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- 2024/11/16
歪み系エフェクター
初めてのエフェクターを購入する場合、多くの方が歪み(ひずみ)エフェクターを選ぶでしょう。今回の特集では、ロング・セラー歪み系コンパクト・エフェクターの中から15機種をピックアップ。解説と共にそれらの音の違いがわかる動画を用意しました。購入の際の参考にしてみてください!
「歪み」とは、元々はオーディオなどで音量が回路の限度を超えたりした時に音が潰れたようになる状態を指す言葉ですが、エレキ・ギターの世界ではその歪みも心地よいサウンドのひとつとしてとらえられています。
その歪みを人工的に作ることができるのが「歪みエフェクター」です。他のエフェクターよりも比較的音の変化がわかりやすく、迫力のあるサウンドに変化させられ、特にロック・ギター・サウンドには欠かせません。
歪みエフェクターの音色の特徴は、大きく分けると次の3種類になります。
ロングセラーの歪み系エフェクター15種類のサウンド・キャラクターを確認できる動画を用意しました。一定の環境で録音されたこれらのサウンドを確認しながら、自分好みの「歪みエフェクター」を見つけてください!
※動画は以下15機種の紹介のあと!
SPECIFICATIONS
●コントロール:LEVEL、TONE、DIST、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:73(W)×50(H)×127(D)mm
価格は手頃、しかし“安かろう悪かろう”という先入観をくつがえす本格的な効きが話題となり、口コミでその名が知れ渡ったARION。このMTE-1はブースターとしても活用できる歪みモノのロングセラーで、コントロールもLEVEL(全体の音量)、TONE(音色の調整)、DIST(歪み量の調整)とシンプルで使いやすい。上面のモデル名(ピンク部分)が電池ボックスで、電池交換が簡単なのもポイント。筐体はプラスチック製で重量も軽い。
SPECIFICATIONS
●コントロール:LEVEL、TONE、GAIN、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:73(W)×59(H)×129(D)mm
どれだけ歪むかという方向性から一歩踏み込み、ピッキングのニュアンスもしっかり再現できるクランチ〜オーバードライブの追求という方向性で一躍ロングセラーとなった本機。コントロールはLEVEL、TONE、GAINとシンプルだが、クリーン・クランチからコード弾き向きなハード・クランチ、ロックもOKなオーバードライブやブースターまで、幅広く対応。ギター本体のボリューム操作による音色コントロールもしっかり追従。
SPECIFICATIONS
●コントロール:TONE、LEVEL、DIST、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:73(W)×59(H)×129(D)mm
1978年に登場した、ディストーション・ペダルの原点と言える本機。鋭く過激な歪みはもちろん、本機がロングセラーとなっている理由は弾き手のニュアンスを損なわない再現度の高さにもあり、ピッキングのニュアンスなども忠実に表現してくれる。コントロールもTONE、LEVEL、DISTと直観的で、迷わずセッティングできるシンプルさもポイントだろう(各ツマミの配置が一般的な歪みモノと異なる点も個性的? )。
SPECIFICATIONS
●コントロール:LEVEL、TONE、DIST、TURBO(I/II)、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット、リモート(TURBO モード切り替え用:外部フット・スイッチ接続ジャック) ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:73(W)×59(H)×129(D)mm
DS-1の歪みを、場面によって柔軟に使い分けたいという欲張りなギタリストに最適なのが、その発展版と言える本機だ。本機は2つのターボ・モードを備え、TURBO IではDS-1譲りの鋭く抜けの良いディストーションを、TURBO IIでは中域が強調されたリード向けのディストーションを選べる。両者の切り替えは外部フット・スイッチで行なうことも可能だ。元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテも愛用。
SPECIFICATIONS
●コントロール:LEVEL、HIGH、LOW、MIDDLE、MID FREQ(MIDDLE で調整する周波数を200Hz〜5kHz で設定)、DIST、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:73(W)×59(H)×129(D)mm
2段階で歪みを増幅させるデュアル・ゲイン回路を搭載した、シリーズ最凶のディストーションが本機だ。大型ハイゲイン・アンプをフルで鳴らしたような重厚な歪みと豊かなサステインが魅力だが、本機にはHIGH/LOWの他に、200Hz〜5kHzで中心周波数帯を調整できる中域のEQを搭載しているのもポイント。これによりドンシャリはもちろん、ピッキング・アタックの強調などもでき、過激ながら音抜けの良い歪みも作れる。
SPECIFICATIONS
●コントロール:LEVEL、TONE、DRIVE、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:73(W)×59(H)×129(D)mm
オーバードライブの名器OD-1と同じく、非対称オーバードライブ回路を搭載し、真空管アンプをオーバーロードさせたような自然な歪みを生み出す本機。そのマイルドな歪みや音の張り、豊かなサステインは非対称回路ならではで、弾き手のタッチや音色の変化も正確に再現してくれる。逆に言えばごまかしの効かないサウンドでもあるわけだ。歪み量を決定するDRIVEを抑えめの設定にすれば、ブースターとして使うことも可能だ。
SPECIFICATIONS
●コントロール:VOLUME、TONE、SUSTAIN(歪みとサステイン量)、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:139(W)×73(H)×173(D)mm
古くはデヴィッド・ギルモア、カルロス・サンタナ、そして1990年代以降はスマッシング・パンプキンズなどのグランジ勢から、さらにはKORNまで、さまざまなスタイルのギタリストに使用されてきたファズの名器。強烈な歪みとロング・サステインが特徴だが、音色にはマイルド&スウィートなテイストもある。外観、中身ともにいくつかバリエーションがある本機だが、これは1970年代後半〜1980年前後のUSA製を復刻したもの。
SPECIFICATIONS
●コントロール:DRIVE、TONE、LEVEL、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:74(W)×53(H)×124(D)mm
オーバードライブの代名詞でもあり、プロ/アマ問わず多くのギタリストの支持を集め続けるチューブスクリーマーTS9。まさに真空管アンプが悲鳴を上げているような、暖かみがあり、サステインも豊富なオーバードライブ・サウンドは唯一無二と言っていいだろう。コントロールは歪み量決定のDRIVE、高域調整のTONE、全体の音量調整のLEVELの3つで、聴き馴染んだあの音を直観的に作れるはず。
SPECIFICATIONS
●コントロール:VOLUME、FUZZ、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 ●外形寸法:180(∅)×67(H)mm
ジミ・ヘンドリックスが愛用した伝説の歪み、ファズ・フェイスを忠実に再現した本機。元になっているのは1969年〜70年にダラス・アービター社から再生産されていたモデルで、当時の特徴であるBC108シリコン・ダイオードを心臓部に採用している。顔を模した本体の目に当たるコントロールは、歪みの深さ決定のFUZZと、全体の音量調整のVOLUME。外観の仕上げにもこだわったモデルだ。
SPECIFICATIONS
●コントロール:GAIN、BASS、DEEP(低域ブースト)、TREBLE、MID、VOLUME、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:65(W)×55(H)×120(D)mm
マーシャル・アンプの歪みをコンパクト・エフェクターで再現できるということで話題となったガバナーの後継版。コントロールはパワー・アップされたGAIN、BASS、MID、TREBLE、VOLUMEというオリジナルに倣った構成に加え、DEEPという新機能も搭載している。このDEEPはアンプのJCM2000内蔵のものと同じ機能で、低域を強調しつつ引き締め、タイトで重量感のある音像を作るのに役立つ機能。
SPECIFICATIONS
●コントロール:DRIVE、TONE、LEVEL、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:AC アダプターMaxonAC210(付属)、または9V 乾電池(6F22)1本 ●外形寸法:120(W)×60(H)×152(D)mm
ビンテージ・シリーズのオーバードライブ。老舗ならではの技術と経験を生かし、サウンドをどう加工するかではなく、どれだけアンプの一部に近づけるかという方向性で設計されたもの。コントロールはDRIVE、TONE、LEVELの3つ。DRIVEに人工的な色付け感はなく、ピッキングなどのタッチを失わない真空管アンプ的な歪みも特徴だ。ドライブを絞れば、クリーン・ブースターとしても活用できる。
SPECIFICATIONS
●コントロール:DIST、TONE、LEVEL、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:74(W)×54(H)×124(D)mm
マクソンのスタンダードとも言える9シリーズから、高域の張りが際立つディストーション。歪みを決めるDISTは効き幅も広く、センターあたりでもかなりパワフルな歪みを生み出す。逆に絞ればカラッとしたオーバードライブ・トーンも作れ、バッキング/リード問わず活躍してくれる。TONEの高域ブーストもかなり派手だが、全体的にファットさを失わないのも本機の特徴と言えるだろう。
SPECIFICATIONS
●コントロール:OUTPUT、DISTORTION、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:60(W)×34(H)×112(D)mm
ランディ・ローズも愛用していたディストーション・ペダルの超定番。歪み量を決めるDISTORTIONツマミは、クリーン・トーンに歪みを混ぜる割合のコントロールで、設定次第ではクランチからオーバードライブ、ディストーション、ファズと、あらゆる歪みを作ることができる。心臓部にはゲルマニウム素子を用いたクリッピング回路が使われており、真空管アンプのようなサステイン豊かな歪みが実現可能だ。
SPECIFICATIONS
●コントロール:LEVEL、LOW、HIGH、DIST、MIDDLE、FREQ(MIDDLE で調整する中音域の周波数ポイントを200Hz ~ 5kHz で選択)、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:96(W)×54(H)×128(D)mm
驚きの低価格(税抜2,980円:2018年4月現在)と確かな音質、ユーザー目線のプレイアビリティが評判のプレイテックより、まさにヘヴィ・メタル向けのディストーション。注目は3バンドEQ搭載のうえ、ミドルの中心周波数帯が200Hzから5kHzで調整できることで、1970年代風のオーソドックスなハード・ロックサウンドからモダンなドンシャリまでを作り出すことが可能。歪みの幅も広く低音感も十分。価格からの先入観でビギナー用とあなどれない実力を持っている。
SPECIFICATIONS
●コントロール:DISTORTION、FILTER(トーン調整)、VOLUME、オン/オフ・スイッチ ●入出力:インプット、アウトプット ●電源:9V 電池 or AC アダプター ●外形寸法:79.4(W)×73(H)×103(D)mm
1978年に登場し、80年代には一世を風靡したディストーションの定番。本機は、最初期のように横長の筐体ではなく、84年から採用されたスモール・ボックスを受け継ぎつつ、LEDの追加(ロゴのA部分)やスラント構造、トゥルー・バイパスなどを導入した現行版だ。コントロールは歪みを決めるDISTORTIONとトーンのFILTER、音量を調整するVOLUMEというおなじみの構成。ギラッと暴れる独特の歪みを持っている。
今回紹介した15種類を含む、定番ロングセラーの歪みエフェクター38種類の聴き比べや、エフェクター使いこなし情報など、初級者に役立つ内容が満載のムック「はじめての歪みエフェクター」が現在販売中です!!
すでにお聴きいただいたとおり、本ムックの比較音源はすべてまったく同じフレーズで、一度録音した基本データをリアンプで録音していますので、定番機種の特徴の違いだけを純粋に確認できます。エレキ・ギターを楽しみ始めた方に必須の1冊です。今回の特集で興味を持った方は、ぜひこちらもチェックしてください!
【エフェクターの基礎解説】
エフェクターとは?/エフェクターの使い方の基本/本書のエフェクターの種類は「歪み」/アンプでも歪みサウンドは作れるけれど....../お気に入りの歪みエフェクターを見つけよう/歪みエフェクターの種類/歪みエフェクターの設定と使い方の基本/<GAIN><VOLUME>のバランス/マルチと単体/複数のエフェクターを使用する/エフェクターには電源が必要/ACアダプターと電池の違い/電源供給のあれこれ/トゥルー・バイパスって何?/フット・スイッチ関連グッズ/エフェクターは買って試してこそ判断できる
【付録音源で定番歪みエフェクターを聴き比べてみよう!】
※試奏機材:ギター(フェンダー・ストラトキャスター、ギブソン・レス・ポール)、ギター・アンプ(ローランドJC-120ジャズ・コーラス)
いちむらまさき
岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。さまざまな雑誌に記事を書きつつ、『ギター上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100 の裏ワザ』、『ラ
イブ上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』『ギター・コードを覚える
方法とほんの少しの理論』(すべて小社刊)などを執筆。東京、神奈川でギター/ウクレレ楽器教室も。