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  • ミキサーやレコーダー機能も内蔵した、リアルなサウンドを鳴らす直感型リズムマシン!

KORG / KR-55 Pro

KORG / KR-55 Pro

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 1963年に国内初のリズムマシン、ドンカマチック(通称ドンカマ)が発売されて以来、KORGのリズムマシンは屋台骨として数々のレコーディングやライブの現場を支えてきました。今回紹介するKORG KR-55 Proは、これまでのリズムマシンの概念を覆すリアルなドラム/パーカッション・サウンドを実現し、さらに現代的な仕様方法に合わせてアップデートされたもの。プロ・ドラマーとセッションしているかのような臨場感を味わえる本機、早速詳しく見ていきましょう。

KORG / KR-55 Pro

 まず目に飛び込んでくるのは、表面に配置されたたくさんのボタン。それがウッド・パネルによるカバリングの雰囲気と相まって、まさに“ビンテージと最新の融合”という雰囲気を醸し出し、“ここからどんなサウンドが飛び出してくるんだろう?”というワクワク感が得られます。

 収録されているリズム・スタイルは、ロック、ブルース、カントリーなど24種類。鳴らしてみたいスタイルを選んだら、プレイ・ボタンを押してVALUEダイヤルを回すか、タップ・テンポ・ボタンで好きなテンポを決めるだけ。鳴らしてみると、ドラムの音はもちろん、カホンの箱が鳴っている感じや、ジャンベの皮と手が当たるニュアンスなど、音が鳴り始める瞬間から減衰して消えていくところまで人間味を感じられるサウンドに仕上がっています。その理由は、KORG独自の“Real Groove Technology”によって、従来のリズムマシンとはまったく異なる手法で生録音されているから。テンポを遅くしても速くしても、その場でプレイヤーが一緒に演奏しているようです。各リズム・スタイルにはふたつのバリエーションがあり、さらにフィルイン1、フィルイン2、エンディング・パターンも用意されているので、お気に入りのリズム・スタイルを見つけたら、バリエーションで展開を付けていくことも簡単です。

リズム・スタイルは、8ビートや16ビートなどの基本パターン、ロックやジャズ、ラテン、サンバなどのジャンル別パターンに加えて、カホンやコンガ、ジェンベなどパーカッション類も揃える

周囲のカバリングには木材が採用されており、質感やルックス面でのアクセントとなっている。無機質な印象はなく、あくまでも“楽器”としての魅力を感じさせるデザインだ

各リズム・スタイルに用意されたふたつの基本パターンと、フィルイン、エンディングはコントロール・セクションにあるボタン(写真)でセレクトする

 本機の特徴のひとつは、チェイン機能。1小節ごとにお気に入りのリズム・スタイルやそのバリエーション、フィルインを入れるタイミングなどを配置し、1曲分のリズムを簡単に作成していくことができます。Aメロでは音数の少なめなビート、Bメロはパーカッションだけにして、フィルインを挟んでサビでは派手なビート、エンディングはさりげなく……といったイメージを直感で組み立てることも容易です。構築されたチェインは30バンクまで保存でき、ひとつのチェインにつき最大999小節(テンポ120の曲で、約8分程度)までメモリーすることができます。また、別売りのフット・スイッチを使用すると、リズム・パターンのスタート/ストップやフィルインの挿入などを足元で操作することができるので、ライブでのリアルタイムなパフォーマンスが可能になります。

 KR-55 Proにはギターやベースなどが接続可能なインプットがふたつ、マイク入力用のXLRインがひとつ、そしてオーディオ・プレーヤーだけではなくキーボードなどステレオ入力にも対応したAUXインプットなど、さまざまな楽器が接続できる入力端子が豊富に搭載されています。そしてスピーカーから音を出す際にワイドで立体感のあるステレオ効果を得ることができる独自バーチャル・サラウンド技術“Acoustage”、チューナーやEQ、リバーブも用意されているので、持ち寄った楽器をKR-55 Proにつなぎ、細やかな音の調整をしたらそのままセッションやライブができてしまう、ミキサーとしての使い方ができるのも本機の最大の特徴のひとつと言えるでしょう。また、内蔵リズム・パターンに演奏を合わせたものをレコーダー機能で録音し、さらに多重録音で演奏を重ねたものをSDカードにWAV音源として保存することができるので、KR-55 Proだけで音源を制作することができることも魅力のひとつとなっています。それに加え、SDカード内のwavファイルを再生できるオーディオ・プレーヤー機能も搭載されており、あらかじめ入れておいたバッキング・トラックに合わせて演奏することも可能です。再生スピードを-25〜+25%まで変更できるので、自宅での練習にも抜群。また、単三電池で最長7時間のバッテリー駆動が可能なので、電源を確保できない場所でもシーンを選ばず使用できることは大きなアドバンテージと言えるでしょう。

インプットは、マイク用のXLR端子と楽器用のフォーン端子を2系統備えている。2〜3人編成のドラムレス・バンドなどでも活用できそうだ

背面にはステレオ・アウトとAUXイン、足下で本機を操作するためのフット・スイッチ・イン、ヘッドフォン・アウトを備えている。そのほか、SDカード・スロットも装備する

コントロール上部には、チューナーのON/OFFスイッチ、ステレオ・スピーカーに接続した際にサラウンド効果を強調できる“Acoustage”のON/OFFスイッチを装備

本機はバッテリー駆動にも対応しており、単三電池6本で約7時間も使用することができる。ストリートで活動するミュージシャンにも嬉しい設計だろう

 誰かと演奏しているようなリアルなサウンドとセッションしながらアイディアを膨らまし、曲が完成したらチェイン機能で1曲分を構築。そこに音を重ねながらレコーディングをしたり、あるいはリズム・パターンを保存した本機をライブに持ち込んで演奏したり……本機は、音楽意欲を掻き立ててくれて、自宅からステージまで常に一緒にいてくれる最高の相棒のような存在です。ぜひ手に取って、そのサウンドを聴いてみてください。

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製品情報

KORG / KR-55 Pro

価格:¥34,000 (税別)

【スペック】
【リズム機能】■リズム・スタイル数:24(各リズム・スタイルで2バリエーション、バリエーションごとにベーシック、フィルイン1、フィルイン2の3種類のパターン+エンディング) ■テンポ:48~240bpm ■チェイン機能:30バンク(各最大999小節まで登録可)【レコーダー機能】■録音フォーマット:PCMオーディオ・フォーマットWAV形式(44.1kHz 16bit) ■録音時間:1GBあたり約100分(※使用SDカードに依存) ■最長連続録音時間:3時間 ■ソング数:最大50 ■多重録音数:SDカードの残り容量に依存 ■アンドゥ/リドゥ:1回【プレーヤー機能】■再生フォーマット:PCMオーディオ・フォーマットWAV形式(44.1kHz 16bit/ステレオ) ■最大データ・サイズ(時間):1GBあたり約100分(WAV時/※使用メモリ-・カードに依存) ■最大データ・ファイル(フォルダー数):最大99ソング(1フォルダーあたり/PLAYERフォルダー内のM1〜M8の合計8つのフォルダーを利用可能) ■プレイリスト機能:10バンク(各最大24曲まで登録可) ■ミキサー・エフェクト部:リバーブ・エフェクト、BASS、TREBLE、ACOUSTAGE(ステレオワイド効果)、チューナー(音律:12、平均律、クロマチック、キャリブレーション:435〜445Hz、チューニング・ガイド音:3タイプ=ギター、ベース、ピアノ) ■ディスプレイ:7セグ 4桁LED【SDカード】■使用可能カード:SDHCカード(推奨):4〜32GB ■入力端子:MIC IN端子(XLR-3-32タイプ/平衡/入力インピーダンス:4.7kΩ/規定レベル:-43dBV)、INPUT1端子、INPUT2端子(ギター、ベース/φ6.3mmモノラル・フォーン・ジャック:不平衡/入力インピーダンス:1MΩ/規定レベル:-26dBV)、AUX INPUT端子(φ3.5mmステレオ・ミニ・フォーン・ジャック:不平衡/入力インピーダンス:10kΩ/規定レベル:-17dBV)、FOOT SW端子(φ6.3mmステレオ・フォーン・ジャック/使用可能なフット・スイッチ:VOX VFS5 フット・スイッチ) ■出力端子:OUTPUT L/MONO、R端子(φ6.3mmモノラル・フォーン・ジャック:不平衡)、ステレオ・ミニ・フォーン・ジャック端子(φ3.5mm/最大レベル:0dBV 30mW 32Ω) ■電源:DC 9V、単三乾電池6本(アルカリ乾電池またはニッケル水素電池に対応) ■電池寿命:約7時間(アルカリ乾電池使用時)、約7時間(ニッケル水素電池使用時/※使用電池、使用状況により変動あり) ■消費電流:330mA ■外形寸法:347(W)x223(D)x68(H)mm ■質量:1.4kg(電池含まず) ■付属品:ACアダプター KA350(DC9V) ■アクセサリー(別売):フット・スイッチ VOX社製VFS5
【問い合わせ】
コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569 http://www.korg.com/jp/
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