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  • 2年以上の歳月をかけて完成させたジョン・メイヤーのシグネチャー・モデル!

Paul Reed Smith / Silver Sky「ジョン・メイヤー・シグネチャー」

Paul Reed Smith / Silver Sky

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 スーパー・イーグルから始まり、マッカーティ594シグネチャー・アンプなど、PRSとの綿密なコラボレーションが話題になっているジョン・メイヤー(以下:ジョン)。これらの製品は彼のソロ活動用というよりは、グレイトフル・デッドのメンバーとのバンド、デッド&カンパニーでのツアーで演奏されることが多い印象があった。つまり、いわゆるテキサス・ブルース・サウンド方向の楽器ではないと言えるだろう。

 そして新しいシグネチャー・モデルとして登場した「Silver Sky」は、彼自身のバンドで使用するべくデザインされたギターだと言える。2年以上の時間をかけて生まれたこのモデルは、これまでのPRS製ギターとは似ているようでかなり異なる仕様を持っているのだ。

Paul Reed Smith / Silver Sky(Tungsten)

モダンとビンテージの融合=PRSの回答

 Silver Skyは、ジョンとポール・リード・スミス(以下:ポール)がそれぞれ所有している1963年製と64年製のビンテージ・ギターをベースに開発されている。「すべてのディテールに注意を払ってデザインした」と公言しているように、かなりのギター・オタクとも言えるポールと、同じくエフェクト・ペダルを自作するほどの機材好きのジョンによる開発……ということで、随所にこだわりがちりばめられたモデルが誕生した。

 ヘッド・ストックは、ジョンの希望で1弦側のナットからヘッドにかけての「くびれ部分」が独特の形状に変更されている。シェイク・ハンド・スタイルでロー・コードをフォームした際に手が触れるポイントを修正したということだが、同時にプレーン弦側の鳴り方やテンションがレギュラー仕様のPRSギターとは異なっている。また、ナットからペグ・ポストまでのクリアランスが取れたことで、チューニングの安定感も増したと言える。ペグはクローズド・バックのビンテージ・スタイル。PRSギターではPHASE Ⅲ以降オープン・ギア・タイプが基本になっているので、この辺りもジョンからの要望が反映されていると言えるだろう。もちろんロック式を採用している。

ヘッドはPRSのオリジナル形状をアレンジしたシェイプで、ジョン・メイヤーのリクエストで1弦側の部分が長くなっている

ナットは牛骨のものが使用されている。さらにスロット・イン・タイプとなっており、よりビンテージ・ライクな作りとなっている

4点止めのプレートにはジョン・メイヤー・シグネチャーの証であるサインが!

 ネック・シェイプは前記した63/64年製のビンテージ・ギターのシェイプをベースにしているため、ストラト・プレイヤーには馴染みのある形状だろう。指板ラディアスは7.25インチで、この辺りはプレイアビリティを重視している。トレモロ・ブリッジはクラシックなデザインの鉄製。PRSジェネレーションⅢナイフ・エッジ・スクリューが組み込まれており、動作は非常にスムーズだ。また、基本セッティングではトレモロが「ベタ付け」セッティングになっている。これもブリッジを本体に接触させておくことで、ボディに弦振動をより多く伝えるためのアプローチだという。

ビンテージ・モデルをもとに採寸したネック。25 1/2インチ・スケールで、指板のRは7.25インチ(184R)。指板はイースト・インディアン・ローズウッドだ。インレイは通常のPRSギターよりも少し小さいものへ変更されている

ブリッジはすべてを新たに設計したスチール製トレモロで、ナイフエッジ・スクリューの採用でチューニングのズレをなくしている

5WAYセレクターのノブは操作性の優れたものを使用しており、ストレス・フリーな演奏を約束する

新品ながらビンテージ・フィーリングを持ったPRSギター

 サウンドの傾向は、完全にビンテージ・ギターのフィーリングだった。もちろん新品のギターなので、「ビンテージのような音」がするわけではない。これは我々のような楽器販売店の店員や、ビンテージ・ギターを所有しているオーナーであればわかると思うが、「フィーリング」のベクトルがビンテージ・ギターの鳴り感を連想させたということである。そして古いギターのような「枯れた」ニュアンスがあるわけではないが、鳴りのバランスやテンション・フィーリングが、「確かに程度の良いビンテージ・ギターだ」と思わせてくれる。これはアンプから音を出さずとも、生音を鳴らした時点で感じられるだろう。通常のPRSギターではあまり採用されてこなかった牛骨ナットを使用していることと、PRSギターにしては少し細めのフレットを採用したことも大きなポイントになっているのではないだろうか。

 さらに635JMというオリジナルのピックアップは、シングルコイル・サウンドでありながら、いわゆる「アイスピック・サウンド」にはならない。ブライトかつシャープな音色だが耳に痛い高域は感じられず、非常に心地良い音色。まさに「ファット・シングル・サウンド」だ。ピックアップにこだわるPRSらしい仕上がりと言える。

ピックアップは新開発の635JMが3基搭載されている。また、カバーも少し丸みを帯びたデザインのものが使われているのもポイント

Tungstenはカッタウェイ部分はボディより若干色が濃く塗装されているが、Frostではパールセントになっていたりと、モデルごとに違ったアクセントが加えられている

なんとジャック・プレートも新たに設計された、湾曲した鋳造プレートを採用。これによりケーブルの抜き差しがスムーズに行なえるというメリットを持つ

 サウンド・チェックではフェンダーのデラックス・リバーブ・アンプを用い、いくつかのストンプ・ボックスも使用しているが、基本的にギターそのもののサウンドがわかるようにしてみた。どうだろうか? どう弾いても「ジョン・メイヤーを連想させるサウンド」になるのがすごい。シグネチャー・モデルの名に恥じないエクストリームな仕上がりからは、ギターに情熱を燃やすジョンとポール、ふたりのこだわりがビシビシと感じられる。
※2018年8月1日(水)発売

Paul Reed Smith / Silver Sky(Frost)

Paul Reed Smith / Silver Sky(Horizon)

Paul Reed Smith / Silver Sky(Onyx)

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製品情報

Paul Reed Smith / Silver Sky

価格:¥325,000 (税別)

【スペック】
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:イースト・インディアン・ローズウッド ●フレット:22 ●スケール:25.5インチ ●ピックアップ:635JM×3 ●ブリッジ:スティール・トレモロ ●ペグ:ビンテージ・スタイル・ロッキング ●カラー:Tungsten、Frost、Horizon、Onyx ●付属品:PRSプレミアム・ギグバッグ
【問い合わせ】
コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569 https://www.prsguitars.jp/siver-sky
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プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

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