Pro battery(別売り)。リチウムイオンを採用し、1回の充電で、4〜6時間駆動

S1 Proの真価をライブ本番で検証!

ダイニング・バーでのライブへ実践投入

 超小型ながら幅広い分野で活用できるS1 Pro。会場規模としては、50人ほどのスペースを対象としているそうで、そのクラスの会場では、音量の大きなドラムに代わって、箱型のパーカッション=カホンが用いられることも多い。そこで今回はカホンをメインに演奏活動を行なう打楽器奏者のKAZUがS1 Proをチェック。彼が出演するライブの本番で試してもらった。

 会場となったのは吉祥寺にあるイタリアン・バー、OLD CROW(オールドクロウ)。オープン30周年を記念し、店内で行なわれたライブ・イベントで、メンバーはKAZU、町田謙介(vo、g)、井上ヒロシ(sax、flute)という変則トリオ編成。同店は100人以上の収容が可能というが、普段はダイニング・バーとして営業しているため、専用のPAシステムは設置されておらず、当初はギター・アンプから音を出す予定だったという。

 S1 Proは3つの入力を完備しているが、この日はミキサーでサウンド・バランスを調整し、リバーブ機能のついたCh1とCh2につなぎ、薄くエフェクトをかけて出力。実機に触るのは、リハーサルのタイミングが初めてだったが、直感的な操作で、サウンドが決まり、そのパワフルな音色に3人とも驚きの様子だった。

 ライブ本番では、イスの上でS1 Proを置いて演奏。ポジションは“TABLE TOP”で、着席しているお客さんに最適なサウンドで出力。カホンはスラップの高音もベースの低音もダイナミックで、アコースティック・ギターもタッチをリアルに表現。管楽器の響きも実にクリア。ステージから離れた場所でも聴いてみたが、アンサンブルが明確で、音色も心地良く、本番でも遺憾無くその実力を発揮してくれた。

カホン一式とS1 Proを手に入店するKAZU。「この重さなら手持ちでいけますね」と語る

KAZUのセッティング。カホンは空気穴にマイクをセットし、シンバルとウィンド・チャイムは生音

ライブ本番ではミキサーを介して音を調整し、リバーブ機能のついたCh1とCh2に接続。ライブでは薄くエフェクトをかけて出力

Impression~S1 Proを体感してみて

KAZU 正直使ってみてびっくりしました。今日会場に来てみたら思っていたよりもキャパシティが広くて、編成もそれなりだったので、スペック的に大丈夫かなと心配してたんですけど、このスピーカー1つで事足りてしまう、その馬力に驚きましたね。しかもまだまだ余裕がある感じで。今回カホンは、あえてSHURE57を本体に突っ込んでしまうという男気のあるマイキングをさせてもらったんですが、低音も高音もしっかり出ていて、ストレスなくプレイできました。瞬間的に“あ、これ欲しい”って思いましたね(笑)。あと僕はカホンだけでソロ・ライブをやったりもするんですけど、このサイズならカホンと一緒でも持ち運びができるし、さらにはBluetoothで繋いだ外部音源に合わせて演奏できるのも強みですね。

町田 総合的にはKAZU君が話した意見と同じで、ギター・サイドから言えば、かなりクリアな感じの音になるなと思いましたね。この音質で、何よりも軽くて小さいというのは、弾き語りする身にとって、本当にありがたいツールですね。最近はカフェや飲み屋でライブをやりたいっていう人が増えていると思うんだけど、会場に音響機材がないから、店側もどうしていいかわからないっていうケースも多くて。そんなときにこれが1個あれば事足りるので、店側もありがたいですよね。こちらとしても「ライブやらせてください、PAは用意するので」って言うことができるから、演奏する機会も増えそう。

KAZU 僕らのような旅芸人……じゃなかった(笑)。旅人にはたまらないですよね!

井上 サイズが非常にコンパクトで、パワーがあって、音もすごくナチュラルだなと思いました。今日は歌とギター、パーカッションに管楽器っていう編成だったんですけど、ミキサーを通したとはいえ、どこかに偏った感じがなかったですよね。自然なままで、あのキャパにもかかわらず、まだまだ余裕があったから、相当すごいと思います。オールインワン・タイプのPAは、ちょっと上げると大きすぎるし、そこから下げると小さくなりすぎたり、その加減が非常に難しいんですけど、今回は音が出て、すぐにバランスが決まったので、かなり実戦向きだと思いました。

町田 ちょうど良いバランスだったよね。音量は大きくても、うるさくなくて、音圧もしっかりと感じられるっていう。

KAZU 音作りに時間をかけたらもっと良くなりそうですよね。今日はじっくり試すことができなかったんですけど、あの限られた時間でこのクオリティでできたのは奇跡的。普通は音が決まるまでもっと時間がかかってしまうので。

井上 今日はアダプターでつなぎましたけど、バッテリーも試してみたいですね。充電なしで6時間使えるのはかなり強みだと思う。

KAZU ストリートで演奏する上で、最大のネックが電源問題なんですけど、これは1回充電して6時間使えるので、何の心配もない。

町田 我々ミュージシャンにとって強い味方になることは間違いないですね。欲を言えばもう1チャンネルくらいあると、数人でやるには大助かりにはなるかもしれませんが、さすがにこれだけ値段を抑えてくれているので、仕方がないでしょうね。いや〜、今日は良い経験をさせてもらいました。

井上 本当に。悩んでいる人は絶対に買った方がいいですよ。

KAZU
 僕はお買い上げですね……(笑)。自宅用のスピーカーと兼用にします(爆)。

試奏に協力してくれた井上ヒロシ、町田謙介、KAZUの3人(L→R)

リズム&ドラム・マガジン 2018年8月号 発売中!

 本記事は、リットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2018年8月号』掲載の特集記事を再編集したものです。表紙アーティストは、ドラマーという枠を超えた世界最高峰の音楽家として、各地で心揺さぶる演奏を繰り広げるブライアン・ブレイド。特集はドラム・セッティングにおける理想のポジションを徹底的に探る“the DRUM SETTING”。後編となる今月はドラム・チューナーとしても名高い、小関"koseking"純匡をフィーチャー。そして毎年恒例のドラム・コンテストの課題曲を発表。今回のテーマである「アンサンブル」について語り合う座談会も掲載している! ぜひ本記事と併せてお楽しみください。

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製品情報

Bose / S1 Pro Multi-Position PA system

価格:¥78,000 (税別)

【スペック】
●タイプ:マルチポジションPAシステム ●定格出力:60W ●スピーカー・ユニット:2.25インチ・ドライバー×3、6インチ・ウーハー ●入力端子:XLR/フォーン・コンボ端子×2、3.5mmステレオ・ミニ(Bluetooth対応) ●出力端子:フォーン ●対象スペース:1〜50人規模 ●外形寸法:240(W)× 332(H)× 282(D)mm ●重量:6.8kg
【問い合わせ】
ボーズ合同会社 カスタマーサービス TEL:0570-080-021 https://probose.jp/product/boses1-pro/
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プロフィール

KAZU
ドラマー&パーカッショニストKAZU。ドラム、カホン、ジャンベ、コンガ、デジタル系打楽器などを駆使する打楽器サウンドクリエイター。 ライブ&REC/セミナー講師/動画制作/執筆/イベンター/旅/グルメなど、楽しい事の専門家。CANOPUS(ドラム)・Zildjian(シンバル)・遼天Cajon工房(カホン)エンドーサー。自分の打楽器演奏だけで構成されたソロ・アルバム『Roving Drummer』を発売!

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